【背景】頸椎症性脊髄症(Cervical Spondylotic Myelopathy:以下,CSM)術後では,しびれや感覚障害が生活機能に影響することが多く,非薬物的介入として経皮的電気神経刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation:TENS)の応用が注目されてきた。近年,患者の自覚するしびれに刺激を同調させる「しびれ同調TENS」が報告されているが,亜急性期のCSM 術後における効果は十分に検討されていなかった。本報告では,亜急性期CSM 術後患者に対し,しびれ同調TENS を併用した作業療法(Occupational Therapy:以下,OT)介入の経過を,シングルシステムデザインを用いて検討することを目的とした。
【方法】対象は70 代女性1 例とし,ABA’B’ デザインを用いた。A 期およびA’ 期では通常OT を実施し,B 期およびB’ 期では20 分間のしびれ同調TENS を併用したOT を実施した。主要評価項目はしびれ強度(Numerical Rating Scale:以下,NRS)とし,副次評価項目として感覚機能,巧緻動作,上肢使用量・質,日常生活活動,転倒自己効力感,疾患特異的QOL,カナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure:以下,COPM)を評価した。分析は視覚的分析に加え,効果量Tau-u を算出した。
【結果】B 期においてしびれ強度は右手指でNRS4 から0,左手指で9 から6 に低下し,Tau-u は右0.65,左0.75 と大きい効果量を示した。A’ 期においても改善傾向は概ね維持された。感覚機能,巧緻動作,上肢使用量・質に加え,日常生活活動,自己効力感,疾患特異的QOL,COPM も向上を認めた。
【考察】しびれ同調TENS を併用した介入期において,しびれ強度の低下および主観的なしびれの感じ方の変化が時間的に対応して認められたことから,感覚入力の調整がOT 介入の文脈の中で機能した可能性が示唆された。一方で,亜急性期はCSM 術後の自然回復が進行する時期でもあり,改善の一部には自然経過の影響が含まれている可能性があった。
【結語】亜急性期CSM 術後患者に対するしびれ同調TENS を併用したOT 介入は,しびれ軽減と多面的な評価指標の改善と時間的に対応した変化を示した。20 分という比較的短時間で実施可能な介入として,臨床実践における一助となる可能性が示された。今後は,多事例での検討や対象群を設定した比較研究が求められる。
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