質量は国際キログラム原器を単位として表される物理量である.周波数,長さ,電流,電圧,抵抗といった物理量の単位の多くが暴子効果を用いて粟現できるのに対し,質量は依然として白金イリジウム含金製の分銅という人工物によって定義される唯一のSI基本単位である.この基本単位を,原子の質量や墓礎物理定数を墓準とする新しい定義へと移行させることが各国の標準研究機関で検討されている.近年, X線結晶密度法やワットバランス法などによるアボガドロ定数やプランク定数の計測技術が発農し,これらの基礎物理定数を用いて質量の単位を物理標準化することが期待できるようになった.本解説では,質量の単位の物理標準化に関する最近の動向について述べる.
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