オージェ電子分光法の定量化を実現するにはオージェ電子利得の絶対側定が不可欠であり,このため新たに同心円筒鏡型オージェ電子分光器 (CMA) を製作しその特性を評価した.
このCMA (VAMAS-type CMA)は,同軸型電子銃を内蔵し,分析電子取込角度42.3°±6°に設定されている.その特性は理論計算通りのエネルギー分解能0.24%を有し,分光エネルギー10eV以上に対し,スペクトル高さで5%の,またエネルギー位置で0.leV(あるいは0.01%)の精度を示した.スペクトルのゴーストはメインピークの0.1~0.2%で十分小さい.得られた銀のスペクトルは微細構造を示しており,本CMAのきわめて優れた特性を裏付けている.
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