高温 (~1500°C) で非常に安定な熱電子放射特性を示すZr-O/W (100) の表面特性の解明を試みた.オージェ電子分光法,イオン散乱分光法,仕事関数測定および反射高速電子回折法を用いた高温状態における表面キャラクタリゼーションにより,このZr-O/W (100) 表面は使用条件下 (~1500°C, ~10
-6Pa) において; (1) Zrがon topにp (1×1) 構造をとって配列し,その直下に酸素原子が位置することより電気二重層が形成され,仕事関数を大きく下げること, (2) この表面は残留ガスによる吸着やイオン衝撃に対して一種の自己修復機能を持っていること,を実験により見出した.
これらの実験を通して,高温状態での表面キャラクタリゼーションが,高温でのみ観測される新しい表面物性についての知見をもたらすことを指摘し,表面物性分野に新たな展開をもたらすことへの期待を述べた.
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