日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
28 巻, 4 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 飯山 正夫
    1986 年 28 巻 4 号 p. 963-979
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    辺縁性歯周炎における免疫応答の機序を検討するため, 歯周ポケットあるいは歯肉溝より滲出液 (GF) を採取し, IL-1及び一部の試料ではIL-2, 1L-3活性を測定した。また, 歯周病関連菌とされる細菌を含む各種細菌でマウス腹腔滲出マクロファージを刺激し, IL-1の産生誘導能を検討した。調べたGFの全てにIL-1様活性がみられ, 8mm以下の歯周ポケットから得られた試料では, ポケットの深さとIL-1様活性との間に有意な相関が得られた。また, 活性の高い2試料の分析により, この活性物質の分子量は13.5~17KDと判明した。IL-2, IL-3活性は, 検出できなかった。一方, 高い1L-1誘導能を示した細菌は, いずれも内毒素活性の高いとされる細菌であった。以上の所見より, 辺縁性歯周炎において優位に存在する細菌の内毒素活性及び, IL-1産生細胞の機能状態の検討が, 歯周病の機序を理解する一助となることが示唆された。
  • 河内 準治
    1986 年 28 巻 4 号 p. 980-991
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, Behlfeltらのnew malposition index (MPI) を用いてlow levelの歯列不正と歯周病の関係を検討し, ブラッシング時に特に配慮すべき歯列不正の程度を明らかにすることを目的として行った。365人の青年男女の上顎側切歯, 下顎第二小臼歯を被験対象とし, スタディーキャスト上でMPIを測定し, 各種臨床的パラメーターを測定した。プラーク除去率は, 同一人にスクラッビング法, ローリング法を用いてブラッシングさせて判定した。その結果, MPIOの歯と3以上の歯の臨床的パラメーターの間には付着歯肉の幅を除いて有意差が認められた。以上の結果, MPI3以上の歯列不正歯をもつ患者は歯肉炎を起し易く, プラークコントロール指導においては, 歯列不正を配慮した指導が必要であることが示唆された。
  • 大竹 徹
    1986 年 28 巻 4 号 p. 992-1003
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    露出セメント質の生物学的為害物質が, 歯根の洗浄で抽出される可能性を検討し, また, 抽出された物質を検索する目的で本実験を行った。
    露出歯根をマグネティックスタラーを用いPBSで洗浄すると, 歯根面への培養線維芽細胞付着が増加した。さらにその洗浄濃縮液へ健全歯根を浸漬すると細胞の付着が減少した。そこで, 露出歯根洗浄濃縮液 (P), 健全歯根洗浄濃縮液 (N) を準備し, 線維芽細胞の培養系に添加した。その結果 (P) 添加ではガラス面への細胞付着が減少し, 変性した細胞が認められたが, (N) 添加では, 細胞に変化は認められなかった。また, (P), (N) のエンドトキシンを定量すると, (P) は (N) の約10倍の値を示した。
    以上から, 露出セメント質を洗浄すると, 生物学的為害物質が抽出されることが明かになり, その物質の本体の一部はエンドトキシンであることが強く示唆された。
  • 林 成忠
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1004-1027
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    異なる形状のHydroxyapatite顆粒を歯槽骨欠損部の補填材として応用する場合にその形状の違いが治癒に及ぼす影響についてを調べた。サルを用いて広い三壁性骨欠損を伴った露出歯根面を形成し, (1) 過酸化水素発泡法によるB型多孔質アパタイト (2) ウレタンフォーム法によるF型多孔質アパタイト (3) G型緻密質アパタイトを充填して, 12週間後, 屠殺し, 組織学的に検討した。結果は (1) 臨床的に, コントロールを含めた四群とも, 特に強い臨床的炎症はみられなかった。 (2) 組織学的に, 全てのアパタイト補填群では, 新生骨がアパタイトと直接に接している像がみられたが, B型の方にアパタイトが新生骨で連結している像が多かった。 (3) 結合織性付着量ではB型群は2.31±0.34mmで一番高い値を示し, コントロール群1.84±0.41mmより有意にその値は大きかった。 (4) B型, F型, G型補填群の新生骨を含むアパタイトによる骨欠損の充填率は, それぞれ97.37±20.22%, 92.80±18.57%, 88.02±19.88%で, コントロール群の骨欠損の修復率51.32±17.47%より有意に大きかった。
  • 清水 光雄
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1028-1043
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    5頭の犬のP4 P2 P2 P4に実験的垂直性骨欠損を形成後, β-tricalcium phosphate (TCP) を〓塞し, オキシテトラサイクリン, カルセイン, アリザリンレッドSの3種のラベリング剤で硬組織内時刻描記を行い組織学的に検索した。
    TCPを〓塞した実験側の骨形成量は, フラップ手術のみの対照側のものと比べると統計的にあきらかに大であった。骨形成過程をみると, 対照側では骨欠損底部から歯冠方向に術後5週, 10週と時間の経過とともに一歩一歩層状に骨形成が進むのに対し, 実験側では術後5週でTCPを〓塞した部分全体で同時に骨形成が進行し, その後10週では, TCPの吸収のあと, 5週で起こった骨形成部を内側から裏うちするように, あるいは外側から取り囲むように骨形成が観察された。新付着は実験側および対照側でともに観察された。
  • 鬼島 茂
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1044-1053
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    本研究はウィスター系ラットにActinomyoes viscosus Nyl R2を定着させ, 初期歯肉炎を惹起させた. 抗A. viscosusNylR2抗体局所投与の結果, A. viscosus Nyl R2菌数は減少する傾向にあった。組織学的には抗体滴下群, PBS滴下群, クロルヘキシジン滴下群の間に差はなかった. またウィスター系ラット腹腔内にA. viscosus Nyl R2及び抗体またはPBSを注入し, 抗体の及ぼす作用についても検討した。その結果, 抗体注入により腹腔回収液中のA. viscosus Nyl R2数は減少し腹腔浸出細胞数は増加したが, 食菌作用はほとんど変らなかった。
  • 第1報歯周炎患者の免疫機構, 成人性歯周炎患者と健常人の末梢血リンパ球の解析
    竹内 宏, 田島 一範, 澁谷 俊昭, 勝谷 芳文, 岩山 幸雄, 佐藤 勝, 上田 雅俊
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1054-1062
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周炎 (adult periodontitis) 患者と健常人の末梢血リンパ球subsetの分布率をflow cytometryによって検索した。この結果, 患者リンパ球の中で, OKT-4陽性細胞がわずかに健常人より高値を示したのに対し, OKT-3およびOKT-8陽性細胞が低値を示し, それぞれ5%および1%の危険率で有意差を認めた。この結果, OKT-4/OKT-8比が健常人よりも総じて高く, 1%の危険率で有意差を認め, この比が2以上の患者はB-cellの分布率も例外的に高く, いわゆるstable T-cell lesionからprogressive B-cell lesionへの移行を示すと同時に, T-TあるいはT-B細胞相互作用による免疫調節機幾構の破綻が歯周炎の発病や経過に深く関係していることがうかがわれた。
  • 1. EHDP投与幼若ラットの胸腺細胞及び脾細胞のレクチンに対する分裂応答性
    戸田 佳子, 相田 宜利, 嶋越 美和, 山田 久仁子, 青野 正男
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1063-1069
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患の臨床症状の1つに, 歯槽骨の吸収が認められる。そこでわれわれは, このような骨吸収を抑制する化合物を臨床的に応用する目的で, 骨吸収を抑制するといわれている化合物の1つである, Disodiumethane-1-hydroxy-1, 1-diphosphonate (EHDP) の免疫薬理学的作用について調べた。EHDP 10mg/kgを幼若ラットに連日皮下注射するか, あるいは100mg/kgを1回皮下または腹腔内に注射することにより, 脾細胞の細菌リポ多糖体 (LPS) に対する分裂応答が著明に低下することがわかった。しかし, EHDP投与は, 胸腺細胞及び脾細胞のconcanavalin Aに対する分裂応答には, 明らかな影響を及ぼさなかった。これらの事実は, EHDP投与が, B細胞の機能低下を誘導するが, T細胞機能には著明な影響を与えないことを示すものである。
  • 西川 博之, 岩田 真, 白木 雅文, 岩山 幸雄, 竹沢 保政, 亀永 秀男, 後藤 隆泰, 森脇 豊
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1070-1075
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患によって露出した歯根のセメント質直下象牙質の硬度を検討した。
    露出根と非露出根の象牙質硬度を微小硬度計を用いて, セメント質象牙境から歯髄側へ10, 30, 60, 90, 120, 150, 200μmの深さでそれぞれ測定し, 以下の結論を得た。
    1. セメント質の厚さ20μm以下の露出根象牙質は, セメント象牙境から10μm内層において, 非露出根象牙質に比較して有意の硬度の減少を認めた。
    2. 歯根の部位により歯周疾患の象牙質硬度に及ぼす影響について, 差が認められた
    。歯頸部のセメント質の厚さ20μm以下の露出根象牙質は, 非露出根象牙質に比較して有意の硬度の減少を認めた。根中央部, 根尖部においては, 露出根象牙質, 非露出根象牙質の間に差は認められなかった。
  • 2. 糖尿病のコントロール状況と歯周疾患の程度
    神山 義信, 蝦名 徹哉, 草野 郁子, 佐々木 俊明, 石川 潤一, 八巻 恵子, 佐々木 静治, 遠藤 英昭, 堀内 博
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1076-1083
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    糖尿病のコントロール状況, すなわち空腹時血糖値, Glycosylated Hemoglobin (HbA1) 値, 糖尿病の罹病期間, 治療方法, 合併症の有無, 肥満度 (Body Mass Index) および血圧と, 歯周組織の炎症状態との関連性を検討することが本研究の目的である。
    被検者は東北大学医学部第3内科に通院している糖尿病患者147名である。歯周組織の炎症状態を表わす指標としてPeriotron®によるポケット滲出液量の測定, Bleeding Index, Poket Depth, およびO'LearyのPlaque Control Recordを用いた。
    その結果, 糖尿病のコントロール状況が悪いほど, 歯周組織の炎症状態にやや重篤な傾向がみられた。
  • 鈴木 祐平, 米田 栄吉, 鈴木 理恵子, 堀内 博
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1084-1092
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    宮城県内の2つの重症心身障害者施設に入院しDPH (Diphenylhydantoin) を服用している患者76名について, 歯肉増殖度, DPHの投与量および歯周組織の病態について調査した。歯肉増殖度の判定は, Stern (1943) の報告を参考にした。
    歯肉増殖度の高い群でPD (pocket depth), P1 I (plaque index) は大きかったが, 歯肉出血傾向 (BI, 唾液潜血反応) では増殖度の低い群との間に差がなかった。年齢, 体重およびDPH 1日投与量では歯肉増殖度の各群間に著しい差はなかったが, 体重1kg当たりのDPH投与量は歯肉増殖度の高い群で有意に大きかった。また, 累積投与量も増殖度の高い群でやや大きい値を示した, しかし投与期間では有意の差はなかった。
  • 鈴木 祐平, 佐々木 俊明, 米田 栄吉, 鈴木 理恵子, 堀内 博
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1093-1101
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    宮城県内の重症心身障害者施設2か所に入院している患者65名に対し介補者による口腔清掃の改善を行い, 歯周組織の状況を2年間にわたり調査した。一方の施設では手用歯ブラシと歯間ブラシを併用させ, 1日3回の清掃を行ったところ, P1I (P1aque Index), PD (Probing Pocket Depth) および歯肉出血傾向は著しく改善した。DPH (Diph-enylhydantoin) 服用者 (11名) は非服用者 (18名) と比べPDの減少量が大きかった。他方の施設では電動歯ブラシ使用群 (20名) が手用歯ブラシ使用群 (16名) に比べ, P1Iおよび歯肉出血傾向 (BI: Bleeding Index, 唾液潜血反応) において著しい改善をみた。これら患者では電動歯ブラシと歯間ブラシの併用が効果的であった。
  • - 一般中高年齢者の歯周疾患罹患状態について-
    鎮守 信弘, 前田 勝正, 原 宜興, 古川 猛士, 宮武 祥子, 畠山 民子, 青野 正男
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1102-1109
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    一般の中高年齢者107名を対象として歯周疾患の疫学調査を行った。診査は, 残存歯数, modified-Periodontal Disease Index (m-P.D.I.) 歯肉出血率, 治療必要度, 歯石沈着の有無について行い, アンケートとして口腔清掃指導を受けた経験の有無を調べた。その結果, 残存歯数及び歯石沈着の見られる者の割合の増齢的な減少が認められた。m-P.D.I. の年代別平均値は増齢的に増加しており, 特に深い歯周ポケットを有する者の割合が増加していた。また増齢的に, 外科的治療を含む複雑な治療を必要とする者の割合も増加しており, 増齢的な歯周疾患の悪化傾向が認められた。歯肉出血率は50代が他の2者に比べて有意に低く, 年齢による歯周疾患の病態の違いが示唆された。口腔清掃指導を受けた経験を有する者は全体の24.3%で, 経験の有無による口腔内の状態に差は認められなかった。
  • 福原 弘喜, 木下 恵嗣, 森田 健司, 脇田 由美子, 佐古田 茂樹, 恵比須 繁之
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1110-1119
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周炎の進行に関与すると考えられている種々の臨床的パラメーターが, 歯周炎の疾病活性度の指標になり得るかどうかについて, 次の2通りの研究方法により検討した。すなわち, 研究Iでは, 48人の歯周炎患者の初診時の歯槽骨吸収率と無処置で経過した後の再診時の骨吸収率を比較することにより, 計測部位を高い疾病活性を示す部位 (HA) と低い疾病活性を示す部位 (LA) に分類した。研究IIでは, 初期治療による歯周ポケットの深さの変化を本論文の要旨は, 第27回秋季日本歯周病学会総会 (1984年10月20日) において発表した。基準にして, 患者15人の計測部位をHA群とLA群に分類した。そしてHA群とLA群において種々の臨床的パラメーターの出現頻度に差異が認められるかどうかについて検討した。
    その結果, 検討した各種臨床的パラメーターのほとんどは疾病活性との関連性が認められず, また関連性の認められたパラメーターにおいても疾病活性の予知あるいは検出が可能な高い診断確率を示すものは存在しなかった。索引用語: 臨床的パラメーター, 疾病活性, 歯周炎
  • - 毛の先端形態と直径の異なるナイロン毛の歯ブラシについて-
    土沢 一実, 渡辺 孝章, 渡辺 一郎, 山本 和子, 新井 高, 中村 治郎
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1120-1130
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    スクラッビング法による歯ブラシについて, 第1報として毛の直径と毛の先端形態の違いがブラッシング圧とプラーク除去効果にどの様な影響を与えるかを検討した。
    歯ブラシの直径 (0.18mm, 0.25mm, 0.33mm) と毛の先端形態 (ラウンドカット, ストレートカット) の異なる合計6種類の歯ブラシを試作した。被験者12名にブラッシングを行わせ, 前後のプラークのスコアーを測定し, プラ本論文の要旨は, 第28回春期歯周病学会総会 (1985年6月6日) において発表した。ーク除去率を算出した。ブラッシング圧は渡辺のブラッシング圧測定装置を用い計測した。
    その結果, 毛の直径が太くなるほどプラーク除去率もブラッシング圧も有意に高くなった (P<0.01) 。ラウンドカットの方がストレートカットに比べ, ブラッシング圧は高い傾向を示した (P<0.01) 。プラーク除去率は, ラウンドカットの方が高くなる傾向を示した。
  • 上田 雅俊, 稲田 芳樹, 高津 兆雄, 山岡 昭, 秋山 繁, 光安 正守, 林本 忠浩, 楠 憲治, 小西 浩二
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1131-1136
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, 歯石除去の一方法として臨床に応用されるようになってきたエァースケーラーとAir-power abrasive systemとの実験的stainの除去効果および除去後の状態について比較検討を行った。その結果, 実験的stainの除去効果は定量的にみて, エアースケーラーの場合は, Air-power abrasive systemの場合よりもその除去効果は有意に低かった。
    一方, 実験的stain除去後の表面あらさは, エアースケーラーの場合は, Air -power abrasive systemの場合に比べて, 値は大きく, その差は有意であった。また, 実験的stain除去後の走査型電顕を使用した定性的観察結果より, エアースケーラーではさざ波状の傷が認められたが, Air-power abrasive systemでは傷はほとんど認められなかった。
  • 岡田 良平, 小松 拓夫, 小倉 隆一, 鈴木 祐平, 堀内 博
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1137-1143
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    2本のX線管球を内蔵したX線照射ヘッドをもつ歯科用X線撮影装置を製作した。2管球からのX線を, 両焦点の中間点より55cmの延長線上で, 10度の照射角となるように交差させた。ヒトの抜去歯, ヒトの上下顎骨乾燥標本を被写体として本システムの開発を行ない, 次いで小数例で臨床応用を試みた。
    歯周ポケット底部を写し出すため金属製探針を使用した。すなわち, 直径0.4mmおよび0.5mmのステンレス鋼線を, 頬舌側面中央部, および近遠心部の4箇所に想定したポケット底に挿入した。金属製探針を歯周ポケットのインジケーターとすることにより歯周ポケットの概形を立体的に知ることができた。しかし, 歯槽骨の形態を立体像として明確に捕らえることは難しかった。本法は, 歯根, 歯槽骨骨頂部および骨縁下ポケットなどの形態観察に応用が可能であった。
  • 第1報歯槽骨頂部の粗造化について
    三辺 正人, 植松 厚夫, 友松 栄子, 田村 利之, 早瀬 一雄, 小田原 國俊, 宮城 功, 堀 俊雄, 鹿島 勇
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1144-1152
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    X線写真上で, 初期歯周炎による骨破壊の開始時期をいつ, どの様に視覚的に認識できるのかについて基礎的検討を行った。すなわち, ヒト乾燥下顎骨を用い, 歯間部歯槽骨頂部に人工的骨欠損を段階的に作製し, X線規格格撮影を行った。そして, X線写真上の骨変化について, 正答率曲線による視覚的評価とマイクロデンシトメトリーによるコントラスト評価を行った。また, 骨頂縁部と歯槽骨皮質骨板全体の変化を視覚的に区別し得るかについても検討を行った。その結果, X線写真上で歯槽骨頂部の骨変化を視覚的に識別するためには, 0.03の濃度差 (銅等価値変動率で11%) が必要であった。また, 歯槽骨頂縁と歯槽骨皮質骨板全体に生ずる骨変化を区別することは困難であった。
  • 6. 顆粒状hydroxyapatiteの臨床応用
    原 宜興, 前田 勝正, 古川 猛士, 鎮守 信弘, 赤峰 昭文, 鄭 有仁, 橋口 勇, 山田 久仁子, 青野 正男
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1153-1160
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    辺縁性歯周炎における骨移植材として, ハイドロキシアパタイト (HAP) を臨床応用した。移植術式は, 通常の歯肉剥離掻爬術中にHAPを骨欠損部内に填塞する方法である。23名29部位にHAP応用後, 6ヵ月間の経時的な臨床診査により, 術後疹痛, 歯肉の発赤・腫脹および動揺度の増加は一過性のもので, 創面の〓開やHAPの流出も臨床的には問題とならないと思われた。6ヵ月経過時での歯肉の退縮は1.1mm, ポケットの減少は3.1mmであった。また, 経時的に撮影したX線写真上において, 術直後ではHAPと歯槽骨との鑑別は可能であったが, 6ヵ月後にはその境界は不明瞭となり, 歯槽骨の再生が起こっているものと思われた。以上の結果より, 臨床的にみてもHAPの生体親和性は良好で, 辺縁性歯周炎における骨移植材としてのHAPの使用は有効であると考えられた。
  • 長谷川 明, 河野 昭彦
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1161-1171
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    口蓋部の歯肉を採取する器具としては, 現在までに種々のものが開発されているが, 幅の広い歯肉片を採取するためには, 患者の口蓋の形態に適合する刃部の彎曲が必要である。しかし, 口蓋の形態には個人差があり, 必要とする厚さと幅の歯肉片を採取するのは必ずしも容易なことでない。それぞれの患者の口蓋の形態に応じて, 刃部の彎曲を変えることのできる器具があれば理想的である。
    今回, 把柄部を回転することによって刃部の彎曲を自由にかえることができる口蓋歯肉採取器を開発した。本器は, 各個人で異なる口蓋の形態に刃部を適合させることが可能で, 最大面積の口蓋歯肉が容易に採取でき, また口腔内における操作性もすぐれている。
  • 太田 紀雄, 高橋 重雄, 永沢 栄
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1172-1179
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    新しく開発された自動挿入圧一定式歯周ポケット測定器 (Probie J. Morita製) とコンピューターを連動して, 歯周病患者の全顎全歯面 (1歯当り6点) のプロービングデプスをコンピューターチャーティングし, 次の結果を得た。
    1) 全顎の全歯面の歯肉 (縁) レベル, プロービングデプス, アタッチメントレベル, 歯肉退縮のコンピューターチャーティングが簡単に, かつ適確に迅速に測定出来た。
    2) 全顎全歯面のプロービングデプスのチャーティングと印字記録に要する時間は, それぞれ10分19秒と20分23秒であった。
    以上のことから歯周病の診査, 診断, 予後判定, 治療の再評価において, 自動化したポケット測定器Probieを使用して, プロービングデプスをコンピューターチャーティングすることは, 全顎全歯面の歯周ポケットの進行状態を他のどんな方法よりも正確に速く把握出来る。臨床的に大変有効な診査, 評価方法である。さらに患者の動機づけとリコールシステムにも, 又, 他の臨床データーとともに詳細な分析にも応用出来る。
  • スケーリングと歯周ポケット内洗浄の相乗効果について
    漬田 直子, 荒井 真一, 小林 博, 齊藤 邦男, 鴨井 久一
    1986 年 28 巻 4 号 p. 1180-1187
    発行日: 1986/12/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    今回, 圧力式タンクが付属し, 薬液を用いて歯周ポケット内洗浄をしながらスケーリングのできる超音波スケーラー, Odontoson 4N Special® (Goof社製) を使用する機会を得た。そこで, ヨウ素を併用したスケーリングと手用スケーラーおよび, 従来の超音波スケーラーとの効果の比較を行なった。被験者は, 日本歯科大学歯周病科来院患者, 5名 (男性2名, 女性3名, 年齢32~45歳) とした。被験歯は, 前歯および小臼歯で4mm以上のProbing Depthのある歯を選び, 生理的食塩水を用いたもの78歯面, ヨウ素168歯面, 手用スケーラー54歯面とした。
    被験者は, 実験前に充分な口腔衛生指導を受け, スケーリングが行なわれた。 診査項目は, PII, PD, GBI, ALとし, 術前, 1ヵ月, 2ヵ月, 3ヵ月に診査を行なった。この結果, ヨウ素を用いた群において, PDの著しい改善が1ヵ月後に表われた。3ヵ月後の結果において, どの群もほぼ同等の改善がみられたが, ヨウ素を用いた群が, 特に良好な傾向を認めた。
feedback
Top