応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
89 巻, 12 号
『応用物理』 第89巻 第12号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
Science As Art
今月のトピックス
今月号の概要
解説
  • 堀 勝
    2020 年 89 巻 12 号 p. 701-706
    発行日: 2020/12/10
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー

    大気圧で生成される,低温プラズマ(活性粒子(電子,イオン,ラジカル,光)の集合体)の生体への照射によって,病原菌の滅菌,がん細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)誘起,皮膚疾患,傷病組織の治癒や生体組織の再生などに画期的な成果が報告され,プラズマの医療応用に関する研究が世界の新たな潮流になっている.さらに,プラズマによる植物や魚の驚異的な成長促進など,農水産分野への応用も展開されており,将来の食糧危機を解決する未来技術として注目されている.このような大気圧低温プラズマを用いたバイオ技術は,プラズマ科学と医学・農水産学と分子生物学の融合による新学際領域の科学(プラズマ生命科学)の確立によって,未来医療や新たな農業を創出することができる.

研究紹介
  • 宮島 晋介, 白取 優大
    2020 年 89 巻 12 号 p. 707-710
    発行日: 2020/12/10
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー

    高効率な結晶シリコン太陽電池の一種であるシリコンヘテロ接合(SHJ)太陽電池においては,シリコン基板の表面でのキャリヤ再結合を抑制するための表面パッシベーション膜が極めて重要である.この表面パッシベーション膜には,毒性・爆発性ガスを用いる化学気相堆積法(CVD)により形成される水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)が用いられるが,より一層の低コスト化に向けてはより安全なプロセスの検討が必要と考えられる.本稿では,低ダメージスパッタの一種である対向ターゲットスパッタ法(FTS)1)を用いたa-Si:Hパッシベーション膜の現状について紹介する.

  • シリコンエピタキシャル成長プロセスへのベイズ最適化応用
    沓掛 健太朗, 長田 圭一, 松井 孝太, 山本 純
    2020 年 89 巻 12 号 p. 711-714
    発行日: 2020/12/10
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー

    逐次最適化のための機械学習法であるベイズ最適化は,探索と活用をバランスよく行う最適化手法として,広く応用されている.本稿では,はじめにベイズ最適化の概要を解説したあと,実際の実験へのベイズ最適化の応用として,シリコンエピタキシャル膜の成長条件の最適化への適用を紹介する.特に,エンジニアがもつ専門知識や経験の活用を中心に説明する.

  • 堀井 滋
    2020 年 89 巻 12 号 p. 715-718
    発行日: 2020/12/10
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー

    現在の磁場配向法は,「回転変調磁場」を利用することで,“室温”で擬似単結晶(3軸結晶配向)組織を形成できる技術である.また,遠隔力ゆえ非接触の配向が可能で複合材料の配向にも適する.日本発の液体ヘリウムを使わない伝導冷却式超伝導電磁石の登場により,強磁場を利用した異方的な弱磁性(常磁性や反磁性)物質の配向も比較的容易である.本稿では,主に2つの話題を提供する.第1の話題として,回転変調磁場を使うとなぜ3軸結晶配向が可能となるのかなど,3種類の磁場配向法の原理について紹介する.特に,回転磁場の配向条件や回転(変調)磁場配向における現状の課題について述べる.第2の話題として,材料製造プロセスとしての回転磁場の課題を踏まえて筆者が開発した“リニア駆動型回転変調磁場発生装置”を紹介する.これは,直線的かつ連続的に搬送され,配向を必要とするシート状の製造物に対してどのように回転磁場を印加するのか,という実用上の課題に応える装置である.3軸結晶配向法としてエピタキシャル成長が標準的であるが,磁場配向法はこれとは異なる特徴を有することから,エピタキシャル成長では実現が困難で配向を必要とする材料に活用できる可能性がある.

  • 小林 洋平, 高橋 孝, 谷 峻太郎
    2020 年 89 巻 12 号 p. 719-723
    発行日: 2020/12/10
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー

    レーザー加工市場は急速に伸びている.しかしながらニーズがあるにもかかわらず,レーザー加工が適用されていない場面も多い.これは,目的の加工にどのようなレーザーをどのように用いればよいかを知るために,現状では大変な労力と時間がかかっているからである.その理由の1つに,レーザー加工の物理過程は大変複雑で理論的な取り扱いが難しいため,予測ができないということが挙げられる.近年,プロジェクトとして理論を構築する動きが始まったが,まだしばらく時間はかかる.学術界がレーザー加工パラメータを予言できるようになるにはどのような課題と道のりがあるか,また今後の社会変革との関わりについて解説する.

  • 早澤 紀彦
    2020 年 89 巻 12 号 p. 724-728
    発行日: 2020/12/10
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー

    フラーレン,カーボンナノチューブ,グラフェンなどのナノカーボン系材料は,ユニークな機械的特性および電気的特性から,その物性制御に向けた合成手法開発が盛んである.一方,合成された材料の物性分析技術開発が同じく重要だが,多くの分析技術は空間分解能の限界のため,ナノ材料のマクロスケール平均を見ることが多い.マクロスケールで均一な場合はよいが,昨今のナノテクノロジー分野では,物質の不均一性を積極活用するデバイスが多い.本稿では,局所的な不均一物性を分析する顕微分光技術の紹介を行う.なお,ナノカーボン系材料を例に挙げるが,本手法は,多様なナノ材料に適応可能である.

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