低温かつ低損傷の表面清浄化技術として,原子状水素 (H・) によるGaAs表面酸化物の除去が注目されている.本報告ではその反応機構を,昇温脱離, X線光電子分光法,低速電子線回折,脱離種の実時間観測により調べた結果を紹介する. H・には,高温まで安定で除去しにくいGa
2O
3型酸化物を,低温で脱離するGa
2O型酸化物に改質する作用のあること, As酸化物とGa酸化物の共存する自然酸化膜の場合には,まず, As酸化物がH・により還元されて, As分子として脱離除去され,次いでGa酸化物がGa
2O型酸化物へと還元され,脱離することがわかった.このGa
2O型酸化物の挙動が,酸化膜除去反応の全体像を理解するカギであることを示す.
抄録全体を表示