銅酸化物高温超伝導体は,ペロプスカイト (ABO
3) 系複合銅酸化物を基本とする化合物で,超伝導の舞台となるCuO
2面と導電キャリアを供給する電荷溜層の交亙積層という特徴的な層状結晶構造を示す.カチオンのサイト置換が容易である, Bサイトイオンに相当する銅の原子価が変化しやすい,酸素の不定比性が起こりやすいなど,化学的にもべロブスカイトの持つ柔軟性と多様性を合わせ持つ.誕生後この10年間で見いだされた一連の化合物の組成と結晶構造を概観するとともに,不定比酸素量によって転移温度
Tcが大きく左右される銅酸化物超伝導体における,酸素量の制御や物性との関連について述べ,物質的・化学的な側面から,レビューする.
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