脳は基本的に二つのサブシステムから構成される.一つは,神経電流,神経伝達物質,そしてホルモンによる物理化学的な情報伝達システムであり,もう一つは,血液を媒体としたエネルギー伝達システムである.最近,新しい高次脳機能計測技術である機能的磁気共鳴描画と光トポグラフィーが開発された.計測原理は,活性化された大脳皮質機能領野へのエネルギー供給に基づいている.これらの技術は放射性物質を使用しないので,完全な無侵襲的画像化技術である.われわれ人間にも適用が可能なため,脳神経科学におけるマクロなアプローチへの鍵となる可能性がある.今後,脳精神科学は極めて重要な包括科学に成長すると期待されるが,計測と分析によって貫かれた超分野的なアプローチが決定的に重要となる.
抄録全体を表示