政治学者は小選挙区制の分析も比例代表制の分析もかなり進んでいるが, それにもかかわらずに両方を合わせた並立制の特性について予測を立てられない状態である.
構造・学習論は, 人間の心理よりも環境の構造を, 合理的な計算よりもfeedbackによる学習に重点を置く.「構造」は, 環境の中の変わらない選択肢や繰り返して出てくる選択肢と定義する.
構造・学習論を使って, 三つの予測をする.まず第一には, 小選挙区制は, 得票率の小さな変化を議席率の大きな変化に拡大する機能があるから, 小選挙区制からのfeedbackは, 比例代表制より, 飴も鞭も大きくなる.第三党の余地がある程度残るにしても, 二大政党制へ向かっていくと思われ, 最終的に2.5政党制になると推測できる.
次に, 二大政党制への道は, 第1回選挙の結果によって違ってくる.政党の合同は難しい.何か強い動機が働かないかぎりできない.
最後に第1回選挙の結果によって, 二大政党制への道が早くなったり, 遅くなったりする.
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