応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
82 巻, 12 号
『応用物理』 第82巻 第12号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
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巻頭言
企画の意図
総合報告
  • 佐藤 信太郎
    2013 年 82 巻 12 号 p. 1012-1023
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    グラフェンは炭素から成る原子1層分の厚みの2次元材料である.2004年に優れた電気特性が初めて報告された後,その特異な物理的性質に興味が集まるとともに,エレクトロニクス応用や,フォトニクス応用に関する研究が精力的に行われてきた.本稿では,グラフェンのエレクトロニクス応用,特にトランジスタや配線応用に関する近年の研究動向や,グラフェン形成技術についてレビューする.エレクトロニクス応用に向けた技術的課題を明らかにするとともに,今後のグラフェンデバイスへの期待について述べる.

解説
  • 尾辻 泰一
    2013 年 82 巻 12 号 p. 1024-1029
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    炭素原子の単層シート「グラフェン」は,その特異な光電子物性ゆえに従来の材料では困難な機能・性能を実現しうる各種機能デバイス用材料として期待されている.特に,量子カスケードレーザーをはじめとする従来型デバイスでは実現が困難な常温テラヘルツ発振の実現に期待がかかっている.本稿では,グラフェンによるテラヘルツレーザーの創出に向けた理論・実験研究の進展について紹介する.

  • 吾郷 浩樹
    2013 年 82 巻 12 号 p. 1030-1036
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    グラフェンのユニークで優れた物性に基づく多くの可能性を引き出すため,高結晶性で大面積のグラフェンが求められている.グラフェンの作製法は,最初に報告された機械的剥離法を含めていくつかあるが,メタンなどの炭化水素から合成するCVD法が,単層グラフェンを大面積に合成できることから近年著しい進展をみせている.本稿ではグラフェンの合成法を概説した後,筆者らのヘテロエピタキシャル金属を用いた単層グラフェンの方位制御やドメイン構造解析の結果について紹介する.さらに,最近の単結晶ドメインの巨大化やロールツーロールによる大面積合成の現状についても解説し,今後の可能性を議論する.

最近の展望
研究紹介
ホッとひといき
  • 外谷 栄一
    2013 年 82 巻 12 号 p. 1058-1059
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    グラフェンの爆発的な研究の進展は,非常に結晶性のよいKISHグラファイトがあり,それが転写という簡易な手法でデバイス作製できた点にあります.転写自体は,日本発ではないのですが,グラフェン研究に用いられている良質のKISHグラファイトはコバレントマテリアル(株)で長年の経験を基に作られており,それが世界中に広がっています.またグラフェンと相性のよい高純度hBN結晶も物質・材料研究機構で時間をかけて作られていたもので,どちらの結晶も日本発のものです.今回は,前半の外谷氏による記事でKISHの育成から,インターカレーション,STMの原子像取得用の結晶,そしてグラフェン転写へと続く歴史的な背景をご紹介いただきます.後半の谷口氏と渡邊氏による記事では,高純度cBNの高圧合成研究の過程で得られた高純度hBNの結晶育成からグラフェン基板展開までの経緯を紹介していただきます.また,本号の「最近の展望」には,これら2つの結晶から作られた複合原子層デバイスを用いて量子輸送現象を理解しようとする試みが紹介されています.これまで独立して研究が進んでいたものが結び付いたとき,大きなブレークスルーになるという1例ではないでしょうか.

    [長汐晃輔・本誌編集委員]

  • 谷口 尚, 渡邊 賢司
    2013 年 82 巻 12 号 p. 1060-1061
    発行日: 2013/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    グラフェンの爆発的な研究の進展は,非常に結晶性のよいKISHグラファイトがあり,それが転写という簡易な手法でデバイス作製できた点にあります.転写自体は,日本発ではないのですが,グラフェン研究に用いられている良質のKISHグラファイトはコバレントマテリアル(株)で長年の経験を基に作られており,それが世界中に広がっています.またグラフェンと相性のよい高純度hBN結晶も物質・材料研究機構で時間をかけて作られていたもので,どちらの結晶も日本発のものです.今回は,前半の外谷氏による記事でKISHの育成から,インターカレーション,STMの原子像取得用の結晶,そしてグラフェン転写へと続く歴史的な背景をご紹介いただきます.後半の谷口氏と渡邊氏による記事では,高純度cBNの高圧合成研究の過程で得られた高純度hBNの結晶育成からグラフェン基板展開までの経緯を紹介していただきます.また,本号の「最近の展望」には,これら2つの結晶から作られた複合原子層デバイスを用いて量子輸送現象を理解しようとする試みが紹介されています.これまで独立して研究が進んでいたものが結び付いたとき,大きなブレークスルーになるという1例ではないでしょうか.

    [長汐晃輔・本誌編集委員]

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