応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
90 巻 , 2 号
『応用物理』 第90巻 第2号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
Science As Art
今月号の概要
解説
  • 水口 将輝
    2021 年 90 巻 2 号 p. 78-84
    発行日: 2021/02/05
    公開日: 2021/02/05
    ジャーナル 認証あり

    異常ネルンスト効果は,自発磁化をもつ強磁性体などに温度勾配が印加されたときに,磁化方向と温度勾配の双方の外積方向に電圧が誘導される現象であり,古くからよく知られる熱磁気効果の1つである.近年,さまざまな材料についてこの効果の物理的特性が解明され,効果の大きな材料の発見も相次いで報告されている.また,異常ネルンスト効果を効率的な熱電変換に応用する研究も試みられており,「スピンカロリトロニクス」の分野で注目を集めている研究対象である.筆者らは,異常ネルンスト効果を活用した実用的な熱電発電への応用を視野に入れ,材料探索やナノ構造の導入による制御などを試みてきた.本稿では,主にナノ構造における異常ネルンスト効果の物理と応用の新展開について,筆者らの最近の成果を織り交ぜつつ,解説する.

  • 出口 淳
    2021 年 90 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 2021/02/05
    公開日: 2021/02/05
    ジャーナル フリー

    画像認識などの深層学習に用いられるDNN(Deep Neural Network)は,そのアルゴリズムの進展とともに膨大な演算量を要求する.この膨大な演算量をエネルギー効率よく実行するハードウェアアクセラレータとしてインメモリ・アクセラレータが注目されている.本稿では,インメモリ・アクセラレータの現状,ディジタル・アクセラレータと比較した利点と課題,その対策について,いくつかの例を交えながら解説する.また,それまでの議論を踏まえて,アクセラレータの適切なベンチマーク手法についても考察する.

  • 半導体デバイス製造におけるその場検出
    布村 正太
    2021 年 90 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2021/02/05
    公開日: 2021/02/05
    ジャーナル フリー

    半導体デバイス製造において,プラズマプロセス中に発生する欠陥は,デバイス性能に大きな影響を及ぼす.最先端ロジック回路用FinFET,高効率太陽電池,高感度イメージセンサでは,欠陥の低減が喫緊の課題である.一方,次世代メモリや量子デバイスでは,単一電子制御の点で欠陥の積極的活用が期待される.しかしながら,プラズマプロセスを用いるデバイス製造において,欠陥の発生や修復に関する知見は十分に得られていない.これは,半導体表面へのプラズマの作用が非平衡かつ非定常であり,さまざまな物理現象や化学反応が複雑に関与するためである.また,プロセス中にその場で欠陥を検出しプロセスとの相関を調査する手法が確立されていないことにもその一因がある.本稿では,プラズマプロセス中に発生する欠陥(プラズマ誘起欠陥:plasma-induced defects)をその場でリアルタイムに検出する手法を紹介し,欠陥の発生と修復に関する最新の研究成果を解説する.具体例として,水素化アモルファスシリコンの成長,そして,結晶シリコンの表面パッシベーションを取り上げる.

研究紹介
  • 中村 優男, 五月女 真人, 小川 直毅, 川﨑 雅司
    2021 年 90 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2021/02/05
    公開日: 2021/02/05
    ジャーナル フリー

    空間反転対称性の破れた結晶構造をもつ物質では,外部から電場を印加しなくても光吸収に伴って電流が発生する.この現象の起源は長らく未解明であったが,近年,シフト電流と呼ばれるメカニズムが主因であるとの理論的提案がなされている.シフト電流は,光学遷移に伴う電子波動関数の幾何学的位相の変化によって生じる,純粋に量子力学的な光電流である.我々はこの量子位相に駆動されるシフト電流の本質を実験的に明らかにすることに取り組み,シフト電流が欠陥などの散乱に対して極めて堅牢(けんろう)であること,また非常に高速の応答を示すことを実証した.このような優れた特性をもつシフト電流は,環境発電素子や光センサの性能を飛躍的に高める次世代の光電変換技術の基盤原理として有望である.

  • 平石 雅俊
    2021 年 90 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 2021/02/05
    公開日: 2021/02/05
    ジャーナル 認証あり

    水素はさまざまな物質中に普遍的に存在する不純物であり,半導体材料中に存在する不純物水素によって意図しない伝導特性の変化が起こりうることが理論・実験の両面から明らかになってきている.よって,水素の電子状態を調べることは非常に重要であるが,対象物質における水素の濃度が極めて低い場合,直接検知して調べることは困難である.本研究で用いたミュオンスピン回転法(µSR)は,プローブとして用いるミュオン自体が物質中で水素の軽い同位体として振る舞うため,希薄状態での水素の電子状態を調べることが可能である.本稿では,まずµSR法の特徴や原理について説明した後,第一原理計算との組み合わせによって明らかにした酸化物半導体InGaZnO4中の水素の電子状態について紹介する.

  • 増田 泰造
    2021 年 90 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 2021/02/05
    公開日: 2021/02/05
    ジャーナル 認証あり

    薄膜干渉は眼鏡やカメラレンズの反射防止のみならず,タッチスクリーン,計測器や顔料として広く用いられている.従来,薄膜干渉は透明な誘電体膜(SiO2やTiO2など)を積層して所望の効果を発現してきた.基礎研究から応用技術まで成熟した分野ではあるが,近年,透明材料の代わりに光を吸収する材料を用いた干渉現象が新たに活用されている.光吸収膜による干渉では,複素屈折率をもつ材料が用いられるため,材料界面での光の位相変化が0またはπではなくなり,光の波長よりもはるかに薄い膜(5~25nm)で共振動作が得られる.また,透明な誘電体に比べ,高い屈折率をもつ材料が選定できることから,膜設計の自由度が格段に広がる.本稿では,光吸収膜による干渉効果について解説をした後,その応用例として着色太陽電池を紹介する.

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