複数個の下準位をもつ原子系のレーザー光励起過程において,適当な条件のもとで,原子は量子干渉効果により,下準位のコヒーレントな重ね合わせの状態にトラップされる.つまり,この重ね合わせの状態と上準位との間の光学的遷移は禁制であり,いったんこの状態にトラップされた原子は,レーザー光により上準位に励起されなくなる.またその状態の持続時間は上準位の緩和時間にも無関係である.ここでは,このポピュレーショントラッピングの原理を簡単に述べ,その効果の観測実験および,その特徴を積極的に応用した最近の研究をいくつか紹介する.
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