応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
90 巻 , 7 号
『応用物理』 第90巻 第7号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
Science As Art
特別記事 応用物理学会業績賞受賞者随想
今月のトピックス
今月号の概要
解説
  • 伊東 裕, 田中 久暁, 竹延 大志
    2021 年 90 巻 7 号 p. 402-408
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/05
    ジャーナル フリー

    物質内の温度差から起電力を得る熱電変換素子は,モノのインターネット(IoT)技術の急激な発展により,「古くて新しい」環境発電技術として再認識されつつある.特に,人体を熱源としたフレキシブル熱電デバイスは,ウェアラブルエレクトロニクスを下支えする電源として有望視されているが,軽量・柔軟かつ大面積な多結晶薄膜における熱電効果は未開の研究領域であり,活発な研究が行われている.本稿では,筆者らの研究成果を中心に,応用を視野に入れた研究の現状と今後の展望を解説する.

最近の展望
  • 松本 和彦
    2021 年 90 巻 7 号 p. 409-413
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/05
    ジャーナル 認証あり

    グラフェンFETの高感度特性を活用して,極めて高い致死率を有する鳥インフルエンザウイルスの人への感染性を検出する手法を,「実際の感染機序」に基づいて開発した.これにより,従来1週間以上のウイルス培養期間を要したクロマトグラフィ法に比して,数十分でかつ,2〜3桁高感度に検出できた.グラフェンFET表面にヒト型糖鎖を修飾し,ヒト感染性のある鳥インフルエンザウイルスの結合による電気特性の変化から,ヒト感染性のない鳥インフルエンザウイルスとの識別が短時間で簡便に可能となった.また鳥インフルエンザウイルスの亜型診断のために,集積化グラフェンFETアレイ上へのさまざまな抗体の分割修飾技術の開発にも成功し,多項目診断への道筋をつけた.最後に新型コロナウイルスの予備的な光学的検出にも成功した.

  • 層交換現象とその応用
    都甲 薫
    2021 年 90 巻 7 号 p. 414-418
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/05
    ジャーナル 認証あり

    今,ありとあらゆるところに電子的機能を付与する技術が強く求められている.この鍵となるのが「絶縁体上における機能性薄膜の低温合成」である.IV族材料(Si,Ge,Cなど)は環境調和型のエコマテリアルであり,我々に身近な電子材料として好適である.本稿では,IV族材料の低温合成技術の中でも特にユニークな「層交換」にフォーカスする.現象のメカニズムからデバイス応用に至るまで,20年以上に及ぶ層交換の研究と最近の展望を包括的に紹介する.

  • 中野 匡規
    2021 年 90 巻 7 号 p. 419-423
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/05
    ジャーナル 認証あり

    グラフェンの発見に端を発した2次元物質の研究は拡大の一途をたどり,最近ではさまざまな2次元物質をさまざまなパターンで集積化させることで新しい物性や機能性を創出しようという試みが世界中で行われている.そこではいわゆる「へき開&転写法」と呼ばれるテープを用いた機械的な剝離と顕微鏡下でのマニュアル積層により試料を得るアプローチがよく用いられるが,これまで半導体や酸化物の薄膜作製に用いられてきた「分子線エピタキシ(MBE)法」を利用した試料作製も重要なアプローチである.本稿ではMBEを利用した2次元物質の物性研究について,筆者らの取り組みを中心に紹介する.

研究紹介
  • 館山 佳尚
    2021 年 90 巻 7 号 p. 424-427
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/05
    ジャーナル フリー

    全固体Li+イオン電池の実用化に向けて,電極-電解質界面の安定性とイオン輸送抵抗に関する理解と制御が大きな課題となっている.我々はヘテロ固固界面構造の効率的サンプリング手法の開発とその高精度第一原理計算との結合により,現実的な全固体電池電極-電解質界面の原子スケール描像の理論計算解析を可能にした.それらを硫化物電解質,酸化物電解質と正極の界面に適用することで,界面におけるLi不安定サイトの存在と充電時における“動的なLi空乏層形成”や固体電解質の酸化との関連性,界面形成時とアニール後の挙動に関する計算モデル,界面第一原理計算とLi+イオン電気化学ポテンシャルの関係といった新しい理解・概念を提案してきた.これらの研究により,全固体電池界面の微視的描像の理解と制御が一層進むことが期待される.

  • 吉田 亮, 岩山 めぐみ, グォ チョンリャン
    2021 年 90 巻 7 号 p. 428-432
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/05
    ジャーナル フリー

    材料研究の逆問題への機械学習の適用例を紹介する.順問題の目的は,系の入力に対する出力の予測である.例えば,入力変数は材料の構造,出力変数は物性に相当する.逆問題では,出力の目標値を所与とし,それを近似的に満たす入力を求める.これ自体は何の変哲もないデータ解析のワークフローであるが,材料研究のデータ解析の特殊性は変数の高次元性と特殊性にある.一般に候補材料の探索空間は極めて広大である.また多くの場合,組成,分子,結晶構造のように固定長ベクトルによる数値化が非自明な問題を取り扱うことになる.本稿では,筆者らの近年の取り組みを中心にさまざまな実例を紹介しながら,逆問題を解く機械学習のエッセンスを解説する.

  • 山本 俊, 生田 力三, 小林 俊輝, 井元 信之
    2021 年 90 巻 7 号 p. 433-437
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/05
    ジャーナル 認証あり

    離れた量子系に量子もつれを生成しネットワーク化することで,全体の量子系が大規模化され,任意の量子プロトコルが実装される.量子暗号として用いれば,原理的なセキュリティ通信を可能にし,量子テレポーテーションや量子コンピュータを実現することも可能である.量子もつれを利用しない量子暗号通信はすでに実用化のフェーズに入り,そのビジネスの期待が大きく膨らんでいる.次にくる量子もつれ光子対配信や物質量子系間の量子もつれ生成の要素技術研究も大きく進展し,注目を集めている.こちらは最近では量子インターネットとも呼ばれ,フィールドテストの研究が欧米中で進行中である.本稿では,このような量子ネットワーク技術の世界的なすう勢を我々の研究を交えて紹介する.

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