日本歯周病学会会誌
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27 巻, 1 号
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  • 1. 咬頭嵌合位における早期接触領域の形態的解析
    宮田 隆
    1985 年 27 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    この研究は咬頭嵌合位における早期接触領域の形態的解析を目的にしたものである。即ち, 欠損歯や著しい修復物 (アンレー) や補綴物などがなく, 矯正学的問題のない永久歯列を有する城西歯科大学PDI埼玉歯科診療所を訪れた患者40名の内, 2ヵ, 月間の初期治療の結果, 咬合調整を必要と認められた患者10名を被験者とした。
    測定は第1小臼歯から第2大臼歯を対象におこなった。そして, 咬合接触面積や上下顎咬合面間距離を中心に,IMAGE PCとパーソナルコンピューターからなる画像解析装置を用い, シャーカステン上に条件設定された咬頭嵌合位で得られた咬合採得物の画像から, これを光の透過度の差を「輝度」としてとらえ測定した結果, 以下の結論を得た。
    1. この機械を使用することによって咬合接触面積を輝度の差におきかえて極めて正確に測定することができた。
    2. 輝度を分析することにより上下顎咬合面間距離の測定ができた。
    3. 咬合接触面積についてはすべての患者の左右側の歯で著しい差が認められた。
    4. 咬合性外傷歯と咬合接触面積の間に相関性は認められなかった。
    5. 輝度グレード1°の比較ではすべての患者の左右側の歯に著しい差が認められた。
    6. 各歯における咬合接触面積の比較では第1大臼歯がもっとも大きかった。
  • とくに神経線維ならびに特殊終末の再生について
    簗瀬 節子
    1985 年 27 巻 1 号 p. 12-40
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯齦切除手術後の創傷治癒過程において再生する神経線維, とくに特殊終末の分布消長を検索する日的でラットに一部歯槽粘膜まで及ぶ実験的歯齦切除手術を施し, 病理組織学的検索を行った。その結果, 術後7日では再生した歯槽粘膜内に顎骨外経過の神経線維の分布がみられ, 術後14日では再生した歯齦組織内にも認められ, 自由神経終末を形成していた。術後21日では顎骨内経過の神経線維の再生が認められ, 術後35日では歯齦組織内にはメルケル小体, 有被膜性小体が, 歯槽粘膜内にはクラウゼ小体, 有被膜性小体が認められた。さらに術後70日では再生した歯齦および歯槽粘膜内にはほぼ対照 (正常) 群と同様な神経線維の分布がみられた。また, 歯齦組織内にはメルケル小体, クラウゼ小体, 歯槽粘膜内にはクラウゼ小体, 有被膜性小体, 樹枝状終末が認められた。
  • 山崎 和久
    1985 年 27 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    イヌの末梢血多形核白血球より中性チオールプロテイナーゼを部分精製し, その性質について検討するとともに, IgGに作用させた結果生ずる遊走活性因子についても検討した。酵素は多形核白血球のホモジネートから, 酸抽出, イオン交換クロマトグラフィー, ゲルろ過を経て699倍に精製された。また分子量はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により約50,000と推定され, 至適pHは7~8であった。
    次にイヌのアフィニティー精製IgGに部分精製した酵素を至適条件で作用させ, その反応液の遊走因子としての活性をイヌ末梢血単核細胞及び顎下リンパ節細胞を用いて検討した. その結果, 0.07μgから0.35μgの酵素を作用させた時に遊走細胞数は最大となり, 膜に対する付着性から遊走細胞はリンパ球及び単球であることが示唆された。
  • 小林 誠
    1985 年 27 巻 1 号 p. 51-64
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    ゴムligatureを用いラットの歯槽骨部に一定の骨吸収を起こす様な実験モデルを使用して, 1-hydroxyethane-1,1-bisphosphonate (HEBP) および dichloromethane bisphosphonate (Cl2MBP) の骨吸収抑制効果について検索した。実験には雄性 Wistar 系ラット100匹を用い, 各薬物を ligature 装着3日前より, 2mg P/kgずつ毎日皮下注射した。ligature 装着後0, 3, 6日目に屠殺し, M1M2歯間部頬舌断組織標本を作製した後, その病理組織像, 骨吸収の程度および骨吸収部位に出現する破骨細胞数を測定した。その結果, HEBP, Cl2MBP共に骨吸収の程度を有意に抑制し, その効果はCl2MBPにおいて顕著であった。又, 骨吸収の亢進に伴なって増加する破骨細胞数もこれらの薬物により抑制された. 従来歯槽骨の吸収を抑制し得る薬物は少なく, 今後 hisphosphonate は歯槽骨吸収の機構を検索するための手段に成り得ると思われた。
  • I. 歯周ポケット滲出液採取装置による評価
    神山 義信
    1985 年 27 巻 1 号 p. 65-81
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯肉炎, 辺縁性歯周炎の程度をより客観的に, 詳細に判定する方法を確立することを目的としてポケット滲出液を採取する方法を考案した。これによって得たプロービング後のポケット滲出液中の出血量をヘモグロビン量を測定することによって定量化することを試みた。同時に従来より行われているポケット滲出液量のニンヒドリンによる定量およびペリオトロンによる測定も行い, これらの間の関連性について検討した。
    その結果, ポケット滲出液量とプロービング後の滲出液中のヘモグロビン量との間に有意の正の相関が認められた. ポケットの深さが3mmより大の場合は3mm以下の場合よりも滲出液中のヘモグロビン量は多かった. 歯肉剥離掻爬術後では, 術前と比べ時間の経過と共にプロービング後の滲出液中のヘモグロビン量が減少した.
  • 原田 泰
    1985 年 27 巻 1 号 p. 82-98
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    辺縁性歯周炎に特徴的な病像である形質細胞の著しい浸潤増殖は, 口腔内細菌由来の多クローン性B細胞活性化 (PBA) が一因であろうと推察されている。そこで歯周病関連細菌の1つである Actinomyces viscosus T 14V株が示すPBA作用の発現機構を, マウスの系を用いて詳細に検討した。その結果, A. viscosus T 14株の超音波処理上液中にはT細胞やマクロブァージの関与を必要とせず, 直接B細胞に作用してこれをIgM産生細胞にまで分化させ, しかもCBA/NマウスB細胞を抗体産生細胞にまで分化させる, いわゆるTI-I抗原様の作用を示す因子の存在することが証明された。さらにIgMばかりでなくIgG産生細胞も分化誘導された。これはクラススイッチが誘導されてもたらされるのではなく, すでにIgG産生を拘束されたB細胞 (記憶B細胞) が刺激されてIgG産生細胞に分化することにより起こることを明らかにした。以上のことから A. viscosus がIgG産生細胞浸潤の特徴的な歯周炎病巣の形成に関与している可能性が示唆された。
  • 中村 正一
    1985 年 27 巻 1 号 p. 99-105
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    Bacteroides gingivalis (ATCC 33277) 培養上清のヒト好中球の走化性およびリソゾーム酵素の放出性に及ぼす影響を検討した。
    2×10-8Mのn-formyl-methionyl-leucyl-phenylalanine (FMLP) を走化性物質として用いたが, B. gingivalis 培養上清は好中球の走化性を濃度依存的に抑制した (P<0.01)。FMLP刺激による好中球リソゾーム酵素の放出性はリゾチームを指標として測定したが, その放出性はFMLPの濃度に依存的であり, 10-6MのFMLPで約10%が, サイトカラシンB存在下では顕著に増加し, 約50%が放出された. 細胞質酵素である乳酸脱水素酵素の放出は認められなかった. しかし, この条件下では B. gingivalis 培養上清のリソゾーム酵素の放出性に対する影響は見られなかった。
    このことから, B. gingivalis による好中球の走化性抑制作用は, リソゾーム酵素の放出性とは関連性がないことが明らかになった。
  • 菊池 康夫, 清重 達夫, 佐々木 修二, 奥田 克爾, 加藤 哲男, 内藤 祐子, 小野 美千代, 高添 一郎
    1985 年 27 巻 1 号 p. 106-113
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    本研究では抗 Bacteroides gingivalis 血清の防御作用について検討した。B. gingivalis 全菌体, 付着因子, 莢膜を含む表層抗原に対するウサギ免疫血清を調製した。これらの抗血清は, 補体媒介性本菌殺菌能を亢進させた。B. gingivalis のヒト好中球とモルモットマクロファージの殺菌能に対する感受性は, 本菌全菌体および付着因子に対する抗血清の存在下で顕著に高まった。抗B. gingivalis 血清であらかじめ処置した菌の, 結紮糸をしたハムスター口腔内への定着は, 正常ウサギ血清やリン酸緩衝液処置の菌に比べ低かった。
  • B4 endotoxin に対する抗体産生
    佐々木 静治, 飯山 正夫, 石川 潤一, 遠藤 英昭, 神山 義信
    1985 年 27 巻 1 号 p. 114-125
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    内毒素は, 歯周疾患の病因として重要な役割を果たすことが知られている。この研究の目的は普通 (CV群) および無菌 (GF群) 飼育ラット間の, 内毒素に対する抗体産生の相違の有無をみることである。抗体の測定は受身赤血球凝集反応を用いた。結果は, 以下の通りであった。
    (1)CV群では, 0~2週で体重減少がみられたが, GF群では逆に上昇がみられた。(2)抗体価はCV群では最大28, GF群では最大24まで得られた。(3)CV群ラット4匹中2匹に自然抗体がみられた。(4)GF群では菌株特異性がみられたが, CV群では他菌株に反応する抗体もつくられた。無菌動物は, 歯周病の炎症反応をみる上で有用である。
  • 竹蓋 弥
    1985 年 27 巻 1 号 p. 126-141
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    雌家兎腹腔内より多形核白血球を主とする腹腔液を採取した。Bacteroides gingivalis 381, Bacteroides intermedius 20-3, Bacteroides melaninogenicus ATCC 15930を凍結乾燥された状態から生理食塩水中に浮遊させた。白血球液, 各細菌浮遊液とを調整した後混合し, 30, 60, 90分インキュベーションした。その後上清のカテプシンD,β-グルクロニダーゼ, 酸性フォスファターゼ, 乳酸脱水素酵素の各活性を測定した。その結果, B. gingivalis が有意に多くのライソゾーム酵素を多形核白血球から放出させた。その作用機序としては, 細菌中の熱に不安定な成分が関与している事が認められた。さらに混合液中にテトラサイクリンを加える事により多形核白血球からのライソゾーム酵素の放出が抑制される事が示された。
  • 西原 圓一朗
    1985 年 27 巻 1 号 p. 142-145
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    貪食作用の定量法の一手段として, 切片法による検索を行った。すなわち, A) ラット多形核白血球, B) Streptococcus mutans 6715, C) ウサギ抗血清の3つの材料を用い, 2種類の試料, I(A)+B)), II(A)+B)+C)) を作り, 各々一定期間培養後, エポキシ樹脂包埋し, 各種の厚さの切片を作製した。次いで, 光顕および電顕写真をとり, 各種の厚さの切片における写真をもとに多形核白血球 (PMNL) の内および外部の細菌数を各々比較検討した。
    その結果, 次の事が認められた. 1, 切片法としては, 厚さ2μの光顕用切片を用いるのが価が明瞭であり, 良いと思われる。2. 貪食作用を定量するには, 多種 (切片法, 放射活性法, 分光光度計法, その他) の方法を, 実験材料のおかれた条件を考慮して, 選択採用し検討する事が望ましい。
  • 佐藤 巌雄, 藤橋 弘, 岩川 吉伸, 中村 安隆, 丸本 淑子, 池田 克已
    1985 年 27 巻 1 号 p. 146-152
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    ヒト単球の骨吸収機序への関与を明らかにしたいために, ヒト末梢血から分離した単球を用い, in vitro での骨吸収能を, ラットの頭蓋冠あるいは合成ハイドロキシアパタイト (HA) を用いて検討した。他方, ヒト末梢リンパ球に phytohemagglutinin (PHA) を添加し, 48時間培養して得た上清 (Osteoclast activating factor: OAF, を含む) を用い, 単球の骨吸収能, 3H-Thymidine の取り込み, それにNBT還元能に及ぼす影響などについて検討した。
    結果は, ヒト単球が骨の吸収に関与する実態とその吸収作用がOAFによって増強される可能性を示唆することができた。
  • 1. NBT還元試験での血清の役割
    下島 孝裕, 岩川 吉伸, 中村 安隆, 丸本 淑子, 楠 公仁, 池田 克巳
    1985 年 27 巻 1 号 p. 153-159
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    好中球の活性化機構におよぼす液性因子の影響を明らかにするため, 単離精製した好中球を用いた定量的 Nitroblue tetrazolium 還元試験によって, 好中球のNBT還元能に対する血清効果について検討し, 他方, 歯周疾患患者と健常者間で, その血清効果に差が認められるかどうかについて比較検討した。その結果, 好中球のNBT還元能は血清を添加することにより著しく増強し, 非働化によってこの血清効果は失なわれなかった。そして好中球の最も高いNBT還元能は, 血清処理した zymosan を加えることにより得られ, またその効果は洗浄あるいは非働化によって失なわれた。
    歯周疾患患者の好中球に直接的に作用する血清効果は, 健常者のそれに比較して有意に低下していた。一方, オプソニン化に作用する血清効果は, 両者間で差は認められなかった。
    以上の結果から, 好中球のNET還元能におよぼす血清効果には, 直接好中球に作用するものと, 細菌のオプソニン化に働くものとの2つの異なった血清成分の関与が示唆できた。
  • 山下 智, 鬼島 茂, 原 耕二
    1985 年 27 巻 1 号 p. 160-167
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯周炎罹患者ならびに健常者の歯肉組織中の不溶性免疫複合物を測定し, これが歯周炎の程度にどのような関わりをもつかを検討する目的で以下の実験を行った。即ち, 歯周炎罹患者22名, 健常者5名に対し, 歯肉採取相当部位の probing depth 及び Bleeding Index を測定後, 歯肉を切除採取した。次いでPBSによる溶出操作を4回繰り返したあと, 0.02M citrate buffer (pH3.2) で不溶性免疫複合物を溶出した。不溶性免疫複合物のパラメーターとしてこの抽出液中の解離IgG量を radioimmunoassay (RIA) で定量した。
    その結果, 健常者のものに比べ歯周炎罹患者のIgG量は有意に増加した。又, probing depth 3~4mm及び Bleeding Index 25~50%でIgG量は最高値を示した。年齢とIgG量の関係では加齢に伴いIgGの上昇が認められた。
  • 田中 憲二, 田中 宏司, 辻 康雄, 吉沼 直人, 伊藤 公一, 村井 正大
    1985 年 27 巻 1 号 p. 168-178
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯間離開および歯の動揺と垂直性骨吸収の関連性についてX線写真を用いて研究を行った。本学歯周科来院患者の full-mouth X線写真から, 正しく撮影されたと判定した2,416枚を選択し, 診査表を参考に修復物や補綴物の装着された部位と歯の位置異常のある部位を除外し天然歯で隣接する部位, 計3,139隣接面を検索した。X線写真をトレースし, 歯間離開の距離, 垂直性骨吸収の程度を測定した。歯間離開の程度は class I (1mm>), class II (1mm≦ <2mm), class III (2mm≦) に3分類した。歯の動揺は0~3の4段階で評価した。歯間離開部位には垂直性骨吸収像が有意に認められた。歯間離開2mm以上では1mm以内に比較して強い吸収像を示した。動揺度と吸収程度では相関を示した。本研究の結果, 歯間離開および歯の動揺とX線写真上でみられる垂直性骨吸収の出現に関連性のあることが示唆された。
  • 歯周ポケットの全部測定と部分測定の比較
    加藤 伊八, 岡本 行人, 浦 浩二郎, 清水 満廣, 永松 敬, 國松 和司, 小鷲 悠典
    1985 年 27 巻 1 号 p. 179-187
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯周ポケットの測定は, 歯周疾患の重要な診査法の一つとされているが, 全歯測定はかなりの時間を要することから, 代表歯による部分診査に頼る場合がある。本研究の目的は, 全部測定法と部分測定法との Probing depth (PD) を比較検討し, 両者の関係を明らかにする事である。
    PD測定は, 検者3名が, 50人の被検者の代表歯 (6/41|14/6) の唇頬側の2点, 計12点と, 全歯の6点計測, 計168点で測定した。各検者とも約80%に再現性が認められた。また, 最高値の出現頻度は, 下顎第2大臼歯の頬舌側の遠心, 上顎では, 第2大臼歯の近心, 第1大臼歯及び, 第2小臼歯遠心に高頻度に認められた。全部測定法と部分測定法の平均値には, 高い相関関係が認められた。以上の結果より, 部分測定法は, 集団を対象とした歯周疾患の検診に応用が可能と思われる。
  • 鈴木 基之, 山倉 久史, 益子 丈, 宮下 元, 長谷川 紘司
    1985 年 27 巻 1 号 p. 188-196
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    ルートプレーニング終了の客観的指標を求めるために, ルートプレーニング時に発生する擦過音に着目し, 擦過音の変化がどのような際におきるかを検討した。歯石付着面, 歯石付着の見られない面, ルートプレーニング面, 研磨象牙質面の4種歯根面にグレーシータイプキュレットを用いてスケーリングおよびルートプレーニングを行い, 発生した擦過音をソナグラフおよびナロウバンドスペクトラムアナライザーを用いて周波数分析を行った後に操作歯根面のSEM観察を行った。
    その結果, ルートプレーニング面や研磨象牙面で発生する擦過音では周期性構造をもつ音であったが, 他の2面では周期性構造を持たない雑音様の音であった。また1ストローク中の音の発生にも変化が見られた。本法を更に簡易化することにより, スケーリング, ルートプレーニングの完了の客観的指標の一助となると思われる。
  • 葛西 康宏, 置塩 由里, 木田 友信, 恵比須 繁之, 岡田 宏
    1985 年 27 巻 1 号 p. 197-205
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    抗てんかん薬 (Diphenylhydantoin) を服用し, 歯肉の増殖が認められる患者5名を被験者として, 1) 血中の免疫グロブリン量の定量, 2) 歯肉組織局所における免疫グロブリン保有細胞 (うち1例は単クローン性抗Tリンパ球抗体: Leu 1を用いてTリンパ球) を螢光抗体法により検索した。その結果, 炎症性浸潤細胞が認められた4例においては, 多数の免疫グロブリン保有細胞が認められ, その免疫グロブリンのアイソタイプは大部分がIgG, 次いでIgAであり, IgMはわずかであった。一方, 炎症性浸潤細胞が認められなかった1例では, 免疫グロブリン保有細胞は観察されなかった。また Leu 1を用いた検索では, ポケット上皮下に多数のTリンパ球が浸潤しているのが Leu 1抗体により確認された。血中のIgG, IgA, IgM量は5例中4例で正常値と比べて増加あるいは減少が認められた。
  • 宮田 裕之, 吉永 英司, 鴨井 久一
    1985 年 27 巻 1 号 p. 206-212
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯肉縁下プラークの抑制を目的として歯周疾患患者10名に対し, 脈動ジェット水流装置を用いてポケット内に洗浄を行ない, その臨床所見の変化を観察した。
    スケーリング, ルートプレーニング及び洗浄を併用したものを実験側, スケーリング, ルートプレーニングのみのものを対照側として3ヵ月間経過観察をした。その結果, PDについては, 実験側, 対照側に有意の差は認められなかったが, GBI, GCFについては対照側に比べ実験側の方が高い変化率を示した。この結果より, 歯周ポケット内に洗浄を行なうことによって, 対照側よりも早く炎症の改善を得ることが示唆された。
  • 長谷川 明, 大滝 晃一
    1985 年 27 巻 1 号 p. 213-223
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    当教室で行っている基礎実習の項目は, 異常な歯肉の診査, 診査用石膏模型の観察, 歯石付着状態の診査, 歯周ポケットの測定, プラーク付着状態の診査およびプラークコントロール, スケーリングおよびルートプレーニング, スケーラーのとぎ方, 縫合手技, 歯肉切除手術, フラップ手術, 歯の暫間固定法, 歯冠の形態修復であるが, 今回, これらのうちのいくつかの項目を同時に実施できる歯周模型を開発した。
    この歯周模型は, 歯肉, 小帯などの軟組織の異常, 根分岐部病変, 口蓋裂溝, エナメル突起などの歯の異常, 歯冠形態の異常など歯周領域における典型的な異常形態を有し, 一方, 学生実習用ファントームまた半調節性咬合器に装着することができる。
  • 永田 俊彦, 石田 浩, 益田 忠幸, 加川 公也, 浜崎 章弘, 幸田 直彦, 江渕 有三, 若野 洋一, 本田 和子, 秋山 良文, 中 ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 224-233
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    抗狭心症薬ニフェジピンを服用している心疾患患者3名について, 口腔内診査および歯肉の病理組織学的検索を行った。
    3症例中1症例に, 肉眼的に著明な歯肉増殖症が認められ, その臨床所見および歯肉の病理組織学的所見は, ジフェニルヒダントインによる歯肉増殖症の所見と, きわめて類似していた。
    また, 他の2症例については, 肉眼的に歯肉増殖は認められなかったが, 歯肉の病理組織学的所見として, 固有層での膠原線維の束状の増生, 上皮層での棘細胞症などが観察された。
    以上のように, 病理組織学的には, 3症例ともに, ジフェニルヒダントインによる歯肉増殖症と, 同様の所見を示した。
  • 飯田 正人, 山口 好則
    1985 年 27 巻 1 号 p. 234-238
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    19年来, 慢性関節リウマチ(RA)に罹患していた64:歳の女性に, 多数歯抜歯を含む歯周治療を試みたところ, 術後数週間でRAの関節症状の軽減をみた。口腔原病巣として慢性辺縁性歯周炎, 根尖性歯周炎, 上顎洞炎が考えられた。術後約3年間の経過観察の結果, RAは臨床的, 免疫学的にも寛解したものと思われた。本症例は, 現在自己免疫疾患と考えられているRAが上記の口腔病巣によりその活動性に何らかの作用をうけたものと考えられる。
  • 1985 年 27 巻 1 号 p. 239-286
    発行日: 1985/03/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
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