Progress of Digestive Endoscopy
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68 巻, 2 号
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掲載論文カラー写真集
内視鏡の器械と技術
臨床研究
  • 大嶋 隆夫, 為我井 芳郎, 永田 尚義, 櫻井 俊之, 矢郷 祐三, 林 裕子, 酒匂 赤人, 森畠 康策, 保坂 浩子, 小飯塚 仁彦, ...
    2006 年 68 巻 2 号 p. 27-30
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
     食道表在癌に対するESDは,根治性とQOLの観点においてその有益性は極めて大きく,また質的・深達度診断に際して拡大内視鏡観察が有用であると言われている。ESD一括切除を施行した食道表在癌の拡大内視鏡所見と組織所見との比較検討を行なった。内視鏡所見は有馬分類,井上分類に準じた。当センターでのESDの適応は,深達度m1~2までの表在癌で大きさは問わない事とし適切な術野の確保が可能な事を絶対条件とした。2004年1月から2005年4月の間にESDを施行した食道表在癌は13例,14病変で,うち12例(男11例,女1例,平均69.2歳)で拡大内視鏡観察を行なった。術前の深達度診断では,有馬分類のtype 2,type 3,type 4に相当するのが各々1例,9例,2例であり,また井上分類のtype Ⅲ,type Ⅴ1-2,type Ⅴ3に相当するのが各々1例,9例,2例である事から,dysplasia : 1例,m1-2 : 9例,m3以深が2例と診断した。病理組織学的には,severe dysplasia 1例,m1癌4例,m2癌5例,m3癌0例,sm1癌2例であった。深達度診断の正診率はm1-2,m3以深の2群の判別とすると100%であった。平均6.9カ月の経過観察期間間で,全例で腫瘍の遺残再発は認めていない。偶発症は食道穿孔を1例認めたが保存的に軽快した。食道表在癌に対する拡大内視鏡観察は,その質的診断,深達度診断に有用であった。
  • 吉田 達也, 佐々部 正孝
    2006 年 68 巻 2 号 p. 31-34
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
     当院で根治を目的として治療を行った原発性早期胃癌93症例104病変について検討した。70症例81病変にESDを行い,79病変(97.5%)が一括切除され,内75病変(92.6%)がpLM(-)&pVM(-)で局所完全切除であった。ESDの偶発症は,出血が6例(7.4%)であり,内5例は遅発性出血であった。穿孔は2例(2.5%),幽門狭窄が2例(2.5%)で,呼吸器合併症は認めなかった。治癒切除は71病変(87.7%)で,非治癒切除となった10病変中8病変(9.9%)は術前診断に問題があった。手術切除23症例23病変中,pMまたはpSM1で,かつly0/v0/pN0が11症例(47.8%)であり,当院でのESD治癒切除基準を満たす症例が5例(21.7%)含まれていた。局所完全切除率・偶発症率から,ESDは技術的には妥当であると思われたが,術前評価精度の可及的向上が今後の最大の課題であると思われた。一方,ESDが技術的に安定し,術前診断精度に課題が残る現状では,ESDと外科的切除の適応判断が困難な場合には,手術を前提としたESDを行い,正確な病理診断に基づき,外科的切除が必要な症例には手術を行う2-step切除の可能性の検討も必要であると思われた。
  • 島田 敦, 磯部 陽, 川口 義樹, 岸 信也, 徳山 丞, 和田 則仁, 竹内 裕也, 大石 崇, 池内 駿之, 窪地 淳, 松本 純夫, ...
    2006 年 68 巻 2 号 p. 35-39
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
     内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により大型病変の一括切除率が向上したが,病変の局在部位や大きさにより治療に長時間を要する症例も少なくない。そのため,治療が2時間以上かかると予測した早期胃癌症例を中心に,全身麻酔を導入しESDを行った。対象は17症例20病変で,患者の平均年齢は71.5歳であった。治療が2時間を超えると予測した理由は,病変径が3cmを超えるものが9例,治療困難な位置(胃管,残胃,食道胃接合部)にあるものが3例,胃内多発病変が2例であった。病変が3cmを超えるものをA群,それ以外をB群として検討を行った。平均切除径はA群で42.1mm,B群で23.8mm,平均治療時間は,A群で147分,B群で178分であった。一括切除率は,A群で7/9,B群で9/11病変で,側方,垂直断端陰性率は,A群で9/9,B群で9/11病変であった。ESDに伴う偶発症では,後出血は1例もみられず,穿孔は1例に認めたが保存的治療にて軽快した。全身麻酔に伴う合併症は1例もなく,穿孔症例を除いた16例は治療後8日目に退院した。また,併存疾患を有する3例においても安全にESDが遂行できた。術者の技術熟達度などにより適応は変化していくと考えられるが,治療が長時間を要すると予測された症例には,全身麻酔下でのESDは有用であると考えられた。
  • 清田 毅, 才川 義朗, 吉田 昌, 大谷 吉秀, 久保田 哲朗, 熊井 浩一郎, 今枝 博之, 杉野 吉則, 日比 紀文, 北島 政樹
    2006 年 68 巻 2 号 p. 40-44
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】胃癌治療ガイドラインの絶対適応外病変に対する内視鏡治療例を検討し再評価する。【対象】当院における相対適応EMR 137例を対象とした。相対適応EMRを選択した理由は,診断的治療64例・手術高リスク65例・重複癌8例であった。【背景因子】未分化型腺癌20例,径20mm以上52例,癌巣内潰瘍あり45例であった。病理結果は垂直断端陽性13例・不明瞭5例,水平断端陽性27例・不明瞭60例,粘膜下浸潤あり39例,ly(+)14例,v(+)6例であり,生検で27.7%(38/137)に遺残を認めた。【治療評価】治療後合併症は,出血13例(9.4%)・穿孔3例(2.2%)であった。術後平均観察期間は5.2年(0.5~13.3年)であった。再発は15.3%(21/137)で,その転帰は再発消失12例・再発生存4例,再発死2例・他病死3例であった。他病死を除く5年生存率は94.4%であった。【結論】相対適応EMRにて後出血9.4%,穿孔2.2%を認め,EMR後遺残または再発を43.0%に認めた。一方,5年生存率94.4%と良好な遠隔成績が得られ,相対適応EMRの有用性が示唆された。
  • 中村 理恵子, 才川 義朗, 清田 毅, 中村 哲也, 吉田 昌, 久保田 哲朗, 熊井 浩一郎, 北島 政樹
    2006 年 68 巻 2 号 p. 45-48
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
     早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)の普及に伴い,EMR施行後の経過観察において,異時性多発病変を早期に発見し,再度EMRを施行することが望ましい。当院における早期胃癌EMR後の異時性多発癌の発生率は2.1%で,その多くは初回病変治療後5年以内に発見されたが,初回病変治療後8年目に発見される症例も存在した。また,多発病変は,初回病変と同じ組織型が含まれることが多く,初回治療部位より口側に多くが発生していた。このことに留意して経過観察を行い,患者QOLを損わずに治療を行うことが重要であると考えられた。
  • 近藤 靖之, 松橋 信行, 遠藤 宏樹, 大谷 友彦, 蓮江 智彦, 塙 勝博, 朝山 雅子, 伊東 友弘, 久富 勘太郎, 柴田 実, 櫻 ...
    2006 年 68 巻 2 号 p. 49-52
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
     原因不明消化管出血に対するスクリーニング検査法として,すでにカプセル内視鏡検査の有効性は認められているが,これまで当科ではスクリーニング検査としての定性性向上のため,各々のカプセル内視鏡所見を出血部位としての確度に基づき分類することを試みてきた。今回,原因不明消化管出血精査目的に当科においてカプセル内視鏡検査を施行した55症例の分類結果を評価することにより,内視鏡所見分類の有効性を確認した。また小腸疾患検査において今後カプセル内視鏡はさらに重要な役割を果たし得ると考えられるが,他検査法との適切な組み合わせなども考慮した新たな診断指針,また治療方法の構築が重要である。今回の検討では,カプセル内視鏡検査と,他検査の結果比較などにより,小腸疾患検査においては,初期段階より,積極的にカプセル内視鏡を施行して,得られた結果に基づき,その後の方針を構築することが有用と考えられた。
内視鏡の器械と技術
  • 荒木 昭博, 土屋 輝一郎, 大島 茂, 岡田 英里子, 柴田 早苗, 金井 隆典, 渡辺 守
    2006 年 68 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
     ダブルバルーン内視鏡経口アプローチで問題となるオーバーチューブによる咽頭への苦痛・裂傷・誤嚥性肺炎の防止のために我々はダブルオーバーチューブ法を開発した。本法によって,患者への苦痛・裂傷は格段に軽減でき,さらには現在まで誤嚥性肺炎を含めて合併症の出現を認めていない。従来の操作では余剰した潤滑ゼリーは気道内に進入し誤嚥性肺炎の合併が問題であったが,我々が考案したダブルオーバーチューブ法はこの潤滑ゼリーの気管への脱落を完全に防ぐことのできる方法である。さらに,術者にとって本来の小腸病変検索や治療に術者がより集中できる利点がある。今回,我々が報告したダブルオーバーチューブ法でセカンダリーオーバーチューブとして用いたフレキシブルオーバーチューブは他施設でも入手が容易であり,より安全なダブルバルーン内視鏡法の普及に寄与する可能性が期待される。また,より安全で操作性に優れる専用セカンダリーオーバーチューブの開発も待たれる。
臨床研究
  • 大塚 和朗, 樫田 博史, 請川 淳一, 鎮西 亮, 原 栄志, 伊藤 治, 笹島 圭太, 小林 泰俊, 日高 英二, 松下 達彦, 浜谷 ...
    2006 年 68 巻 2 号 p. 58-61
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    【目的】潰瘍性大腸炎(UC)患者が増加しているが,それに伴うcolitic cancerの診断は容易ではない。発見のためStep biopsyが行われてきたが,狙撃生検が望ましい。そこでUC粘膜,dysplasia,colitic cancerのpit patternを観察し早期診断への有効性を検討した。【方法】当院で大腸内視鏡検査を行った罹患年数4年以上の緩解期の全結腸型と左側結腸型の潰瘍性大腸炎患者44名を検討対象とした。平均罹患年数は7.4±3.8年であった。盲腸,上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸,直腸でpit patternを観察し,生検標本と比較した。次に,dysplasia,colitic cancer9症例10病変についてpit patternを観察し肉眼形態とあわせ検討した。【成績】緩解期大腸から264箇所生検し,Ⅰ,Ⅱ型を呈した260箇所からはdysplasiaは検出されなかった。ⅢL,Ⅳ型を呈した4箇所のうち,dysplasiaが1箇所検出された。逆にdysplasia,colitic cancerは,ⅢL,Ⅳ,ⅤI,ⅤN型類似のpit patternを呈していた。進行癌ではⅤN型を呈するものが多かったが,Ⅴ型を呈して・型を認識できないものもあった。dysplasiaと診断されたものは,ⅢL,Ⅳ型を呈していた。【結論】ⅢL,Ⅳ,Ⅴ型などの腫瘍性pit patternを呈する箇所より生検すればより効率的にdysplasia,colitic cancerが検出できる可能性がある。
  • 飯塚 春尚, 小野里 康博, 石原 弘, 佐川 俊彦, 森 一世, 新井 弘隆, 高山 尚, 阿部 毅彦, 吉村 純彦, 坂元 一郎, 吉成 ...
    2006 年 68 巻 2 号 p. 62-66
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    【目的】大腸穿孔は急速に汎発性腹膜炎から敗血症に移行していく危険があり,原則的には緊急手術の適応であるが,特定の症例であれば保存的治療が可能であると思われる。当院での大腸内視鏡検査中の穿孔例について,穿孔原因別に比較検討し,大腸穿孔に対する保存的治療の適応を検討する。【対象】平成8年から平成16年までに大腸内視鏡検査15,773件中穿孔を来たした9例を対象とした。【結果】死亡例はなく挿入時穿孔3例,治療時穿孔6例であった。挿入時穿孔は全例汎発性腹膜炎のため6時間以内に緊急開腹手術を行なった。入院期間は平均24.3日で軽快退院した。治療時穿孔は2例に腹腔鏡下腸切除術を行ったが,術中腹腔内所見が軽度であり,入院期間は平均12.5日で挿入時穿孔より短かった。その後の治療時穿孔4症例は保存的治療を行ない,全例軽快した。治療法として,抗生剤投与,禁食(飲水は少量可),症例によって経肛門的減圧チューブを使用した。腹痛や発熱を認めた症例もあったがその他合併症はなかった。入院期間は平均9.8日であった。挿入時穿孔は穿孔径が大きく内視鏡的処置が不可能であったが,治療時穿孔のうち保存的治療を行った症例はすべてクリップ縫合が可能な穿孔径の小さな症例であった。【結論】大腸穿孔のうち治療時穿孔は特定の症例では保存的治療が可能な場合があることが示唆された。
  • 中島 光一, 宮﨑 信一, 青木 泰斗, 岡崎 靖史, 坂間 淳孝, 井上 雅仁, 久保嶋 麻里, 堀部 大輔, 角田 慎輔, 北林 宏之, ...
    2006 年 68 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
     径20mm以上の大型腺腫および粘膜癌,粘膜下層微小浸潤癌に対する,内視鏡および手術による治療の位置づけを,当科の91例の治療成績から検討した。Ⅰp31例においては,全例EMR/polypectomyにより一括切除されており遺残再発もないため,ⅠpはEMR/polypectomyの適応と考える。Ⅰsp,Ⅰs,Ⅱa(LST)60例においては,EMRが43例に行われ36例が分割切除となり,うち7例に遺残再発が認められたが,いずれもm癌までの時期において根治的追加治療が行えていた。Ⅰsp,Ⅰs,Ⅱaは,分割切除となっても慎重なfollow-up検査が行えることを前提とすればEMRの適応としてよいが,遺残再発の問題を改善するために,今後ESDの適応を手技の習熟・進歩により拡大していくことが重要であると考えられる。ESDを行った3例を含めた内視鏡治療77例においては,重大な偶発症は認めなかった。一方手術は確実な治療法ではあるが,合併症の問題は腹腔鏡手術でも軽視できず,最初から手術適応とするのは,内視鏡治療が困難と判断される,全周に近い周在性をもつ症例や強い屈曲部に位置するような症例に限られるものと思われる。
  • 小島 正之, 相浦 浩一, 半田 寛, 山岸 由幸, 樋口 肇, 朴沢 重成, 谷本 伸弘, 熊井 浩一郎, 北島 政樹
    2006 年 68 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
    【目的】ERCP施行例におけるMRCPとERCPをretrospectiveに比較し,それぞれの適応を検討した。【対象】2003年1月から2005年6月までに施行した総胆管結石(CBDS)109例,悪性疾患29例,膵嚢胞性疾患25例を解析した。【結果】CBDSでERCPを施行した症例はMRCPの有無にかかわらず,完全排石率に有意差がなかった。肝外胆管癌・胆嚢癌では21例中15例で生検ないしIDUSを施行し組織・進展度診断が可能であった。肝門部胆管癌では,ERCP先行で胆管炎を合併した症例があった。MRCPは,IPMN分枝型の嚢胞数・大きさの確認に有用であったが,主膵管型の結節診断には不十分であった。【結語】US,CT等他の画像検査でCBDS,肝外胆管癌・胆嚢癌が疑われた場合,ERCPが第1選択と考えられ,肝門部胆管癌では,まずMRCPを施行し十分情報を得る必要があると考えられた。IPMN分枝型ではMRCP,主膵管型ではERCPが有用と考えられた。
  • 西野 隆義, 土岐 文武, 大井 至, 小山 祐康, 白鳥 敬子
    2006 年 68 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 2006/06/10
    公開日: 2013/11/05
    ジャーナル フリー
     膵管非癒合の診断におけるMRCP(magnetic resonance cholangiopancreatography)の有用性および問題点をERCPと対比検討した。1996年から2004年12月までにMRCPおよびERCPを施行した膵管非癒合19例および膵管非癒合のない108例(慢性膵炎25例,膵胆道合流異常18例,膵癌15例,胆管結石10例など)を対象とした。ERCPをgold standardとした。結果1)ERCPで診断の確定した19例中MRCPで膵管非癒合の診断が可能であったのは13例であった。ERCPにおいて膵管非癒合が否定された108例中107例ではMRCPにて非癒合がないと診断が可能であったが,複雑型の膵胆道合流異常症の1例でMRCPで膵管非癒合と診断した。従って,MRCPの膵管非癒合診断の感度68%(13/19),特異度99%(107/108)および正確度95%(120/127)であった。2)MRCPにおける膵管非癒合診断不可能例は診断可能例に比べて,背側膵管径が有意に細かった。(背側膵管径(mm : mean±SD)診断可能例vs診断不可能例,3.8±1.4 vs 1.8±0.4,p<0.005)MRCPは膵管非癒合診断に対する特異度が非常に高く有用な検査法である。しかし,細い膵管系および胆道系の描出は非常に困難であり,確実な診断はERCPを併せて行う必要があると考えられた。
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