応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
90 巻 , 1 号
『応用物理』 第90巻 第1号
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Science As Art
今月号の概要
特別報告
解説
  • 竹田 圭吾
    2021 年 90 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2021/01/10
    公開日: 2021/01/10
    ジャーナル 認証あり

    吸収分光法を用いたプラズマ診断技術は,プラズマ内部の活性粒子を定量的に計測できるため,プロセスプラズマにおける粒子反応過程を理解するうえで重要な役割を果たしている.本稿では特に,プロセスプラズマ内で生成される原子種の密度計測に使用される真空紫外吸収分光法について解説する.まず原理的な説明として,比較的簡便なプラズマ光源を吸収分光に使用する場合においてプラズマ光源に求められる特性や,計測された粒子による光吸収率からその密度を求める際の注意点について述べる.また,応用例として基材上での粒子の表面損失確率の計測や,プラズマプロセス中の原子密度のリアルタイム計測,そして近年盛んに応用研究が進められている,大気圧プラズマのバイオ応用プロセスの吸収分光計測の実例について紹介する.

研究紹介
  • 近藤 剛史
    2021 年 90 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2021/01/10
    公開日: 2021/01/10
    ジャーナル フリー

    高比表面積な導電性ダイヤモンド粉末材料としてボロンドープナノダイヤモンド(BDND)を開発し,水系電気2重層キャパシタ用電極材料への応用を検討した.粒子径5nmのナノダイヤモンド粒子を基材として,マイクロ波プラズマ化学気相成長(CVD)法によりその表面にボロンドープダイヤモンド(BDD)層を形成させることでBDNDを得た.実際にはBDNDはsp2炭素成分が含まれており,650m2g-1程度の比較的大きな比表面積を有することがわかった.また,BDNDは電解質水溶液中で広い電位窓を示し,1MH2SO4中の対称2電極系でのサイクリックボルタンメトリー(CV)では,1.8Vのセル電圧を印加可能であることがわかった.大きなセル電圧に基づいて,BDND電極では従来材料である活性炭電極を用いた場合よりも水溶液電解質中の充放電において高エネルギー密度かつ高出力密度を示した.安全な電解質水溶液を利用でき,小型化も可能なため,ウェアラブルデバイスなどへの応用が期待される.

  • 竹中 弘祐, 内田 儀一郎, 江部 明憲, 節原 裕一
    2021 年 90 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2021/01/10
    公開日: 2021/01/10
    ジャーナル 認証あり

    フラットパネルディスプレイの大画面・高精細・高輝度化に向けて,制御駆動素子である薄膜トランジスタ(TFT)の高性能化が喫緊の課題とされている.さらには次世代ディスプレイとして期待されているフレキシブルディスプレイの応用においては,そのTFTのチャネル層材料は低温で形成されることが必須である.これらの材料としては,高移動度を有し低温で形成可能なアモルファスIn-Ga-Zn-Ox(a-IGZO)が有望視されている.本研究では,マグネトロン放電とそれに重畳した誘導結合プラズマをそれぞれ独立に制御し,スパッタ粒子の流束と薄膜の結晶性や組成に影響する反応性粒子の流束を独立に制御可能なプラズマ支援反応性スパッタリングシステムを用いてa-IGZO薄膜を低温形成し,この薄膜を用いたTFT作製および特性評価を行っている.本稿では,高移動度を有するIGZO TFTの低温形成を目指した,プラズマ照射による低温ポストプロセスによるa-IGZO薄膜の高品質化の研究について紹介する.

  • 関口 貴子, スンダラム ラジャシュリ
    2021 年 90 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2021/01/10
    公開日: 2021/01/10
    ジャーナル フリー

    自動車などの輸送機器分野において,CO2削減と燃費向上の観点から配線材の軽量化のニーズが高まっている.我々のグループで開発したカーボンナノチューブ(CNT)‐銅複合材は,銅と比べて40%近く軽量でありながら,アルミニウム,金のような高導電性金属に近い電気伝導度を示し,銅を代替する次世代軽量配線材として有力視されている.さらに,金属よりも高いマイグレーション耐性をもち,シリコンや窒化ガリウムなど半導体材並みに熱膨張が小さいことから,パワーエレクトロニクスのような熱負荷の大きい配線・電極への応用も期待される.本稿では,CNT‐銅複合材の性能と製造プロセスを紹介し,ナノスケールの組織構造制御の重要性を提案する.

  • 美藤 正樹, 高木 精志, 石塚 守
    2021 年 90 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2021/01/10
    公開日: 2021/01/10
    ジャーナル 認証あり

    軽非金属元素によって構成される有機化合物において,「不対電子(ラジカル)のスピンで強磁性体を創出する」という試みは,化学者による長い格闘によって成就した.その後,物理屋による「高圧力」を利用した結晶構造操作は,分子軌道の重なりを上手に操作できれば強磁性転移温度(キュリー温度)を上昇させることができることを実証した.この度,高圧力下の結晶構造解析と第一原理計算が「強磁性相互作用ネットワークが高圧力下で最適化される」と予測した有機ラジカル結晶に対し,高圧力下精密磁気測定を実施し,これまで見いだされた有機強磁性状態で最もキュリー温度が高く,理想的な強磁性状態が実現されていることを実証した.高圧力物性実験は試料体積の減少を要求する.磁化は示量性の物理量であり,高圧力下での磁化(率)測定には超伝導量子干渉素子とロックイン検出が必要であり,技術的な蓄積を要する測定分野である.1991年に有機ラジカル結晶で初めて強磁性秩序状態が見つかってから,キュリー温度が30Kに迫るところまでくるには,約30年の年月がかかった.高圧力下磁気測定技術の現状を解説しつつ,30K級のキュリー温度を有する有機ラジカル強磁性体の創成に至る経緯について解説する.

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