日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
選択された号の論文の1002件中1~50を表示しています
招待講演
  • 稲垣 敏之, 喜岡 恵子
    セッションID: SL-001
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
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    交通移動体の操縦や運転は,知覚・認知・判断・操作が反復されるタスクである。人である以上,注意が途切れたり,思い込みに捕われたり,意図したように身体が反応できないことがある。その影響を防止・最小化するために知能機械が導入されて久しいが,人に能力の限界があるように,機械にも能力の限界がある。そのことから,従来の人間-機械系では,たがいの能力の補完に焦点を置いた設計が図られてきたが,機械が人を凌ぐ能力を備えるようになった今,機械にすべてを任せる設計も現実味を帯びるようになっている。

    しかし,機械が人を凌ぐ能力を持つからといって,決定・実行の権限を機械に与えてよいとは限らない。一方,機械が常に人の指示・許可を仰がねばならないものでもない。この古くて新しい問題を,離陸を除く全飛行フェーズが自動化されて約30年の歴史を持ちながらも人が機械を監視制御する形態を守る航空機と,無人自動運転も視野に入れる自動車を比較しつつ,人と機械の共生をヒューマンファクターの観点から考察する。

  • Erik Hollnagel, 喜岡 恵子
    セッションID: SL-002
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
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    安全マネジメントにおけるレジリエンスエンジニアリングの重要性を説かれるエリック・ホルナゲル教授をお招きし,Safety-IIと呼ばれる新しい考え方から安全マネジメントの過去・現在・未来についてご講演いただきます。

     

    We will invite Dr. Erik Hollnagel to talk about the importance of resilience engineering in safety management. He will present a lecture regarding the past, present and future of safety management based on the new perspective called Safety-II.

  • Nichola Rumsey, 真覚 健
    セッションID: SL-003
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
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    Societies have been interested in ‘looks’ since records began, but currently, the emphasis on physical appearance is particularly pervasive. Messages in advertisements, programming in broadcast media and the content of social media feeds suggest to consumers that achieving an appearance close to current ideals will open doors to ‘the good life’. For many, the value placed on outward appearance has become disproportionate to other aspects of self-esteem and self-worth and currently, more than two-thirds of young people and adults in many countries worldwide report significant levels of dissatisfaction (and for many, distress) in relation to their appearance. Research has demonstrated a broad range of negative impacts for large numbers of young people and adults in key areas of living, including psychological wellbeing, physical health, educational, occupational and social functioning. Researchers, health professionals, educationalists and policy makers in many countries consider that appearance dissatisfaction is now a pressing social issue. Key challenges for psychologists working in this field are to find effective ways of ameliorating this distress in individuals and also contributing to efforts to prevent the further spread of appearance dissatisfaction in the general population.

     

    有史以来,社会は「容貌(looks)」に関心を持ち続けてきた。しかし現在,身体的なアピアランス(外見)を強調することがとりわけ蔓延している。広告のメッセージや放送メディアの番組,ソーシャルメディアに載る内容は,この時代の理想に近いアピアランスを得ることは「良い人生」につながる道であることを消費者に示唆している。多くの人にとって,外面のアピアランスの価値は,自尊感情や自己価値といった面に比べて不釣り合いなくらい大きなものとなっている。世界中の多くの国で,若者やおとなの2/3以上の者が,自分のアピアランスについて非常に高いレベルで不満(多くの人では,苦悩)であると述べている。非常に多くの若者やおとなにとって,心理的な幸福感,身体的な健康,教育的,職業的,社会的な機能といった生活の重要な領域において広範に渡るネガティブな影響があることを研究は示してきた。多くの国における研究者,医療従事者,教育者,政策立案者は,アピアランスへの不満は今や差し迫った社会問題であると考えている。この分野で働く心理学者にとっての主要課題は,個人のこの苦悩を改善する効果的な方法を見出すことであり,一般集団におけるアピアランスへの不満のさらなる広がりを防ぐ試みに寄与する効果的な方法を見つけることである。

  • Charles Spence, 菊谷 まり子
    セッションID: SL-004
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
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    There has been a dramatic growth of interest in the crossmodal correspondences over the last 50 years or so, with the majority of this research having focused on crossmodal associations between stimuli presented in the auditory and visual modalities. While traditionally conceptualized in terms of synaesthesia, there is now an extensive body of scientific evidence demonstrating the existence of audiovisual crossmodal correspondences in the general (i.e., non-synaesthetic population) extending all the way from the perceptual affinity between simple sensory features (such as pitch, hue, size, and shape), through to the correspondences that many people feel between musical excerpts and paintings, or even artistic/architectural styles. Over the years, a number of explanations have been put forward for the crossmodal correspondences, including the statistically-, structurally-, semantically-/lexically-, and emotionally-mediated accounts. What is more, commentators from diverse theoretical backgrounds have also suggested a physical basis for the mapping between colour and pitch, given the fact that both can be represented on circular dimensions. Certain correspondences may be based on the shared connotative meaning of stimuli as, for example, assessed by means of the semantic differential technique. There may also be a place for ‘stylistic correspondences’ in the case of complex, culturally-meaningful auditory and visual stimuli, such as music, paintings, and architecture. While the existence of audiovisual correspondences has long been of interest to those artists, such as Scriabin and Kandinsky, who were once inspired by the phenomenon of synaesthesia, gaining a better understanding of the robustness and regularity/automaticity of such crossmodal correspondences is becoming especially relevant to those interested in developing more intuitive, and hence hopefully less cognitive-demanding, audiovisual sensory substitution devices for those who may have lost a sense.

  • 石山 一舟, 堀毛 一也
    セッションID: SL-005
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
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    精神科医である森田正馬(1938-1874)が神経質治療のための特殊療法として入院及び外来森田療法を開発し治療理論を確立し多くの臨床実践例の報告を始めたのは100年も前のことである。以来,同療法は森田正馬の直弟子や孫弟子にあたる多くの精神医学者を中心にメンタルヘルスや心理の専門家および教育関係者によって脈々と受け継がれて今に至っている。また,戦後徐々に海外に紹介されることが多くなり,近年では海外でも森田療法の治療理念やその根底にある東洋的な人間観に基づく心理療法,カウンセリング,社会復帰のための援助法など多岐にわたり森田療法の応用が実践されてきている。また,海外の治療的アプローチや技法や治療概念の中には森田療法との接点や共通点が見られものがあり,認知療法を基本とした治療法のいくつかは森田療法に近づいてきていると思われるものもある。このような日本内外における森田療法の適用法や応用法の拡大について述べ,西洋で開発された治療法との相違点をいくつか指摘したい。

    博士号Ph.D. (ビクトリア大学 カウンセリング心理学)

    ブリティッシュコロンビア大学教育学部准教授。同大学医学部精神医学科参与兼任。研究分野は,多文化間カウンセリングの指導法,対人不安の治療,異文化適応,マイノリティ差別への対応訓練法の開発。日本森田療法学会より森田正馬賞を受賞(2007年)。国際森田療法学会のプログラム委員,日本森田療法学会常任理事,同学会国際委員会事務局長。

  • 齋藤 洋典, 大島 尚
    セッションID: SL-006
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    人間の心のどんな側面の研究も容易ではないが,中でも意識は心の解明にとっての要でありかつ難関である。意識と同様に意味は人間理解に重要な概念の1つである。両者の共通点は,不確実な世界を生きるために人間が進化の過程で獲得してきた生物的機能である。本講演では,心理学が人間の意味処理活動をいかに捉え,その解明にどのように関わってきたのかについて,講演者が実施してきた意味をめぐる研究を交えて述べる。

    意識と情動と身体とが分離できないように,意味はそれらを離れてはその意義を失う。意味は,憧れや,迷いや,悔やみや,それら一切の矛盾に立ち向かうことなく語られる時に,解き明かす意義を失う。よって,意識や意味は情動や行動を伴わない正解のない単なる心の難問ではない。本講演では,人類を脅かす感染症のパンデミック状況下にあるからこそ,「言葉を超えて意味とは何かをみんなの問題として考える意義がある」と提言する。

  • 南本 敬史, 石田 裕昭
    セッションID: SL-007
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    仕事や勉強,スポーツなど,日常の多くの行動を支え,その結果を大きく左右するモチベーション(=意欲・やる気)は,古くから心理学における主要テーマの一つであるとともに,経済学,医学,教育,経営など様々な分野で取り上げられてきた。神経科学の分野においてもモチベーションは報酬や意思決定などとともに研究が進み,その制御の鍵を握る物質(ドーパミン)や神経回路が解明されてきた。私たちの研究グループはヒトと近縁で発達した脳をもつサルをモデルとして,報酬を獲得するための行動のモチベーションについて心理学の理論をベースにした計算アルゴリズムを導出し,ポジトロン断層撮影(PET)などイメージングや最新の化学遺伝学による神経回路操作を駆使することで,モチベーションの脳内計算とその破綻の仕組みについて研究している。本講演では,モチベーションの脳内処理機構や,うつなどの精神疾患でしばしば見られる「意欲低下」との関連についても合わせて紹介する。

国際賞受賞講演
  • 苧阪 満里子, 河原 純一郎
    セッションID: ITL-001
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    ワーキングメモリ(working memory)は,目標とする行動に対して必要な情報を保持しながら遂行するこころの働きであり,人間の思考や学習などの高次認知の基盤をなす心的過程と考えられる。特にワーキングメモリの中核機能である実行系機能(executive function)は,必要な情報への注意の焦点化と不必要な情報の抑制制御など,ワーキングメモリの司令塔としての重要な役割を担う。

    ワーキングメモリの大きな特徴の一つは個人差が大きいことである。ここでは,実行系機能を評価するテストであるリーディングスパンテスト(reading span test)により明瞭化される個人差をもとに,ワーキングメモリの特徴について考えてみたい。さらに,個人差を導く脳内基盤の探索に関して,fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いた研究に基づく知見から,ワーキングメモリが前頭葉を中心とする複数の脳領域の活動により維持されていること,こうした領域を中心とした注意の制御がその個人差を生じさせていることを紹介したい。

    また,高齢者の認知機能の低下がワーキングメモリの実行系機能の衰退に起因することにも言及したい。さらに,脳のネットワークの機能的結合性解析手法を用いて,ワーキングメモリの個人差を導く安静時ネットワークの代表的なデフォルトモードネットワークと実行系ネットワークの相互作用の特徴についても考えたい。

  • 古賀 一男, 辻 敬一郎
    セッションID: ITL-002
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    名古屋大学・環研研究所で研究三昧の三十数余年を過ごしました.停年前には新しく創設されたエコトピア科学研究所でしたが,両者に共通していたのは研究所という特別な仕事場であるということでした.研究の目的と研究の行動計画が明確であれば24時間365日を自分の好きなように使うことができます.それは自由度が豊富にあるという楽観論ではなく結果を出すことが必須な環境でした.研究に必要な直接経費は自分の責任で取得することも必要でした.自分が所属する研究室には各種の煩雑な事務作業を引き受けてくれる職員がいます.特定の技能を持っている技官という専門職員もいます.組織の歴史によりますが通常は学部教育を免除されます.大学院の定員を持っていますから院生の教育に携わることは重要です.所属していた研究室は最短で3か月,最長で12か月の俸給付きの外国国籍の研究者が滞在できるシステムを持っていましたので,各国から来日する外国人研究者と共同研究の補助をする仕事も重要でした.研究所の各部門が招聘するので私自身の研究と直接的な関わりが無いこともあったのですが,間接的にではあっても研究所の目的という点からは見識を広めることに有益でした.専門性が高い研究者の集まりであっても様々な国から来日する研究者からは得るところが多かったことは明らかです.今回の講演では私自身の研究を紹介いたしますが,研究所で得た領域外の研究者,国外の研究者達から得た経験と知識が私の研究に多くの影響を与えています.良きにつけ悪しきにつけ心理学を外側から見ることができたことは非常に有益だったと思います.

  • 仲 真紀子, 鈴木 華子
    セッションID: ITL-003
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    事件,事故,虐待,いじめ等が疑われる事態では,子どもから何があったか(あるいはなかったのか)話を聴く必要がある。しかし,子どもは誘導や暗示にかかりやすく,詳細な聴取が記憶を変容させたり,虚記憶を作り出してしまうこともある。こういったなかで,できるだけ正確に,できるだけ心理的負担をかけることなく,出来事の記憶につき聴取することを目指す面接法を司法面接という。発達心理学,認知心理学,法と心理学の様々な研究成果が集約される司法面接は,子どもの福祉・司法に関わる過程・手続きの一通過点だが,大きな成果をもたらし得る一点でもある。本講演では司法面接の概要,導入,社会での運用,そして今後の課題につき述べる。

  • 楊 嘉楽, 山口 真美
    セッションID: ITL-004
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    我々が日常に体験している複雑な視知覚世界は,どのように形成されるのだろうか。その発達プロセスを解明するため,講演者はこれまで,乳児を対象とした実験を行ってきた。本講演では,乳児におけるカテゴリカル色知覚と前恒常性を中心に報告する。

    色は連続的に変化するにもかかわらず,ヒトは微妙に異なるいくつかの色を一つのカテゴリとしてまとめて知覚する「カテゴカル色知覚」をもっている。サピア=ウォーフ仮説が提唱するように,色カテゴリの分け方は言語と密接な関係があると言われてきたが,私たちは言語獲得前の乳児で成人と類似した色カテゴリに関わる脳内処理が存在することをNIRS(近赤外分光法)で示すことができた。実験では被験者がカテゴリの中で2色に変化する画像と,カテゴリを超えて2色に変化する画像を観察したときの脳血流反応を計測した。その結果,成人被験者も乳児被験者も,色カテゴリ内の色の変化と比べ,色カテゴリ間の色の変化を観測する際に,酸素化ヘモグロビンが上昇することが判明した。さらに,色カテゴリの変化に伴って生起する脳活動反応は後側頭領域であり,初期視覚野ではないことが示された。これらにより,言語獲得前の乳児に色カテゴリが存在し,カテゴリカル色知覚は言語と独立した生理学的基盤を持つことが示唆された。

    知覚恒常性を獲得する前段階の乳児の知覚に関して,私たちは成人の意識に上らない視角や照明による画像変化に気が付ける「前恒常性視覚」の概念を提案した。視覚系では複雑な画像から不変項を抽出すると同時に,照明や視点に依存する情報を無視することにより,知覚の恒常性が成立する。その結果,成人では光沢感の変化が容易に検出できる一方で,照明環境を反映する映り込みの変化に気づかない。しかし,質感の視覚機能が十分に発達していない乳児は,3-4ヶ月のときに映り込みの変化を検出できたのに対し,5-6ヶ月以降で検出不可能となった。一方で,光沢の変化は7-8ヶ月にならないと検出できない。この発達過程から,物体の高次特徴を処理する能力を獲得する以前の段階にある3-4ヶ月児は,成人が無視する局所的な画像情報に反応し,特殊な「前恒常性視覚(pre-constancy vision)」を持つことが示唆された。

    当日はこれ以外に光沢感や色恒常性に関する一連の研究について言及する。

日本心理学会企画シンポジウム
  • 日本心理学会 機関誌等編集委員会 Japanese Psychological Research編集小委員会​, 石井 敬子, 今井 むつみ ...
    セッションID: JPAS-001
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    英語論文を投稿し公刊することは,若手の心理学者にとって自身の研究を世界に知ってもらうだけでなく,我が国の心理学全体の世界的なプレゼンスを高めるためにも重要な意味を持ちます。その意義は近年広く浸透し,英語論文の投稿・公刊は従来よりもかなり増加しています。とはいえ,投稿・公刊に至るプロセスをどう攻略していくのかは実際のところ明確ではなく,そのために悩んだり時間がかかったりすることも多々あるかと思います。また,投稿雑誌をどのように選んだらいいか,国際誌がどのように審査されるのか,査読のコメントにどう対応したらいいか,そもそも論文の完成度を高めるにはどうしたらいいか等の問題に直面し,英語論文の投稿・公刊に高い壁を感じている方もいらっしゃるでしょう。さらに昨今ではサンプルサイズの設計やデータの公開等も求められてきており,それらの動向を知ることも重要です。日本心理学会機関誌等編集委員会では,2010年に「英語論文投稿への道―入門編―」を開催して以来,8度にわたり同趣旨の講習会を開いてきました。これまでの講習会も多くの方にご参加いただき,ご好評を持って迎えられてきました。今年は,研究領域やキャリアの異なる3名の研究者にご講演いただきます。国際誌の編集や査読の経験も含め,第一線で活躍されている研究者が培ってきたコツやスキルを提供し,英語論文の投稿・公刊を後押ししたいと考えています。

  • 日本心理学会 若手の会​, 横光 健吾, 中川 裕美, 平石 界, 山田 祐樹, 武藤 拓之, 中村 大輝, 国里 愛彦
    セッションID: JPAS-002
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    2015年のScience誌における,過去の心理学の研究知見の多くが再現されないという報告に端を発し,心理学研究の再現性にまつわる課題とその対策に関する議論が盛んに行われている。とりわけ,今後長いキャリアの中で多くの研究を行い,次世代を育成していく若手心理学者にとっては,この新たな心理学研究の動向の理解と実践は重要であると考えられる。本シンポジウムにおいては,心理学研究の再現性を高めるための手続きを実際に研究に取り入れている若手を中心とする心理学者,及び関連領域の研究者からの話題提供を通して,若手を含めた心理学者が当該の問題に取り組むにあたっての課題なども整理しつつ,今後個々の研究者がどのように取り組んでいくべきかをフロアの参加者とともに議論したい。

  • 日本心理学会 若手の会​
    セッションID: JPAS-003
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    第83回大会に引き続き,若手の会から学部生を含めた若手に対する企画として,若手向けの進路相談会を開催する。学部生だけでなく,院生やポスドクも参加できるよう,学部生から修士課程,修士課程から博士課程への進学,およびその後の就職も含めたキャリアパスの相談に対応すべく,多様な領域で活躍する大学院生,若手研究者,若手教員が相談に応ずる。相談形式としては,参加者と担当者が複数名で話し合う集団形式のオンライン進路相談会で相談者のニーズに対応する予定である。

  • 日本心理学会 男女共同参画推進委員会​, 広田 すみれ
    セッションID: JPAS-004
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    昨年に続き,気軽な雰囲気で,研究周りの職場やライフイベントに関わる情報交換やTipsのシェアと主に女性会員(もちろん男性も)のネットワークづくりを目的とします。今年のテーマは「あなたの周りの職場や学校での育児や介護への配慮」。職場により育休や介護休暇のための振休の有無,学内委員就任に関する配慮,非常勤でも育休やTA配置があったケース等違いがあるので,情報交換を通して今後どんな対応を求めることが可能か,知恵やヒントを共有しましょう!なお,今年は新型コロナ対応のため,割り当てられた時間帯にzoomを使って遠隔で約1時間半程度実施予定です。遠隔地の方も参加しやすいかもしれません。オンラインでもお茶を飲みながら気軽に,は昨年同様。自己紹介後,今年のテーマのディスカッションをします。もちろん新型コロナ対応のTipsの情報交換や研究のネットワーク作りの場にもしてください。

  • 日本心理学会 男女共同参画推進委員会​, 田口 久美子
    セッションID: JPAS-005
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    日本心理学会男女共同参画推進委員会では,2019年大会において,初めての試みとなる女性研究者ネットワーキングイベントを行いました。そこでは研究者としての思い,研究と生活とのバランス,研究者への道への葛藤などが語りあわれ,思いが共有されました。そこで今年は,キャリアアップメンタリング・キックオフのワークショップと位置づけ,会員から,キャリアアップに関して意見交換の場を設けることにしました。今回のワークショップでは,個々の会員が受けたメンタリングの内面の共有には踏み込まず,日本心理学会でのメンタリング制度の構築に向けての情報交換の場となることをめざします。今大会は新型コロナ対応のためzoomを使い約60分で実施予定です。女性研究者ネットワーキングイベントに続けてご参加ください。もちろん,単独でのご参加も歓迎いたします。

  • 日本心理学会 教育研究委員会 調査小委員会​, 三浦 麻子, 国里 愛彦, 樋口 匡貴, 北條 大樹, 清水 裕士
    セッションID: JPAS-006
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    心理学の再現性の危機が指摘されるようになってから久しくなり,どのように再現性を高めるのか,心理学研究という営みをどのように再構築していくのか活発に議論されるようになってきた。再現可能な心理学研究を行うための研究実践は緒に就いたばかりになる。

     

    そこで,本シンポジウムでは,JCORS(オープンで再現可能な科学のための日本コミュニティ)のメンバーが以下の話題提供を行う。まず,樋口匡貴氏が,「“正しい”研究実践を共有する:再現性問題・QRPs・事前登録に関する教育」と題して,事前登録やQRPsを含む再現性問題にまつわる教育実践について発表する。次に,北條大樹氏が,「方法・結果の再現性:手続き・データ・解析共有の意義とその実際」と題して,手続き・マテリアル・データ・解析の共有による方法・結果の再現可能性を高める取り組みについて,その意義と実際について発表する。両発表ともに,明日からの研究実践に取り込めるよう,具体的にどのような手続きをとるか,実践時に生じる課題と解決法についても発表する。最後に,清水裕士氏より,「再現可能性にかかわる統計的問題と新しい論文のカタチ」と題して,研究の再現性にかかわる統計的問題について指摘した上で,これからの心理学研究における研究報告のあり方について問題提起を行う。

     

    ※本シンポジウムは日本心理学会教育研究委員会調査小委員会企画によるものです。

  • 日本看護科学学会 日本心理学会​, 坂上 貴之, 鎌倉 やよい, 増田 真也, 飛田 伊都子, 伊藤 正人, 北岡 和代, 野村 晴夫, 山 ...
    セッションID: JPAS-007
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    高齢化や格差社会化などが進展し,我が国の医療,健康上の課題が山積みとなっている中,看護学と心理学とが共同して取り組むべき研究領域はこれまで以上に増えているものと思われる。本シンポジウムは,看護科学と心理科学のそれぞれの強みを改めて理解,確認しつつ,さらなる共同を促進していく機会とすることを目的としている。具体的には,実験研究法(特にシングルケース研究法),調査研究法,質的研究法の3つのアプローチに関して,看護学研究者,心理学研究者の双方から話題提供を行い,共同研究がいかになされたのかや,今後の発展の可能性を,参加者との積極的な討論を通じて探る。(なお,本シンポジウムは日本心理学会と日本看護科学学会の共同で企画された)

     

    所属訂正

    (誤)

    坂上 貴之(慶應義塾大学)

    岡谷 恵子#(日本看護系大学協議会)

    (正)

    坂上 貴之(慶應義塾大学・日本心理学会理事長)

    岡谷 恵子#(日本看護科学学会理事)

  • 公認心理師養成大学教員連絡協議会, 丹野 義彦, 鈴木 伸一, 島田 隆生, 長田 久雄, 小関 俊祐, 古村 健, 古川 洋和
    セッションID: JPAS-008
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    公認心理師の養成にはいろいろな課題がある。今回は,現在の養成において最大の問題のひとつである現場実習に焦点を当てて考えたい。

    公認心理師制度推進室からは,厚生労働省 令和元年度障害者総合福祉推進事業「公認心理師の養成や資質向上に向けた実習に関する調査」の結果などを踏まえて話題提供いただく。

    また,公認心理師養成大学教員連絡協議会(公大協)の現場実習検討委員会では,実習についての詳細なアンケート調査をおこない,現場での問題点を洗い出し,現場実習マニュアルを作成した。マニュアルは,実習担当者用と実習者用のふたつに分かれている。一般社団法人公認心理師の会の会員にも意見を聞いて改訂した。このアンケート調査やマニュアルについて話題提供いただく。

    続いて,現場実習を受け入れる現場の側からの意見と,現場実習を依頼する大学側からの意見について話題提供いただく。

  • 日本心理学会 国際委員会​, 古見 文一, 植阪 友理, 眞嶋 良全, 佐藤 徹男, 清河 幸子, 河原 純一郎
    セッションID: JPAS-009
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    研究テーマを深めたり,広く展開する上で共同研究は有効である。そのパートナーに,国内の研究者だけでなく,海外の研究者も含めることが出来れば,共同研究はより豊かで幅広い展開が可能となるだろう。しかし,お目当ての海外の研究者がいたとしても,どのように共同研究を始めてよいかわからないという人は少なくないように思われる。本シンポジウムは,「国際共同研究を行ってみたいけれども,どのように進めたらよいかわからない」という悩みをもつ方々に対して,具体的な事例を通じて,情報提供を行うことを目的としている。3名の話題提供者には,それぞれの国際共同研究がどのようなきっかけで始まり,展開したのか,また,そのプロセスの中で工夫した点などについて詳細にお話しいただく予定である。一口に「国際共同研究」と言っても様々な形があり得ること,また,それを始めるきっかけも,学振PDや海外学振で海外の研究室に滞在したことや,大学や研究室のネットワークを通じて海外の研究者が来日したこと,また国際学会で意気投合したことなど多様である。参加者の方々には,「国際共同研究は意外に身近なきっかけから始まる」「あと少しの努力と工夫で始められる」と感じていただき,本シンポジウムが,より多様で豊かな共同研究のきっかけとなることを期待している。

  • 日本心理学会 国際委員会​, 佐藤 隆夫, 鈴木 華子, Rozainee Khairudin, Ron Resurreccion, 葉 光 ...
    セッションID: JPAS-010
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    現在のアジアの心理学の現状を知って頂くために,4カ国の心理学会を代表する方々に,各国の現状をお話し頂いた上で,Simon Crowe氏(アジア太平洋心理学連合,オーストラリアLa Trobe大学)と,鈴木華子氏(JPA国際委員会)に発表全体をまとめた議論をして頂くと共に,Crowe氏にはAPPAの現状もお話し頂く.各国代表にお願いした現状紹介の内容は,各国における(1)心理学の主要な社会貢献,(2)心理学の大学教育,大学院教育の現状,(3)心理学を学んだ人の進路,(4)どういう分野の心理学が盛んか・心理学の分野比率(大学教育,or 心理学会の会員比率 等),(5)心理学会が取り組んでいるコロナ渦に対する対応,(6)APPAに何を望むか,どのような貢献ができるか等である.

  • 日本心理学会 国際委員会​, 毛 新華, 杉若 弘子, 清水 由紀, 鈴木 華子, 閻 琳, 孟 憲巍, 閩 倢, ウィワッタナーパンツウォ ...
    セッションID: JPAS-011
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    日本心理学会「留学生ネットワーク」は,日本に留学して心理学を学んでいる学生(大学院生,進学希望の学部学生等)をさまざまな形でサポートする組織として2019年に正式に設立されました。以来,毎年,年次大会でシンポジウムを開催して,留学生同士の交流はもとより,留学後に日本や母国で活動している方々,日本への留学を希望している各国の学生,留学生を指導している教員など,多くの方々との交流を積極的に進めてきました。引き続き,本年の大会においてもシンポジウムを開催することになりました。今年は,「留学生ネットワーク」の会員で,博士号取得のために奮闘している大学院生や,日本の大学院で博士号を取得後,日本の大学や母国の大学で教育・研究に従事されている方々に登壇をお願いし,留学生活の苦楽やノウハウ,日本で心理学を学ぶアドバンテージ,さらに,ご自身の研究について語っていただくことになりました。様々な立場の方々の経験を共有することで,ネットワークに集う方々の研究が実り豊かになることを目指します。

  • 日本心理学会 認定心理士の会​, 日本学術会議 心理学・教育学委員会 社会のための心理学分科会, 日本基礎心理学会, 木村 和貴, 増本 全 ...
    セッションID: JPAS-012
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    現代社会では,心理学が疑似科学としての域を出ない学問と認識されている事実がある。このような誤解は大学での心理学の意欲的な学びを阻害するだけでなく,心理学の学びを活かした卒業後のキャリアパス形成にも悪影響を及ぼしている。心理学に対する誤ったイメージの形成は公認心理師資格の誕生により,さらに異なる方向へと拍車がかかることが予想される。すなわち,心理学高等教育が心理的支援の実践家養成のためだけにあるという誤解である。心理学に対する誤ったイメージに端を発する様々な問題を解決するためには,心理学の正しい知見や心理学の応用領域への貢献について,社会的な理解を深める必要がある。そこで本シンポジウムでは,中等教育から心理学高等教育へ進む「入口」,心理学高等教育から社会へ進む「出口」に存在する「心理学への誤解」を浮き彫りにすべく,各フィールドで活躍する実践家に話題提供頂く。さらに,心理学を学んだ人材が(心理的)支援以外のキャリアパスを構築する際のロールモデルとして,社会で活躍する認定心理士に話題提供頂く。日本心理学会が資格審査を行う認定心理士は,大学での心理学の学びを修めた人材の代表的なモデルとなる。シンポジウムを通じて,心理学の入口と出口の現状を浮き彫りにし,それらを適正化するための課題を抽出する。さらに社会で活躍する認定心理士有資格者の実践例から,心理学を学んだ人材のキャリアパスの多様性を示す。

     

    企画者訂正

    (誤)

    日本心理学会 認定心理士の会

    (正)

    日本心理学会 認定心理士の会

    日本学術会議 心理学・教育学委員会 社会のための心理学分科会

    日本基礎心理学会

  • 日本心理学会 若手の会​
    セッションID: JPAS-013
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    昨年の第83回大会に引き続き,若手の会企画の一つとして学部生および高校生を対象とした「プレゼンバトル」を開催する。

    本企画は,大会での発表機会がない学部生および高校生に発表の場を設けることを目的としている。発表内容は,現在取り組んでいる,または,今後取り組む予定である研究計画(卒論の中間発表等も含む)や課題研究とし,5分程度でいかに魅力的なプレゼンテーションを行うことができるかを審査する。

    なお,前回大会までのプレゼンバトルは個人での発表であったが,今大会からグループ発表枠を設ける予定である。ゼミ活動で取り組んでいる課題など,日頃の学習や活動の成果について発表することを通じて,多くの学部生や高校生が活躍し,彼らの将来につながる有意義な場としたい。

大会準備委員会企画シンポジウム
  • 三浦 麻子, 小塩 真司, 吉野 伸哉, 地福 節子
    セッションID: IS-001
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    ここ10年ほどの間に心理学ではオンライン調査,特に一般市民サンプルを対象としたWeb調査が急速に普及してきた.しかし一般市民サンプルは大学生に比べて多様性は高いとはいえ,調査会社の登録モニタやクラウドソーシングサービスの登録者であり,代表性が担保されているとは言いにくい.また数多くの調査に答え続けている「猛者」が占める割合が多いという問題もある.そこで本シンポジウムでは,こうした問題点をベースに,新しいオンライン調査のかたちとしてコミュニケーションアプリLINEの利用者を対象としたものを取り上げ,その特徴をLINEリサーチの自主調査データ分析から検証し,また同社リサーチャーから詳細なご紹介をいただく.

  • 北村 英哉, 清水 由紀, 村山 綾, 山本 真也, 唐沢 穣
    セッションID: IS-002
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    人の道徳性に関する実証研究は,近年,その対象や分野を拡げながら新たな展開を見せている。多様な社会問題の背景にある直観的かつ複雑な道徳的判断の構造について,道徳基盤理論に基づく研究が精力的になされる一方で,よりプリミティブで普遍的な道徳判断が発達のごく早期に見られることが報告されている。さらには,進化的に近縁である霊長類を対象とした研究により,ヒト社会において見られる道徳的性質の進化的起源について解明が試みられている。これらの各分野での研究の進展は目覚ましいが,しかし知見が互いに統合されることなく別個になされてきている感が否めない。そこで本シンポジウムでは,まず近年特に知見が積み重ねられつつある,社会心理学,発達心理学,比較認知科学の各分野におけるモラル研究の最前線について紹介する。その上で,これらの多様なアプローチによる研究の知見を統合したときに,人の道徳性の本質,つまり「ヒトらしさ」についてどのような新たな視座を得られるのかについて議論したい。

  • 喜岡 恵子, 水間 毅, 楠神 健, 小松原 明哲, 芳賀 繁
    セッションID: IS-003
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    交通分野における自動化は,航空機において早くから進められ,1930年代には自動操縦装置によりパイロットの負担を大幅に軽減し,1990年代初頭には離陸を除く全飛行フェーズの自動化がなされた。現在では,自動車の自動運転化に向けて多方面で議論が盛んである。航空機や自動車に比較すればシンプルなシステムである鉄道では,乗務員のいない自動運転(無人運転)が日本では1970年代から始められたが,その導入にあたっては,安全・安定輸送の観点からさまざまな技術的要件が定められている。例えば「踏切のない高架構造等であること」が要件となっているため,「踏切等のある一般的な路線」に自動運転はこれまで導入されてこなかったが,国土交通省は,最新技術の利活用によって,一般的な路線への自動運転の導入可能性を技術的に検討し始めている。本シンポジウムでは,一般的な路線への自動運転の導入可能性について,水間氏が技術的課題を,楠神氏がヒューマンファクター的課題を,喜岡が心理・社会的課題を取り上げる。さらに,安全人間工学の視点から小松原氏に,交通心理学の視点から芳賀氏に加わっていただき,鉄道の自動運転化に伴うさまざまな課題について多面的に議論していく。ここでの議論が鉄道分野だけでなく,各産業における自動化の課題の洗い出しやその解決のヒントになれば幸いである。

  • 阿部 恒之, 北村 英哉, 原 塑
    セッションID: IS-004
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    新型コロナウィルスの感染拡大は,生命や健康上の重大問題であるばかりでなく,様々な社会問題を巻き起こした。

    学校の閉鎖。営業自粛要請。自粛をしないパチンコ店と,その店名を名指しした大阪府知事。緊急事態宣言とその解除。海外におけるロックダウンによる強力な行動制限。様々な対策や行動が賛否の意見に曝され,数々の対立を生じた。

    また,直接会うことが制限される中,コンピュータやスマホを使った在宅勤務やオンライン飲み会(Zoom飲み・LINE飲み),遠隔授業が普及し,画面越しのコミュニケーションが急速に発達した。操作パネルのタッチレス化,グローバル化に逆行するような鎖国的経済へのシフトなど,人と人との場の共有・交流や肌の触れ合いなどが極度に抑制された社会が,コロナ後の「ニューノーマル」になるという推測もある。

    このようなコロナが招いた事態は,自由と公共性,あるいは同調圧力・正常性バイアス・楽観性バイアス,さらには身体性など,様々な問題を提起する。哲学と心理学という異なる立場から,これらの問題を,鼎談の形で議論したい。

  • 桐生 正幸, 島田 貴仁, 畑 倫子, 樋口 匡貴, 高木 大資, 石盛 真徳, 荒井 崇史
    セッションID: IS-005
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    日本の犯罪被害(年間90万件)の規模は交通事故や労働災害を上回り,その未然予防は社会的課題である。刑事司法の各段階(捜査,裁判,矯正・保護)では心理学者の職域が確立し一定の教育研究が行われているが,犯罪予防-特に潜在被害者を対象とした一次・二次予防-では,社会心理学・教育心理学・環境心理学といった有望な方法論が存在するにもかかわらず,専門職域の未整備もあり教育研究は立ち遅れていた。しかし,近年,警察の防犯分野と大学研究者との協働コンソーシアムの設立,個票のオープンデータ公開等,教育研究の環境が急速に整いつつある。本シンポジウムでは,これまで各地で実務家と協働を進めている研究者による取り組みを紹介し,社会に対する心理学の貢献可能性,協働で得られるメリットや苦労,学生教育の機会など今後の可能性と課題を討議したい。

  • 鈴木 公啓, 真覚 健, 阿部 恒之, 原田 輝一, 野澤 桂子, Nichola Rumsey, 沢宮 容子
    セッションID: IS-006
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    従来,心理学においてはアピランス(外見)の問題が十分に扱われてきたとは言い難い。しかしここ数年,イギリス等に比べると遅くはあるが,医療等の現場においてようやくアピアランスの問題が重要視され,また,各分野・領域においてアピアランスケアが精力的に試みられるようになってきている。さらに,アピアランスの及ぼす心理的影響についても目が向けられるようになってきている。

    とはいえ,医療等の現場において,アピアランスと心の関係や心理的ケアについての関心が高まり心理学に対して期待の目が向けられているものの,その期待が心理学の側に十分に伝わっていないように思われる。同様に,心理学の側も,医療等の現場における状況に対して十分な興味や関心をむけておらず,自分たちに投げかけられているメッセージを拾いきれていないように思われる。アピアランスにかかわる心理ケアは,心理学が大いに貢献できる内容であり,医療等の現場からは,公認心理師/臨床心理士に期待されていることが多々あるといえる。

    今回のシンポジウムでは,医療の現場において,どのようなことが生じており,そして,心理学にどのようなことが期待されているのかを話題提供していただいたうえで,心理学はどのような寄与ができるのか,指定討論をしていただく予定である。このシンポジウムが,架け橋となり,アピアランス問題における心理学の活躍の端緒となることを期待する。

  • 大島 尚, 石田 裕昭, 谷口 尚子, 赤石 れい, 則武 厚, 亀田 達也
    セッションID: IS-007
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    私たちは今大きな変化の時代に生きている。その中で誰にとっても生きやすい多様性と包摂性のある社会を実現するにはどうすれば良いだろうか。それには「今・ここ・私」という自己中心的な視点だけで意思決定を行うのではなく,「未来・あちら・彼ら」をも含んだ視点を持ち,変化する状況,不確実なこと,見知らぬ他者を受け入れる姿勢を社会の中で生きる我々一人一人が持つことが肝要である。どうすれば,そのように社会を変えることができるだろうか?おそらく自己~社会というつながりを意識するためのマルチスケールな視点で我々の振舞とその背後にあるメカニズムを知ることが必須であろう。本企画では,まず谷口は,脳神経政治学の観点から,世論が社会の意思決定をつくる過程について議論する。続いて赤石が,神経科学と行動経済学の観点から社会の中での個の意思決定について概観する。次に則武は,霊長類を用いたシステム神経生理の観点から,他者から影響を受ける主観的な報酬価値の神経メカニズムについて示す。さらに亀田は,集団の文脈で自他の意思決定を有機的に繋ぐハブとなる協力関係をいかに醸成できるかを議論し,最後にこれらの各発表者の発表内容を踏まえて,まとめとしてこれからの個人と社会のあり方について討論を行う。

  • 松田 英子, 大島 尚, 金子 律子, 内山 伊知郎, 請園 正敏, 長南 幸恵, 松田 英子, 髙瀨 堅吉
    セッションID: IS-008
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    大会準備委員会と日本行動科学学会の共催で本シンポジウム「自閉症スペクトラム障害が感覚異常」が実現した。このテーマについて,請園正敏先生には実験心理学の立場から「自閉症ラットの胎生期の生理指標と感覚異常」,金子(大谷)律子先生には神経科学の立場から「自閉症モデルマウス(CRMP4欠損マウス)から見た自閉傾向と感覚異常」,長南幸恵先生には精神看護学の立場から「ASD児の感覚特性と養育」,松田英子線背には臨床心理学の立場から「ASD児の感覚特性と睡眠の特徴」と4つの話題提供を行う。大島尚先生には認知科学,高瀬堅吉先生には行動科学の視点から,指定討論をいただく。動物実験による神経科学・行動科学の知見から,乳幼児,児童を対象とした行動科学・認知科学の知見まで振り返り,感覚異常の視点から,自閉症スペクトラム特性の早期発見と養育支援,教育支援につなげる方略を考える。

  • 角田 京子, 松田 英子, 石山 一舟, 長江 信和, 金原 さと子, 津田 彰
    セッションID: IS-009
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    東洋大学創設者である哲学者井上円了は,仏教思想が心理療法に活かされることを示し,認知行動療法へのマインドフルネスの適用という今日的転回をも予見していた。本シンポジウムはこの端緒から,多文化のなかでの臨床実践と教育とその思想背景を取り上げる。角田京子先生からは「精神科臨床の多文化状況に判断保留のヘレニズム哲学が示唆すること」,長江信和先生からは「日本における外国人労働者のメンタルヘルスと遠隔心理支援」,石山一舟先生からは「カナダにおける森田療法を組み込んだ多文化カウンセリングの指導法」,金原さと子先生からは「アメリカにおける多文化カウンセラーのトレーニングとスーパービジョン」について話題提供される。津田彰先生には,文化的かつ個別適合性の高い統合的心理療法の視点から指定討論いただく。これらは公認心理師教育でも重要なテーマとなっていくことが予想され,臨床心理学者の実践や後進の教育に役立てたい。

  • 榊原 圭子, 戸梶 亜紀彦, 河西 ひとみ, 宮島 健, 角山 剛
    セッションID: IS-010
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    多様な人材が働きやすい職場づくり=ダイバーシティ経営は,わが国の重要な課題である。ダイバーシティ経営とは,国籍,性別,年齢などの個人の属性だけでなく,疾患や障がい,育児や介護の有無によらず,様々な人材を登用し,多様な働き方を受容する考え方である。日本の多くの企業がダイバーシティ経営に取り組んでいるものの山積する課題も多い。本シンポジウムでは具体的な話題として,育児と仕事の両立および慢性疾患を持つ人の職場における困難・対処に関する研究を紹介する。前者については,日本人男性の育児休業取得率の低迷を多元的無知という観点から説明を試みた研究,後者については,近年増加が著しいストレス性疾患であるIBS(過敏性大腸炎)を持つ人の困難,そして乳がん経験者と職場とのコミュニケーションに関する研究を紹介する。これらの話題提供をもとに,課題解決のために個人と組織の双方に求められる取り組みについて議論する。

  • 山田 一成, 増田 真也, 成田 健一, 森井 真広, 鷹阪 龍太
    セッションID: IS-011
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    Web調査を用いた心理学研究が一般化するなか,そのデータの質を問題視する報告も相次いでいる。これまでは,回答者特性,質問形式,反応スタイルなどについて検討されてきたが,本シンポジウムではモード効果にも注目する。回答者特性が同じであっても,なぜWebを使うとデータの質に問題が生じるのか。また,どのような技法を用いれば,今後の心理学研究にWeb調査を活用できるのか。不正回答の除去だけでなく,不正回答が発生しにくい条件や,短縮版心理尺度の利用についても議論し,参加者の方々と情報を共有しながら,回答の質を低下させないための具体的な研究方法について論点を整理しておきたい。

公募シンポジウム
  • 日本学術会議 心理学・教育学委員会「脳と意識」分科会・日本心理学会連携企画​, 坂田 省吾, 苧阪 直行, 松井 三枝, 苧阪 満里子, 坂 ...
    セッションID: SS-001
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    SDGsが謳われる現代社会で共同生活を営む人間にとって,社会脳の役割は一層重要になっているが,その脳内機構は未解明である。本シンポジウムは健全な社会性を生みだす脳の働きを文理融合的視点から深め,その基礎と展開研究を行う融合社会脳研究センター構想を進めるものである。生きていく時間の流れの中で生活している他者の心の想像や協力行動を担う脳の解明には,社会脳の解明が必要である。一方,新型コロナウイルス感染症予防からStay Homeが声高に叫ばれ他者との接触を断たれ,インターネット社会に依存する社会の中では,社会的ストレスや依存症などの社会不適応を生み出している。この不適応を予防し,心のレジリエンスを高め,社会性を回復するには,実験心理学を中心として他分野の学問と連携して「融合社会脳研究」を進める必要がある。本シンポジウムは日本学術会議「脳と意識」分科会が,融合社会脳の発展へ向けて開催するものである。

  • 法と心理学会・日本心理学会連携企画​, 羽渕 由子, 山本 渉太, 田中 晶子, ローリー メラニー, 萩野谷 俊平, サンティラ ペッカ, ...
    セッションID: SS-002
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    司法面接とは,法的,行政的判断にも使用できる精度の高い情報を,被面接者の心理的負担に配慮しつつ得ることを目的とした面接法である。日本でも近年,虐待事案等における子どもからの事情聴取の技術として,警察,検察,児童相談所等で用いられるようになった。この司法面接の研修は,研究者やNPO等が担っている。典型的には,警察,検察官,児童相談所職員等の実務家が1日~数日間,研修会場に集合し,講義,演習,フィードバック(面接の振り返り)からなるプログラムを受講する。特に,受講者間で多職種連携チームを形成し,演習を行うことが効果的である。しかし,遠方である,時間がない,そして今回のコロナ禍のように集合できない等,対面での研修が阻まれる事態も存在する。本シンポジウムでは,遠隔で司法面接研修を実施している研究者に話題提供を求め,オンライン研修における課題や展望について議論する。

  • ポジティブ心理学研究会・日本心理学会連携企画 ​, 金子 迪大, 中川 威, 古村 健太郎, 高橋 英之, 島井 哲志
    セッションID: SS-003
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    我々は時として世界が安定したものだと考えてしまうが,新型コロナウイルスのパンデミックに明らかなように世界は常に移ろい,変化する。そのような危機の中で人々は環境の変化に振り回されるだけでなく,危機に対処し,新たな生き方を探し歩んでいく。ポジティブ心理学においても,成立当初は安定的なポジティブさに着目した研究が多かったが,20年が経過した現在では環境や人々の変化を考慮したダイナミックな研究が盛んに行われている。本シンポジウムではそのようなポジティブ心理学のダイナミクスについて紹介する。具体的には,①感情の時間的変化,②恋愛関係崩壊時のアタッチメント欲求の変化,③幸せを構築するために不可欠な物語の創発プロセスについて,最新の研究を紹介する。その上で指定討論では,今後のダイナミックなポジティブ心理学研究に必要な要因について議論することで,本邦においてポジティブ心理学研究が一層前進する契機としたい。

  • ポジティブ心理学研究会・日本心理学会連携企画 ​, 菅原 大地, 金子 迪大, 武藤 世良, 高野 了太, 藤野 正寛, 一言 英文
    セッションID: SS-004
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    道端の花を見つけたときの小さな喜びや友人と語り合う夕餉の楽しみといった快感情は人生を豊かにしてくれる。しかしながら,従来,不快感情の多様性に比べて,快感情は単一の存在として扱われることが多かった。ポジティブ心理学の発展はこの潮流を変化させ,快感情にも,様々な強度のものや,自己関連,他者関連,さらには自他の区分を超越したものまで,多様で複雑な感情経験があることを明らかにしてきた。本シンポジウムでは,他者称賛感情としての「尊敬関連感情」や,自己超越感情として「畏敬」,さらには感情経験に気づくことで生じる感情経験としての「マインドフルネス」など様々な快感情を,最新の研究も踏まえながら紹介する。その上で,指定討論では,ポジティブ心理学で中心的な役割を担ってきた感情経験について再考するとともに,多様性の先に見据えるべきものについて議論することで,本邦でポジティブ心理学研究を発展させる契機としたい。

  • 武藤 崇, 森口 佑介, 板倉 昭二, 北岡 明佳, 沼田 悠梨子
    セッションID: SS-005
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    「他人には見えないものが見える」,つまり幻覚という現象は,通常,異常なものとみなされることが多い。また,たとえ「見える」ことが許容されたとしても「何がどのように見えているのか」という知覚内容が重要視される。さらに,「なぜ見えるようになるのか」という機序についても脳機能の機能不全に還元されがちである。

    しかし,近年の研究知見では,幻覚は,人間の「多様性(diversity)の証左である」と捉えられるようになった(たとえば,幼児期に見られるイマジナリー・コンパニオンなど)。また,レビー小体型認知症における幻覚を訴える行動の生起頻度が,心理・社会的要因によって大きく影響を受ける(つまり,幻覚の生起が脳機能の不全に還元できない)という事例も報告されている。そこで,本シンポジウムでは,幻覚という現象に対して,研究領域横断的に再検証し,人間の新たな側面と可能性を探究することを目的とする。

  • 外山 紀子, 中島 伸子, 富田 昌平, 加藤 義信
    セッションID: SS-006
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    病因を過去の悪行に帰属させる内在的正義や想像世界を現実とみなすこと等は,自然科学的事実を逸脱していることから魔術的思考と呼ばれる。伝統的な発達観にしたがえば,魔術的思考は認知能力が十分に発達していない子ども(幼児)の特徴であり,加齢とともにより分析的で論理的な思考に置き換えられるとされる(置き換えモデル)。しかし近年,置き換えモデルに対する疑義も呈されている。実際,多くの文化の多くの大人が時として魔術的思考に関与することが報告されている。たとえば,前述の内在的正義は児童期の子どもより大人において顕著に認められる場合がある。その結果,内在的正義への関与は発達的にはU字型曲線を描くことになる。これらは伝統的な発達観に再考を迫るものとなっている。本シンポジウムでは,病気(外山),痛み(中島),想像と現実(富田)に関する魔術的思考の発達を糸口として,置き換えモデルに代わる発達モデルを考える。

  • 小塩 真司, 下司 忠大, 吉野 伸哉, 西田 裕紀子, 髙橋 雄介, 谷 伊織
    セッションID: SS-007
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    パーソナリティ特性は人間の内部に仮定され,一定の行動を予測する概念として設定される。そしてパーソナリティ特性は直接的な観察が困難な概念として仮定されるものの,近年では大規模な調査を背景に日常生活の多様な行動との関連が検討されており,多くの知見が蓄積されている。そしてそのような具体的な行動との関連は,パーソナリティ特性各次元の適応に対する影響,日常生活における機能,そして発達上の役割など多岐にわたる知見を提供する。本シンポジウムでは,これまで日本では十分に検討されてこなかった,Big FiveやDark Triadを中心としたパーソナリティ特性と現実社会との接点に注目し,私たちの身の回りにある多様な指標とパーソナリティとの間に実際にどの程度の結びつきがあるのかを検討する。そしてそこから,現実社会におけるパーソナリティの意味について検討していきたい。

  • 樫原 潤, 市川 玲子, 德岡 大, 北條 大樹, 小杉 考司
    セッションID: SS-008
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    統計を専門としない心理学者にとって,「心理統計とうまくつきあっていくこと」はなかなか難しい課題である。心理統計学が日々発展していく状況を横目に,「最新のことはわからないから,自分が習ったやり方を続ける」と消極的な姿勢を取るユーザーは多いだろう。また,統計の学習に夢中になるあまり,専門領域の開拓がおろそかになってしまう例も見受けられる。自身の専門とのバランスを取りつつ,統計の知識・運用スキルを主体的に磨き続けるには,学習上の様々な工夫が必要となるだろう。

    本シンポジウムでは,心理統計学者とユーザーの共同作業に基づき,心理統計の学習方略に関する議論を深めていく。シンポジスト各自が実践している「心理統計の学習方略」を共有し,「学習者を支えるための,統計教育のあり方」をも見据えた議論を行うことで,心理学界の中で「統計とうまくつきあえるユーザー」を増やしていくためのヒントを探索的に見出していきたい。

     

    役割,所属訂正

    (誤)

    企画者,話題提供者:市川 玲子(イデアラボ)

    (正)

    企画者:市川 玲子(NECソリューションイノベータ株式会社)

  • 大山 潤爾, 原田 佑規, 岡橋 さやか, 峯 大典, 花島 諒, 鳴海 拓志, 横澤 一彦
    セッションID: SS-009
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    バーチャルリアリティ(VR)技術の発展により,仮想現実のサイバー空間は生活環境の一部として浸透しつつある.2020年1月の心理学ワールド88号でも「バーチャルリアリティの広がり」という特集号が組まれ,VRと心理学の関係性に関心が高まっている.本企画では,VR技術を手法として応用した新しい心理学研究の可能性として基礎分野の注意研究と臨床分野の認知評価研究の事例を紹介する.反対に,心理学を応用してVR技術の評価や効果の向上に資する研究として,立体視やマルチモーダルの技術に関連する事例を紹介する.さらに,心理学に関連するVR技術やコンテンツを開発している工学研究の立場から最新の研究事例を紹介する.本企画により,具体的な事例研究に基づく多様な視点から,VRと心理学の学際融合領域を多面的に捉える議論を試みると共に,VRがもたらす新しい心理学領域と,心理学に期待されるVR技術の展望について議論する.

  • 山本 晃輔, 槙 洋一, 瀧川 真也, 川﨑 采香, 池田 和浩, 野村 信威, 下島 裕美, 清水 寛之
    セッションID: SS-010
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    日常,昔の友人と再会したり,以前よく行った場所を訪れたりすることを通して,懐かしい思い出に浸ることがある。近年,自伝的記憶やナラティブ,回想,ノスタルジー等,「思い出」を巡る心理学的研究が認知や発達,臨床等の各方面で盛んに行われ,注目を集めている。その一方で,分野を超えた統一的理解が十分に進んでいない状況にある。本シンポジウムでは,自伝的記憶を中心とした複数の研究領域について理解を深め,それを軸に自伝的記憶研究の現在と未来について議論することを通して,統一的理解を得ることが目的である。今回の話題提供では自伝的記憶の機能に焦点をあて,最新の知見を紹介し,他分野との関連性についての視点を提供する。次いで,指定討論者よりコメントを頂き,全体討論へとつなげたい。

  • 藤生 英行, 吉原 寬, 浦口 真奈美, 富島 大樹, 宮道 力
    セッションID: SS-011
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    日本では,近年,臨床心理学,心理臨床学などの学問領域が盛んになるにつれて,カウンセリング心理学の考え方の重要性が軽視されるようになってきた。しかしながら,Dodo bird verdictでの論争で知られるように,カウンセリングの考え方はすべての心理療法に共通する共通要素であるとの主張もある。実際に,AIや機械学習を利用して,すべての心理療法に関わる研究論文の効果量を比較して上記結論を統計的に導き出している論文もみられる。心理臨床場面に限ることではなく,カウンセリング心理学の考え方やカウンセリング・スキルは,すべてのヒューマン・サービスに関わるさまざまな仕事の中で,欠かせない役割を果たしていると考えられる。このことについて,各現場からの話題提供を受けて,今後のカウンセリング心理学やカウンセリング・スキルの汎用可能性,および日本に適合したカウンセリング訓練法について考えていく場としたい。

  • 小澤 幸世, 竹田 和良, 萩谷 久美子, 芳賀 大輔, 古村 健, 菊池 安希子
    セッションID: SS-012
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    認知矯正療法(NEAR)は,統合失調症における認知機能(記憶,注意,遂行機能など)の改善を目的とした認知リハビリテーションである。認知機能を使う各種の市販のゲームを行うゲームセッションと,メンバーで体験を共有するグループセッションで構成されている。NEARは,ゲームの実施に関して注目されること多いが,ゲームを通じて患者の内発的動機付けを高めることが重要な治療指針となっている。そこで本シンポジウムでは,NEARを中心とした認知機能リハビリテーションにおいて,内発的動機付けに着目して介入することの重要性を研究や実践の側面から議論したい。研究の側面からは内発的動機付けの脳機能メカニズムや成果との関連など,実践の側面からは介入上の工夫や他の治療を取り入れていく意義などについて考える。

  • 内田 照久, 林 大輔, 松本 結, 上村 卓也, 森勢 将雅
    セッションID: SS-013
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    ふと誰かの声を聞いた時,好きな声だな,いい声だな,と感じることがあります。ですが,その声はどんな声なのか,なぜその声が好きなのか,他の人にわかるように説明できるでしょうか。身近な感覚なのですが,言葉ではなかなかうまく説明できません。そこで本シンポジウムでは,声に魅力やよさを感じる仕組みについて様々な分野から迫ってみます。まず,心理学(内田・林),神経科学(松本),情報科学(上村)の立場から話題提供を行います。話し手の人柄の印象や演技音声に関する話題から,マウスの超音波発声を使った求愛行動に関する実験,機械学習を用いて聴覚系を再現した研究まで,声を探る新しい試みについて紹介します。続けて音声工学(森勢)の観点から,ヒトの声を越えた魅力を創出する可能性を秘めた,コンピュータが作り出す声や歌声の研究をふまえた指定討論を行います。そしてフロアの皆さんと一緒に,声の嗜好性の本質に迫りたいと思います。

  • 三嶋 博之, 森 直久, 河野 哲也, 田中 彰吾, 柴田 崇, 染谷 昌義
    セッションID: SS-014
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    2020年は,新型コロナウィルス禍で,多くの企業で在宅勤務,大学は遠隔授業を余儀なくされた。この間,私たちの仕事や研究,学習を支えたのが,ウェブ会議や映像配信などのインターネット・メディアである。SNSも,これまでのプライベートな利用から,公共的な連絡手段へと成長した。こうしたネットメディアの半強制的ともいえる使用拡大によって,仕事や教育も含めて,人と人との関係,そして自己と環境との関係がある種の変容をきたしている。本シンポジウムでは,J・J・ギブソンに基づいた生態心理学の立場から,現状のネットメディアの使用拡大を視野に収めつつ,メディアとはそもそも何であり,それが人間関係や環境との関係をどのように変容させるものであるのか,ネットメディアはいかなるアフォーダンスを蓄え,いかなる促進行為場を形成するかについて考察することを目的とする。

  • 横谷 謙次, 山本 哲也, 高橋 英之, 横谷 謙次, 阿部 修士, 髙村 真広
    セッションID: SS-015
    発行日: 2020/09/08
    公開日: 2021/12/08
    会議録・要旨集 フリー

    これまで心理学の知見(例:主成分分析,注意フレーム)は情報工学に輸出されてきた。一方,近年,情報工学の知見(例:ヴァーチャルリアリティ,機械学習)が心理学に輸入されてきた。本シンポジウムでは,心理学が情報工学に対して,今後どのような知見を輸入し,輸出していくのかについて検討する。

    まず,山本は,さまざまな臨床応用が期待されるVRやウェアラブルデバイスといった情報技術の活用方法などを概観する。次に,高橋は,ロボットが聴き手となることで,高齢者の人生の語りがどのように変容するのか調査した予備的知見について報告する。また,横谷がギャンブル自助グループの発話を解析し,再発を予測する言語指標を説明する。最後に,阿部は脳機能画像法と機械学習の解析手法を用いた恋愛感情の神経基盤に関する研究を紹介する。

    高村は,データ数が増大し,その説明モデルのパラメーターも増大する中での心理学理論の果たす役割を討議する。

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