【目的】潰瘍性大腸炎(UC)患者が増加しているが,それに伴うcolitic cancerの診断は容易ではない。発見のためStep biopsyが行われてきたが,狙撃生検が望ましい。そこでUC粘膜,dysplasia,colitic cancerのpit patternを観察し早期診断への有効性を検討した。【方法】当院で大腸内視鏡検査を行った罹患年数4年以上の緩解期の全結腸型と左側結腸型の潰瘍性大腸炎患者44名を検討対象とした。平均罹患年数は7.4±3.8年であった。盲腸,上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸,直腸でpit patternを観察し,生検標本と比較した。次に,dysplasia,colitic cancer9症例10病変についてpit patternを観察し肉眼形態とあわせ検討した。【成績】緩解期大腸から264箇所生検し,Ⅰ,Ⅱ型を呈した260箇所からはdysplasiaは検出されなかった。ⅢL,Ⅳ型を呈した4箇所のうち,dysplasiaが1箇所検出された。逆にdysplasia,colitic cancerは,ⅢL,Ⅳ,Ⅴ
I,Ⅴ
N型類似のpit patternを呈していた。進行癌ではⅤ
N型を呈するものが多かったが,Ⅴ型を呈して・型を認識できないものもあった。dysplasiaと診断されたものは,ⅢL,Ⅳ型を呈していた。【結論】ⅢL,Ⅳ,Ⅴ型などの腫瘍性pit patternを呈する箇所より生検すればより効率的にdysplasia,colitic cancerが検出できる可能性がある。
抄録全体を表示