この研究は咬頭嵌合位における早期接触領域の形態的解析を目的にしたものである。即ち, 欠損歯や著しい修復物 (アンレー) や補綴物などがなく, 矯正学的問題のない永久歯列を有する城西歯科大学PDI埼玉歯科診療所を訪れた患者40名の内, 2ヵ, 月間の初期治療の結果, 咬合調整を必要と認められた患者10名を被験者とした。
測定は第1小臼歯から第2大臼歯を対象におこなった。そして, 咬合接触面積や上下顎咬合面間距離を中心に,IMAGE PCとパーソナルコンピューターからなる画像解析装置を用い, シャーカステン上に条件設定された咬頭嵌合位で得られた咬合採得物の画像から, これを光の透過度の差を「輝度」としてとらえ測定した結果, 以下の結論を得た。
1. この機械を使用することによって咬合接触面積を輝度の差におきかえて極めて正確に測定することができた。
2. 輝度を分析することにより上下顎咬合面間距離の測定ができた。
3. 咬合接触面積についてはすべての患者の左右側の歯で著しい差が認められた。
4. 咬合性外傷歯と咬合接触面積の間に相関性は認められなかった。
5. 輝度グレード1°の比較ではすべての患者の左右側の歯に著しい差が認められた。
6. 各歯における咬合接触面積の比較では第1大臼歯がもっとも大きかった。
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