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梅田 純子, 吉田 光宏, 小林 博之, 伊吹 重雄, 若山 恵, 根本 夕夏子, 掛村 忠義, 前谷 容
2009 年 74 巻 2 号 p.
40-41
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
54歳男性。健康診断で上部消化管内視鏡を施行して,食道下部に隆起性病変を認めた。生検で食道腺由来の腺腫が疑われたが診断確定に至らず,診断的治療を目的に内視鏡的粘膜切除術を施行した。診断に難渋したがnecrotizing sialometaplasiaに類似した化生性病変と診断した。同病変が気管支腺に発生したという報告はあるが,食道に発生した報告例はなく,非常に稀な症例と考えられた。
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安倍 久子, 宇野 昭毅, 横田 崇, 山田 勝久, 伊藤 潔, 大山 恭平, 益岡 晋也, 竜崎 仁美, 太田 壮一郎, 小林 駿, 西山 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
42-43
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
29歳男性。主訴,吐血。上部消化管内視鏡検査で胃体下部大彎にⅡc+Ⅲ型類似進行胃癌を認め,潰瘍底に露出血管を伴っていたため止血術を施行した。前庭部は鳥肌胃炎を呈していた。生検の結果,低分化型腺癌であったため幽門側胃切除術を施行した。近年,鳥肌胃炎を合併した若年者胃癌との関連が注目されている。有症状の若年男性の場合,消化性潰瘍のみならず本症も念頭に入れた内視鏡検査が重要であると考えられた。
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田渕 悟, 俵 英之, 小山 勇, 小柳 和夫
2009 年 74 巻 2 号 p.
44-45
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
同時性に5病変を伴ったEBV関連多発早期胃癌の1切除例を経験した。1病変にEUSで病変直下に嚢胞様,多房性の低エコー領域を認め,同部位の切除標本病理結果で,EBVに特徴的なlymphoid stroma様所見があり深達度SM2であった。その他の4病変はM病変であった。EBER ISH法にて陽性でありEBV関連胃癌と診断した。EBVと胃癌の因果関係は不明な点が多いが,今後EBVの癌化への関与を明確化し治療につなげていくことが望まれる。
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澤田 晋, 山田 雅哉, 安田 宏, 齋藤 充生, 猪 聡志, 落合 康雄, 平田 邦代, 黒田 高明, 竹越 淳, 橋本 裕輔, 丸岡 直 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
46-47
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は59歳男性。基礎疾患に成人期分類不能免疫不全症があり,サイトメガロウィルス感染胃病変を発症した。投薬にて軽快,ピロリ除菌も行ったが,その6年後に胃癌を発症した。内視鏡的粘膜切除を行ったが,中分化型腺癌,SM1(300μm),リンパ管侵襲陽性であったため,腹腔鏡下に追加切除を行った。免疫不全の状態であるため,胃粘膜にサイトメガロウィルスとEBウィルスが持続感染しており,発癌過程への関与が示唆された1例であり,報告する。
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松原 猛人, 根本 洋, 齋藤 充生, 坂田 真希子, 曽田 均, 後藤 哲宏, 水上 博喜, 石橋 一慶, 木川 岳, 澤田 晋, 山田 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
48-49
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
63歳男性。平成17年7月,胃カルチノイドに対してESDを施行。VM(+),ly(+)であったが併存疾患のため内視鏡検査で経過観察がなされていた。3年後,胃に巨大な粘膜下腫瘍様の隆起が認められカルチノイドの再発と診断された。十分な説明のもと幽門側胃切除,横行結腸切除が行われた。病理診断はpoorly differentiated endocrine carcinoma(PDEC)であった。胃カルチノイドの悪性度が変化しPDECとして再発した稀な症例を経験した。
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大前 雅実, 山本 頼正, 岡田 和久, 石山 晃世志, 平澤 俊明, 土田 知宏, 藤崎 順子, 星野 惠津夫, 高橋 寛, 五十嵐 正広
2009 年 74 巻 2 号 p.
50-51
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は55歳男性。健診のEGDで2mm大のカルチノイドを指摘され紹介。EDG上カルチノイドを認めず,体部の萎縮が目立ちA型胃炎を疑い,壁細胞抗体80倍,抗内因子抗体陽性であった。後日のEGDで前庭部大弯に10mm大の発赤陥凹性病変を認め,0Ⅱc,深達度Mと診断,生検上signet-ring cell carcinomaであった。A型胃炎に伴う前庭部の0Ⅱc UL(-)10mm M癌で未分化型の適応拡大病変と考えESDを試行。病理組織で完全切除,経過観察の方針となった。
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平澤 俊明, 山本 頼正, 岡田 和久, 林 裕子, 根子 雅美, 岸原 輝仁, 吉本 和仁, 石山 晃世志, 植木 信江, 小川 大志, ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
52-53
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は60歳代,女性。胃体下部大彎の早期胃癌に対して,幽門側胃切除(Billroth-Ⅰ法)を施行後に異時性多発病変として早期胃癌を認め,ESDを行った。術翌日に遅発性穿孔に気がつき,クリップによる縫縮術にて保存的に改善した。ESD後の遅発性穿孔は比較的稀とされており,発症機序の考察も含め,報告する。
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村上 敬, 佐々木 淳, 中庭 礼智, 川久保 嘉昭, 水井 智和, 渡辺 純夫
2009 年 74 巻 2 号 p.
54-55
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は60歳男性,平成20年5月下旬より心窩部不快感と発熱が続き,6月26日に当科外来を受診した。腹部CT検査で肝左葉の肝膿瘍と診断,緊急入院となった。肝膿瘍を穿刺,ドレナージし解熱,症状も消失したが,突然の心窩部痛があった。造影検査とCT検査で胃への痩孔形成が確認され,内視鏡検査でも穿通部位を認めた。肝膿瘍が消失し胃への痩孔も閉鎖した。肝膿瘍の消化管への穿通は稀であり報告する。
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好士 大介, 水野 滋章, 中川 太一, 岩本 真帆, 宮本 俊八, 佐藤 秀樹, 赤井 祐一, 加藤 公敏, 松井 輝明, 森山 光彦
2009 年 74 巻 2 号 p.
56-57
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は42歳,男性。発熱,腹痛,下痢,下血のため入院となった。大腸内視鏡検査にて全結腸型活動性潰瘍性大腸炎(UC)と診断。上部消化管内視鏡検査では胃前庭部と十二指腸球部から下行脚にかけて連続性に発赤,びらん,粘膜出血を認め,生検病理検査でもUCに類似の所見を認めた。prednisolone 50mg/日投与も効果なく,cyclosporinA投与にて症状軽快,胃十二指腸,大腸の内視鏡像も改善した。
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菅原 学, 小野寺 真一, 宮地 和人, 冨田 茂樹, 依田 紀仁, 佐々木 欣郎, 砂川 正勝
2009 年 74 巻 2 号 p.
58-59
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は61歳の女性で,貧血を主訴に近医で上部消化管内視鏡検査を行った。胃腫瘍を認め当科紹介となり幽門側胃切除術を施行した。術前診断では内視鏡所見や組織学的検索で未分化癌が疑われ,免疫染色で胃内分泌細胞癌を疑われた。摘出標本で複数の神経内分泌腫瘍に対するマーカーが陽性で確定診断された。稀な胃内分泌細胞癌を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
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新井 勝人, 野津 史彦, 岩田 朋之, 野本 朋宏, 江口 潤一, 吉川 望海, 井廻 道夫
2009 年 74 巻 2 号 p.
60-61
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は83歳女性。食欲不振,上腹部痛を主訴に受診。上部消化管内視鏡検査で胃噴門部から体上部前壁に不整形の潰瘍を伴った胃内腔に膨隆する腫瘍性病変を認め,生検はdiffuse large B cell lymphomaであった。経過中大量吐血し,内視鏡は大量の血液で観察困難であり,血管造影で脾動脈より造影剤の血管外漏出を認め,胃悪性リンパ腫の脾動脈浸潤と診断しコイル塞栓術で止血した。本邦では胃悪性リンパ腫の顕性出血例は少なく,報告する。
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須田 浩晃, 中村 文彦, 松浦 良徳, 服部 克哉, 樋口 良太, 剛崎 寛徳
2009 年 74 巻 2 号 p.
62-63
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は68歳男性。脳梗塞で胃瘻造設されていた。平成20年7月に下血とHb6.6g/dlの貧血があり内視鏡を施行したが,進行した食道癌による狭窄にて経口的に内視鏡の挿入が不可能であり,胃瘻より細径内視鏡を挿入した。胃体中部前壁に出血性angioectasiaがあった。止血のために外径1.5mmのalgon plasma coagulationにて焼灼止血を行い,再出血は認めなかった。
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三橋 敏武, 石原 斌, 中村 浩一
2009 年 74 巻 2 号 p.
64-65
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は91歳女性。特にトラブルなく胃瘻チューブの交換を行ったが,交換後の造影検査で腹腔内挿入が判明した。緊急内視鏡検査を施行し,皮膚側の瘻孔開口部から生検鉗子を胃内に進め,それを利用して抜去した胃瘻チューブを本来の瘻孔から再挿入した。交換後大きなトラブルはなかった。特に問題がなく交換できても,交換後には何らかの確認が必要である。また,今回の挿入方法は使用する物品が少なく,コストの面から推奨できる。
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星野 剛, 藤田 晃司, 森 克昭, 森末 淳, 菊永 裕行, 金森 英彬, 林 篤, 熊井 浩一郎
2009 年 74 巻 2 号 p.
66-67
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は46歳男性。餅を食べた際に義歯を誤飲したが,近医にて経過観察された。2日後嘔気を認め,上部消化管内視鏡検査施行し,胃幽門輪にクラスプが刺入した義歯を認めた。異物鉗子にてクラスプを把持し,刺入方向と反対周りの水平方向に回転する事で義歯を胃内に摘出できた。その後EEMRチューブを用いて食道損傷なく回収した。胃幽門輪に刺入した有鉤義歯の内視鏡的摘出には,水平方向に回転することが有用と思われた。
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佐藤 隆, 新井 由季, 屋代 祥子, 谷仲 一郎
2009 年 74 巻 2 号 p.
68-69
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
内視鏡的な止血をした十二指腸憩室出血の2例を経験した。症例1は85歳女性で,十二指腸乳頭近傍の憩室出血を認めた。内視鏡の反転操作等で出血部を同定しクリップにて止血した。症例2は86歳女性。出血で視野がとれなかったが,ウォータージェットによる洗浄・吸引により,水平脚奥に拍動性出血を伴う憩室を認めクリップにて止血。同症の止血処置の際には透明フードの装着やウォータージェットの積極的な利用を考慮すべきである。
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渡辺 聡子, 西山 竜, 大谷 豪, 立花 恵子, 西尾 みどり, 阿部 真久, 松本 直樹, 小川 眞広, 荻原 章史, 中島 典子, 田 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
70-71
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
60歳,男性。既往歴に陳旧性心筋梗塞,慢性心不全がある。胆石,総胆管結石,胆嚢炎で入院中に急性十二指腸粘膜病変(ADML)と急性壊死性食道炎(黒色食道)を併発した。プロトンポンプ阻害薬の投与で速やかに改善を認めた。一方,経動脈超音波検査で両側の頸動脈から内頸動脈にかけてプラークが認められ,80%狭窄の所見であった。背景に動脈硬化を有するADMLと黒色食道を併発した1例を経験したので報告する。
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石田 周幸, 天野 芙美, 林 健次郎, 青山 徹, 可児 和仁, 知念 克哉, 平井 紗弥可, 宮城 直也, 吉川 斉克, 大野 志乃, ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
72-73
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
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矢野 雄一郎, 小西 一男, 小林 祥也, 新井 勝人, 村元 喬, 久保田 祐太郎, 森川 賢一, 片桐 敦, 大田 秀一, 吉川 望海, ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
74-75
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は71歳女性。主訴は腹痛と浮遊感。腹部に小児頭大の腫瘤を認め,内視鏡生検組織検査所見よりNK/T細胞リンパ腫と診断した。患者の希望により対症療法となり,最終的に腫瘍の増大に伴う閉塞性黄疸・消化管閉塞が出現し,診断から約4カ月で永眠された。
十二指腸原発NK/T細胞リンパ腫は非常に稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する。
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広浜 浩司, 加藤 智弘, 猿田 雅之, 相原 弘之, 齋藤 彰一, 有廣 誠二, 高橋 直人, 田尻 久雄
2009 年 74 巻 2 号 p.
76-77
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は72歳,男性。下血を繰り返すために上部・下部消化管内視鏡を施行するも明らかな出血源を認めず,当院に紹介となった。カプセル内視鏡が行われ,回腸に潰瘍性病変が疑われた。経肛門的にシングルバルーン小腸内視鏡検査を施行し,回腸に約4cm程度の半周を超える潰瘍性病変を認め,同部位の生検より悪性リンパ腫(follicular lymphoma)と診断。外科的治療を並びに化学療法が行われた。
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草野 昌男, 前嶋 隆平, 島田 憲宏, 山極 哲也, 大楽 尚弘, 小島 敏明, 織内 竜生, 池谷 伸一, 樋渡 信夫
2009 年 74 巻 2 号 p.
78-79
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は71歳,女性。70歳時に肺扁平上皮癌で左肺全摘術施行(StageⅡB)。術後6カ月のCT検査で左下腹部に腫瘤が認められ当科を受診。造影CT検査では腫瘤の周囲が強く造影され,腹部血管造影検査では空腸第2枝より栄養される腫瘍濃染像を認めた。小腸内視鏡検査では,上部空腸に粘膜が灰白色調で粘膜下腫瘍様隆起が認められた。生検の結果,肺癌小腸転移の術前診断で小腸部分切除術を施行。病理組織学的に,肺扁平上皮癌の小腸転移と診断した。小腸内視鏡で術前診断し得た症例は少なく,貴重な症例と考え報告する。
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松本 吏弘, 池谷 敬, 池田 正俊, 牛丸 信也, 高松 徹, 宮谷 博幸, 吉田 行雄, 野首 光弘
2009 年 74 巻 2 号 p.
80-81
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は60歳,男性。主訴は左下腹部痛。前医で施行された腹部CTにて小腸腫瘍が疑われ,当科紹介入院となった。経口ダブルバルーン(DB)小腸内視鏡にて回腸に全周性狭窄を認めた。生検では確定診断が得られず,腹腔鏡下小腸部分切除術を施行。病理組織学所見にてMALTリンパ腫と診断した。今回我々は,回腸MALTリンパ腫をDB小腸内視鏡にて確認しえたので報告する。
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加藤 彩, 横山 薫, 竹内 瞳, 春木 聡美, 佐田 美和, 小林 清典, 西元寺 克禮, 旗手 和彦, 吉田 功, 岡安 勲
2009 年 74 巻 2 号 p.
82-83
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
73歳男性。黒色便を主訴に受診し,Hb5.6g/dlの高度貧血を認めた。上部・下部消化管内視鏡検査では出血源は認められず,小腸造影にて上部回腸に中心陥凹を伴う隆起性病変を認めた。カプセル内視鏡検査および経肛門的シングルバルーン小腸内視鏡検査でも中央に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた。小腸部分切除術を施行した。外科切除標本でも1.0×1.0cmで中心陥凹を伴う腫瘤を認め,病理組織学的にはカルチノイド腫瘍であった。
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菅原 通子, 今井 幸紀, 高谷 広章, 近山 琢, 中澤 学, 渡邊 一弘, 安藤 さつき, 水野 芳枝, 中村 有香, 齊藤 詠子, 濱 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
84-85
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
89歳,男性。7カ月間に下血と高度の貧血にて他院に3回入院。上下部消化管内視鏡検査で出血源は不明であった。当院でカプセル内視鏡検査(VCE)を施行し,回腸に3カ所の潰瘍を認めた。ダブルバルーン小腸内視鏡では回腸に潰瘍を伴う螺旋状狭窄を認め,生検では非特異的炎症性変化が観察された。結核菌検査陰性で非ステロイド系抗炎症薬の使用歴はなく,原因不明の多発性小腸潰瘍と診断した。本症例では,VCEがその発見に有用であったことから報告する。
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土屋 昭彦, 西川 稿, 山本 龍一, 江川 優子, 三神 昌樹, 川上 知孝, 明石 雅博, 広瀬 孝康, 笹本 貴広, 渡邊 東, 丸茂 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
86-87
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
54歳女性。主訴は発熱・右下腹部痛。腹部造影CTで遠位回腸腸管内に約4cmの魚骨あり,同部位の炎症を認め限局性腹膜炎が疑われた。2日前にアオブダイの天ぷらを食していたことが判明し魚骨による小腸穿通と診断した。大腸内視鏡にて回盲弁より口側約10cmの回腸壁に刺さった魚骨を確認し生検鉗子で4cmの魚骨を摘出し得た。大腸内視鏡で摘出が可能であった小腸魚骨穿通の1例を経験した。
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四元 真由子, 前澤 寧, 山田 郁絵, 龍 貴裕, 蓮見 桂三, 小野 弘二, 大野 隆
2009 年 74 巻 2 号 p.
88-89
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例 : 25歳男性。血便,下痢,腹痛を主訴に当院受診。血液検査上貧血と低栄養を認め,直腸診にて血便を認めたため入院となった。腹部CT,上部下部内視鏡,小腸造影にて有意な所見なし。小腸疾患を否定できず小腸内視鏡を施行したところ,小腸の一部に縦列する小潰瘍を認め,病理所見と合わせて小腸クローン病と診断した。従来の検査で診断が難しい消化管出血の診断に小腸内視鏡検査は有用であると考えられた。
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前多 力, 北村 大介, 関 英一郎, 冨木 裕一, 権田 厚文
2009 年 74 巻 2 号 p.
90-91
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は66歳,男性。1カ月前の検診で便潜血陽性を指摘され当院受診,大腸内視鏡を施行した。上行結腸肝彎曲部に,粘膜に刺入するアニサキス虫体を認めた。刺入している浮腫状の粘膜を含め,生検鉗子で摘出した。抗アニサキスIgG・IgA抗体は陽性で,問診では3日前に生イカを摂取していた。大腸アニサキス症は全アニサキス症の約1%と稀であるが,大腸内視鏡検査の普及によって今後も報告例は増加すると考えられる。
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斉田 芳久, 中村 寧, 榎本 俊行, 中村 陽一, 片桐 美和, 高林 一浩, 長尾 さやか, 渡邊 良平, 大辻 絢子, 岡本 康, 渡 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
92-93
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
虫垂孔からの噴出性出血に対し止血クリップが有効であった症例を報告する。症例は50歳代女性。ビールを飲んだ後の突然の血便にて来院,緊急大腸内視鏡検査で虫垂孔からの活動性・噴出性の出血を認めた。虫垂開口部を金属性止血クリップ7個で閉鎖したところ止血された。止血後新たなる出血は認めず,止血後5日間にて退院。その後再出血予防のために2カ月後に虫垂切除術が施行された。検体では虫垂内に二カ所の出血点を認めた。
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石井 靖久, 芹澤 宏, 田中 花林, 渡辺 憲明, 大石 温子, 冨田 謙吾, 常松 令, 熊谷 直樹, 土本 寛二, 日比 紀文
2009 年 74 巻 2 号 p.
94-95
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は73歳,女性。慢性C型肝炎にて通院中,1年前から月に数回突然下血をきたしその都度貧血を認めたが他院での検査にて出血源は確認されず再下血のため入院とした。大腸内視鏡検査にてバウヒン弁近傍にangioectasiaを認め,生食洗浄を契機に湧出性出血をきたし出血源と考えられ,APC,クリッピングおよびエタノール局注にて止血しえた。無症候性のangioectasiaは少なくないが,消化管出血症例では出血源として念頭に置いた積極的内視鏡治療が有用と考えられた。
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鶴谷 恭子, 川辺 晃一, 新田 宙, 石川 文彦, 山下 純男, 諏訪 敏一, 村松 誠司, 山田 拓郎, 草野 元康
2009 年 74 巻 2 号 p.
96-97
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は52歳,女性。潰瘍性大腸炎重症化のため当院紹介入院となった。粘血便10数回/日,血液検査上,DIC,肝機能異常を認め,造影CTにて広範な肝梗塞像を呈し,肝壊死に至っていると考えられた。大腸内視鏡においては全大腸型重症潰瘍性大腸炎の所見であった。完全静脈栄養の上,ステロイド強力静注療法,血液浄化療法等の保存的治療にて寛解を得ることができた。
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市川 欧子, 櫻井 則男, 菅野 真理子, 金野 朗, 山田 俊夫, 朝蔭 直樹, 原口 美明, 鈴木 貴久, 塚田 健次, 山本 哲朗, ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
98-99
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
腸炎を繰り返し,瘻孔形成を合併するに至った高齢者Crohn病の一例を経験した。術前には原因疾患の確定はできず,対症療法を繰り返した。小腸―横行結腸瘻,上行結腸―横行結腸瘻を解除するため右結腸+横行結腸切除術を行った。病理組織検査では小型の非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めCrohn病を強く疑ったが,臨床経過が非特異的であり確定診断には至らなかった。高齢者のCrohn病は症例数が少なく,今後の症例の蓄積が必要であろうと考えた。
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伊藤 潔, 小林 駿, 竜崎 仁美, 細井 亜希子, 山本 敏樹, 西山 竜, 渡辺 俊一, 大谷 豪, 荻原 章史, 平井 貴志, 小橋 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
100-101
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は29歳男性。腹痛,腹部膨満感を契機に腸閉塞の診断で近医入院。症状軽快のため精査されなかったが,退院後も間欠性の腹痛を認め,当院を受診した。下部消化管内視鏡検査で回盲部に腫瘤性病変を認め,注腸検査で回盲部に全周性狭窄,また胸部X線検査で左上肺野に結節影を認めた。肺野病変精査で気管支鏡検査を施行し,気管支洗浄液から結核菌DNAが検出され肺結核と診断した。回盲部病変は続発性腸結核と疑い,4剤併用の抗結核薬を投与した。活動性腸結核の内視鏡検査は自験例を含めて比較的稀であった。
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齋藤 秀一, 和泉 紀彦, 都宮 美華, 武田 晋一郎, 畠山 一樹, 徳弘 直紀, 平井 康夫
2009 年 74 巻 2 号 p.
102-103
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
フリー
症例は48歳,男性。胃痛・体重減少で受診。超音波検査で上行結腸の壁肥厚を認め,便からガフキー8号を検出。内視鏡で横行結腸と回盲部付近にびらんを認め,PCRにて結核菌と同定。胸部CTで粟粒結核も認め抗結核薬3剤で治療を開始。食事開始後菌血症を発症,治療にて改善するも食事再開毎に再発し精査,横行結腸に高度な狭小化を認め外科にて同部位を切除した。腸結核は内服治療が原則であるが,高度な狭窄を来し外科的な手術を要した。
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海宝 雄人, 佐久間 敦, 青木 泰斗
2009 年 74 巻 2 号 p.
104-105
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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腸結核はその発生部位や画像所見からしばしばCrohn病との鑑別が問題となる。今回我々は上行結腸狭窄に対し手術を行い,腸結核が疑われた1例を経験した。術前の内視鏡検査や生検組織診,注腸造影では確定診断に至らなかった。腸結核の診断は結核菌の存在を証明できないことも多く画像所見からまず腸結核を疑うことが大切である。クオンティフェロンTB-2Gは感度,特異度ともに高く腸結核診断の補助として有用であった。
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武田 良平, 山田 正樹, 鶴岡 優子, 田代 良彦, 小野 誠吾, 杉本 起一, 石山 隼, 柳沼 行宏, 小島 豊, 五藤 倫敏, 田中 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
106-107
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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症例は59歳の男性。S状結腸のSM癌に対して腹腔鏡下大腸切除術を予定し,術前に点墨を施行した。ポジショニングが取れず数回の穿刺と局注を繰り返した。検査後に腹満感と体動時の違和感が出現し,著明な腹腔内遊離ガス像を認めた。腹痛や炎症反応はみられず,待機的根治手術を施行した。点墨に限らず局注は標準的な手技であるが,不用意な穿刺によって穿孔が生じることがあるため,注意が必要であると考えられた。
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五藤 倫敏, 田代 良彦, 丹羽 浩一郎, 小野 誠吾, 石山 隼, 杉本 起一, 秦 政輝, 鶴岡 優子, 小見山 博光, 柳沼 行宏, ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
108-109
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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当科で行なった直腸癌手術症例で,一時的な人工肛門であるDiverting stomaを造設した9例のうち6例で直腸吻合部に狭窄を認め,内視鏡的バルーン拡張術を行った。狭窄には膜様狭窄と瘢痕狭窄があり,瘢痕狭窄の高度な症例は複数回の拡張術を必要とした。瘢痕狭窄の高度な1例で拡張時に穿孔を起こしたが,保存的に軽快した。すべての症例で狭窄は改善した。
内視鏡的拡張術は吻合部狭窄に対し有効な処置である。しかし,合併症に注意が必要と考えた。
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角田 千尋, 坂本 輝彦, 山田 理恵子, 大塚 洋子, 光丸 哲吉, 川嶋 恵, 渡辺 法子, 藤林 真理子, 相羽 元彦, 加藤 博之
2009 年 74 巻 2 号 p.
110-111
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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未分化原始神経外胚葉性腫瘍(primitive neuro-ectodermal tumor ; PNET)はほとんどが小児の脳に発生し,予後不良の小円形細胞腫瘍であるが,消化管におけるPNETの報告は少ない。成人のAIDS患者に発生した直腸PNETの1例を経験したので報告する。
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高山 敬子, 田原 純子, 岸野 真衣子, 小西 洋之, 小山 祐康, 清水 京子, 藤田 泉, 大木 岳志, 中村 真一, 白鳥 敬子
2009 年 74 巻 2 号 p.
112-113
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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症例は56歳女性。検診で十二指腸に異常を指摘され紹介。上部消化管内視鏡検査では,十二指腸乳頭は発赤し,その周囲に白色調の粗大絨毛状構造が広がっていた。生検ではtubular adenomaであり,各画像検査で膵管・胆管へ浸潤は無く,十二指腸内進展を来した十二指腸乳頭部腺腫と診断した。内視鏡的十二指腸乳頭切除術を施行後,残存した周囲の十二指腸腺腫に対し内視鏡的粘膜切除術(EMR)を追加した。術後は重篤な偶発症はなかった。病理学的には切除断端は陰性で,半年後まで明らかな遺残や再発は認めていない。内視鏡的十二指腸乳頭部切除術は,適応や術後合併症対策,遺残・再発などの諸問題から一般的にはまだ普及していない。本例は十二指腸乳頭部腺腫で十二指腸内へ進展していたが,重篤な合併症も無く分割切除し得た。
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宮谷 博幸, 吉田 行雄, 池谷 敬, 牛丸 信也, 池田 正俊, 本田 英明, 松本 吏弘, 高松 徹, 山田 茂樹
2009 年 74 巻 2 号 p.
114-115
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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症例は23歳女性。腹腔内腫瘍の精査目的に当センター紹介となる。右上腹部を中心に10cm大の弾性硬・表面平滑な腫瘤を触知し,腹部CT上,腫瘤は膵頭部付近に存在し表面平滑で造影効果を伴う被膜を有した。確定診断目的にEUS-FNA施行,細胞診で血管間質を伴い,乳頭状構造を呈し結合性の低下した細胞集団を認め,solid-pseudopapillay tumorと診断,膵頭十二指腸切除術が施行された。EUS-FNAは膵由来の腫瘍が疑われる病変の確定診断に有用であり,治療法決定に役立つものと考えられた。
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雅楽川 英樹, 小林 克也, 仲地 健一郎, 曽 絵里子, 大久保 政雄, 関川 憲一郎, 光井 洋, 橋本 直明, 山口 肇
2009 年 74 巻 2 号 p.
116-117
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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症例は Billroth-Ⅱ法(BⅡ)再建後の66歳男性と54歳男性,MRCPにて総胆管結石を指摘された。通常,胃切除術後総胆管結石除去術は困難なことが多く,ダブルバルーン内視鏡で乳頭にアプローチし上部消化管内視鏡に入れ替えて内視鏡的乳頭バルーン拡張術を施行し結石を除去した。この際,比較的容易にアプローチする方法を確認した。
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草野 昌男, 前嶋 隆平, 島田 憲宏, 山極 哲也, 大楽 尚弘, 小島 敏明, 織内 竜生, 池谷 伸一, 樋渡 信夫
2009 年 74 巻 2 号 p.
118-119
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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症例は80歳,男性。平成18年10月,閉塞性黄疸で初診。胆管癌の診断でメタリックステントを挿入した。平成19年9月より食物残渣によるステント閉塞,胆管炎に対し,月1回程度バルーンカテーテルで除去していた。平成20年4月,腫瘍の増大によりステントが逸脱し,十二指腸に潰瘍を形成した。出血,穿孔の可能性がありステント抜去を試みたが不可,そのためAPCを用いてステントトリミングを行った。その後,肝右葉にメタリックステント,左葉にプラスティックステントをstent in stentでそれぞれ挿入した。以後,胆管炎の再発なく経過良好である。ステントトリミングに関する報告は少なく貴重な症例と考え報告する。
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池谷 敬, 牛丸 信也, 池田 正俊, 本田 英明, 松本 吏弘, 高松 徹, 宮谷 博幸, 吉田 行雄
2009 年 74 巻 2 号 p.
120-121
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
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自己免疫性膵炎の治療中に肝門部胆管狭窄を認め,胆管癌との鑑別に苦慮した自己免疫性胆管炎の1例を経験した。症例は65歳男性,自己免疫性膵炎に対しステロイドを漸減中に胆道系酵素が上昇し,腹部超音波検査・腹部CTで右肝内胆管の拡張及び肝門部に腫瘤様陰影を認めた。胆管ブラシ細胞診,胆汁細胞診では悪性所見は見られなかった。ステロイドを増量し2週間後には肝門部の胆管狭窄は改善し,その後腫瘤影も消失した。
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田村 哲男, 今村 綱男, 鈴木 亜衣香, 小泉 優子, 小山 里香子, 奥田 近夫, 竹内 和男
2009 年 74 巻 2 号 p.
122-123
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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維持透析施行例で,4年の経過で発生した石灰乳胆汁による閉塞性黄疸を経験したので報告する。症例は59歳女性。上腹部痛と黄疸を主訴に入院。腹部エコー上,拡張した総胆管内に高エコーで液面形成を示す物質が見られ,CTでは総胆管に鋳型状の高吸収域が認められたことより石灰乳胆汁による閉塞性黄疸と診断した。ESTにより,乳頭から黄白色のペースト状の胆石が排出された。本例では診断確定及び治療にESTが有用であった。
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富澤 稔, 露口 利夫, 大塚 将之, 宮崎 勝, 酒井 裕司, 杉山 晴俊, 宮川 薫, 石原 武, 横須賀 收
2009 年 74 巻 2 号 p.
124-125
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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症例は53歳男性,主訴は右季肋部痛。肝門部胆管癌の疑いにて当科を紹介された。EUSでは,胆嚢萎縮,胆嚢結石を認めた。ERCPでは胆嚢は造影されず,総肝管狭窄を認めた。IDUSでは,胆嚢頸部に胆石が嵌頓し,総肝管を圧迫しており,Mirizzi症候群が示唆された。しかし壁肥厚型胆嚢癌合併の可能性を否定しえず,胆嚢胆管切除術と胆管空腸吻合術が施行された。病理診断ではリンパ球が著明に浸潤する壁肥厚慢性胆嚢炎で,悪性所見はなかった。Mirizzi症候群の術前診断におけるIDUSの有用性が示された。
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山本 龍一, 西川 稿, 江川 優子, 三神 昌樹, 川上 知孝, 笹本 貴広, 明石 雅博, 丸茂 達之, 広瀬 孝康, 松下 功, 土屋 ...
2009 年 74 巻 2 号 p.
126-127
発行日: 2009/06/10
公開日: 2013/07/30
ジャーナル
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症例は56歳,男性。49歳より慢性膵炎にて内服加療中。腹部超音波検査にて主膵管の拡張を指摘され,当院入院。腹部超音波検査にて膵頭部を中心に径11.2mmの主膵管の拡張を認め,腹部造影CTでは,さらに一部造影増強効果を認める部分を認めた。MRCPでは膵頭部の主膵管拡張の他に,不整狭窄や占拠性病変は認めなかったが,ERPでは,主膵管開口部の開大,粘液排出を認め,膵頭部主膵管内に隆起性病変を示唆する陰影欠損像を認めた。オリンパス社製CHF-BP260を用い経口膵管鏡施行。膵頭部主膵管内に血管透見を認めないイクラ状隆起を認めた。また,膵液細胞診はClass Ⅲbであった。以上より主膵管型膵管内乳頭粘液産生性腫瘍と診断し膵頭十二指腸切除術施行した。膵切除範囲は術前経口膵管鏡検査を含めた術前画像所見により決定した。組織学的には腺腫であった。
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