Progress of Digestive Endoscopy
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79 巻, 2 号
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掲載論文カラー写真集
内視鏡の器械と技術
  • 梅谷 薫, 立松 秀樹, 佐藤 晋一郎, 桑原 智子
    2011 年 79 巻 2 号 p. 33-36
    発行日: 2011/12/10
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
     大腸腫瘍に対するESDを安全に行うため,我々は「3チャンネルスコープ法による大腸ESD(3ch法)」を開発・施行してきた。今回は本間らの開発したSBナイフを併用し,その有用性と課題を検討した。本法の手順は,(1)大腸用2チャンネルスコープに外部鉗子用シース(第3チャンネル)を装着。(2)粘膜下層への局注と全周切開までは通常のESDと同様。(3)局注針で粘膜下層を伸展させつつ,第2チャンネルからのSBナイフで剥離を行う(2ch法)。(4)第3チャンネルから把持鉗子を出して病変を把持・挙上させ,剥離を進めて病変を切除する(3ch法)というもの。2011年1月以降に本法を施行した5例の平均では,長径37.6mm,切除所要時間57.4分,剥離所要時間43.0分。切除・剥離所要時間は従来法と同程度であり,穿孔や出血は認めなかった。本法は,牽引法により広い視野と作業領域を確保しつつ,SBナイフで安全に剥離を行うことができるため,大腸ESDにおける有用な手技であると判断された。
  • 平澤 欣吾, 佐藤 知子, 守屋 聡, 佐々木 智彦, 森岡 友, 國司 洋佑, 高 蓮浩, 岡 裕之, 粉川 敦史, 前田 愼, 田中 克 ...
    2011 年 79 巻 2 号 p. 37-40
    発行日: 2011/12/10
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
     大腸のESDは普及しつつあるが,内視鏡治療後などの瘢痕形成を伴った遺残再発病変に対する治療成績の報告は十分ではない。今回当施設で大腸瘢痕合併症例に対するESDの経験を報告する。当院で施行した大腸ESDは97病変であり,そのうち瘢痕合併症例はEMR後3例,TEM後3例であった。一括切除率は83.3%,完全一括切除率も83.3%であり,組織学的にはすべて腺腫成分を含んだ粘膜内に限局した高分化型腺癌であった。分割になった1例に腺腫成分の局所再発を認め追加治療が必要であった。偶発症は後出血を認めず,穿孔が2例に認められたが,全例経過観察で改善した。
     EMRまたはTEM後の瘢痕を有した遺残再発病変に対する大腸ESDは,完全一括切除率は高いが,技術的な難易度が高く,また偶発症も高頻度に合併することから,その施行に際しては慎重であるべきであり,現段階での適応はcontroversialであると考えられた。
臨床研究
  • 吉井 貴子, 井口 靖弘, 須江 聡一郎, 大川 伸一
    2011 年 79 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 2011/12/10
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    【目的】食道癌における化学放射線療法(CRT)では原発巣の完全寛緩(CR)は予後良好の指標とされ,その判定は重要である。当院の進行食道癌CRT症例の内視鏡による局所効果の現状を検証した。
    【対象と方法】2009年1月から2010年10月までに根治的CRTを施行した進行食道癌症例28例のうち,1)治療完遂し,2)内視鏡的効果判定を行い,3)増悪を確認,又は治療休止後6カ月以上経過観察できた胸部食道扁平上皮癌症例15例の局所効果判定と臨床経過を検討した。内視鏡によるCR判定は食道癌取扱規約第10版に従った。統計学的解析はKaplan-Meyer法,Log-rank検定およびカイ二乗検定によった。データの解析は2011年1月に行った。
    【成績】男女比:14/1。肉眼型(1型/2型/3型/4型):4/9/1/1。CRT終了時局所CR/non-CR:4/11例。追加化学療法後の局所CR /non-CR:7/8例。全生存(観察)期間および無増悪期間中央値ともに局所CR例で長い傾向を示した(CR vs. non-CR:442 vs. 309日,p=0.010および334 vs. 175日,p=0.035)。
    【結論】当院の経験でも,局所CR例はnon-CR例に比べ無増悪及び生存期間が長く,従来の報告に矛盾しなかった。半数は追加化学療法後にCRとなっており,注意深く内視鏡による観察を続けることが大切であると思われた。
  • 前田 康晴, 工藤 進英, 森 悠一, 遠藤 俊吾, 池原 伸直, 林 武雅, 和田 祥城, 若村 邦彦, 宮地 英行, 山村 冬彦, 日高 ...
    2011 年 79 巻 2 号 p. 46-50
    発行日: 2011/12/10
    公開日: 2013/06/07
    ジャーナル フリー
    当センターで内視鏡的,あるいは外科的に切除された腫瘍径20mm以下の大腸カルチノイド連続71症例のうち,リンパ節転移の評価が可能であった51症例を対象として,リンパ節転移に関与する各臨床病理学因子およびリンパ節転移危険因子としての脈管侵襲の意義について検討した。リンパ節転移は19.6%(10/51)に認めた。リンパ節転移危険因子についての単変量解析では,色調,形態,delle,リンパ管侵襲,静脈侵襲の5因子が有意な因子として抽出された(P<0.05)。さらに脈管侵襲については,HE染色単独で評価された群ly(HE),v(HE)と特殊染色併用(D2―40およびビクトリアブルーVB)で評価された群ly(D2―40),v(VB)に分けて解析し,それぞれのリンパ節転移に対する診断能を比較した。それぞれの感度,特異度,陽性適中率はly(HE)で60.0%,96.3%,75.0%。ly(D2-40)では80.0%,33.3%,30.8%。v(HE)では80.0%,96.3%,80.0%。v(VB)では80.0%,46.2%,36.3%であった。特殊染色併用で評価された群はリンパ節転移に対する特異度が有意に低かった(P<0.05)。特殊染色による脈管侵襲判定の意義については更なる検討が必要と考えられる。
症例
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