応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
83 巻, 9 号
『応用物理』 第83巻 第9号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
Science As Art
巻頭座談会
今月号の概要
解説
  • 増子 寛
    2014 年 83 巻 9 号 p. 728-731
    発行日: 2014/09/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    新学習指導要領は2014年度で高校全学年に実施された.今回の改訂で物理の履修率はかなり上昇した.一方教員数は自然減のままであったものを一気に若手を増加させたために経験の継承がなされていない.また,履修者の増加分は文系の生徒が大半であるのに,教科書の内容はその生徒たちに配慮したものとはなっていない.教科書の内容は全体で難しくなっていて,限られた時間内で扱うには,授業に緩急を付けることが必要になる.物理の裾野を広げるまたとない機会に,若手の教員へのサポート態勢を構築することが急務である.

研究紹介
  • 小野 新平
    2014 年 83 巻 9 号 p. 732-736
    発行日: 2014/09/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    イオン液体は,室温付近で液体として存在する有機塩の総称である.近年,このイオン液体に電圧を印加した際に形成される電気2重層を利用した電界効果トランジスタ素子構造を用いることで,一般的な常誘電体を用いた電界効果の100倍以上の電荷注入が行えることが明らかになり,それを利用したさまざまな物性研究,応用研究が行われている.本稿では,イオン液体の作り出す電気2重層を利用した有機エレクトロニクスに関して,原理・性能・新たな展開について紹介を行う.

  • 米山 明男, 竹谷 敏, 兵藤 一行, 武田 徹
    2014 年 83 巻 9 号 p. 737-740
    発行日: 2014/09/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    X線は波長の短い電磁波であり,サンプルを透過する際に強度に加えて位相も変化する.両者の比は元素ごとに固有の値をもつため,比からサンプルの元素に関する情報を得ることができる.本稿では,単結晶からできたX線干渉計を用いて取得した吸収と位相コントラスト像から平均的な原子番号(実効原子番号:Zeff)の空間分布像を求めるZeffイメージング法を開発した.アルミニウム,鉄,ニッケル,および銅の各金属箔膜を対象とした試用実験の結果,元素番号に対応した濃淡のZeff像を取得することができた.また,ニッケルおよび銅のZeff値は誤差5%以内で各原子番号と一致した.

  • 砂原 淳
    2014 年 83 巻 9 号 p. 741-746
    発行日: 2014/09/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    波長13.5 nm,2%バンド幅の極端紫外線(Extreme UltraViolet: XUV)は回路線幅10 nmの次世代半導体のリソグラフィ用光源として期待されているが,光源出力の増大が最も重要な課題となっている.我々はレーザー生成スズプラズマを用いたXUV光源の高効率化を目指し,輻射流体シミュレーションを用いてXUV光源プラズマの解析を行っている.本稿では現在の光源開発において主流であるダブルパルス照射方式で重要となる“レーザー照射されたスズドロップレットの挙動”と“炭酸ガスレーザー照射によるXUV光発生”のシミュレーション結果を中心に,輻射流体シミュレーションの果たす重要な役割について紹介しながらXUV光源プラズマの最適化の現状を示す.

  • 川原村 敏幸, 古田 守
    2014 年 83 巻 9 号 p. 747-751
    発行日: 2014/09/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    ワイドギャップ半導体はグリーンイノベーションを担う重要な材料である.大気圧薄膜形成プロセスは,材料・デバイスプロセスの両面から,これまでの真空プロセスと比較して,製造エネルギーに革新をもたらすグリーンプロセスとして期待されている.酸化物ワイドギャップ材料は,大気圧プロセスとの整合性に優れ,溶液原料をベースとした大気圧薄膜形成に関する研究が活発化している.本稿では,現在,我々が取り組んでいる溶液原料を用いた大気圧成膜技術であるミスト化学気相成長法とその酸化物薄膜形成,ならびに本手法を用いて大気圧プロセスにより作製したInGaZnOx薄膜トランジスタに関する最近の研究を紹介し,大気圧プロセスの可能性を示す.

  • 杉野 卓司
    2014 年 83 巻 9 号 p. 752-756
    発行日: 2014/09/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    近年,家電製品あるいは医療検査機器などの小型化,高機能化・高精度化,さらには低消費電力化が求められる中,これまでさまざまな動力源として用いられてきたモータに代わるアクチュエータ(入力されたエネルギーを機械的な変位や応力に変換する材料)として,軽量で柔らかく,静動性に優れ,人間の筋肉のようにしなやかに動く高分子アクチュエータが注目されている.本稿では,高分子アクチュエータの中でも空中で安定に駆動し,ナノカーボンと高分子材との複合電極の伸縮現象を利用したナノカーボン高分子アクチュエータに関する最近の研究動向と応用へのチャレンジについて紹介する.

  • 人見 啓太朗
    2014 年 83 巻 9 号 p. 757-760
    発行日: 2014/09/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    ガンマ線の高度利用において,既存の半導体検出器やシンチレーション検出器では実現できない,室温動作,高分解能,高検出効率を兼ね備えたガンマ線検出器の開発が求められている.本稿では化合物半導体である臭化タリウムを用いた室温で動作する新しい化合物半導体ガンマ線検出器について紹介する.

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