応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
93 巻, 11 号
『応用物理』 第93巻 第11号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
Science As Art
今月号の概要
解説
  • 上村 淳, 杉山 友規, 小林 徹也
    2024 年93 巻11 号 p. 624-629
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    生命システム固有の性質とその起源を物理の法則に基づき理解することは生物物理学の根源的課題である.自己複製能の必要十分条件を求めることは生命の物理的理解に不可欠なステップである.本稿では体積変化を伴った化学熱力学理論に基づき,自己複製の必要条件である体積成長と自己触媒反応の共役が実現する熱力学条件や,成長状態に関連した複雑な熱力学および化学量論的拘束などを包括的に扱えることを紹介する.熱力学第二法則のみに立脚する本研究の枠組みは,多様な分子や反応速度論を持つ系に広く適用でき,生命の起源や生命の普遍的性質の理解に加えて,人工自己複製分子・細胞システムの実現に不可欠な熱力学的基礎を与えることが期待される.

  • 東垂水 直樹
    2024 年93 巻11 号 p. 630-636
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    中赤外光(λ= 3−8 µm)はガスセンシングやサーマルイメージングなど広範なアプリケーションに有用であるが,高効率な受発光デバイス実現のためには材料のブレークスルーが待たれる.黒リンはその層状物質としての性質からIII-V族やII-VI族などの化合物半導体を凌駕(りようが)する光特性を有することが明らかになってきている.本稿では,黒リンの発光特性に注目し共有結合系の材料に対する優位性を解説する.黒リンの薄片試料を用いた発光デバイスの原理検証を紹介するとともに,実用化へ向けたチップ‐ウェハスケールの薄膜合成・デバイス応用の技術動向について取り上げる.

最近の展望
  • IRDSロードマップに見る期待と最新研究動向
    入沢 寿史
    2024 年93 巻11 号 p. 637-641
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    2次元(2D)半導体材料は,現在,1nmノード以降のCMOSロジックトランジスタへの応用を目指して精力的に研究がなされている.CMOSの極限的なスケーリングに向けた2D材料への期待は,IRDSロードマップにも見ることができる.本稿では,2D材料が期待される理由,および,MoS2やWSe2などの遷移金属ダイカルコゲナイドをチャネルに用いた2D材料トランジスタの最新研究動向を概説する.また,実際のCMOS応用に向けた課題と展望についても述べる.

  • 早瀬 修二
    2024 年93 巻11 号 p. 642-646
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    ハロゲン化鉛ペロブスカイト太陽電池の効率は26%を超え,研究対象は大面積化,耐久性などの実用化研究に移行しつつある.ポストハロゲン化鉛ペロブスカイト太陽電池として,ハロゲン化錫(スズ)ペロブスカイト太陽電池が注目を集めている.電子物性はハロゲン化鉛ペロブスカイトに類似しており高効率化が期待できる.現在,効率は15~16%程度まで向上している.格子欠陥密度低下などさらなる研究の余地がある.最近の高効率化,耐久性化に関する研究をレビューし将来を展望する.

研究紹介
  • 上村 俊介, 松崎 雄一郎, 吉田 恭, 都倉 康弘
    2024 年93 巻11 号 p. 647-651
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    熱エネルギーを機械エネルギーなどの取り出せる形に変換する装置を熱機関という.その動力を与える作業物質は,通常は古典力学に従う物理系である.近年,作業物質が量子力学に従うような熱機関に関する研究が,理論と実験の両面から進められている.本稿では主に理論的な側面に着目し,特に量子熱機関の作業物質のサイズが大きくなるときに,その性能がサイズの関数としてどのように増大するかについて,当該分野の研究背景と最近の動向,また我々の最新の成果を交えて解説する.本稿で述べる結果は,量子力学を動作原理とすることによって,熱機関の性能が劇的に向上する可能性を示唆するものである.

  • 福田 憲二郎
    2024 年93 巻11 号 p. 652-656
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    本研究は超薄型有機太陽電池を昆虫腹部に貼り付けることで,その行動能力を損ねずに昆虫上で発電する機能を備え,それによってサイボーグ昆虫の再充電を可能にするという取り組みである.行動能力とフィルムの厚さ・ヤング率を座屈荷重を通じて定量的に記述することに成功し,厚さ数µmのフィルム状デバイスで行動能力が完全に確保されることを実証した.超薄型エレクトロニクスの有効性を明確に示す結果である.本研究は有機エレクトロニクス関連の材料科学や電気電子工学・応用物理学,機械工学,生物学という学際的な研究領域であり,分野を超えることで新しい応用例を提示可能であるということを端的に示した例である.

基礎講座
応物系スタートアップ
  • 合同会社二次元材料研究所の誕生と成長に向けて
    河原 憲治, 江本 暁, 日野 悦子
    2024 年93 巻11 号 p. 663-667
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    合同会社二次元材料研究所は,九州大学の技術シーズを基に起業され,2次元材料薄膜に特化した,材料供給や関連製品製造,材料開発ソリューション事業を目的とした企業です.2次元材料とは,グラフェンや遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC),六方晶窒化ホウ素(hBN)などの層状化合物で単層~数層で構成される原子厚みのシート状材料です.2次元材料は,透明電極や太陽電池,高周波トランジスタ,高感度センサ,触媒膜やガスバリヤ膜など,さまざまな分野での応用が期待されています.本稿では,合同会社二次元材料研究所が誕生した経緯や,現在ならびに今後の展開について,対話形式で解説します.質問を受けるのは同社代表の河原で,質問をするのは会社の技術シーズの開発元である九州大学吾郷研究室に現役で所属する学生の江本です.夏の近づきを感じる陽気の5月,福岡・二日市の天拝山の麓にある古刹「武蔵寺」にて,インタビューは行われました.

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編集後記
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