応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
59 巻, 4 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 近藤 次郎
    1990 年 59 巻 4 号 p. 409
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
  • 茅 陽一
    1990 年 59 巻 4 号 p. 410-417
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    近年のエネルギーシステムの制約要因としては,需給の不確定性増大,規模の経済の有効性の低下,地球環境問題の顕在化がその制約としてあげられるが,やはり地球環境問題がもっとも大きいインパクトを持つものと考えられる.本文では,地球環境問題の中でももっとも深刻と考えられる温暖化へのエネルギーシステム面からの対応のあり方について論じている.前半では,従来システムの制約の中での対応の方策とその限界について,特に経済成長との関連を考慮にとって分析し,主要対策と考えられる省エネルギーと燃料転換についての検討から, CO2の削減が容易でないことを数値的に示している.後半では,長期的対応の方策として,自然エネルギーの利用とシステム構造自体の柔構造への転換をあげ,その特徴と問題点,今後の発展のための必要方策について述べている.
  • 地球環境変化,研究の現状
    武田 喬男
    1990 年 59 巻 4 号 p. 418-426
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    大気,水圏の現在の状態は,太陽エネルギーのもとで,地球上の水,その他の物質,生物が長年にわたって互いに調節し合った末,つくられたものであり,維持されているものである.大気,水圏のふるまいを理解し,人間活動による地球環境の変化を解明するには,大気,水圏における水,物質,熱,エネルギーのサイクルと生物過程との関係を総合的に理解していくことが必要である.
    異常気象,気候変動など,地球環境の変化を研究するため,現在,さまざまな国際協同研究計画が進行し,計画されているが,今後,特に人工衛星を中心とする地球観測システムの推進が重要になる.
  • 田中 正之
    1990 年 59 巻 4 号 p. 427-431
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    近年の大気中のCO2の増加は,濃度で1.5 ppmv/年,率で0.4%/年である.この増加量は人類が化石燃料を消豊することによって年々大気に放出しているCO2の58%に当たっている. CO2増加の原因としては,化石燃料の消費と熱帯林の破壊が考えられているが,後者の寄与は不明である.
    CO2増加がもたらす地表平均気温の上昇については, CO2濃度の倍増に伴う平衡気温の上昇が3.5±2.0 Cの範囲と見積もられている.この見積もりにおける±2.0 Cという大きな不確定は,主に,温暖化に伴って発現する多様なフィードバック効果の取り扱いの不確定を反映している.
  • 軽部 征夫
    1990 年 59 巻 4 号 p. 432-437
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    最近,生体の機能を巧みに利用した工学,すなわちバイオテクノロジーが注目されている.例えば生物の分子識別機能を利用したバイオセンサーを用いることにより水質のセンシングを定量的かつ連続的に行うことができる.また微生物を固定化したバイオリアクターを用いることにより廃水の浄化を効率的に行うことも可能である.本稿ではバイオテクノロジーを利用した水質のセンシング技術と廃水の浄化技術について,最新の動向を述べる.
  • 笹野 泰弘
    1990 年 59 巻 4 号 p. 438-441
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    大気環境質の診断と予測にとって,大気の実態を三次元的にとらえることが本質的に重要であり,電磁波と大気構成成分気体との相互作用を利用したリモートセンシング技術が大きな役割を担うようになってきている.本稿では,すでに多くの開発・利用実績を持つ衛星搭載パッシブリモートセンサーの概要と,最近の進展が著しいアクティブリモートセンサーとしてのレーザーレーダーについて,計測に利用される光と物質の相互作用の観点から整理して示した.
  • 村井 俊治
    1990 年 59 巻 4 号 p. 442-446
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    20世紀後半の人口爆発と工業開発のため,地球環境は人間の圧力によって大きな変化を余儀無くさせられている.明らかにこのまま放置していれば百年先の地球および人類の未来はない.地球にはトータルの容量限界が存在する.著者は衛星による土地植生のモニタリングから,人類が生存に必要な穀物収穫を推定し,さらに何人の人間が生存可能かを予測する方策を提言した.
    地球規模の科学を推進するためには,今後どのような視点でかつどのような方向で日本人が研究に取り組まなければならぬかについて著者の意見を述べている.
  • 服部 勉
    1990 年 59 巻 4 号 p. 447-450
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    大地には,実に多種多様な微生物が住んでいる.これらの微生物の生活実態は,いまなおベールに包まれているが,人々は微生物の活動が盛んになるほど,大地は豊かであると,単純に考えてきた.しかし,多様な微生物たちの生活は,きわめてデリケートな相互関係の上に成り立っていることが,知られはじめている.豊かな大地との共存のため,今後どのような研究が必要となろうかを考える.
  • 高辻 正基
    1990 年 59 巻 4 号 p. 451-454
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    植物工場は「高度環境制御による植物の周年生産システム」と定義され,植物を天候にあまり左右されることなく,施設内で大量生産することができる.農業・食糧・環境問題との関連でその重要性が高まっているが,技術的ならびに経済的課題があり,解決のための学際的・基礎的研究が必要である.
  • 中村 桂子
    1990 年 59 巻 4 号 p. 455-460
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    地球環境問題の解決のためには,地球・生態系人間についての科学的理解が不可欠であり,そのための基礎研究が重要であることは確かである.しかし,この間題は個別技術によって解決されるものではなく,現代科学技術文明の見直しを要求している.そこで,基本的な考え方として “Sustainable Delopment” を採用,食糧生産を例に,その具体的アプローチを紹介した.今後,食糧生産はもちろん,すべての科学技術がこの理念の下に開発され,また使われていくことが必要と考える.
  • 田村 浩一郎
    1990 年 59 巻 4 号 p. 461-465
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    高度情報化社会に向かって,われわれの日常生活を情報環境が取り巻くようになり,それを通じて認識や判断が行われることが多くなった.しかし,情報環境は,情報というあやふやなものを基礎にしているため,固有の危険性を内在している.情報とは何か,という議論からはじめて,情報環境が持つ本質的な問題点を掘り下げ,それへの対処方法として,実環境と相互干渉を持つ開放的な情報処理技術パラダイムを確立する必要性を述べる.
  • 大橋 力
    1990 年 59 巻 4 号 p. 466-472
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    「筑波病」は筑波研究学園都市における自殺症候群である.現代精神医学では,自殺はうつ病・分裂病に深くかかわるとされ,これらの精神病は脳内神経伝達物質の代謝活性異常を反映する病気であることが解明されている.実験動物へのある種の化学物質の投与でうつ病・分裂病症状が導かれ,同じく,ある種の情報の入力・遮断によってもほぼ同質の症状が発現される.これは,脳が物質的環境入力と同様に情報的環境入力の影響を受けることを示す.このことからみても,これまでの環境を物質・エネルギーという尺度でとらえる態度から,それらに情報を加えた総合的な視座で環境をとらえる態度に早急に切り換えねばならない.この観点から,著者らは情報環境学の体系化を進めている.
  • 柳下 正治
    1990 年 59 巻 4 号 p. 473-477
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    1987年のWCED報告を契機として,地球環境問題は人類の生存基盤に深刻な影響を与える重大問題として世界の大きな関心事となっている.
    地球の環境資源に支えられて高度な経済活動を営む日本は,世界をリードする技術力や公害対策の面での豊富なノウハウ,経験を活かして,地球環境の保全に向けて次のような分野において積極的に貢献していかなければならない.
    (1) 地球環境保全のための国際的な枠組づくりへの積極的参加.
    (2) 地球環境に関する調査研究の推進,観測・監視の推進.
    (3) 地球環境保全に資する技術の開発,普及.
    (4) 開発途上国の環境保全への積極的貢献と環境配慮の強化.
    (5) 地球環境への負荷がより少ない方法で経済社会活動を営む努力や国民各界各層への普及,啓発.
  • 地球環境監視予測システムをめざして
    佐藤 信夫
    1990 年 59 巻 4 号 p. 478-481
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    大気の数値モデルをスーパーコンピューターにより時間積分する方法を使って,日々の天気予報は6日先まで行えるようになった. 1カ月の天候予測も目前にある. 21世紀には大気・生物・水圏結合モデルが構築され,衛星データを駆使して,時々刻々の地球環境の監視と未来予測を行うシステムが登場するだろう.
  • 高木 幹雄
    1990 年 59 巻 4 号 p. 482-486
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    地球環境のグローバルな監視,海洋・大気などに見られる地球規模の現象の理解と予測,地球資源の管理などには,衛星による地球観測は不可欠である.衛星を用いた地球環境に関する学術的研究の例として,文部省科学研究費で進めている重点領域研究「衛星による地球環境の解明」について紹介する.
  • 新井 康平
    1990 年 59 巻 4 号 p. 487-494
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    本稿は,地球的規模で起こる環境破壊をモニターし得る唯一の手段である“地球環境観測衛星”について,国際的な活動状況からそれに使われているセンサー技術に至る広範な話題を紹介している.特に近年活動が顕著な“国際極軌道プラットフォーム計画”,“上層大気観測衛星計画”,わが国が開発を推進している“地球観測プラットフォーム技術衛星計画”,日米共同開発による“熱帯降雨観測衛星計画”などについてそれらのミッション,衛星の概要,搭載センサーに使われている技術を紹介している.
  • 石川 延男
    1990 年 59 巻 4 号 p. 495-498
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    フロンガスによる成層圏オゾン層破壊が世界的規模で深刻な問題となっており,代替物質の開発が急がれている.フロンガス(クロロフルオロカーボン: CFC) に含まれる塩素原子は,成層圏で紫外線により光分解され,生態系を保護しているオゾン層を触媒的に破壊する.フロンの性質として必要欠くべからざる条件を満たすためには, CFCの代替物質はやはりフルオロカーボン化合物から選ぶのが本命である.代替物質として有望な水素を含むフロン(ヒドロクロロフルオロカーボン: HCFC, ヒドロフルオロカーボン: HFC) について述べた.従来のCFCに比べ数倍の価格になるが,環境問題から言ってもやむを得ない.
  • 水野 光一
    1990 年 59 巻 4 号 p. 499-503
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    成層圏オゾン層破壊や地球温暖化の原因とされるフロンガスの対策には安全な代替フロンを開発する技術とともに,使用過程や使用後のフロンを大気へ放出するのを抑制する技術がある.本稿では後者の放出抑制を目的としたフロンの回収や分解について研究開発の現状を述べる.
  • 塩田 進
    1990 年 59 巻 4 号 p. 504-508
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    地球環境のグローバルな監視,海洋・大気などに見られる地球規模の現象の理解と予測,地球資源の管理などには,衛星による地球観測は不可欠である.衛星を用いた地球環境に関する学術的研究の例として,文部省科学研究費で進めている重点領域研究「衛星による地球環境の解明」について紹介する.
  • 荒川 裕則
    1990 年 59 巻 4 号 p. 509-514
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    地球規模の環境問題として注目されている地球温暖化の主要因である炭酸ガスの固定化技術の現状と再資源化技術の可能性について紹介した.炭酸ガスの固定化法は物理的固定法,生物的固定法,化学的固定法に分けることができる.各々特徴があり一長一短であるが,エネルギー問題として採算があう方法は太陽光などの自然エネルギーを利用する方法しかなく,植物による光合成や人工光合成技術が有望であり,これらの技衛開発の進展が望まれる.炭酸ガスを炭素資源として考え,積極的な再利用を考えるならば,大量の炭酸ガスが固定できる接触水素化によるメタノール合成が好ましいことを紹介した.
  • 小長井 誠
    1990 年 59 巻 4 号 p. 515-518
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    代替エネルギーとしての太陽光発電の可能性,太陽電池開発に関する研究の状況,ならびに大規模発電に向けての変換効率,製造コストの目標値を紹介している.また,現在の太陽電池の生産量や製造コストなどについても触れるとともに,夏のピークカットなど当面,緊急に必要とする応用分野を紹介している.
  • 平山 省一
    1990 年 59 巻 4 号 p. 519-525
    発行日: 1990/04/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    原子力技術は中性子利用で実現した20世紀の新技術であり,これに続いて, 21世紀にはミューオン利用,バイオ技術などの新技術が展開するであろう.原子力技術のリスクである放射線汚染と在来の物質公害の差異を論じ,地球環境保全に対して貢献するための原子力技術の効用(原子炉利用・核種消滅)の課題と展望を述べる.
feedback
Top