日本歯周病学会会誌
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26 巻, 2 号
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  • 関本 恵一
    1984 年 26 巻 2 号 p. 179-200
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    粉砕脱灰骨基質の歯周外科臨床への応用の可能性を評価する目的で実験を行った。健常雑種成犬20頭を用い, 実験群1では, 左右下顎小臼歯部に水平骨欠損および, 根分岐部骨欠損を人工的に形成し, 粉砕脱灰骨基質を移植充填したものを実験側, 何ら充填しないものを対照側とした。
    実験群2では実験群1と同様の骨欠損を作製し, 歯頸部に0.4mmステンレス鋼線を結紮, 6ヵ月間放置することにより慢性歯周炎を惹起させ, フラップ・オペレーションを行った後, 実験1と同様片側に移植充填を行い, 経時的変化の推移を規格X線学的, 病理組織学的に検索した。その結果, 実験群1では対照側に比し, 実験側では, いずれも早期に骨新生がみられ, 又結合織性再付着も認められた。実験群2では, 慢性歯周炎による悪環境にもかかわらず, 実験側では, 3ヵ月で骨新生及び新付着がみられたことにより, 臨床応用への可能性が示唆された。
  • 保母 良基
    1984 年 26 巻 2 号 p. 201-222
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    ラットに形態の異なる飼料を与え, 実験的食片圧入を起こさせ, 歯周組織におよぼす影響を経時的に病理組織学的面から検討した。さらに歯根膜の再生過程を顕微螢光法を用いて核DNA量を測定した。その結果, 病理組織学からの検索において, 粉末飼料群では, 1日後から歯間乳頭部に再生上皮が認められ, 1週から3週では炎症性変化はほとんど消退し, 5週から7週を経過すると歯間乳頭部の線維と歯根膜の線維芽細胞はほぼ再生された。固型飼料群では, 3日後まで歯間乳頭部に潰瘍の形成が継続して認められ, 1週後から歯間乳頭部の上皮に再生像がみられ, 5週を経過すると再生上皮下から歯根膜におよぶ炎症性細胞の浸潤は軽減した。核DNA量からの検索において, 粉末飼料群では, 1日後より歯根膜線維芽細胞の増殖活性がみられ, 3週後まで高い値を示し, 5週から7週にかけて低い値を示した。固型飼料群では, 1日後から3日後にかけて低い値を示した。すなわち歯周組織の破壊は固型飼料群が粉末飼料群に比べ大きく, 核DNA量の変化からみた歯根膜線維芽細胞の増殖活性は, 初期では歯根膜中央部で活発で, 経時的にセメント質側, 歯槽骨側におよぶことが思惟された。
  • 山崎 洋治
    1984 年 26 巻 2 号 p. 223-242
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    Eikenella corrodens のヒト頬粘膜上皮細胞への付着機構を in vitro で解析した結果, E. corrodens 1073は, その菌体成分である細菌レクチン様物質を介して頬粘膜上皮細胞表層のN-アセチル-D-ガラクトサミンあるいはD-ガラクトース類似レセプターに付着することが示唆された。この付着に関与する細菌レクチン様物質をE. corrodens 1073の細胞エンベロープから Triton X-100抽出, アフィニティクロマトグラフィー, およびゲル濾過により1つの強固に結合した複合体として部分精製した。そしてこのレクチン様物質は, E. corrodens 1073の頬粘膜上皮細胞への付着特性と同一様式をとることから, これがヒト頬粘膜上皮細胞への付着に関与する決定的な菌体側因子であることを明確にした。
  • 江澤 敏光
    1984 年 26 巻 2 号 p. 243-256
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    現代日本人乾燥頭蓋96個体192顎において歯槽骨の厚さ, 槽間中隔部の頬舌方向の形態およびCEJ-歯槽骨頂間距離と年齢との関連について調査検討した。その結果1. 上下顎とも中切歯から第1小臼歯までの唇・頬側歯槽骨にはきわめて薄い部分があり, 歯槽骨縁から根尖に向うにしたがい一度薄くなり再びその厚さを増す傾向がみられた。また舌側歯槽骨は徐々に厚さを増す傾向が見られた。2. CEJ-歯槽骨頂間距離と年齢 (16~29歳) との間には統計学的にほとんど相関がみられなかった。3. 槽間中隔を含む歯槽骨の唇・頬側から舌側方向の形態において性差はみられなかった。4. 槽間中隔の形態は, 唇・頬側から舌側に, 上下顎とも前歯部ではなだらか-凸-なだらかの形態が最も多いが, 臼歯部では多様な形態がみられた。5. 槽間中隔上縁の形態は前歯, 臼歯および年齢による違いが見られた。
  • 第2報 獲得被膜における fibronectin の証明
    竹内 宏, 于 世鳳, 堀 泰典, 金久 純也, 藤井 輝久, 佐藤 勝, 並河 勇, 巽 幹雄, 高木 順彦
    1984 年 26 巻 2 号 p. 257-261
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    fibronectin は in vivo および in vitro において, 種々の物質と強い粘着性を示す。このような物質が唾液中に存在することから, 獲得被膜の主要材料となることが推測し得る。この点を今少し明確にするために, ヒト抜去歯の研磨標本のエナメル質表層に付着した獲得被膜中に fibronectin が存在するか否かを免疫組織学的に検討した。
    この結果, 獲得被膜中の fibronectin は, 被験歯30例中29例の高頻度に検出され, カルボール・フクシン後染色との対比観察によって, 本染色で染め出された被膜中はもとより, 無染の部位にまで付着していることが判明した。
  • 2. Tricalcium phosphate についての基礎実験
    古川 猛士, 岸 哲也, 原 宜興, 鄭 有仁, 吉村 祥子, 赤峰 昭文, 青野 正男
    1984 年 26 巻 2 号 p. 262-274
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯周治療に応用するために, 焼成温度および粒子の径が異なる6種類の tricalcium phosphate (TCP) についての基礎実験を行った。純水を溶媒とする比電導度試験で, 焼成温度900℃のTCP (LT) は, 1,400℃のもの (HT) に比べて高い溶解性を示していた。筋肉内に埋入したTCP周囲には, 異物巨細胞の出現を伴う線維性被膜形成を認め, 更にLTではマクロファージによる貪食像がみられた。顎骨内埋入4週後では, ほとんどの例の骨修復は対照群とほぼ同程度の進行であり, 特にHTが再生骨梁内に包含された所見も得られた。また, 周囲の筋組織ないし骨組織の障害像は認めなかった。
    これらの結果より, TCPは非刺激性で生体親和性を有し, 吸収されつつも再生骨梁の核となり, ある種の骨誘導能を呈するものと推測された。
  • 第1報 Hydroxyapatite の基礎的研究について
    鴨井 久一, 米山 武義, 西澤 和利, 尾野 幹也, 竹内 啓泰
    1984 年 26 巻 2 号 p. 275-288
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    Hydroxyapatite (HA) を歯周治療に応用する基礎的資料を得るために焼成温度の異なるHAの比表面積測定, X線回折および生理的食塩水に対する溶解性試験を行った。さらにラットにおける急性毒性試験およびHAの表面微細構造の検索を行った。
    得られた結果は次のごとくである。
    1. 比表面積測定によると加熱焼成温度の上昇とともにその値は低下した。
    2. X線回折では900℃で典型的なHAのパターンを示した。
    3. 900℃および1,250℃のHAともに経時的変化がほとんど認められず比較的安定した溶解性を示した。
    4. 経口, 皮下, 腹腔の3経路で, 900℃ HA, 1,250℃ HAを投与したところ体重において有意の差がみられなかったが, 尿および血清において偶発的と思われる有意の差がみられた。
    5. 焼成温度の上昇とともに表面構造は滑沢となった。
  • 山崎 章, 二階 宏昌, 伊集院 直邦, 高田 隆, 伊東 博司
    1984 年 26 巻 2 号 p. 289-296
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    ラット臼歯歯周組織線維芽細胞のライソゾームシステムの全容を明らかにする目的で, 酸性フォスファターゼ (AcPase) 及びトリメタフォスファターゼ (TMPase) を指標に超微細胞化学的検索を行った。両酵素の局在や1μm厚切片の電顕所見より, 同システムには, ゴルジ装置の一部とこれに接する槽状ないし小管状構造, 被覆小胞, dense body, phagosome の含まれることが示された。また, AcPase とチアミンピロフォスファターゼの局在の対比より, 槽状ないし小管状構造がGERLに相当することがうかがえた。コラーゲン含有小体は, 強いTMPase活性と密接なdense body との位置関係を示した。本細胞内における貪食コラーゲンの分解がライソゾームシステムで行われることが明らかで, そのための水解酵素の形成にはゴルジ装置ないしGERLのほか, 粗面小胞体の直接係わる可能性もある。
  • 山下 智, 原 耕二, 野原 広美
    1984 年 26 巻 2 号 p. 297-307
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    イヌに実験的歯肉炎を誘発させ, 歯肉組織中の不溶性免疫複合物の経時的変動を ELISAとRIAの二つの免疫学的測定法を用いて検索した。すなわち健康歯肉を確立後, 口腔内を4区分し, それぞれ1週, 1ヵ月, 3ヵ月病期の歯肉炎を惹起させた。屠殺時, 採取した歯肉を citrate buffer で溶出し, この画分中のIgG量をELISAならびにRIAで測定した。その結果, そのIgG量は健康時に比べ炎症歯肉で有意に上昇し, 炎症の経過とともに増加の傾向を示した。またELISAとRIAとでは両者間に高い相関性のあることが確認された。
  • 渡辺 久, 石川 烈, 長田 豊, 萩原 さつき, 竹蓋 弥, 木下 四郎, 内藤 祐子, 奥田 克爾, 高添 一郎
    1984 年 26 巻 2 号 p. 308-316
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    17名の歯周炎患者に歯周治療を施し, 治療の前後で, 7種の歯周病原菌に対する血清抗体価をELISA法により測定し, 歯周治療効果と抗体価の変動との関連性について検索した。
    抗原として使用した菌種はB. gingivalis, B. intermedius, B. loescheii, F. nucleatum, A. actinomycetemcomitans, E. corrodens, Capnocytophaga sp. である。抗体価の測定と同時に, プラーク指数, 歯肉炎指数, 歯周ポケットの深さ, 骨吸収度, ペリオトロン®による歯肉溝浸出液量についても診査した。
    その結果, B. gingivalis に対する血清抗体価は治療後有意に低下した (p<0.001)。その他の菌種に対する血清抗体価はほとんど変化を示さなかった。
  • 永井 淳, 栗原 英見, 木下 正彦, 松尾 美千代, 清水 秀樹, 戸田 洋子, 野村 慶雄, 村山 洋二, 苔口 進, 加藤 慶二郎
    1984 年 26 巻 2 号 p. 317-328
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯周病原性菌に対する血清抗体価測定のため, 酵素免疫測定法 (ELISA) を応用して日常的な臨床検査のシステムを確立することを研究目的とした。Voller ら記載の方法を基準として, 抗原抗体反応の各種条件, 標準曲線の処理方法, ならびに用いる抗原成分について検討を加えた。
    標準血清の段階希釈を用いて作製した標準曲線は, log-logit 変換して直線に回帰でき, 広い範囲で抗体含有量を定量することが可能となった。
    歯周病原性菌の菌体から, 超音波抽出される成分, および, その残渣を界面活性剤で抽出した成分を抗原として, 各種歯周病患者血清の抗体価を測定した。いくつかの被検血清は両抗原に対し顕著に異なる抗体価を示し, 用いる抗原は超音波抽出抗原だけではELISAの応用に適さないことが示唆された。
  • 朴 英樹, 神谷 洋行, 奥田 一博, 江口 泰子, 長谷川 栄子, 吉江 弘正, 原 耕二
    1984 年 26 巻 2 号 p. 329-338
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    4~8mmの歯周ポケットを有する9名め成人性歯周炎罹患者について, プラークコントロール, 歯石除去及びルートプレーニングを施した。その前後にポケット底部より採取した細菌叢の変動を, グラム染色, 暗視野顕微鏡, 嫌気培養法を用いて検討した。その結果, 歯周初期治療後にグラム陽性球菌の増加とグラム陰性桿菌, 糸状菌の減少が認められた。また, 術前, プラークコントロール, 歯石除去とルートプレーニングの3時期において Fusobacterium 属は6.8%, 4.8%, 1.4%, Bacteroides 属は11.0%, 3.1%, 0.4%, Spirochetes は11.0%, 9.5%, 0.5%の変動を示した。black pigmented Bacteroides は7被検部位中3部位で, Fusobacterium necrophorum は7被検部位中5部位で検出された。Bacteroides はポケットの深さと, Spirochetes はポケットの深さ, 歯肉炎指数, プラークスコアとの間で各々有意な相関性が認められた。
  • 歯根の融合型
    秋重 成孝, 石川 一郎, 宮川 英祐, 山口 進也, 李 鍾賀, 桐野 忠昭, 松江 一郎
    1984 年 26 巻 2 号 p. 339-347
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯周疾患の進行に作用する重要な要素である解剖学的形態因子の中の歯根の退化傾向に注目して, 歯根の退化傾向が歯周疾患の進行に与える影響を調査する目的で今回の実験を行なった。本実験を行うに当り, X線写真上で歯根の融合型を判読できるかどうかを検索するために, ドライスカル20体を用いて行った予備実験により, X線写真から歯根の融合型は判読可能であることが立証された。その後歯周疾患患者500名から選択した計715本の上顎第1, 第2大臼歯の歯根の融合型をX線写真上で判読分類し, 歯周ポケットの深さ, 年齢, 歯種などとともに比較, 検討した。その結果, 退化傾向の弱い歯では, 比較的低年齢層から根分岐部に起因する問題が発生していた。しかし反対に退化傾向の強い歯では, 根分岐に由来する病変は強く認められず, 年齢の増加とともに隣接面部における歯周疾患が進行しているのが観察された。
  • 釜付 健太郎, 横田 誠, 末田 武
    1984 年 26 巻 2 号 p. 348-352
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    初期治療によって動揺度がどのように変化するかを調べるのを目的として本研究を行った。被検者はO'Leary の plaque control record が10%以下を保った23人 (男14人, 女9人)である。動揺度の測定基準は0度から3度までの4段階として, 初診時と再評価時に測定した。ポケットの深さ・骨吸収度も測定した。結果は, 再評価時に全体的な動揺度の低下が認められた。咬合調整を行った歯ほど, 動揺度の改善率が良かった。初期治療後に動揺度が変化しなかった歯では, 歯周ポケットの深さや骨吸収度は, それぞれ浅く小さかった。
  • 小鷲 悠典, 浦 浩二郎, 清水 満廣, 永松 敬, 岡本 行人, 加藤 伊八, 川嶋 望
    1984 年 26 巻 2 号 p. 353-359
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    長崎県の小離島の1つである江ノ島の全住民 (455名) を対象として, 1) 歯科疾患に関する実態調査, 2) 歯科治療に関する指導, プラークコントロールの指導を行い, 1年経過後の同様の調査結果と比較検討した。調査項目は, 喪失歯数, Plaque Index, Gingival Index, Pocket Depth, Sulcus Bleeding Index および動揺度などであった。
    (1) 喪失歯数は, 30歳代以上で増加し, 全国平均を大きく上回っていた。(2) PIは, 男性では40歳代以上で高い値を示した。(3) GIは, 10歳代で低い値を示し, その後増齢的に増加した。(4) ポケットの深さも増齢的に増加し, 30歳代以上で, 頬側近心部が頬側中央部より有意に高い値を示した。(5) 57年度, 58年度の両年度ともに受診した被検者219名の各値を比較した結果, Plaque Index が, 有意に減少した年齢層もみられたが, 全体としては, 両年度間の差異は軽微であった。
  • 白築 秀美, 白川 正治, 小川 哲次, 金子 重則, 町田 肇, 三浦 史, 宮崎 俊介, 山田 隆美, 岡本 莫
    1984 年 26 巻 2 号 p. 360-366
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    中学・高校生の歯周疾患の疫学調査, 及びスクリーニングの目的で2675名を対象に検診を行った。対象歯は上下顎第一大臼歯, 上顎右側中切歯, 下顎左側中切歯の6歯とし, 歯肉圧迫による出血. 及び排膿の有無と, 近心側ポケットの測定を行った。その結果1) 歯肉出血は中学の13.5%, 高校の8.8%に出現し, 中学では男子の方が多くみられた (p<0.05)。2) 排膿は中学・高校とも1.2%, 1.8%にみられた。3) 4mm以上のポケットは全体の1.2%を占め, 4mm以上のポケットを1歯以上有する者は中学・高校とも約5%であった。4) さらに歯種別ではポケットの値の平均値は中学・高校ともに大臼歯部が中切歯部に比べて深く (p<0.001), 男女別では一部において男子の方が幾分深かった(p<0.01)。
  • 柳村 光寛, 柳村 知子, 原 耕二, 篠倉 均, 寺田 員人, 森田 修一, 花田 晃治
    1984 年 26 巻 2 号 p. 367-379
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    若年者の下顎前歯部の歯列不正に伴って生ずる歯周組織の異常について, 治療前後の経時的な変化を中心に考察した。矯正治療中, 歯周治療におけるイニシャル・プレパレーションを続け, 歯周組織の改善状態を, G. I., A. G. の幅, 角化歯肉の幅, Probing Depth, 歯の動揺度, 歯の位置, 小帯付着, プラークコントロールの変化から観察してみた。その結果, 若年者の歯周組織は, 歯を正しい位置に戻すことと, 徹底した歯周管理を行うことで健康に回復することが判明した。
  • 白血球機能検査およびPAP法を用いた病理組織化学的検索
    原 宜興, 青野 正男, 鎮守 信弘, 赤峰 昭文, 鬼村 晃太郎, 相田 宜利, 古川 猛士, 濱地 貴文, 吉村 祥子, 畠山 民子, ...
    1984 年 26 巻 2 号 p. 380-396
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    13歳で無歯顎となった若年性歯周炎の1例を経験したので, 白血球機能検査およびPAP法を用いた病理組織化学的検索を行った。
    1. 臨床的には乳歯列期にも全歯牙脱落の既往があり, Papillon-Lefévre 症候群との類似性をうかがわせたが, 掌蹠角化症はなく, 末梢血白血球の遊走能低下がみられた点から, 臨床診断は若年性歯周炎とした。
    2. 歯肉溝浸出白血球と末梢血白血球の嫌気性菌に対するスーパーオキサイド産生は, 歯肉溝浸出白血球の方に強くみられた。
    3. 外縁上皮側と比較してIgG保有細胞数が減少している内縁上皮側では, macrophage やランゲルハンス細胞と推定される S-100 protein 保有細胞も減少していた。
  • 山下 智, 奥田 一博, 野田 俊克, 原 耕二, 出口 眞二, 小川 優司, 大場 正道, 堀 俊雄, 蓮沼 里恵子, 片平 清行, 藤原 ...
    1984 年 26 巻 2 号 p. 397-420
    発行日: 1984/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    殺菌剤 (クロルヘキシジン) および抗炎症剤 (グリチルレチン酸, カルバゾクロム, 紅花エキス) を有効成分とした歯肉マッサージ薬 (LP) の薬効を調べるため, 3種の生薬成分を配合した市販の同種薬剤 (AS) を基準薬とし, 201症例につき, 二重盲検法により臨床評価した。その結果, 2薬剤とも歯周疾患を改善させた。 (1) 口腔の全体を対象とした疾患の改善について, 口臭は統計的に有意な差でもってASがLPに優っていたが, 出血, 粘稠感, 掻痒感および咬合痛には差がなかった。 (2) Ramfjord の歯周疾患指数を用いた観察部位 (6歯) の改善について, 発赤, 腫脹, 出血, 排膿の治癒および歯垢の沈着抑制はLPがASに優っていたが, 歯の動揺はASが優っていた。さらに歯周ポケットの治療については2薬剤間に差は認められなかった。
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