応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
84 巻, 12 号
『応用物理』 第84巻 第12号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
Science As Art
今月のトピックス
焦点
  • 関 行宏
    2015 年 84 巻 12 号 p. 1054-1060
    発行日: 2015/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    国内外で刊行されている数多くの論文誌(ジャーナル,プロシーディング,研究紀要など)に掲載されている膨大な論文情報を電子的に一元管理した「論文データベース」の導入と利活用が進んでいる.

    利用目的は主に3つだ.1つめが研究者や技術者による論文の横断的な閲覧および検索である.かつてのように数多くの論文誌を手元に集めなくても,サービスを購入するなどしてデータベースを利用できる状態であれば,世界中の論文を効率的かつ速やかに一望できるようになった.

    利用目的の2つめが評価である.論文をデータベース化したことでさまざな評価指標が容易に導出できるようになったからだ.論文本数のような単純な指標だけではなく,掲載論文がほかの論文から引用された回数(被引用回数)を数値化して論文誌を評価する「Impact Factor」や,物理学者であるJorge E.Hirsch氏が考案した「h-index」のような指標を使って,論文が掲載されている雑誌(論文誌)のほか,大学や研究機関などのポジショニングやランキングの定量化が行われている.さらにこうした指標は研究者個人の評価に用いられることもある.

    3つめの利用目的が意思決定の一助となるエビデンス(客観的根拠)作りである.前述のように,論文を軸に特定の研究分野における強みと弱みや他機関との比較を容易に把握できるようになったこともあり,実際に多くの大学や研究機関が戦略立案や予算策定の一助として論文データベースを活用しているとされる.

    本稿では,論文データベースを利用する側である科学技術・学術政策研究所の林和弘氏と,論文データベースサービスを提供する側であるElsevierの柿田佳子氏およびThomson Reutersの安藤聡子氏のインタビューを元にお届けする.

今月号の概要
総合報告
解説
  • 小山 二三夫
    2015 年 84 巻 12 号 p. 1078-1085
    発行日: 2015/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    現在の短距離系光通信の光源として中心的な役割を果たしている面発光レーザーの発明から,およそ38年が経過した.これまでの研究開発により,レーザーとしての性能も通常の半導体レーザーをしのぐようになり,アレイ化などの特徴を生かした応用も実証されてきた.特に短距離の光リンク用光源として成長し,光センサ,医療応用,光無線,光加工などの新しい応用分野も考えられている.今後,デバイス技術の一層の進展により,光インターコネクト,光アクセス網,レーザー照明など多様な分野への展開が期待できる.ここでは,面発光レーザーの高速直接変調,波長制御技術,ビーム掃引など,面発光レーザーの最近の進展について述べる.

最近の展望
  • 河野 崇
    2015 年 84 巻 12 号 p. 1086-1090
    発行日: 2015/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    脳神経系は高いエネルギー効率で知的,複雑で適応的な情報処理を行う優れた情報処理システムである.神経細胞,シナプスのレベルで神経ネットワークを模倣した電子回路であるシリコン神経ネットワークは,次世代情報処理システムの有力候補である.脳神経系における情報処理メカニズムの解明が進んでいない現状で,脳に匹敵する次世代情報処理システムの基盤としてのシリコン神経ネットワークプラットフォームの構築に向けた筆者らが行っている取り組みを紹介する.

  • 富永 淳二
    2015 年 84 巻 12 号 p. 1091-1096
    発行日: 2015/12/10
    公開日: 2019/09/27
    ジャーナル フリー

    フラッシュメモリに代わる低消費電力かつ超高密度の不揮発性固体メモリの研究開発が注目を浴びている.磁気抵抗変化メモリ(MRAM),金属酸化物を用いた抵抗変化メモリ(RRAM),テルルを主成分としたカルコゲン化合物の結晶-アモルファス相転移を利用した相変化メモリ(PRAM)がその主流であるが,近年,相変化メモリに用いる材料であるGe-Sb-Te三元合金がトポロジカル絶縁体であることが理論的に予想されるとともに,(国研)産業技術総合研究所で超低消費電力動作を目的として開発されたGeTe/Sb2Te3超格子相変化メモリが,大きな室温磁気抵抗変化などの従来合金ではこれまで決して観測されなかった性質をもつことから,トポロジカル絶縁体との関係が強く疑われるようになってきた.

    本稿では超格子相変化メモリの開発の経緯とその特性,また最近わかってきたトポロジカル絶縁体との関係について紹介する.

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