産業連関
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30 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
投稿論文
  • 山田 光男
    原稿種別: 投稿論文
    2023 年 30 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

     人口減少は,消費支出の減少を通じて地域経済の活力を低下させる要因となる.本稿では,愛知県内54市町村における将来の部門別消費支出額の変化を推計し,愛知県市町村間産業連関表を用いて,各市町村の付加価値への影響分析をした.愛知県も多くの市町村で人口減少が続くため,生産や付加価値への減少効果があるが,製造業が盛んな西三河地域の市町村では人口や世帯数が増加し,生産量や付加価値の増加効果が期待される.しかし,他の市町村で人口が減少すると,その市町村の消費需要が減少し,地域間の産業連関(後方連関)効果を通じて,人口が増加する市町村における消費増加の波及効果の一部が削減される可能性がある.

  • ―供給表推計システムのプロトタイプ開発―
    赤木 茅
    原稿種別: 投稿論文
    2023 年 30 巻 1 号 p. 22-34
    発行日: 2023年
    公開日: 2022/08/22
    ジャーナル フリー

     現在,政府では「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成30年3月6日閣議決定)に基づき,GDP統計の精度向上を目的として,2025年度現行の国民経済計算の推計手法から産業連関表の供給・使用表(SUT; Supply and Use Tables)体系への移行を進めている.SUTへの移行のためには現行の推計体系との変更点を明確にした上で,新たな推計体系を構築することが必要であるが,移行後の供給表に対応する現行の産業別商品産出表(V表)の推計手法は各省庁によって分担されており,一貫した推計手法に関する解説及びその再現のための資料等が存在しない. 本稿では,各種資料等を収集して明らかになったV表の推計手法に基づいて,経済センサス-活動調査の個票データから直接に供給表(S表,ただし本稿で輸入は考察対象から外す)を推計した.また,現行の推計手法において,欠損値の扱いなどの処理規則が定められていないために推計誤差が生じていることを明らかにし,現行の推計手法の管理・公開手法における不透明性に関して検討した.

  • 塩出 佳余
    原稿種別: 投稿論文
    2023 年 30 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2023年
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

     鉄鋼業では需要を適切に把握することが重要とされる一方,素材として幅広い産業に需要される鉄鋼の実需を把握することは難しい.実需を把握するためには,鉄鋼の輸出のみならず間接輸出の推計も必要である.鉄鋼の間接輸出とは,鋼材を用いて製造された財が輸出される際に,同時に鋼材が間接的に輸出されると見なす概念である.本稿では,2000年から2015年の日本の産業連関表を用いて,主要鉄鋼需要部門別の鉄鋼の間接輸出の推計を行った.その結果,日本で生産された鋼材の半数以上が直接的・間接的に海外で需要されており,鉄鋼需要産業に対する海外の需要動向に日本の鉄鋼業は大きく影響されていることが確認された.

  • 入江 啓彰
    原稿種別: 投稿論文
    2023 年 30 巻 1 号 p. 45-59
    発行日: 2023年
    公開日: 2022/10/18
    ジャーナル フリー

     地域活性化のためには,地域経済の特徴を的確に把握し,地域の強みをどう発揮するかという視点が重要である.また,地域政策の策定にあたっては,それぞれの地域の社会経済特性や産業構造を定量的に把握する必要がある.本稿では,産業部門分類を揃えた各都道府県の2011年産業連関表を用いて,建設部門の新規需要による生産誘発効果額を計測した.またその結果にクラスター分析を適用し,都道府県の類型化を行った.結果によると,類型化の基準として,各県の自給率が大きく影響している.また産業部門別では,石油・石炭製品部門,窯業・土石製品部門,鉄鋼部門,運輸・郵便部門,対事業所サービス部門での生産誘発効果額が,類型化の結果に影響していることが明らかになった.

  • 森井 拓哉, 河村 奏瑛, 長坂 健司, 幡 建樹, 井上 雅文
    専門分野: 投稿論文
    2023 年 30 巻 1 号 p. 60-74
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/04
    ジャーナル フリー

     木造建築における木材需要の経済波及効果の推計において,合板と集成材は用途が異なるため個別に分析されることが望ましいが,既存の産業連関表では合板・集成材部門として集計されている.そこで,合板・集成材部門を合板部門と集成材部門に分割し,産業連関表を拡張した.これによって,合板部門の金額ベースの自給率が集成材部門のそれよりも小さいことから,既存の産業連関表に基づき算出した経済波及効果が合板の需要に対する分析では過大評価となり,集成材の需要に対する分析では過小評価となることが示された.今後,非住宅建築を中心に拡大が期待される木材需要の経済影響評価においては,詳細な部門分類に基づく分析が重要となる.

  • ―日系企業分析用国際産業連関表に基づく考察―
    馮 君実
    原稿種別: 投稿論文
    2023 年 30 巻 1 号 p. 75-90
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/13
    ジャーナル フリー

     日本企業の海外直接投資は2000年代以降拡大基調が続いており,その海外進出活動は日本国内の生産と雇用にどのような影響を与えるかが注目されている.本研究では国際産業連関分析の枠組みで,2016年時点において日系企業が各地域・各産業に進出することが本国(日本)にマイナスの影響を与えるまでの許容度α値を計測する.今回の推計で明らかになったのは以下の点である.まず,第一に日系企業がアジアと中国に進出することはカナダ,欧州及び米国への進出に比べて,本国の生産にマイナスの影響を与えにくい.そして,第二に情報通信機械や電気機械部門は,輸送機械部門より,本国の生産にマイナスの影響を与えにくい点である.

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