今や2 万人以上の会員を抱える応用物理学会.学術講演会では,毎回約4000 件の講演が行われている.パラレルセッションのため ,なかなかのぞく機会のない他の大分類で,ふだんどのような研究発表がなされているのか.この特集ページでは,分野外の人にもわかりやすい「図解」版で各大分類を紹介します.百聞は一見にしかず.この図解版を講演会聴講補助本として, 9月の北海道ではぜひ新しいセッションにも足を運んでみてください.
半導体A│Semiconductors A
有機分子・バイオエレクトロニクス│Organic Molecules and Bioelectronics
薄膜・表面│ Thin Films and Surfaces
応用物理学一般│ Applied Physics in General
放射線│ lonizing Radiation
光・フォトニクス│ Optics and Photonics
超伝導 │ Superconductivity
非晶質・微結晶│Amorphous and Microcrystalline Materials
ナノカーボン│Nanocarbon Technology
結晶工学│Crystal Engineering
半導体B│Semiconductors B
ビーム応用│Beam Technology and Nanofabrication
プラズマエレクトロニクス│Plasma Electronics
応用物性│Applied Materials Science
スピントロニクス・マグネティクス│Spintronics and Magnetics
南米チリの標高5000 mのアタカマ砂漠に誕生したアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)は,東アジア・北米・欧州合同で建設した地上最大の電波望遠鏡である.本稿では,ALMA望遠鏡の概要を述べるとともに,望遠鏡を構成している66台のパラボラアンテナの全てに搭載される世界最高性能のバンド10(0.78〜0.95テラヘルツ帯)超伝導受信機の開発や成果などについて紹介する.
不揮発性メモリの信頼性保証には,そのモデルを確立しておくことが不可欠である.今回,導電性フィラメント内の酸素欠陥濃度の制御が,抵抗変化型メモリの良好なデータ保持特性に必要であることを明らかにした.また,低電流駆動においても酸素欠陥濃度を高く保つためには,導電性フィラメントを細線化する必要があると考えた.TaOx 層の負荷特性を利用することにより導電性フィラメントを細線化し,これにより80 µAの低電流駆動においても150°Cで1000時間以上の良好なデータ保持特性を得ることに成功した.
科学衛星搭載用の半導体デバイスは,民生用デバイスと同様に,微細化と新構造・新材料の導入が進む.強い電離作用を有する宇宙放射線にさらされる宇宙環境で,このナノスケールの世界に起こる物理現象とデバイス・回路の応答を実験およびシミュレーションで解き明かし,宇宙科学の発展に貢献する宇宙用半導体デバイスの開発を目指している.
Pbペロブスカイト太陽電池が塗布型高効率太陽電池として注目されている.Pbペロブスカイト太陽電池は800 nm以下の可視光を高効率で光電変換できるが,さらに長波長域を光電変換できるペロブスカイト太陽電池が望まれていた.我々はSn/Pbカクテルペロブスカイトを用いて1000 nm程度の近赤外域を光電変換できる太陽電池を初めて作製した.カクテル化により吸収波長のコントロール,HOMO-LUMO(valence band-conduction band)エネルギー準位のコントロールが可能となり,空気中での安定性が向上することがわかった.我々が作製した14.3%の効率を有するPbペロブスカイト太陽電池と比較するとFFの低下(シャント抵抗の低下)が顕著であった.Sn/Pbカクテルペロブスカイト太陽電池の高効率化には電荷再結合を防止する界面コントロール,およびHOMO(valence band)が深いp型半導体の開発が必須である.