24.2%Fe(Ni
3Fe)合金に就いて規則格子生成の各段階に於て,外部張力に依る磁化履歴曲線の變化を測定した。殘留磁氣と張力との關係に注目すると途中の規則状態ではIr/Isはσに對して初め急に後は徐々に増加するが,完全に規則格子を作るとIr/Isはσと共に最初増加しσの比較的小さな部分で一度下降する爲大きい極大と小さな極小を生ずる様になる。これは完全に規則格子が發達すると, Ni又はFeを主成分とする領域が偏析して,部分的に磁歪が負の部分が出來る爲ではあるまいかと考へ,磁歪のない試料即ち18.5%Fe合金を用て前回と同様の實驗を試みた。用ひた試料は磁歪が完然に零ではなかつたが,規則格子生成と共にIr/Is-σ曲線から期待され豫期した結果か否かに就ては猶檢討を要する。そして24.2%Fe, 18.5%Fe共に規則格子生成によリパーミンバー型の異常履歴曲線が現れる。24.2%Feの場合はこれまで度々研究の對象になつてゐるが,規則格子の生成過程を490°Cに保つ時間で表すと, 490°C 20時間邊で磁化は最も困難となり硬度増加が止み,又比電氣抵抗の時間的減少率が極小になる事が判つてゐる。本研究に於て約20時間でパーミンバー型履歴曲線が最も著しく現れ,それに伴つてIr/Isが極小を示し, Hcが極大になる事が對應してゐる。これに反してNi
3Feの組成から外れた18.5%Feでは熱處理時間の増加と共に益々履歴曲線の異常が著しくなり, Ir/Is及Hcは單調に減少又は増加するのみである。
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