日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
27 巻, 2 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 島井 数訓
    1985 年 27 巻 2 号 p. 297-306
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    B. gingivalis 菌体刺激による macrophage の dipeptidyl peptidase IV (DP-IV) および collagenase-like peptidase (CLP) の放出について検討した。macrophage 培養 well 中に, ホルマリン固定した菌体, 抗体処理菌体, latex beads および培地を加え培養し, 培養液を集め粗酵素とした。latex では刺激量による変化はみられなかったが, 菌体刺激では活性は上昇し, 抗体処理では, さらに2.5倍の活性を認めた。両酵素の性質の検討, 阻害物質および活性化物質などの検討から, DP-IVおよびCLPの両酵素は, B. gingivalis 菌体刺激によって macrophage から放出されたものと考えられる。
  • 佐野 裕士
    1985 年 27 巻 2 号 p. 307-315
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯周疾患における dipeptidyl peptidase IV (DP) および postproline endopeptidase (PE) の役割解明の一助として歯周ポケットの深さ, 歯肉の炎症および歯肉の出血程度を診査指標とし, 歯肉中のDPおよびPE活性を検討した。被験者は日大歯科病院を訪れた患者のうち, 歯周炎を有する患者60名および臨床的に健常な歯肉を持つ患者20名である。歯肉採取部位について歯周ポケットの深さ, 歯肉の炎症指数および歯肉の出血指数を測定したのち, 歯肉を切除し homoginize 後未破壊の組織を除去し試料とした。DP活性は Kato らの方法, PE活性は Yoshimoto らの方法を一部改変し測定した。その結果, 歯周炎罹患群のDP活性は健常群に比較し有意に高いことが示され, 一方PE活性は健常群と歯周炎罹患群の比較において差は認められなかった。
  • 山下 薫
    1985 年 27 巻 2 号 p. 316-327
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    イヌの実験的歯周炎における歯肉リンパ球の機能を調べるために, イヌに実験的歯周炎を惹起し, PHA, ConA, PWMに対する幼若転換を測定した。さらに末梢血, 顎下リンパ節リンパ球との反応性の比較も行った。
    雑種成犬7頭に絹糸結紮で歯周炎を惹起した後, コラゲナーゼ処理及び Ficoll 処理にて, 歯肉リンパ球, 末梢血及び顎下リンパ節リンパ球を抽出した。細胞の構成はギムザ染色標本で調べ, 幼若転換は 3H-thymidine の取り込みで測定した。その結果, 歯肉細胞浮遊液中のリンパ球は80.3% (73.0~90.0%), マクロファージの割合は3.6% (0.8~10.8%) であった。歯肉リンパ球の生存率は77% (61~89%) であった。未刺激における幼若転換値は, 歯肉リンパ球, 末梢血及び顎下リンパ節リンパ球でそれぞれ399±107, 864±127, 758±204cpm±S.E. であった。末梢血, 顎下リンパ節リンパ球のPHA, ConA, PWMに対する反応は著明に亢進し, 反応のピークは2~3日にみられ, 一方歯肉リンパ球の反応は, マイトーゲンで刺激した場合でも低く, 殆んど未刺激の場合と変わらなかった。歯肉リンパ球の反応性のピークは培養1日目でみられ, 以後減少した。
    以上の事実より, 歯肉リンパ球の反応は, 末梢血, 顎下リンパ節リンパ球と対応せず, 反応性は極めて低いことが示唆された。
  • とくに歯周疾患との関連について
    磯村 公明
    1985 年 27 巻 2 号 p. 328-351
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯周疾患における細菌性内毒素 (bacterial endotoxin) の役割とその作用機序の一端を解明することを目的として, 先ず全唾液中における内毒素量を測定し, つづいて Fusobacterium nucleatum からの内毒素の分離と精製およびその生物学的活性, Hela 細胞に対する細胞毒性, 好中球走化活性, 歯周疾患患者における抗内毒素抗体価, また内毒素頻回注射によるラット歯周組織の病理組織学的変化について検索を実施した。その結果, 全唾液中に含有される内毒素量は歯垢蓄積量や歯肉炎の程度と関連のあることが示された。歯肉溝および歯肉盲嚢内に常在する Fusobacterium nucleatum からの分離内毒素標品は強い生物学的活性を示し, 好中球に対しても走化活性を示すが, HeLa 細胞に対する毒性は, そのLD50濃度がおよそ500μg/mlと比較的低いことが示された。また本内毒素標品を抗原として被検者血清中の抗内毒素抗体価をELISA法により測定した結果, 特異抗体活性はIgM画分に存在し, しかも歯周疾患の進展程度とこの活性の強さには関連が認められた。さらに内毒素標品を非免疫ラットに頻回注射した際には歯肉の高度の炎症, osteoprogenitor cell の変性, 壊死ののちに破骨細胞による骨吸収を認めた。一方, 内毒素であらかじめ免疫処置を施したラットに内毒素標品を頻回注射した場合には, 歯肉に Arthus 型の過敏反応を示す組織像がみられ, 非免疫ラットと比較して早期に高度の骨吸収像が認められた。
  • とくに歯みがき圧を考慮して
    稲田 芳樹
    1985 年 27 巻 2 号 p. 352-368
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯ブラシ線維の先端を使用して刷掃する代表的なブラッシング法である scrubbing について, 歯ブラシ線維の損耗がブラッシング時の歯みがき圧および歯垢除去効果にどのような影響を及ぼすかを, in vivo および in vitro の両面から検討した。
    すなわち in vivo 実験では, scrubbing 法を被検者に行わせ, 歯ブラシ線維の損耗と歯みがき圧との関連性について経週的に観察を行った。
    また, in vitro 実験では, metallic plate に gold coating をほどこして実験的歯垢を作成し, ブラッシングマシンで scrubbing 法と同じブラッシング動作を行い, 歯ブラシ線維の損耗が歯垢除去効果にどのような影響を及ぼすかについてより客観的に評価した。
    以上のことから scrubbing 法によるブラッシングにおいては, 歯垢除去の面から歯ブラシは4週間用いると新しいものと交換すべきであると結論した。
  • 35Sによる歯根部歯質への浸透性
    本田 忍, 木村 純一, 鴨井 久一
    1985 年 27 巻 2 号 p. 369-387
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯周疾患に罹患した抜去歯を用いて, その露出根面と非露出根面に対し, 清拭処理, ルートプレーニング処理, 露出象牙質+ルートプレーニング処理の3種を施した根面の浸透性について検討した。すなわち, 35S (Na2 35S O4) を根面に作用させ, その浸透性を研磨片のオートラジオグラフィーにより検討した。
    得られた結果は次の通りである。
    1. 35Sは象牙質, セメント質のいずれの根面においても付着, ないしわずかに浸透しているように思われた。
    2. 根面がセメント質の場合, 清拭処理とルートプレーニング処理を施した場合との間には35Sの根面での付着性と浸透性に著しい差異はみられなかった。
    3. 根面が象牙質の場合, セメント質の場合に比較して根面に対する35Sの付着性ならびに浸透性は著しく弱かった。
    4. 各種の根面処理を方法別にみた場合, 露出根面と非露出根面の間では, 35Sの付着性ならびに浸透性に著しい差異はみられなかった。
  • 岩瀬 正泰, 木村 享, 永江 光子, 伊藤 伸也, 桜田 重世, 南雲 正男
    1985 年 27 巻 2 号 p. 388-393
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    唾液好中球の機能について末梢血好中球と比較, 検討した。
    方法は, 異物認識能を示すIgG-FcおよびC3bレセプターの検出と酸化代謝能をあらわす化学発光の測定によった。
    結果は, MEM浮遊の場合, ロゼット形成率はほとんど差を示さなかったが, 化学発光は唾液好中球の方が低値を示した。一方, 混合唾液に浮遊した場合, ロゼット形成率, 化学発光ともに著しく低下した。特に末梢血好中球で顕著であった。
    以上のことから唾液は歯肉溝から流出した好中球に対して toxic に作用し, その機能を減少させることが示唆された。従って, 唾液好中球は生体の防御機構において余り重要な役割を担っていないと考えられた。
  • 第2報 Wiener spectrum の管電圧および濃度依存性について
    三辺 正人, 児玉 利朗, 菅谷 彰, 田村 利之, 古郷 辰二, 友松 栄子, 大石 俊一, 鹿島 勇一, 菊池 一好, 堀 俊雄
    1985 年 27 巻 2 号 p. 394-399
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    画像上の骨変化に関する最大情報量を得る為の適切な撮影条件を決定する為に, ウィーナースペクトル法に直接影響を及ぼすであろうと考えられる管電圧及び, 濃度依存性について基礎実験を行った。
    実験は, 規格撮影された人体摘出下顎骨のX線写真を使用し, 管電圧及び, 写真濃度を変化させた時のウィーナースペクトルの変化につい、て検討を行った。結果として, ウィーナースペクトルは, 管電圧よりも写真濃度に影響を受けることがわかった。特にその影響は, 骨梁成分を示す空間周波数0~5LP/mmよりも, ノイズ成分を示す高周波領域5~25LP/mmにおいて大であった。
  • 井上 純一, 本城 範典, 山岡 昭, 前田 陽規, 岩本 吉則, 福島 久典, 佐川 寛典
    1985 年 27 巻 2 号 p. 400-406
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    Advancing periodontitis 患者に対する外科処置後のポケット内細菌叢の検索を行った。
    外科処置後の Plaque index, Gingival index および Pocket depth の平均値はそれぞれ, 0.42, 0.06, 2.4mmであった。分離菌のうち, 外科処置後の全分離菌に対する偏性嫌気性菌の比率は75%であり, Deep scaling 後 (77.6%) との間に大きな相違は認められなかった。しかし, Deep scaling 後の菌叢と異なり, グラム陽性桿菌の分離比率が顕著に高い値を示した (偏性嫌気性菌, 40.9%; 通性嫌気性菌, 20.5%)。グラム陽性菌の中では, Actinomyces (20.5%) と Eubacterium (19.1%) が優勢であり, グラム陽性球菌の中では, Peptococcus の分離比率が高い値を示した。グラム陰性菌では, Bacteroides が高率 (15.9%) に分離された。
  • 佐藤 勝, 林 敦子, 加登 基弘, 新田 裕, 並河 勇, 白木 雅文, 勝谷 芳文, 岩山 幸雄, 平田 健一, 木村 健一
    1985 年 27 巻 2 号 p. 407-415
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    ヒトの口腔内には鞭毛虫類として Trichomonas tenax (T. tenax) が生息し, 歯周疾患の進展と共にその検出率が高くなることが経験的に知られている。しかし本原虫は培養, 純培養が困難であるため, その病原性や生物学的性状は不明である。我々はT. tenaxの培養用に新培地を開発し, この培地がT. tenaxの分離, 増殖にも優れていることを確認したので今回は, ヒトの歯肉縁下歯垢中における本原虫の分布と検出率を疫学的に調査した。その結果, T. tenaxの検出率と, 被検者の年齢, ポケットの深さ, 歯肉炎の程度および歯垢集積量の間には密接な関連性が認められた。また歯周療法がT. tenaxの消長に及ぼす影響を検討したところ, 臨床症状の改善に伴ってT. tenaxの検出頻度は低下した。
  • 術後の結合織付着部に対するX線定量分析によるセメント質沈着の可能性について
    西村 和晃, 高田 耕平, 野口 吉広, 野口 秀夫, 永石 真幸, 林 正純, 仲 秀典, 白井 義英, 山岡 昭
    1985 年 27 巻 2 号 p. 416-423
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯肉剥離掻爬手術後の付着様式の1つである結合織性付着部に, 将来セメント質の沈着が起こるかどうかその可能性を追求した。サル上顎中切歯部の歯肉剥離掻爬手術を施し, 術後1, 2, 4ケ月後に結合織付着部の最歯冠側部, 最根尖側部, そしてその中間部3点のP, Ca濃度を, X線マイクロアナライザーで測定した。その結果, P, Ca濃度は, 各期間の各部位間, また経月的にもその上昇は認められず, この結合織付着部へのセメント質形成の可能性を否定するデータを示した。
  • 汐見 登, 赤地 一史, 伊藤 公一, 村井 正大, 堀江 憲夫, 茂呂 周
    1985 年 27 巻 2 号 p. 424-432
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    2例の急性壊死性潰瘍性歯肉炎 (ANUG) につき電顕的・免疫組織学的検索を行ない, 次の成績を得た。
    1. 壊死部は多数の spirochete と好中球より成り, 少数の紡錘状・桿状・球状の細菌が認められた。
    2. Spirochete は直径約0.3~0.4μで protoplasmic cylinder, cell envelope や axial filament を持ち, 稀れに組織構造の保たれた上皮細胞間や上皮細胞内にも認められた。
    3. しばしば好中球およびマクロファージによる spirochete の貪食像が認められた。
    4. 固有層内の immunoglobulin 陽性細胞は主としてIgGであり, 次いでIgA, IgMであった。
    5. 歯周炎に比べ, ANUGではIgA陽性細胞の増加がみられ, その性質は monomeric であり, 血清由来を示唆していた。
  • 4. Hydroxyapatite 埋入後の骨動態のX線学的検索法
    原 宜興, 谷 佳珠代, 長嶺 尚子, 前田 勝正, 赤峰 昭文, 鄭 有仁, 古川 猛士, 岸 哲也, 吉村 祥子, 豊福 不可依, 青野 ...
    1985 年 27 巻 2 号 p. 433-443
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    歯槽骨欠損部へ Hydroxyapatite を応用した後のX線学的評価法を検討した。ビーグル犬に惹起した実験的歯周炎へ Hydroxyapatite を応用し, 経時的にX線規格撮影を行った。得られたX線写真上の対象部をマイクロフォトメーターにより2次元的に自動スキャンし, オンライン化したコンピユーターにより銅等価値変換した後, 定量化した。その結果, Hydroxyapatite 填塞によるX線写真上の黒化度の変化を把握することができ, また組織学的所見と対応させることにより, 撮影時の骨動態を判断することが可能となった。また対照側の数値と比較すると, Hydroxyapatite は, 骨欠損部を解剖学的形態に近い状態に修復しうるものと推測され, Hydroxyapatite の臨床応用の価値が再認識された。
  • 術後1年間の観察結果
    田中 良彦, 和泉 雄一, 渡辺 久, 萩原 さつき, 石川 烈
    1985 年 27 巻 2 号 p. 444-457
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    多孔質アパタイト (Porus Hydroxyapatite Ceramics) の歯周治療としての臨床効果を調べるために次の研究を行った。初期治療終了後, 外科処置の必要と思われる歯槽骨欠損を有する24名・28部位を研究対象として粉砕した多孔質アパタイトの粒子を移植材として充填した。術前・術中・術後1週・2ヵ月・3ヵ月・6ヵ月・12ヵ月に診査をした。その結果, (1) 多孔質アパタイト移植を行った周囲歯周組織に特に異常な炎症は認められなかった。
    (2) 術後12ヵ月でポケットの深さは2.5mmの減少が, クリニカル・アタッチメント・レベルは1.5mmの獲得が認められた。(3) 動揺度の改善が認められた。(4) 多孔質アパタイト移植の効果を十分に発揮させるためには, 術後の安静状態の確保とプラークコントロールの徹底が必要であると思われる。
  • 第1報 口腔衛生状態と歯肉の炎症について
    米山 武義, 荒井 真一, 鴨井 久一
    1985 年 27 巻 2 号 p. 458-463
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    特別養護老人ホームにおける歯周疾患実態調査を行なう目的で全入園者104名の歯の残存率について調査した。その内で1歯以上の歯が残存し, その上調査可能な44名について6点法を用い plaque index および gingival index を計測した。その結果, 有歯顎者における平均残存歯数は7.98本であり, 男性では高齢者程, 残存歯数が少ないという結果が得られた。一方, 女性では, 男性のような傾向がみられなかった。また部位別に残存歯率をみると上下顎臼歯および上顎前歯において低い値が明らかにされ, また歯種別では下顎犬歯が高い残存歯率を示していることがわかった。なおプラーク沈着程度の調査では全歯面において高いプラーク付着率を示し, 歯肉炎症の程度は歯肉辺縁の擦過による出血により観察をした。その結果, gingival index が予想に反し, 低い値を示していることが判明した。
  • 脇田 由美子, 恵比須 繁之, 島内 英俊, 葛西 康宏, 岡田 宏, 丹根 一夫
    1985 年 27 巻 2 号 p. 464-472
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    大阪の若年者の歯周疾患罹患状態を調べることを目的として1469名の高校生を対象とし, 61/61|16/16の pocket depth (PD) を測定し, 歯肉の炎症状態は Löe (1963) のGIで評価した。その結果, 4mm以上のPDの出現率は2.4%で5mm以上のPDの出現率は0.3%であった。各学年間にPDの分布に有意差は認められなかったが, 男子の方が女子より有意に深い値を示した。部位別の平均PD値は大臼歯部の方が中切歯部より大きく, 中切歯唇側においては隣接面部の方が中央部より大きかった。高いGI値の出現は2年生>1年生, 隣接面>頬舌面, 男子>女子であった。1ケ所でも5mm以上のPDを有する44名についてさらに口腔内精査を行い, 全身所見に異常なく, 5mm以上のPDを示す歯が3歯以上存在するにもかかわらず肉眼的に著明なプラークや歯石の認められなかった2名について1/1|1/1デンタルおよびパノラマ X-ray 撮影を行ったが, 若年性歯周炎と診断できる患者は存在しなかった。
  • 鈴木 祐平, 神山 義信, 米田 栄吉, 堀内 博
    1985 年 27 巻 2 号 p. 473-481
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    CPITN (WHO) を用いて12~70歳までの1390名に対し, 歯周疾患の疫学的調査を行った。診査は部分診査法によりCPITN用ポケット探針を用いて行った。10歳台の結果では, 3.5mm以上のポケット深さをもつ有病者率は約30%であった。歯肉出血以上の症状を呈する1人平均有病部位数は約2.0であった。20歳台以上では歯周ポケット深さは年齢と共に増大した。65歳以上で3.5mm以上の歯周ポケットをもつ有病者率は約80%であり, 歯肉出血以上の症状を持つ都の1人平均有病部位数は約3.5であった。罹患程度や症状の進行度は年齢と共に増大する傾向にあった。CPITNは詳細な分析検討や疾患の細部の把握には適していないけれども, 多人数の集団を対象とする場合には簡便で実用的な面で優れており, 歯周治療の必要度を表現するに適していると思われる。
  • 貴舩 亮英, 本間 修平, 原 耕二
    1985 年 27 巻 2 号 p. 482-491
    発行日: 1985/06/28
    公開日: 2010/07/16
    ジャーナル フリー
    臨床の場で正確にかつスムースに使用できるような咬合音診断機器を開発・試作した。主な改良点は, (1) 新型マイクロフォンの製作, (2) 入力感度調整機構の設置, (3) テープレコーダーの内蔵, (4) 外部コンピューターによる duration 測定, などである。これらの効果を検索するため健常者と歯周炎罹患者の咬合音を採取し, duration を中心に比較検討を加えた。その結果, 新型マイクロフォンの実用性の高さが示されるとともに, コンピユーターによる duration 測定の道が開けた。しかしコンピューターによる duration は, 手計測より若干短くなる傾向がある。また歯周炎罹患者の初診時と初期治療後の間には duration の有意な減少がある, などが確認できた。
feedback
Top