産業連関
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19 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
〈特集 東日本大震災〉
  • 古屋 温美, 横山 真吾, 中泉 真吾
    2011 年 19 巻 3 号 p. 5-17
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/08/07
    ジャーナル フリー
    古屋ら(2008)は,北海道厚岸町において発生したカキマヒ性貝毒事件(2005年4月),全国的な広がりを見せたノロウイルスによる感染性胃腸炎の流行(2006 年 12 月)による,危害や風評による被害・損失額を算定し,産業連関表の活用により,被害額の地域内外への波及影響の程度を明らかにした.この研究で,産地や消費地への影響を最小化するには,厳格な品質衛生管理,正しい知識や情報の提供,危害発生時のリスク管理が重要であると述べた.本論文では東日本大震災による農林水産物の風評被害による経済的影響について分析を試みたが,カキの分析時と異なるのは,その原因が放射能という特殊なものであることと,農林水産物だけでなく様々な輸出品に対し,外国から風評被害を受けたことである.外国からの風評被害は,シンガポールの日本食レストランの経営等にも深刻な影響をもたらすなど,波及影響は計り知れない規模であり,厳格な品質衛生管理や正しい知識や情報の提供だけでは防ぐことの出来ない被害であった.本研究は,風評被害の要因となっている原発事故が未だ収束しない状況において,統計データなど公表資料が不十分であり,また,地域,品目や期間等が限られた範囲のデータを用いた分析となったが,今後,公表される統計データが充実すれば詳細な分析が可能になることから,引き続き想定される農林水産物の風評被害の経済評価の基礎研究としたい.
  • 塩谷 英生
    2011 年 19 巻 3 号 p. 18-27
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/08/07
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に起きた東日本大震災の影響は,上昇局面にあった訪日外国人市場に大きな影響を与えた.この論文は,利用可能な速報データに基づいて,震災による訪日外国人市場への影響について数量的に把握しようとしたものである. 訪日市場への影響は,国籍別,目的別,地域別等のセグメント別にみると一様では無いことから,本論文では,震災後の客層の変化について分析を行うとともに,客層変化の結果としての費目別消費構成の変化方向について整理した.次に,2011 年3-9 月期の訪日外客消費額と,震災の短期的影響として前年同期消費額との差額を試算した.最後に,2005 年産業連関表を基に作成した分析用 62 部門連関表を用いて,訪日外客消費の減少による負の経済波及効果を推計した.外客消費額の減少額は 3,009億円と推計され,これによる負の経済効果は,生産波及効果で6,685 億円,付加価値効果で3,271 億円,雇用効果は559百人と推計された.
  • 野崎 道哉, 井原 健雄, ノンタチャイ ティティポンタラグン
    2011 年 19 巻 3 号 p. 28-39
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/08/07
    ジャーナル フリー
    本稿は,東日本大震災の中部圏への影響を分析するための方法として,基本的には地域間産業連関分析の枠組みを援用する.2011年3月に,(財)中部産業・地域活性化センターが作成した『中部圏地域間産業連関表(2005 年版)』では,中部広域 9 県およびその他全国の 10 地域が対象地域として設定している.今回の東日本大震災の分析にあたっては,中部広域 9県,およびその他全国という 10 地域のうち,その他全国について,経済産業省『2005 年地域間産業連関表』の中部地域以外の8地域の取引表を接合し,交易係数を一部再推計したうえで,17 地域間産業連関表として再構成し他の地域に対する間接被害について検証する.
  • 宍戸 駿太郎, 川上 彰, 黒川 基裕
    2011 年 19 巻 3 号 p. 40-50
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/08/07
    ジャーナル フリー
    東日本大震災の経済・社会的損害の測定をストックとフローの両面から地域別に計測し,次に復興の過程の経済効果を地域別とマクロ経済の両面から代替的な政策の下で分析を行う.とくに財源とその規模をめぐる政策如何で,日本経済の中・長期の成長経路とデフレ脱出にいかに影響するかの観点から,代替的政策の評価を行う.使用される計量経済モデルは日米・世界モデル研究所のレオンチェフ・ケインジアンモデル:DEMIOS と(財),東北経済開発センターの地域間産業連関表ならびに経済産業省の全国・地域間産業連関表である.
  • 石倉 智樹, 石川 良文
    2013 年 19 巻 3 号 p. 51-59
    発行日: 2013/10/31
    公開日: 2014/08/07
    ジャーナル フリー
    東日本大震災は,地震や津波などの直接的被害に加えて,発電所被災がもたらす電力供給力不足という間接的な経済被害を引き起こした.本研究は,東日本大震災に起因する電力供給力不足,ならびに電力需要抑制策がもたらした経済ダメージについて,空間的応用一般均衡モデルを用いて分析した.分析では,首都圏経済とその他地域それぞれにおける不便益と,各産業部門における生産額変化に着目し,いかなる影響が及ぶのかを定量的に評価した.
〈投稿論文〉
  • 江藤 諒, 内山 洋司, 岡島 敬一
    2011 年 19 巻 3 号 p. 60-71
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/08/07
    ジャーナル フリー
    地方自治体の将来の CO2排出量は自治体の権限を越えた国内外の経済状況に影響を受ける.本研究では国内外の経済状況の変化が茨城県の CO2排出量に与える影響をシナリオ分析によって評価する.マクロ経済指標と地域間産業連関モデルを組み合わせて,2030 年の茨城県内 CO2排出量,およびその他都道府県との CO2排出量の相互依存関係の変化を推計する.結果として,民間消費,および輸出の増加がその他都道府県から茨城県に誘発する CO2排出量を増加させる.一方で,産業構造の変化,効率化と輸入の増加により間接CO2排出量が減少し,県内全体の CO2排出量増加が抑制される.そして,国内や海外の経済動向が茨城県内の CO2排出量に与える影響は減少する.
  • 野村 淳一, 木下 真, 齋藤 英智, 朝日 幸代
    2011 年 19 巻 3 号 p. 72-22
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2014/08/07
    ジャーナル フリー
    本論文は,山口県山口市湯田温泉,萩市に周遊した観光客の消費の経済効果を分析したものである.分析の特徴は以下の通りである.①ノンサーベイ手法である LQ 法を応用し,4 地域間交易(山口市・萩市・その他山口県・山口県外)を推計している.②観光客の周遊行動を明示的に取り入れ消費額を推計した.③ UNWTO でマニュアルを作成しているツーリズム・サテライト・アカウントに準拠する部門分類に配慮して直接効果を推計している.④ 4 地域間産業連関表を用いて,山口市湯田温泉,萩市宿泊客の消費による生産波及効果を分析した. 山口県における観光政策では周遊型観光客への取り組みが重要であるが,観光消費は県外への漏出が大きく,観光政策はこうした漏出状況を定量的に把握した上で検討することが重要である.
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