アンデス・アマゾン学会研究発表要旨集
Online ISSN : 2759-9124
第11号(2022)
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • アンデス・アマゾン学会
    p. 0-
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
  • アンデス・アマゾン学会
    p. 1-2
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
  • 長尾 直洋
    p. 3-4
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
     本発表は、第二次世界大戦後のブラジル日本移民社会に見られた「日本人と先住民の近縁性」言説に関連して、当時の邦人社会における勝ち組側の先住民描写を分析することで、ブラジル日本移民社会における同言説の全体像の一端を捉えることを目的としている。
      近年、ブラジル日本移民史における勝ち負け抗争について、勝ち組側の行動が「ブラジル社会の抑圧に対して日本移民が抵抗した証」[三田 2018:93]と評価されるなど、第二次世界大戦での日本敗戦後のブラジル日本移民の反応について新たな視点が提示されている。
      同時代のブラジル日本移民による反応の一つとして、細川周平は移民知識人の香山六郎による日本語とブラジル先住民語のツピ語との同祖論に注目した。細川は、香山による日本語とツピ語の近縁性の主張について「ブラジルの正式な国民のメンバーとは見なされていない日本人が、実はヨーロッパ人よりも先に住む部族の兄弟であるという政治的な含み」[細川 2008:x]を持つ論であると解釈した。細川は香山論の社会的影響力を否定したが、発表者は香山著書の流布状況、当時の邦字新聞における香山論の発信について確認することで、その社会的影響力への再評価を行った[長尾 2022]。
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  • 加藤 隆浩
    p. 5-6
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
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    1.なぜ亡霊を問題とするか/亡霊を論ずることで何が分かるか
     アンデス世界では様々な超自然的存在が蠢いている。ここで取りあげる亡霊もその範疇の一つである。しかし、亡霊と一口に言ってもそのように呼ばれるものは世界中のどこにでも分布し、その先々で形状も性質、社会的意味や機能も千差万別である。するとすぐに統一的な解釈を求めようとする向きも出てこようが、ここではそうした誘惑には乗らない。ひとまずは古典的な― 必ずしも「古い」ということではない ― 手法に則り細部にこだわってそれを地域単位で検討してみようと思う。
     アンデスでは人々の間でしばしば亡霊が話題に上る。実際にそれと遭遇したと言い、時には日常世界では信じがたいような話になることも少なくない。実体験の亡霊であれ亡霊譚であれ亡霊の存在が前提であり、それは部外者にとっては「譚」が付いて単なる「お話」のように受け止められるかもしれないが、当人たちにとってみれば、それは、信憑性のあやふやな世間話というよりも、社会で共有される実話、真実の出来事ということになる。したがって話の中の出来事、所作も、現実のこと、事実と受け取られ、亡霊譚は「譚」であるにもかかわらず、その中味は社会的存在が引き起こした社会的事実ということになる。
     では、それはいったいどのような内容なのか。亡霊はこの世とあの世を行き来する。その往来が亡霊の必要条件と言ってもよい。そうであれば、この超自然的存在を切り口に、現世も来世も射程に入いる。もちろん、その行き来に注目すれば、両者をつなぐ世界をも見ることができる。そればかりか亡霊は、死後普通の人々の行く道を阻まれ、この世に舞戻ることを余儀なくされている点に着目すれば、どのような掟の侵犯行為が、亡霊化というサンクションを招くのか、またそれはなぜか、など亡霊化の理由を検討することで、アンデスの人々が究極的に考えるあるべき社会像の輪郭を垣間見ることができ、彼らの想像力の基をなす心性の一部に触れることにもなるはずである。
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  • Angélica Palomino RIVAS AOKI
    p. 7-8
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    1.Introducción
     Me gustaría empezar por el significado de la palabra “felicidad”. Literalmente, expresa el buen estado de ánimo de los seres vivientes, estado de satisfacción, de bienestar físico y anímico.
     Hace como 30 años, tuve la oportunidad de trabajar durante diez meses como voluntaria en el colegio de la Parroquia Franciscana, ayudando en la educación de los niños quechuahablantes en la provincia Franz Tamayo cuya capital es Apolo donde yo estaba, La Paz en Bolivia. La provincia está a quinientos kilómetros de la ciudad de La Paz.
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  • 大平 秀一
    p. 9-10
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
     1532年、フランシスコ・ピサロ率いる「征服者」の上陸を経て、アンデス地域はスペインの支配下におかれる。以後、スペインからもたらされた新たな文化が、先住民社会に浸透していく。羊・山羊・牛・馬・ロバ・ラバ・豚・鶏などの家畜飼養、衣服や帽子、闘牛等の祭祀、ヴァイオリン、アルパ、チャランゴなどの弦楽器そしてワクラ・プク(角笛)やチリスヤ等の気鳴楽器等は、その一例である。これらは、強要されたキリスト教とは異なり、先住民社会の内奥にまで柔らかに溶け込んでいるように思われる。浸透・混淆の歴史には多大な関心が寄せられてよいが、無文字社会が故に、その考察は困難を極める。
     こうした中、ペルー中央高地における報告者の民族誌的調査を通して、スペインの周縁社会との接点を示唆する情報・伝承が得られている。歴史文書における検証の可能性を探るべく、試みとして、16~17世紀を対象として、アンデス地域におけるロマ人(「ヒターノ」)の存在をめぐる文書調査を実施した。本報告では、ロマ人の新世界への渡航と関わる既存の資料・研究を確認した上で、調査で得られた未公刊文書の一つを提示し、今後の展望を示した。なお文書調査には、コルドバ大学大学院生のマルコス・ラブラーダ(Marcos Labrada)氏の協力を得た。
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  • 山本 尋
    p. 11-12
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    発表概要
     本発表では、ボリビアをはじめとする国々におけるフォルクローレ音楽の楽曲や舞踊の演目として知られるティンク(tinku)の成立と普及について、現時点で手に届く資料や先行研究をもとに通時的に振り返る。ティンクとは本来、ボリビア・ポトシ地方を中心に見られる豊穣祈願の祭礼であるが、ここ約50年の間に、さまざまな他者の創作的意図のもとに再解釈を受けてきた。本発表ではティンクがとある「楽曲」から「リズム形式」となり、「民俗舞踊」となるまでの変遷を明らかにしながら、これら「祭礼でないティンク」の登場がいかなる状況に端を発し、何を喚起するのかをひもといていく。
     本発表はフォークロアに対する構築主義的な批評の一端をなすが、ここでのフォークロアは民衆の土着的な生活慣習そのものを指さず、それらを社会的、文化的な他者が何らかの目的で表象した所産を指す。職業音楽家によるフォルクローレ音楽のLP録音や、ボリビアで見られる創作色の濃い民俗舞踊はその典型といえる。
    (.....)
  • 工藤 由美
    p. 13-14
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
     2021年11月3日、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)会場で、地球温暖化対策の国際交渉に先住民との対話の場を設けるよう要請する「ミンガ(集会)」が行われ、先住民側は、世界の多様な生物の70%が先住民の住む地域に集中しており、「先住民が置かれた状況や提案を含めずに、気候変動の解決策を語ることはできない」と主張した。同集会にはチリの先住民であるマプーチェも出席していた。
     本報告の目的は、上述のような世界規模で認識されている「環境」に対し、マプーチェが環境、とりわけ「マプ(mapu:土地)」についてどのように認識し、どういった実践を積み重ねているかの検討を通して、マプーチェの環境の見方と他の見方との異同を比較した。
     地球環境問題において従来、先住民は進歩的な環境開発に対する抵抗ないし主要な障害とみなされてきたが、今では、先住民文化はグローバル化の進展なかで次第に、環境破壊がもたらす問題に対する革新的な応答とみなされるようになってきている[シモン他 2019:141]。先住民にとって土地や自然がその社会と文化統合の重要な基礎であるということの意味を、マプーチェのマプから検討する。
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  • 真鍋 周三
    p. 15-16
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    1.はじめに
     1570年代後半から17世紀前半にかけてポトシ銀鉱業は繁栄し、ポトシには巨大市場が出現した。この時期、アルティプラノ(海抜高度3800m前後の高原地帯。その特徴は高地の湖と広い高原で先住民の密集地帯であった)の先住民共同体首長であるカシケ(cacique. 別名curaca, malluku)は貢納を徴収し、ポトシ銀山の強制労働であるミタ(mita)労働者を自己の共同体から選出・徴集する役割を支配者から強いられた。だがカシケは単なる受け身の仲介者だったのではない。商業活動を展開し、農牧畜用地を入手し、自己の経済的状況を向上させようとするアクティブな存在でもあった。
     カシケのうち、社会的上昇を遂げていた人々の事例としてシカシカ地方カラマルカ村のペドロ・チパナ、パカヘス地方ヘスス・デ・マチャカ村のガブリエル・フェルナンデス・グアラチらについてみると、彼らはポトシ銀山のミタの選出人・差配を務めていた。他方で彼らは、ペルー南部海岸地帯の渓谷部に出向いてぶどう酒を仕入れ、シエラ(山岳部)のポトシをはじめとする諸都市で販売するなど、商業や輸送業に従事することで富を蓄えていた。こうしたカシケの経済活動の実態を検討すると、17世紀において一部のカシケが実に企業家精神に富む人々であったことがわかる。
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  • 上原 なつき
    p. 17-18
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    1.はじめに
     アプリマック県アンタバンバでは、「死者の日」やクリスマスの祭りにおいて、重要な役どころとしてアリエーロ(arriero)が登場する。アリエーロとは、馬やラバなどの荷役獣を用いて物品運搬や交易を行う人物のことである。道路が整備されトラックやバスによる物流が確立した現在、アンタバンバではアリエーロを生業とする人はほぼいなくなった。
     アンタバンバのアリエーロに関する先行研究が管見では今のところ見つけられていないため、本発表では、まず、その他地域のアリエーロに関する先行研究をまとめることで、アリエーロの交易活動の経済的側面を概観した。次に、アンタバンバの祭りにおいて、なぜアリエーロが重要な役どころとして登場するのか、その社会的・宗教的役割をアヤクーチョ県のアリエーロと山に関する説話から考察した。
    (.....)
  • 木村 秀雄
    p. 19-20
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
    1.分析の枠組
     分析の理論的枠組は、『アマゾンアンデス研究』第一号[木村2018]およびSenri Ethnological Studies 111[Kimura 2022]の論文と同様である。すなわち、「個人の行動とそれが生み出すものは多様であり予測は不可能である」、「多様な行為が生み出したものがパターンを形成する」、「パターンが制度(体系・構造)を作りだす」、「制度が個人の行動を拘束する」、「制度の拘束を逃れる個別の行為が生じる」というもの。
     時間を辿る変化を記した文書も用いるが、実際の調査は一つの時期に成立する多様な現実を対象とせざるをえないために、これまで調査した地域の詳細なデータをもとにして論ずる。
     今回の発表は地域と経営単位を分類したのち、その統計的分析を行う。個別の経営単位の詳細な分析は次回以降に予定している。
    (.....)
  • アンデス・アマゾン学会
    p. 21-
    発行日: 2022/11/20
    公開日: 2025/06/20
    会議録・要旨集 オープンアクセス
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