近年, II-VI族化合物半導体において量子井戸構造が作製され,青緑色レーザーが開発されようとしている.このような構造においては,二次元効果により励起子効果が大きくなり,室温においてもレーザー発振に励起子が関与しうるのではないかと期待されている.このことは,励起子のもつ大きな振動子強度を考慮に入れれば,発振しきい電流密度の低減化につながる可能性がある.一方,レーザー発振機構の解明を含めた発光ダイナミクスの研究は,励起子の非線形性を利用した将来の光機能素子としての応用上重要である.本稿では, ll-Vl族半導体量子井戸構造におけるレーザー発振機構に関してこれまでに報告されている各モデルを紹介した後,励起子発光の局在効果,高密度励起効果に関して時間分解分光により得られた最近の研究結果を概説し,今後の研究の展望を述べる.
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