応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
81 巻, 7 号
『応用物理』 第81巻 第7号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
巻頭言
企画の意図
総合報告
  • 柏木 孝夫
    2012 年 81 巻 7 号 p. 547-550
    発行日: 2012/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    東日本大震災により我が国は大変な被害を受け,原子力に対してもいまだ緊張した日々が続いている.我が国のエネルギー需給構造に対し,今後長期にわたり緊迫した議論がなされることになる.低炭素エネルギー社会の構築は,地球環境問題はもとより,最近では国境を越えたエネルギーセキュリティ(安定供給)の観点から今世紀最大の課題であり,化石から非化石エネルギーへのシフトが加速されることになる.これまでは,非化石エネルギーの双璧として原子力と再生可能エネルギーが挙げられていたが,原子力に対しては,今後人工物の制御システムの高度化に向け経済性も含めて国際的な議論が展開されることになる.本論文では再生可能エネルギーの技術開発動向だけでなく最新のエネルギー政策についても言及する.

解説
  • 田路 和幸
    2012 年 81 巻 7 号 p. 551-556
    発行日: 2012/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    東日本大震災の後,エネルギーストレージの重要性が認識されている.東北大学大学院環境科学研究科は,2010年6月にエコラボというエコハウスを建築し,そこに最先端の蓄電システムを設置した.このシステムは,2011年3月11日の震災の中で稼働した.この蓄電システムは,容量10kWhのリチウムイオン電池を有し,最大出力5.8kWの太陽電池からのエネルギーを蓄電する.また,蓄電した自然エネルギーは,館内の全照明に利用されている.本稿では,エコラボで使用されている最先端の蓄電システムについて紹介する.

  • 横山 明彦
    2012 年 81 巻 7 号 p. 557-562
    発行日: 2012/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    地球環境問題,東日本大震災以降の電力不足問題を解決するために,大量の太陽光発電や風力発電を電力システムに連系するとともに,電気自動車,ヒートポンプ給湯機,蓄電池などの多数の需要家機器を,双方向通信システムを介して従来の大規模発電所と協調制御して電力システム全体の安定運用に役立てる日本型スマートグリッドについて解説する.

  • 内田 裕之, 宮武 健治, 野原 愼士, 渡辺 政廣
    2012 年 81 巻 7 号 p. 563-568
    発行日: 2012/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    燃料電池自動車や家庭用コージェネレーションなどへの応用が期待される固体高分子形燃料電池の高性能化,高耐久化のための要素材料研究開発の進展について,筆者らの研究成果を中心として解説する.空気極用触媒にPt-M合金(M=Fe,Co,Niなど)を用いると高い酸素還元活性を示すことを見いだし,その作用機構を多角的に解析できた.これら新規合金の組成と粒径を均一に制御したナノ粒子をカーボン担体上に高分散するナノカプセル法を開発し,作製した触媒は優れた耐久性を示した.また,炭化水素系高分子をナノサイズで配列させた高プロトン伝導性電解質の開発にも成功した.

最近の展望
研究紹介
  • 荒川 泰彦, 野澤 朋宏, 田辺 克明
    2012 年 81 巻 7 号 p. 585-588
    発行日: 2012/07/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    量子ドットは,単接合型半導体太陽電池に対して新たな設計自由度を与え,高効率化をもたらす可能性を有している.本稿では,多中間バンドの導入により,理論変換効率が80%近くまで達しえることを示すとともに,開放電圧の劣化のない量子ドット太陽電池やフレキシブル量子ドット太陽電池の実現などについて論じる.さらに,太陽電池の超高効率がもたらすコスト競争からの脱却に向けたパラダイムシフトや,今後取り組むべき課題についても言及する.

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