21世紀中葉のエネルギーを展望するには,合理的なエネルギーシステムのビジョンのもとに,さらに技術開発の動向や可能性も考慮に入れなければならない.当然,これら技術開発の成果はエネルギー需給,地球環境問題の解沫に極めて効果的であるが, 21世紀型のエネルギー・地球環境対策技術は,高度に複雑なシステム技術となるであろラから,実用化に至るまでには長期間のリードタイムを必要とする.したがって,長期的視点に立って,それらシステムの特性を踏まえた技術開発が重要となるところに,これまでにない困難な点がある. こうした問題意識の下に本稿では,まず現在最も信頼性が高い予測の一つである世界エネルギー会議 (WEO: World Energy Council) のエネルギー供給シナリオを紹介する.さらに,これらの知見.をもとに,わが国に主点を移し,これからのエネルギー関連技術開発の動向を考慮しつつ, 21世紀中葉におけるわが国のエネルギーを展望する.