実用に供されている高価な彫扶記憶合金ニチノール (TiNi) に代るものとして,ごく最近,低廉な鉄基合金の形状記憶特性が研究され始めた.本報告は,現在,筆者の研究室で行なっている鉄基形状記憶含金の開発研究の一端を紹介するもので,古くから鋼の基本合金系の一つとされているFe-Ni-C合金でも,ある種の条件が満たされれば良好な形状記憶効果が得られることを示す.また,この鋼は荷重下でもかなりの程度の形状回復をすることが実験的に明らかとなり,形状変形温度と形状回復温度のヒステレシスが400~600Kと大きいものの,形状記憶合金としての基本特性を有していると言える.
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