β-Ga2O3は大きなバンドギャップを持つ魅力的な次世代パワーデバイス材料である.その高耐圧パワーMOSFET応用のためには,チャネル特性を決定するゲート絶縁膜との界面(MOS界面)の品質の制御が不可欠である.β-Ga2O3上で最も有望なゲート絶縁膜であるSiO2との界面は,優れた熱安定性を示し,半導体と絶縁体が急峻(きゅうしゅん)に変化するMOS界面をつくることができる一方,外部からの酸素の供給の調整なしには構造緩和が進みにくい界面と考えられる.界面欠陥の抑制のためには,SiO2成膜後に気相から高温で酸素を供給する方法や,原子層堆積法のように十分な酸素を供給する成膜方法によって界面の構造緩和を促進するのが効果的であり,特に後者にはプロセスの低温化も期待される.
本稿では,コロイド半導体量子ドットの作製方法と光物性研究の展開を概観するとともに,配列制御および光物性の温度依存性の観点から,孤立状態の量子ドットならびにその配列構造・超格子における電子状態について解説する.孤立量子ドットにおける離散的エネルギー準位から,超格子におけるミニバンド形成へと至る電子状態の変化に焦点を当て,集合体における電子状態と光物性の理解および制御の可能性を示す.
地球温暖化対策として太陽光発電の重要性が高まる一方,主流の高効率太陽電池は希少金属インジウム(In)への依存という課題を抱えている.本稿では,最近の世界の研究動向を紹介しつつ,In使用量削減を目指し,低温で製膜でき高い耐久性を持つ酸化スズ(SnO2)透明電極の研究と,そのシリコン太陽電池への応用を紹介する.
現在,酸化物半導体は集積デバイス分野における新チャネル材料として注目されている.酸化物半導体の代表例は非晶質In-Ga-Zn-O系であり,本分野における標準材料として広く研究されている.我々は酸化物半導体トランジスタの更なる性能向上を図るため,非晶質ではなく結晶構造を有する材料を研究対象とした.本稿では,結晶性Ga添加In2O3に着目し,その材料物性,トランジスタ特性および電子輸送機構を紹介し,集積デバイス応用への可能性を議論する.
多成分ガラスの中には化学的耐久性の視点から耐食性に優れるデュラブルガラスと劣化可能なディグレーダブルガラスが存在する.本研究では前者は放射性廃棄物固化の応用のために,後者はバイオアクティブガラスの応用のためにガラスの化学組成が最適化されている.本稿ではデュラブルバリウム鉄リン酸塩ガラスと,ディグレーダブルバイオアクティブホウケイ酸塩ガラスおよびレアアース回収のためのリンケイ酸塩ガラスについて,巨視的な外観および微細構造の変化と均質/不均質なガラス構造の視点から得られた研究成果を紹介する.
超蛍光とは,多数の励起2準位系が自発的にコヒーレンスを形成して生じる協同的発光である.最近,超蛍光が固体から発現する例が報告されるようになり,その発生機構について注目が集まっている.我々はこれまで,半導体量子ドット集合系における励起子分子準位からの超蛍光について研究してきた.量子ドット中での多励起子系ダイナミクスとコヒーレンス生成過程の関係,また超蛍光パルスの強度およびスペクトルの揺らぎの観測と将来の課題について本稿で紹介する.
生成AIは2024年には「まだ不安もある新しい道具」として受け止められていたが,2025年には研究現場で日常的な利用が進み,2026年には「どう使いこなすか」を設計する段階に入っている.本稿では,主要ツールの細分化と統合化,出版社の対応の変化,海外での投稿・査読をめぐる議論を整理し,可能性と限界,そして研究者に求められる力を考える.