応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
81 巻, 12 号
『応用物理』 第81巻 第12号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
企画の意図
総合報告
解説
  • 山口 浩司
    2012 年 81 巻 12 号 p. 990-995
    発行日: 2012/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    昨今,研究が著しく進展しているマイクロ・ナノメカニカル共振器は,新しい原理の高感度センサ,信号処理素子への応用や,巨視的力学系における量子現象の観察など,実用素子から基礎科学にわたるさまざまな応用が期待されている.本稿では我々の関連する研究成果を紹介するとともに,このようなメカニカル共振器に関する研究動向を広くレビューする.

  • 塚越 一仁
    2012 年 81 巻 12 号 p. 996-1001
    発行日: 2012/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    有機半導体分子と絶縁ポリマーを溶媒に混合して基板上にスピンコートすると,それぞれの材料が垂直方向に二層に分離する.下層に絶縁ポリマー,上層に有機半導体膜が多結晶状に形成される.さらに,基板表面を非晶質のフッ素系ポリマー膜で被【おお】い部分的に酸素プラズマで改変したテンプレートにスピンコートすると,有機半導体層が結晶化する.これらの二層は,自己形成にて形成されるために,伝導におけるトラップ要因となる水分が二層の界面に付着することなく密封される.さらに自己平坦化が起こるために,紙のような凹凸の大きな基板であっても特性の高いトランジスタチャネルを形成できる.

  • 大友 明
    2012 年 81 巻 12 号 p. 1002-1008
    発行日: 2012/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    近年金属酸化物ヘテロ接合が示す新奇な界面物性が注目されている.薄膜成長の原子レベル制御と先端ナノ計測技術によって創り出された人工界面がバルクとは異なる電子状態を示し,従来の化合物半導体には見られない面白い物性を発現するからである.ともに非磁性絶縁体であるLaAlO3とSrTiO3との界面では,超伝導状態と強磁性が共存する特異な電子状態が実現されている.また,ZnOとMgZnOとのヘテロ接合に閉じ込められた2次元電子は,強磁場化で電子相関が強く働く分数量子ホール状態を形成している.これらの材料系の界面伝導について解説し,金属酸化物超格子の新しい可能性を展望する.

  • 君塚 信夫
    2012 年 81 巻 12 号 p. 1009-1014
    発行日: 2012/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    これまで,合成化学と物性科学を基盤とする化合物探索によって,分子構造とバルク固体の構造・物性の相関に関する多くの知見が蓄積されてきた.一方,ナノ次元における分子集積構造の示す物性や機能がバルク集合状態(固体)のそれと異なり,ナノ次元に固有のものであれば,ナノエレクトロニクスの新しい要素技術としてブレークスルーに結び付くことが期待される.本稿では,自己組織性をもたらす分子設計に基づき,従来固体物性科学の研究対象であった1次元金属錯体の溶液科学分野を拓いた成果について紹介する.

最近の展望
  • 和保 孝夫
    2012 年 81 巻 12 号 p. 1015-1019
    発行日: 2012/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    物理的寸法縮小に基づく半導体技術の進展にも陰りがみえはじめた.その限界を打破するため,さまざまな新しい技術をCMOSに組み込む研究が精力的に進められている.本稿ではCMOSとナノワイヤとの組み合わせを目指す新たな取り組み例を紹介する.特に,誘電泳動現象を用いて,InAsナノワイヤを半導体基板上の所望の位置に堆積させる電界支援自己整合プロセスと,その回路応用例を説明する.

  • 安藤 陽一
    2012 年 81 巻 12 号 p. 1020-1023
    発行日: 2012/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    トポロジカル絶縁体は,バルクにはエネルギーギャップをもつ絶縁体だが表面が必ず金属になるという,新しい種類の固体物質である.その表面には特殊なスピン偏極をもった質量ゼロのディラック電子が存在し,無散逸のスピン流や反局在効果などの特徴を示す.またその表面に超伝導を誘起すると,トポロジカル量子計算の量子ビットとなるマヨラナ粒子が現れると予想されている.これらの特徴は全く新しい原理に基づく情報処理デバイスにつながる可能性を秘めており,次世代材料としての期待は大きい.これまで大きな課題だったバルク絶縁性の高い試料の開発については解決の展望がみえてきており,今後,デバイス研究の急速な進展が期待される.

研究紹介
基礎講座
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