本稿では,インピーダンス分光法を用いたプラズマ‐固体相互作用に関する実験研究について,研究背景から最近の成果まで解説する.測定対象の電気特性モニタリング手法として主に電気化学分野で活用されてきたインピーダンス分光法を,極限環境の一種であるプラズマにさらされた固体表面近傍の特性変化解析に応用した.導電性を有するプラズマ中では固体材料特性の「その場」インピーダンス分光計測が可能であり,プラズマを用いた薄膜堆積・微細加工プロセスモニタリングなどへの発展が期待される.筆者らの実験結果を中心に紹介しながら,計測システムや解析の課題について議論する.
量子コンピュータはクラウドサービスにより実機が公開され社会実装へつながる道が開けた.量子コンピュータの利用によりコンピューティングの世界に新しいイノベーションが期待される.運用技術は利用のために必須であるが,まだ初期的なフェーズにあり研究開発が今後も必要である.本稿では,理化学研究所で開発された超伝導量子コンピュータ “叡” の構成と運用に関する研究開発の状況と社会実装につなげるための取り組みについて述べる.
電子の波動関数の幾何学的な性質は,新奇な電子相を分類・探索するうえで重要な概念であるが,物質の電磁気応答を理解するうえでも極めて有用である.本稿では,波動関数の幾何学が重要な役割を果たす非線形光学効果の最近の進展について筆者らの最近の成果を中心に解説する.近年新たに発見された時間・空間反転対称性が同時に破れたワイル半金属で生じる磁性由来の第2次高調波発生(SHG)に由来した非線形光学効果のダイオード効果について紹介する.
プラズマ技術は多様な産業分野で応用されているが,従来のプラズマ計測は精密である反面,高コストで専門知識と時間,手間がかかる方法が多かった.プラズマインジケータは,プラズマ処理効果を簡便,迅速,低コストで可視化する新たな評価ツールである.有機色素系プラズマインジケータの変色挙動について分光学的評価を行い,変色度合いは容易に数値化可能であり,エッチング量と正の相関関係があることを示した.シート型インジケータは真空および大気圧プラズマの処理分布を容易に可視化できた.これらの結果に基づき,プラズマインジケータを使ったプラズマ計測の可能性について解説する.
量子ネットワークは,量子通信や分散量子計算の実現に不可欠な基盤技術であり,その中核としてダイヤモンドNV中心が注目されている.本研究では,一般的なアプローチとは異なるゼロ磁場下でのスピン量子ビット制御を開発し,それに適合するスピン光子インタフェースや完全ベル測定など,量子ネットワークを構成する要素技術を統合的に確立した.本稿では,「量子もつれ」「ベル測定」「量子テレポーテーション」などの技術を交えて全体像を示し,今後の高度化に向けた展望を論じる.
マイクロコムは小型・省エネ・高繰り返し化が可能な次世代の光周波数コム光源としてさまざまな応用が期待され,多くの実証がされてきた.特にモード同期したマイクロコムはソリトンマイクロコムと呼ばれ,GHz~THzまでの非常に高い繰り返し周波数を持つ超短パルス光源となる.本稿では,圧電素子を用いた機械駆動型のソリトンマイクロコムの最近の研究進展に関して,その生成原理やデュアルコム応用を中心に紹介する.
プレーナ型トランジスタ以降の先端CMOSトランジスタについて,集積度,回路速度の向上および消費電力の低減を満たすためのトランジスタ構造および基本回路の設計最適化を含めた,CMOSトランジスタアーキテクチャについて解説する.