PAIN REHABILITATION
Online ISSN : 2759-3355
Print ISSN : 2186-2702
15 巻, 2 号
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総説
  • 本田 祐一郎
    2025 年15 巻2 号 p. 1-7
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    [早期公開] 公開日: 2025/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    痛みやそれに伴う運動恐怖が生じると身体局所ならびに全身の不動が惹起され,この影響で関節運動が量的・質的に減少し,関節拘縮(以下,拘縮)が発生する。また,拘縮の発生によって不動が助長されると,痛みの増悪や新たな痛みの発生につながり,悪循環が形成される。そして,複合性局所疼痛症候群の診断基準のひとつに拘縮が組み込まれていることは病態形成におけるこの悪循環の重要性を示唆している。つまり,痛みのマネジメントにおいては拘縮の発生を予防するといった視点も不可欠といえ,このことは運動機能障害の複雑化・重篤化を予防する上でも重要である。周知のように,拘縮は関節周囲軟部組織の器質的変化に由来した関節可動域制限と定義されており,その病巣部位は皮膚,骨格筋,関節包など多岐にわたる。しかし,自験例の結果によれば,これらの病巣部位には共通して拘縮発生時にコラーゲンの過剰増生に伴う線維化が生じることが明らかになっており,これが拘縮の主要な病態といえる。そして,骨格筋を検索材料に拘縮の発生メカニズムを検索した結果,筋核のアポトーシスを契機としたマクロファージの集積ならびに炎症性サイトカインの発現といった事象が関与することが明らかとなった。加えて,マクロファージの集積や炎症性サイトカインの発現といった事象は痛みの発生メカニズムに関与していることも明らかになっている。つまり,拘縮の発生予防といった視点も踏まえた痛みのマネジメントにおいては,これらの事象を抑止することが重要といえ,筋収縮運動は不可欠な介入戦略といえる。そこで,本稿では痛みと併発する頻度が高い拘縮の病態やメカニズムを概説し,痛みのマネジメントとしての拘縮対策の意義やあり方を考えていく。
研究論文
  • 本田 太一, 坂野 裕洋
    2025 年15 巻2 号 p. 8-19
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    [早期公開] 公開日: 2025/05/31
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】変形性膝関節症に対する保存療法において,運動療法に加え,患者教育を組み合わせることが推奨されている。しかし,患者教育において,教育方法が確立されていないことが臨床応用への課題とされている。一方,教育への関心度に応じて個別化された患者教育の必要性が示されている。そこで,変形性膝関節症患者を対象に,国際的に推奨されている患者教育項目に対する関心度をアンケートにて聴取し,病態特性との関連性を検討した。 【方法】対象者は保存療法が適応された変形性膝関節症患者70 名(K-L 分類:gradeⅠ- Ⅳ)であった。4 編の国際的な変形性膝関節症治療ガイドライン(OARSI,ACR,NICE,EULAR)で推奨される患者教育の項目から「病態」「治療方針」「運動療法」「日常生活活動」に関する17 項目を抽出し,関心度を5 段階のリッカート尺度で聴取した。病態特性は年齢,性別,BMI,罹患期間,K-L 分類,疼痛強度(NRS),機能障害(KOOS:日常生活),破局的思考(PCS),運動恐怖(NRS)を評価した。関心度の判定は先行研究を参考に,平均4.0 点以上である教育項目を高い関心を示す項目とした。さらに,関心度と病態特性が有意な相関関係を認める項目を抽出した。 【結果】患者教育の全17 項目のうち,高い関心度を示したのは「どんな運動がよいか」,「どれだけ運動 したらよいか」,「歩くのは膝によいか」,「痛みの原因」,「歩くと軟骨は減るのか」,「変形は治るか」,「冷やした方がよいのか,温めた方がよいのか」,「症状の管理方法」,「避けた方がよい習慣や動き」であっ た。また,各患者教育の内容に対して,膝OA の重症度や機能障害などの病態特性や,心理・社会的背景に有意な相関関係を示した。特に,中等度(|r| ≧ .400)以上の相関関係を認めたのは,痛みの原因に関する教育内容とK-L 分類に負の相関(r = -.443),減量の必要性に関する教育内容とBMI に正の相関(r = .417)を認めた。 【結論】変形性膝関節症患者では運動療法や疼痛の病態,日常生活活動に関する教育への関心度が高かった。それぞれの患者教育の内容に対して,膝OA の病態特性や心理・社会的背景の違いに応じて異なる関心度を示したことから,病態特性に応じた教育項目の選択が必要であると考えられる。
  • 足立 功浩, 酒井 直人, 金原 一宏, 永井 量平, 伊澤 伸太郎, 中嶋 研人, 今村 美聖, 高橋 卓己, 有薗 佳代子, 高橋 大生 ...
    2025 年15 巻2 号 p. 20-28
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    [早期公開] 公開日: 2025/07/15
    ジャーナル オープンアクセス
    【緒言】小児・思春期において頭痛を伴う体位性頻脈症候群(Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome:POTS)は,日常生活や学校生活に著しい支障を来たす。当院で同症に行っている集学的治療の有効性について報告する。 【方法】2022 年7 月から2023 年6 月に当院を頭痛を主訴に受診しPOTS と診断された35 例(男児14 例,女児21 例,平均年齢13.9 ± 2.0 歳)を対象とした。評価は,POTS 分類,登校状況,頭痛頻度,頭痛評価,身体機能評価,心理評価,ADL,QOL と多面的に実施した。十分な飲水,睡眠と運動を指導し,薬物療法に加えて週1 回40 分間の理学療法を行い,必要に応じて児童精神科と連携して集学的に治療した。頭痛頻度が週2 回以下となり登校に支障がなくなった時点で理学療法は終了し,外来で薬物療法と生活指導を継続した。統計解析は,Friedman's 検定,Cochran のQ 検定を用いて初回・4 週後・8 週後の異なる時期の比較を行った。 【結果】身体型POTS は22 例,心身症型POTS は13 例で,35 例中32 例がPOTS による二次性頭痛であった。頭痛で登校に支障を来している患者は24 例(不登校21 例,早退・遅刻3 例)であった。集学的治療によって35 例中26 例(74.3%)が8 週後に頭痛頻度は週2 日以下に改善し,不登校の21 例中11 例(52.4%)が8週後に登校可能となり,多面的評価項目は統計学的に有意に改善した。 【結論】小児・思春期の頭痛を伴うPOTS 患者に対する集学的治療は有効であった。
症例報告
  • 宮田 知恵子, 吉田 寛和, 水野 耕平, 保坂 陽介
    2025 年15 巻2 号 p. 29-39
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    [早期公開] 公開日: 2025/07/15
    ジャーナル オープンアクセス
    【はじめに】化学療法誘発性末梢神経障害(以下,CIPN)は,発症率の高い有害事象の一つであるが,現時点で確立された治療法がなく臨床上の問題となっている。今回我々は,CIPN に対して座位での没入型Virtual Reality ガイド下リハビリテーション治療(以下,VR ガイド下練習)を併用した在宅を基盤とする運動療法を実施したため報告する。 【症例紹介】対象は40 歳代の女性。子宮体癌Stage Ⅳ B と卵巣癌StageⅠA またはStage Ⅳ B の重複癌に対する外科的治療後に,パクリタキセル・カルボプラチン療法が施行されCIPN が出現。パクリタキセル投与終了後1 カ月経過するもCIPN に改善なく,不安を覚えたため当外来紹介受診。初診評価時,Visual Analogue Scale(VAS)−痺れ(mm)40/100,Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)version.4.0 Grade2 のCIPN,全般的な身体機能や生活の質(以下,QOL)の低下を認めた。 【経過】外来通院加療に合わせて在宅を基盤とする運動療法(外来にてリハビリテーション専門職監督下で実施する運動療法と自宅で実施するセルフエクササイズ)を開始し,神経症状や身体機能,QOLに改善がみられた。介入開始後130 日から166 日には,痺れや姿勢制御の改善を主目的に座位でのVRガイド下練習(1 回約20 分,週1 回,計6 回)を併用し,その前後比較(前vs. 後)では,VAS−痺れ(mm)37/100 → 14/100,片脚立位時間(右/ 左,秒)11.5 → 52.5 / 3.8 → 19.1 と痺れの軽減および顕著な姿勢制御の改善がみられ,QOL の更なる向上も認めた。リハビリテーション治療終了後の翌週より復職し,公共交通機関での通勤も可能となった。 【考察】原因薬剤中止後も遷延するCIPN に対し, VR ガイド下練習を併用した在宅を基盤とする運動療 法を実施した結果,神経症状,身体機能およびQOL の改善が認められた。本プログラムはCIPN に対 し有効である可能性がある。
  • 川淵 敬太
    2025 年15 巻2 号 p. 40-45
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    [早期公開] 公開日: 2025/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    有痛性肩関節疾患では,夜間痛による睡眠障害により生活の質が低下する。本研究では就寝用サポーターの使用による夜間痛に対する即時的な効果について,シングルケースデザインを用いて検証した。著しい夜間痛および肩関節可動域制限を呈する凍結肩症例を対象とした。本研究ではシングルケースデザインを用いて,夜間痛に対する1 ヶ月間のサポーターの使用(B 期)と1 ヶ月間の非使用(A 期)の効果を比較した。夜間痛はVisual Analog Scale(以下,VAS)で評価し,B 期vs A 期におけるVASの比較をNon-overlap of all pairs(以下,NAP)を使用して分析した。さらにAmerican Shoulder and Elbow Surgeons score(以下,ASES),Pittsburgh Sleep Quality Index,肩関節可動域を,各期開始時および終了時で比較した。夜間痛のVAS スコアは,B 期 vs A 期において顕著に改善し,NAP スコアは81%を示した。ASESおよび肩関節可動域はB 期で改善傾向であったが,A 期では変化がなかった。本報告は,夜間痛を有する凍結肩症例において,就寝用サポーターが夜間痛の軽減に即時的な効果をもたらす可能性を示唆している。
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