炭素原子が60個かご状に結合したC
60フラーレンのfcc結晶に,アルカリ金属などをドープすることにより,超伝導体ができることが約1年前に発見された.この系での最も高い
Tcは33Kである.本文では特に,これら超伝導フラーレンの超伝導特性について述べている.格子定数と
Tcはほぼ線形に比例し,これはフェルミ面の電子密度と関連づけられる.GLコヒーレンス長は短いが,格子定数よりもいくらか大きい.超伝導エネルギーギャップはトンネル分光で2Δ=5.2
kBTc,ラマン散乱でもう少し小ざい値を示している.いずれにしても強結合超伝導を示唆している.
12C/
13Cアイソトープ効果の実験から,異常に大きなαの値が見つかっている(α=1.4±0.4).詳細な解釈は別としても,超伝導電子体の生成にフォノンの強い関与があるのは明らかだ.
抄録全体を表示