応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
86 巻, 10 号
『応用物理』 第86巻 第10号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
Science As Art
今月のトピックス
今月号の概要
解説
  • 山内 和人
    2017 年 86 巻 10 号 p. 862-866
    発行日: 2017/10/10
    公開日: 2019/09/26
    ジャーナル フリー

    放射光X線を利用した分析法は科学技術の発展に不可欠な役割を果たしており,その高度化には,光源とその特性を引き出す光学素子の高性能化が大きく貢献している.ここでは,X線のナノ集光やナノイメージングに利用されるX線ミラーにおいて,求められる精度やその作製法,最新の光学系などについて概観する.

  • 安藤 敏夫
    2017 年 86 巻 10 号 p. 867-874
    発行日: 2017/10/10
    公開日: 2019/09/26
    ジャーナル フリー

    生物学研究のための高速原子間力顕微鏡(AFM)の技術開発は1993年頃に開始され,2008年に実用レベルの装置が完成した.それ以降,高速AFMによるタンパク質分子の動態観察研究が本格的に進められ,高速AFMはタンパク質の機能メカニズムの解明に極めて有効な革新技術であることが具体的に実証されてきた.その一方で,現状の技術では観察できない試料系や現象がまだ多く残されていることも明確になってきた.そのような状況の中で新たな技術開発がこの数年進められ,高速AFMの適用範囲が徐々に拡大しつつある.本稿では,バイオ研究を革新する高速AFMとその関連技術の最近の進展を解説し,今後の発展を展望する.

  • 濵田 勉
    2017 年 86 巻 10 号 p. 875-880
    発行日: 2017/10/10
    公開日: 2019/09/26
    ジャーナル フリー

    両親媒性の脂質分子が自己集合した脂質2分子膜は,全ての細胞がもつ普遍的な構造である.構成分子同士に働く力はファンデルワールス力,静電力,疎水力などの比較的弱い力であるため,膜は外場に対して大きな変形や流動などの応答を示すソフトマター分子集合体としての特徴をもつ.近年,人工的に作製した膜小胞(人工細胞膜)の形や動きを,光学顕微鏡でリアルタイム計測する研究が進められている.本稿では,熱統計力学的な視点から膜の物性を解説し,熱的に誘起された構造揺らぎのダイナミクスの解析および光による構造制御の研究事例を紹介する.

  • 百合 庸介, 倉島 俊
    2017 年 86 巻 10 号 p. 881-886
    発行日: 2017/10/10
    公開日: 2019/09/26
    ジャーナル フリー

    数十〜数百MeV級の高エネルギーイオンビームは,物質に局所的に高いエネルギーを付与するなどの特長から,物質材料科学やバイオ技術などの研究開発に不可欠なツールとして利用されている.そのような中,多様な放射線利用研究を支えるために,イオンビームの発生・加速・輸送・照射の各過程においてその品質や制御性を向上するための技術開発がますます重要になっている.本稿では,これらの例として,量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のサイクロトロンにおける,カクテルビーム加速,マイクロビーム形成およびビーム強度分布の大面積均一化に絞り,高エネルギーイオンビームの制御・照射技術の研究開発について解説する.

研究紹介
  • 豊田 裕之
    2017 年 86 巻 10 号 p. 887-891
    発行日: 2017/10/10
    公開日: 2019/09/26
    ジャーナル フリー

    火星は,探査対象としても未来の人類の居住地としても,極めて興味深い惑星である.無人探査機や人類が火星表面で活動するとき,そのエネルギー源は太陽電池となるであろう.最近実用化された逆積み格子不整合型3接合太陽電池は,30%を大きく超える高い変換効率と,軽量・柔軟な薄膜構造を兼ね備え,質量・容積リソースが厳しく制約される宇宙探査の在り方を大きく変えうる技術である.この太陽電池の構造を変更して,火星表面の太陽光スペクトルに最適化した試作の内容と,その性能評価結果を紹介する.

  • 金島 圭佑, 水野 智也, 石井 順久, 板谷 治郎
    2017 年 86 巻 10 号 p. 892-896
    発行日: 2017/10/10
    公開日: 2019/09/26
    ジャーナル フリー

    近年の光パラメトリック増幅手法の進展によって,中赤外域での高強度極短パルス発生が可能となった.例えば,マイクロジュールクラスの中赤外フェムト秒パルスを集光することにより100MV/cmを超える光電場の発生が可能である.また,光子エネルギーが典型的な物質のバンドギャップと比べて十分小さいことから,多光子イオン化が起きにくく,固体中に非破壊的に強い光電場を印加してコヒーレントな電荷の運動を誘起したり,ナノ構造体における電場増強を利用して光電子を放出させたりすることが可能である.本稿では,我々の研究室で開発された高強度中赤外光源と,それを用いた固体における強光子場現象への応用を概説する.

  • 鈴木 健仁
    2017 年 86 巻 10 号 p. 897-902
    発行日: 2017/10/10
    公開日: 2019/09/26
    ジャーナル フリー

    産業に用いられる電磁波の周波数は時代とともに高周波数帯へと移ってきており,当初は産業化が難しいと考えられていた周波数も創意工夫により有効活用されている.しかしながら,ミリ波と可視光の間のテラヘルツ波帯では,光学コンポーネントが成熟しておらず,開発に必要な材料も不足している.筆者の研究室では,超高屈折率・極低反射材料などの極限屈折率材料を生みだした.この材料の応用例の1つとして,さまざまな連続発振テラヘルツ波光源に導入可能な平面アンテナを紹介する.また,メタマテリアルの発想に基づいて製品化に取り組んだ超高感度テラヘルツ波帯偏光子GoIS®も紹介する.

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