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森山 友章, 望月 雅恵, 長主 直子, 菅波 由有, 関 浩孝, 瀬戸 雅美, 金子 登, 中村 正樹
2006 年 69 巻 2 号 p.
41-43
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は50歳代の男性で,主訴は嚥下時違和感。食道造影にて下部食道に5cm大の亜有茎性病変を認めた。内視鏡では,腫瘤の主体は表面平滑で灰白色調の多結節状隆起で,口側にドーム状で発赤調のびらんを伴い,びらん面の生検で悪性黒色腫と診断した。約3週後の内視鏡ではびらん面は修復され,表面は灰白色を呈していた。治療は外科手術を行った。切除標本は肉眼型0-Ⅰp,深達度SMで,接合部活性を認めた。自験例は大きさの割に症状に乏しく検診で発見され,また腫瘍の表面性状の変化を内視鏡で観察できた点で注目された。
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井田 陽介, 川久保 博文, 大森 泰, 青木 厚, 杉浦 仁
2006 年 69 巻 2 号 p.
44-45
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
高度飲酒喫煙歴を有する50歳男性。門歯列より28cm左壁にType 0-Ⅱb,深達度m1の食道癌,及び中咽頭後壁正中右側寄りにType 0-Ⅱb,深達度epの表在癌を認めた。両者に対し局所麻酔下にEMRを施行した。50歳以上の男性,食道癌の既往,多発ヨード不染,高度飲酒喫煙歴などは中下咽頭癌のリスクファクターであり,これらハイリスク群では上部内視鏡時に中下咽頭も詳細に観察する必要があると考えられた。
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浦牛原 幸治, 村川 美也子, 山地 統, 山本 満千, 高橋 有香, 小野 圭一, 小島 茂, 武田 雄一, 野内 俊彦
2006 年 69 巻 2 号 p.
46-47
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
極めて稀とされる急性壊死性食道炎をアルコール飲酒歴あり,横紋筋融解症を合併した高度脱水状態患者2例に認めた。両例に食道裂孔ヘルニア,1例に十二指腸潰瘍を認めた。本疾患は病因不明とされるが,脱水による虚血,胃酸逆流機転が示唆された。絶食,補液,PPI投与にて1例は速やかに改善し,1例は肝不全にて逝去した。特徴的な内視鏡所見にて診断可能であるが,実は診断に至らない例,誤診等で報告例が少ない可能性がある。
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村越 千晶, 新美 恵子, 市村 崇, 江東 玲子, 新島 光起, 町野 裕之, 甲嶋 洋平, 半田 祐一, 家富 克之, 崎村 恭也
2006 年 69 巻 2 号 p.
48-49
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は74歳女性。発熱,黒色便を主訴に来院。内視鏡検査で,食道裂孔ヘルニアと,食道下部に縦走する易出血性の白苔を認めた。生検にて,核の腫大・スリガラス様変化を伴う上皮細胞と多核化した上皮の混在像を認め,ヘルペス食道炎と診断。valaciclovir内服投与後の内視鏡にて,白苔は消失し,逆流性食道炎のみ確認した。ヘルペス食道炎は浅い類円形びらんを特徴とするが,本症例は逆流性食道炎に合併したため非典型的な形態を示したと考えられる。
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岩上 祐子, 岩男 泰, 高田 康裕, 飯塚 秀子, 杉野 吉則, 三上 修司, 向井 万起男, 岩男 暁子, 吉田 武史, 日比 紀文
2006 年 69 巻 2 号 p.
50-51
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
60歳代,男性。アルコール多飲歴あり。検診で食道に異常所見を指摘され当院を紹介受診。食道造影X線検査で頸部食道から胸部下部食道にかけて,1~4mmの無数のフラスコ状,カフスボタン状のバリウム造影剤の突出像を,上部消化管内視鏡検査では,全周性に無数の大小の陥凹を認め,食道壁内偽憩室症生検組織では非特異的な慢性炎症性細胞浸潤,粘膜下層の強い線維化に加え,微小憩室の開口部が観察された。真菌感染症,狭窄等の合併症に留意し経過観察が必要と考えられた。
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今井 幸紀, 伊東 洋, 安藤 さつき, 菅原 通子, 中尾 将光, 頼 文恵, 藤盛 健二, 柿沼 徹, 新井 晋, 石川 恵子, 稲生 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
52-53
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は64歳,C型肝硬変の女性。巨木型食道静脈瘤からの出血を認め,出血部位にEVL施行。大きなLg-cもあり,その後EOによるEISを計画したが,EVISでは静脈瘤は造影されずEISは施行できなかった。そこでLg-cと食道静脈瘤の治療を行うことを目的にシアノアクリレート(CA)を注入した。その後EOを注入し供血路まで塞栓した。4カ月後食道静脈瘤は器質化し,Lg-cは消失した。EOによるEISが困難な,血流量の多い食道静脈瘤に対してCAを用いた硬化療法が有効であった症例を経験した。
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森山 友章, 望月 雅恵, 長主 直子, 菅波 由有, 関 浩孝, 瀬戸 雅美, 金子 登, 中村 正樹
2006 年 69 巻 2 号 p.
54-55
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
内視鏡下に摘出した上部消化管異物のうち,乾電池・かにの甲羅・PTP・食物塊・胃瘻バンパー・スプーン・歯ブラシの8例について検討した。異物摘出では,異物の性状と存在部位を確認または予測し,処置具・補助具を組み合わせて摘出の構想を練ることが重要である。実際の方法では,3cm以内の小さい異物は回収ネットを使用し,大きい異物は処置具を駆使して除去した。緊急対応が求められる場合も多く,簡便で標準的な手技の習熟が求められている。
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平嶋 勇希, 細谷 好則, 俵藤 正信, 太田 真, 瑞木 亨, 荒井 渉, 横山 卓, 西野 宏, 安田 是和, 永井 秀雄
2006 年 69 巻 2 号 p.
56-57
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
37歳男性で,統合失調症の治療中であった。食欲不振と発熱を認め,胸部レントゲンで長さ7cmの大型有鈎義歯を認めた。胸部CTでは義歯は食道を穿通し,胸部上部-下部食道周囲に気腫を認め,下行大動脈周囲には液体貯留を伴っていた。全身麻酔下で内視鏡,硬性鏡による義歯摘出を試みたが不可能であった。右開胸し,義歯を摘出した。
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保科 牧江, 瓜田 純久, 石原 晋, 名波 竜規, 大橋 佳弘, 西田 祥二, 秋元 達雄, 加藤 博人, 斎藤 直康, 原 規子, 本田 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
58-59
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
唾液は食物の咀嚼,嚥下,また,逆流性食道炎の予防にも大きな役割を担っている。ニザチジンは酸分泌を抑制するだけでなく,唾液分泌促進作用を要するため唾液腺機能低下症の治療にも用いられる。症例は10年以上前から咽頭違和感が続いていた63歳女性。精査の為唾液腺シンチグラフィーを行ったところ機能低下していた為,ニザチジン300mgを投与した。8週後には症状は消失し,唾液腺シンチグラフィーの所見にも改善が見られた。
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上原 俊樹, 水野 滋章, 松岡 千加子, 蓮沼 理, 加藤 公敏, 森山 光彦, 岩崎 有良, 荒川 泰行, 青木 優, 望月 晋, 高山 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
60-61
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は54歳男性,医師。腹痛を契機に上部消化管内視鏡検査を施行したところ,爪楊枝の胃壁内刺入と近傍の3型進行胃癌を認めた。爪楊枝は水洗にて胃内腔へ脱落し,透明フードと把持鉗子を用いて内視鏡的に除去した。後日,胃癌に対し幽門側胃切除術を施行した。誤嚥した爪楊枝の胃壁刺入の脱落を内視鏡にて観察でき,また偶然胃癌の発見契機となった稀な症例を経験した。
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細井 亜希子, 宇野 昭毅, 小林 駿, 大西 雅彦, 西山 竜, 赤井 祐一, 老沼 悟朗, 山本 敏樹, 渡辺 俊一, 大谷 豪, 荻原 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
62-63
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は54歳女性。検診の胃X線検査で潰瘍性病変を指摘され,当院を受診。上部消化管内視鏡検査で胃角部後壁に退色調の陥凹性病変が見られ,生検でsignet-ring cell carcinomaであった。前庭部はびまん性に小顆粒状隆起が密集した鳥肌胃炎の像を呈し,
H. pylori陽性であった。未分化型であり,幽門側胃切除術が施行された。若年ではない点以外は鳥肌胃炎に合併した胃癌の典型例と考えられた。
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宮野 一樹, 星野 明弘, 蓮江 智彦, 中嶋 健太郎, 大塚 裕一, 奈良 智之, 野家 環, 伊藤 契, 針原 康, 古嶋 薫, 松橋 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
64-65
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は70歳,男性。検診の上部消化管内視鏡検査にて前庭部小彎にⅡc病変を認めた。生検では,低分化腺癌,および中分化型管状腺癌であり,幽門側胃切除術施行した。術後病理学的所見では,粘膜下層での静脈侵襲像強く,N/C比の大きな細胞が増殖し,内分泌顆粒マーカー陽性であったため,内分泌細胞癌と診断した。本疾患は進行癌として発見される事が多く予後は悪いが,早期癌として発見される症例では,良好な予後が期待される。
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岡田 健一, 諏訪 達志, 佐藤 知美, 玉田 智之, 捨田利 外茂夫, 佐藤 宏喜, 古内 孝幸, 竹中 能文, 堀 眞佐男, 佐久間 正 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
66-67
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
進行胃癌に対して,TS-1単独療法を施行し,complete response(CR)が得られたハイリスク・手術拒否の症例を報告する。本邦論文報告で,初発進行胃癌に対しFirst-Lineとして施行したTS-1単独療法によって,原発巣のPathological CRが得られた非手術例は,自験例を含めて7例である。TS-1療法は手術不適例においても,根治の可能性も残る重要な治療選択肢と考えられた。
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萩原 信敏, 宮下 正夫, 山田 智彦, 野村 務, 牧野 浩司, 高橋 健, 赤城 一郎, 加藤 俊二, 木山 輝郎, 奥田 武志, 藤田 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
68-69
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
胃前庭部に複雑な形態を示す胃癌の1例を経験した。症例は56歳男性。内視鏡像は前庭部大彎から後壁に3箇所の周提を伴う潰瘍性病変が近接しており,大彎側と後壁の病変の連続性はなく腫瘍間の境界は明瞭であった。摘出標本の組織学的所見では,中分化型腺癌が潰瘍性病変の間に連続して広がっていたため,同一病変と判断された。肉眼形態の極めて稀な胃癌であり,癌の発育進展を検討する上で貴重な症例であると考え報告する。
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片山 裕視, 高橋 盛男, 鈴木 一義, 桑山 肇
2006 年 69 巻 2 号 p.
70-71
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
患者は54歳の女性。タール便を主訴に来院,上部消化管内視鏡検査にて胃体下部に3mmの山田Ⅱ型ポリープからのoozing認めclipping施行。8歳時よりvon Willebrand病指摘されており血液第Ⅷ因子製剤投与後EMR施行した。病理組織学的検査ではfoveolar typeのhyperplastic polypの像であった。血液凝固異常を伴う患者では小ポリープでも積極的な治療を要すると思われた。
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中屋 照雄, 徳永 徹二, 佐々木 善浩, 三谷 圭二, 藤岡 直子, 川久保 美和, 花田 健治, 青野 茂昭, 中村 幸嗣, 小針 伸一 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
72-73
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は44歳男性。2004年10月より心窩部痛が出現,同年11月上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大彎に巨大潰瘍を認めた。生検および全身検索にてstageⅠの胃原発悪性リンパ腫と診断し,CHOP療法を施行した。その3クール目の第9日に突然の腹痛が出現し,病巣部に潰瘍穿孔を認めた。胃原発悪性リンパ腫の化学療法では,穿孔は化学療法初期に起こることが多く,3クール目で起こることは極めて稀であり報告する。
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志村 和政, 三坂 亮一, 古川 真依子, 古市 有子, 久保木 友子, 堀田 順子, 石川 尚之, 新見 晶子, 重本 六男, 大石 英人 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
74-75
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例74歳男性。健診でCEA7.4mg/dlと上昇を認め,上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃体上部前壁に直径20mm大の頂部に陥凹を伴う隆起性病変を認めた。内視鏡像からはGISTを考えたが,生検結果では悪性リンパ腫が疑われ,腹腔鏡下胃部分切除術施行となった。切除標本ではCD10,CD20,bcl-2が陽性で,Follicular lymphoma(B-cell)と診断された。所属リンパ節の転移を認め,慎重な術後の経過観察が必要と考えられた。
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植木 信江, 藤崎 順子, 加藤 洋, 竹井 義純, 澤田 晋, 齋藤 充生, 石山 晃世志, 山本 頼正, 帯刀 誠, 土田 知宏, 星野 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
76-77
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
62歳男性。2年前より胃粘膜下腫瘍を指摘され,確定診断のため当院紹介となった。上部消化管内視鏡検査にて胃体中部大彎に15mm大の粘膜下腫瘍様の隆起を認めた。超音波内視鏡検査では第2層に充実性の低エコーの腫瘤として描出され,穿刺吸引細胞診でも確定診断には至らず,内視鏡的粘膜切除術を施行した。病理組織,免疫組織学的にCD5陰性,CD10陽性,BCL-2蛋白陽性で,濾胞性リンパ腫と診断した。
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森下 慎二, 松本 政雄, 前田 浩輝, 新村 和平, 佐藤 芳之, 池田 有成, 井上 泰
2006 年 69 巻 2 号 p.
78-79
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は50歳,女性。
H. pylori陽性の胃潰瘍に対し除菌を施行。除菌治療の3年後に急性胃粘膜病変を発症。このとき
H. pyloriが培養陽性であり,再感染による症状と考えられた。
H. pylori再感染による急性胃粘膜病変(AGML)の内視鏡像の報告は少ない。前庭部中心に浅い白苔,黒苔を有するが,体上部から窮隆部にかけては炎症がほとんど見られなかった。
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鳩貝 健, 前田 憲男, 浅野 大樹, 古目 谷暢, 二階堂 光洋, 細江 直樹, 重松 武治, 水城 啓, 鳥海 史樹, 山崎 一人, 塚 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
80-81
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は28歳男性。黒色便・貧血を主訴に当院を紹介受診した。諸検査より十二指腸下行脚の径3cm大の表面に潰瘍を伴う有茎性病変が消化管出血の原因と考えられた。部位や形態より内視鏡的処置は困難と考え,また組織学的な診断がつかなかったため,開腹にて切除した。病理組織学的所見はBrunner腺過形成であった。若年で消化管出血を伴った比較的大型のBrunner腺過形成の1例を経験したので,文献的考察を加え報告した。
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中屋 照雄, 徳永 徹二, 佐々木 善浩, 松原 健朗, 青野 茂昭, 小針 伸一, 東納 重隆, 眞方 良彦, 白濱 龍興
2006 年 69 巻 2 号 p.
82-83
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は53歳男性。検診での上部消化管内視鏡検査にて,十二指腸主乳頭部に粘液流出を伴い複数の開口部を有した大きさ15mm大の隆起性病変を認めた。側視鏡検査では主乳頭部直上の亜有茎性病変であり,生検病理組織学的所見では,壁細胞・主細胞が散在する異所性胃粘膜であった。十二指腸主乳頭部直上に発生し,亜有茎性で複数の開口部を有する異所性胃粘膜は過去に報告がなく,その発生機序は示唆に富み,興味深い肉眼像と考え報告する。
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後藤 絵理子, 渡辺 一宏, 後藤 修, 大平 和彦, 梶原 晴香, 小池 幸宏, 松川 滋夫, 川瀬 建夫
2006 年 69 巻 2 号 p.
84-85
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は49歳男性,大酒家。黒色便を主訴に来院,緊急上部内視鏡施行。十二指腸下行脚に出血性十二指腸静脈瘤を認め,最終的にクリップ止血処置を行った。後日,残存静脈瘤に対し予防的にクリッピングを追加。静脈瘤は縮小し,再発なく8カ月経過中。十二指腸静脈瘤破裂例に対し,クリップ治療で止血から予防的治療まで行い,軽快した症例を経験したクリッピングは供血路の遮断を含めた追加治療も容易であることから十二指腸静脈瘤止血・予防的治療に有用と考えられた。
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川﨑 彩子, 小笠原 ちか, 高林 馨, 中里 圭宏, 加藤 祥子, 関根 理恵子, 南雲 大暢, 落合 康利, 雨宮 こずえ, 藤山 洋一 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
86-87
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
盲腸に限局したアメーバ性大腸炎の2例を経験したので報告する。症例1 51歳男性。主訴は血便。内視鏡にて盲腸に限局した潰瘍を認めたが確定診断に至らなかった。3カ月後の再検時の生検で赤痢アメーバ栄養型を認めた。症例2 55歳男性。主訴は便潜血陽性。近医にて内視鏡検査施行したが診断に至らなかった。5カ月後便潜血再度陽性であり当院受診した。内視鏡にて盲腸に限局したびらん認め生検で赤痢アメーバ栄養型を認めた。盲腸に限局する潰瘍性病変の鑑別疾患として本疾患を念頭におく必要がある。
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濱田 徹, 冨樫 一智, 堀江 久永, 宮倉 安幸, 佐藤 寛丈, 小島 正幸, 岡田 真樹, 永井 秀雄
2006 年 69 巻 2 号 p.
88-89
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は77歳男性。大腸癌術後の大腸内視鏡検査で,下行結腸に径8mmのⅡc型病変が発見された。陥凹内隆起を認めたため粘膜下層深部浸潤癌が疑われたが,空気量の変化により形態変化することから粘膜内癌と診断し内視鏡的に切除した。組織学的には,粘膜内癌(高分化腺癌)で,隆起部分は表層へ固着した肉芽組織であった。IIc型大腸癌の陥凹内隆起は炎症性変化や癌の粘膜内増殖によって生ずる場合があるので注意が必要である。
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関 大仁, 栗原 英二, 齋藤 淳一
2006 年 69 巻 2 号 p.
90-91
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は71歳男性。胃癌術後1年目経過観察の便潜血反応が陽性のため,大腸内視鏡を施行したところ,Cecum,Transverse,Sigmoidの3箇所に肉眼形態の異なるLSTを認めた。
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平畑 光一, 伊藤 紗代, 三枝 善伯, 根本 夕夏子, 阿部 剛, 富永 健司, 佐藤 浩一郎, 須田 浩晃, 掛村 忠義, 吉田 光宏, ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
92-93
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は72歳女性。貧血のため施行した上部消化管内視鏡で胃体部小彎に不整潰瘍を認め,生検で印環細胞癌と診断された。大腸内視鏡では脾曲部に全周性狭窄と,S状結腸に陥凹を伴う発赤隆起を3カ所認めた。内視鏡的超音波断層像で,S状結腸の病変は第3層までの腫瘤像が描出され,第4層が肥厚・連続していた。同部の生検で印環細胞癌が検出され,胃癌の転移と考えられた。胃癌の大腸転移は稀であり,文献的考察を加え報告した。
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吉野 雅則, 水谷 聡, 尾形 昌男, 塙 秀暁, 近藤 恭司, 前島 顕太郎, 松信 哲朗, 小峯 修, 坊 英樹, 塩谷 猛, 渡辺 昌 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
94-95
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis : FAP)はほぼ100%に大腸癌が発生する。治療は手術であるが,時期および術式には分子遺伝学的検査に勝り,大腸内視鏡所見が重要である。大腸内視鏡によるFAP症例の近親者に対するスクリーニングと術後患者のフォローアップは予後の改善に大きく寄与していくものと考える。今回我々が経験したFAP症例を文献的考察とともに報告する。
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石戸 謙次, 小林 清典, 春木 聡美, 横山 薫, 佐田 美和, 勝又 伴栄, 西元寺 克禮, 佐藤 武郎, 三上 哲夫, 三富 弘之
2006 年 69 巻 2 号 p.
96-97
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は52歳の男性。25歳時に大腸憩室炎と診断され,2003年には他院で下行結腸狭窄を指摘されたが炎症性変化と考え経過観察となった。2005年2月頃から左側腹部痛や便柱細小化を認め当科を受診。注腸造影で脾彎曲部に著明な狭窄を認めた。大腸内視鏡では,同部に多発する粘膜下腫瘍様隆起や膿汁流出を伴う炎症憩室を認め大腸亜全摘術を行った。病理組織学所見から,大腸憩室炎により広範囲の腸管炎症や狭窄を合併したものと考えられた。
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大久保 政雄, 関川 憲一郎, 高橋 淳, 曽 絵里子, 小林 克也, 高倉 裕一, 関根 昌子, 古畑 総一郎, 松浦 広, 松川 雅也, ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
98-99
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は49歳男性。右下腹部痛で発症し腎結石発作を疑い当院泌尿器科に入院。加療後も腹痛が持続し当科紹介となった。微熱と,右下腹部には圧痛と反跳痛を認めた。CTでは上行結腸憩室炎疑い大腸内視鏡施行。回盲部は拡張不良で,回盲弁は上唇は,上行結腸に腫大伸展し,その先端は炎症性粘膜を伴っていた。また,終末回腸の狭窄も認め,内視鏡的逆行性造影では3cm程度にわたり高度狭窄していた。遺残虫垂膿瘍や,悪性腫瘍等も否定できず回盲部切除術を施行した。病理所見は,回盲弁の腫大はLipohyperplasiaで,回盲狭窄は急性・慢性憩室炎による炎症の波及が原因と考えられた。
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志賀 洋史, 船越 信介, 首村 智久, 高山 哲朗, 芹澤 宏, 渡辺 憲明, 常松 令, 金子 文彦, 熊谷 直樹, 森永 正二郎, 土 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
100-101
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
大腸全摘術後に出現した回腸嚢炎,多発関節炎に対し白血球除去療法(leukocytapheresis : LCAP)が奏功した潰瘍性大腸炎を経験した。また,6-MPによる緩解維持効果もみられ,今後これらが術後の回腸嚢炎や腸管外合併症の緩解導入および維持療法の選択肢のひとつになることが期待された。
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高田 樹一, 横山 薫, 石戸 謙次, 春木 聡美, 小川 大志, 佐田 美和, 小林 清典, 勝又 伴栄, 西元寺 克禮, 三上 哲夫, ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
102-103
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は55歳女性。潰瘍性大腸炎(UC) 全大腸炎型と診断後,発熱と腹痛,20行/日の血性下痢を認め,症状増悪し,SeoのUCAIも445と高値であった。終末回腸と盲腸からS状結腸にかけて広範に深掘れ潰瘍が多発し,backwash ileitis合併の重症UCと診断した。ステロイド強力静注療法に顆粒球吸着除去療法を併用し,緩解導入しえ,外科手術を回避できた症例を経験したので報告した。
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三枝 善伯, 伊藤 紗代, 平畑 光一, 阿部 剛, 富永 健司, 佐藤 浩一郎, 須田 浩晃, 掛村 忠義, 藤沼 澄夫, 酒井 義浩, ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
104-105
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
72歳男性。前立腺癌治療中に便鮮血陽性があり受診。内視鏡では直腸下部に3分の1周性に粘膜下腫瘍様の隆起があり,表面は発赤していた。内視鏡的超音波断層像では前立腺から連続する腫瘍を認め,生検で前立腺癌の直腸浸潤と診断した。前立腺癌が直腸に浸潤する際,Denonvillier筋膜や筋層が防御壁となり,筋層下を全周性に浸潤することが多いが,本症例は,輪状狭窄を呈することなく,直接直腸粘膜へ浸潤している稀な症例であった。
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草野 昌男, 小島 康弘, 飯塚 邦夫, 近藤 史帆, 渡辺 崇, 島田 憲宏, 境 吉孝, 大楽 尚弘, 小島 敏明, 池谷 伸一, 樋渡 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
106-107
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
フリー
症例は70歳,女性。69歳時に心筋梗塞の既往があり,抗凝固剤を内服中。平成17年8月5日,暗赤色の下血があり当科を受診。下部消化管内視鏡検査でRaに出血を伴う腫瘍が認められ入院。抗凝固剤中止後の生検では,充実性,胞巣状に浸潤増殖を示す低分化腺癌,または内分泌細胞癌が疑われた。26日低位前方切除術を施行。肉眼的には,18×15mmの2型腫瘍で,組織学的には腫瘍細胞が大小の胞巣を形成し増殖しており,また免疫染色でクロモグラニンA,シナプトフィジンが陽性,電子顕微鏡で内分泌顆粒が認められ,直腸内分泌細胞癌と診断した。術後2カ月のCT検査で下臀動脈領域のリンパ節腫脹,NSEの上昇がみられたため,UFT,ユーゼル内服を開始した。2クール後のCTでリンパ節の増大が認められたため,エトポシド,シスプラチン,放射線療法を施行した結果,リンパ節は消失し,NSEは低下した。術後11カ月,再発なく経過中である。
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鎌田 至, 藤塚 宜功, 中野 茂, 籾山 浩一, 竹内 基, 片桐 正人, 樋上 勝也, 佐藤 真司, 渡邉 慶太, 永井 英成, 渡邉 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
108-109
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
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症例はHCV陽性肝硬変の74歳の女性。直腸静脈瘤からの出血によりショックを呈して入院となった。静脈瘤は下腸間膜静脈を供血路として発達し,主な排血路は左右の内腸骨静脈であった。大口径の短絡路は認められなかった。排血路からのアプローチは困難と考え,下腸間膜静脈をコイルで塞栓した。術後2週間の内視鏡では直腸静脈瘤は縮小しRC signは消失していた。しかしCTでは局所の血流残存を認め血流遮断は不完全と考えられた。門脈圧亢進症に伴う直腸静脈瘤からの出血例は治療に難渋することが多く,標準的な治療は確立されていない。今回,供血路塞栓でコントロールを試みた1例を経験したため報告する。
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鈴木 はるか, 内山 勇二郎, 角谷 宏, 今津 博雄, 倉持 章, 加藤 正之, 佐藤 泰弘, 米澤 仁, 吉田 幸永, 郷田 憲一, 斉 ...
2006 年 69 巻 2 号 p.
110-111
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
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藤野 幸夫, 安田 卓, 池田 廉, 浅野 聡, 紫藤 和久, 増尾 光樹, 望月 智行
2006 年 69 巻 2 号 p.
112-113
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
ジャーナル
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術前3D-CT検査で肝管の走行異常が疑われ,術中胆道造影で副肝管が確認された症例を経験した。症例は30歳代の男性で,3D-CTで肝右後区域を支配領域とするⅣ型の副肝管が疑われた。腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,術中胆道造影で副肝管と総胆管結石が描出,確認された。内視鏡的に総胆管結石を除去した後,術後第8病日に退院した。術前3D-CTによる胆管走行の把握と術中胆道造影は胆道損傷を回避するために有用である。
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遠藤 智広, 長久保 秀一, 尾城 啓輔, 諸星 雄一, 芳沢 茂雄, 原 由里子, 坂口 哲章, 今枝 博之, 小松 弘一, 今村 清子
2006 年 69 巻 2 号 p.
114-115
発行日: 2006/12/05
公開日: 2013/08/28
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75歳,男性。慢性膵炎の経過中に心窩部痛が出現し,慢性膵炎の急性増悪と診断し保存的治療を行った。その後ERCPにて膵管,仮性膵嚢胞の描出に続き門脈系の血管が描出され,膵管門脈瘻と診断,仮性膵嚢胞が門脈系に穿破したものと考えた。その後も保存的治療を続け,症状・血清アミラーゼ値の改善を認めた。
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