With its ability to enable rapid screening of a large number of different materials, the combinatorial high-throughput approach has become an integral part of the experimental toolbox for materials exploration and discovery efforts across virtually all areas of materials science. With the advent of the Materials Genome Initiative in the U.S., high-throughput materials synthesis and characterization has come to play the complementing role to the surge of activities in computational materials science. In this article, I provide my perspective on how the combinatorial approach has evolved over the years and how informatics and machine learning have come to play a central role in the field.
持続可能なものづくりを実現するには,高効率触媒の開拓が必要となる.本稿では,水を水素源とする電気化学的物質変換反応を活性化するために求められる触媒の組成,配列,構造を議論するとともに,筆者らが開発した無機ナノ触媒の機能を紹介する.初めに,炭素循環の要となるCO2還元反応(CO2RR)を促進する無機触媒の制御要因について議論する.また,高効率蓄電の新しい方法となる有機酸あるいはケトンからのアルコール化合物を合成するために作製されたTiO2をベースとする電極材料を紹介する.さらに,有機酸とケトンの電気化学的還元の応用例として熱電子変換とアミノ酸合成についての研究例を紹介する.
現在,世界各国で多彩な方式で量子コンピュータ開発が進められる中,異色のアプローチでひときわ存在感を放っているのが光量子コンピュータである.光量子コンピュータの近年の進展は目覚ましく,特定の計算でスーパーコンピュータに勝つ「量子超越性」が達成されたのみならず,大規模な量子コンピュータへ拡張可能な道筋も見いだされつつある.この躍進の背景には,光量子コンピュータの伝統的な方法論から脱却した新しいアプローチへの転換がある.本稿では,光量子コンピュータの近年の進展の背景を解説するとともに,その新しいアプローチに基づく我々独自のループ型光量子コンピュータの開発や応用について紹介する.
散乱や揺らぎは,ナノメートルスケールのミクロな生命活動から,キロメートルスケールの大気揺らぎまでさまざまなところで現れる現象であり,この理解と克服が生命科学,予防医学,情報通信工学,天文学などのさまざまな学問領域でブレークスルーをもたらす.散乱体内部や揺らぎ場の影響を除去して内部あるいはその向こう側にある情報を可視化するための新しいアプローチとして,散乱透視学の概要を紹介する.特に,散乱体内部を可視化するための散乱透視イメージング技術と散乱体モデリングのための計測技術として散乱体中の光伝搬の様子を可視化する技術を紹介する.
近年「データ駆動型研究」や「インフォマティクス」をタイトルに含む研究が増え,ハイスループット・自律化実験を交えたDX化に向けた取り組みが活発になってきた.対象となる素材や形態が多くある中,本稿では多元系酸化物粉末に焦点を当てたインフォマティクス研究につながる研究として取り組んできたコンビナトリアル技術,具体的には液相プロセスに基づいた粉体試料群の自動作製,高速粉末X線回折,物性評価治具そして放射光粉末X線回折のための治具開発について紹介する.
アルミニウム合金は,カーボンニュートラル実現の観点から輸送機器をはじめとした各種部材への展開が期待される軽量金属材料であるが,用途拡大のためにはさらなる高強度化ならびに高耐食化が不可欠である.本稿では,筆者がごく最近開発した,水蒸気のみを利用した環境負荷の低い新しい表面処理技術である水蒸気プロセスについて解説する.水蒸気プロセスでは,アルミニウム合金表面に水酸化物結晶を緻密に形成することでバリヤ性が発現し,耐食性が向上する.これと同時に,水蒸気の熱エネルギーを活用し,アルミニウム合金を組織制御することで析出強化により高強度化が実現する.水蒸気プロセスによって実現する,このような興味深いアルミニウム合金の多機能化手法について紹介する.
進展著しいSIMS法についてその基礎から解説し,本分析法を利用する際の手引きとしたい.特に有機材料の評価技術として,従来技術にはない特徴を生かした新しい応用分野を切り拓(ひら)いていく際の指針となるように応用事例を紹介する.更に,最先端のSIMS装置で可能となってきた新技術についてその有用性や可能性を議論する.今や表面分析技術として欠かせないツールとなっているSIMS法の更なる展開やその研究動向について紹介する.