応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
92 巻, 6 号
『応用物理』 第92巻 第6号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
Science As Art
今月号の概要
総合報告
  • 新田 淳作
    2023 年 92 巻 6 号 p. 324-332
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり

    電子スピンは磁気モーメントを有しゼーマン効果を通じて磁場と相互作用するため,電子スピン共鳴など従来磁場により制御されてきた.スピン軌道相互作用は電場を磁場に変換する相対論的な効果であり,電子は電場中を運動することにより運動方向に依存した有効な磁場を感じる.また,スピン軌道相互作用によりスピン角運動量と軌道角運動量は結合しており,スピンホール効果によりスピン上向きと下向き電子は逆方向に曲げられる.これらのスピン軌道相互作用の特徴は,磁場を用いることなく電気的に電子スピンを用いたさまざまな機能を可能にする.本稿では,さまざまなスピン軌道相互作用の起源とそれらがもたらすスピンに関連した物性や機能を概観する.

解説
  • 発光再結合と非発光再結合の定量解析
    山口 敦史
    2023 年 92 巻 6 号 p. 333-339
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり

    窒化物半導体は,現在,さまざまな発光色のLEDやレーザーの発光層に用いられている.しかしながら,緑色より長い波長で発光効率が低下していく問題,電流を増加すると発光効率が低下する問題などがあり,それらの現象を支配する発光再結合過程,非発光再結合過程の機構の解明が求められている.このためには,内部量子効率(再結合したキャリヤのうち,発光再結合したキャリヤの割合)を正確に測定することがまずは重要だが,これが意外に難しく,いまだにその測定手法を巡ってさまざまな議論がある.本稿では,窒化物半導体における発光・非発光再結合の機構や内部量子効率の測定手法に関する最近の進展について紹介したい.

  • 野上 毅
    2023 年 92 巻 6 号 p. 340-346
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    銅配線(以下,Cu配線)は,二十数年間のトランジスタの微細化に対応して,いくつものブレークスルー技術の導入によって,延命使用されてきた.2nmノードにおいても,Cuダマシン配線を更に延命使用するための革新的技術の研究開発が進められている.これと並行して,Cu配線技術延命使用の限界が近いことを見越して,Cuに替わるルテニウムなどの代替配線金属材料の検討も進められている.本稿では,Cu配線が遂げてきた二十数年にわたる主だった進化を概説し,そのうえで,来る2nmノードに延命使用するために導入が検討されている代表的な新規技術を紹介する.最後に,Cu配線の限界の後に期待されている代替金属配線技術研究開発について概説する.

  • 鮫島 純一郎
    2023 年 92 巻 6 号 p. 347-353
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり

    表面分析は,ものづくり産業において材料やデバイスの評価手段として不可欠であり,分析技術の進歩と産業の発展は,相互に密接に関わり合ってきた.本稿では,分析手法が元来有する特徴を最大限に生かしたデータ取得に注力し,そこから引き出される有効な情報によって,ものづくり産業における研究・開発や課題解決をサポートし得る事例を紹介する.

研究紹介
  • 関口 寛人
    2023 年 92 巻 6 号 p. 354-358
    発行日: 2023/06/01
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル 認証あり

    生体の外部から光のみを当てることで神経細胞の活動を制御することが可能な光遺伝学的手法が脳機能の理解に向けて活用されている.近年,複雑な神経ネットワークを持つより高度な脳機能の解明に向けて,脳内に広がる複数の特定の神経細胞に自在に光を照射する技術が求められるようになってきた.しかし,これまで光照射技術として用いられてきた光ファイバや顕微鏡を用いた手法では特定の部位や複数の部位を同時に光照射することは困難で,自由行動中の動物への利用も限られているため,新たな光照射技術として生体埋め込み型LEDデバイスの開発への期待が高まっている.本稿では,我々が開発を進める脳深部および広範囲の大脳皮質に適用可能なマイクロLED神経科学プローブを紹介する.

基礎講座
ホッとひといき
かけはし
講演会報告
編集後記
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