3d遷移金属の酸化物を原子分子層単位で積層した人工格子では,その組み合わせ,および積層面方位を選ぶことにより強磁性,反強磁性,スピングラスなどの磁気的性質を自在に制御できる.さらに,これら磁性層を非磁性の Ti 酸化物から成る誘電体層や有機物層など,機能を調和させたヘテロ構造を構築することにより,光,磁場,電場に応答し,ユニークな経路で情報伝達する“伝達機能格子”が創成される.ここでは,有機物層で検出した光情報を,強誘電体の分極情報を経て,磁性半導体のスピン情報,電気伝導情報へと,多段階情報伝達が可能であることを初めて示した.これらの機能調和人工格子により,「脳型メモリー」や「超五感センサー」などのユニークな素子が期待できる.
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