従来より本研究室では,姿勢制御の一例として船舶等に加わる比較的ゆるやかな動揺が船室におよぼす影響を除去する目的で,水平自動制御装置を考案試作し,これに関する研究を行なってきた.そこで,このたびこの装置を基台として,さらに上下方向の動揺をも除去する目的で,位置制御装置を試作しこれに関する研究を行なった.
外乱によって上下に動揺する制御対象を静止させるためには,まず外乱によって制御対象に生ずる変位の計測が必要である.変位の計測において,基準になる静止点が定まっている場合,変位はその静止点からの位置を計測すればわかる.しかし,一般に用いられている輸送体において,このような静止点を見いだすことは容易ではない.そこで,次の手法を用いて変位の計測を行なった.すなわち,変位は加速度を二回積分することによって求められるので,外乱によって生ずる加速度を計測し,それを二回積分演算処理することによって,間接的にその変位は求められる.そして求められた変位信号をもとに制御系を動作させ,制御対象に修正動作を加えることにより,上下の動揺に対する制御対象の位置制御が可能となる.本装置は上述の原理にもとづいて構成されている.
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