歯根の表面粗さがFlapoperation後の付着様式におよぼす影響を観察するために, サル4頭の上下顎臼歯頬側根頬側面88部位を用いて実験を行った。歯肉弁を剥離して一定範囲の骨を削除し, 根面上のセメント質を完全に除去した後, 滑沢にRoot planingする滑沢群と, 粗造化する粗造群とに分けた。実験計画を観察期間が1, 2, 4, 8週となるように組み, 臨床診査を行い, sacrifice後病理組織学的に観察した。その結果,
1. 臨床的計測値 (PL. I., G. I., Probing Depth, Probing Attachment Level) は, 実験期間を通じて両群間に有意な差はなかった。
2. 病理組織学的観察では, 上皮の根尖側移動は両群間に明確な差はなかった。新生セメント質は, 両群とも術後2週から観察され, 実験部位の最根尖側で最も厚かったが, 粗造群では歯冠側寄りの粗造面の凹部にも形成され, 根面を平滑化していた。なお, 骨再生は術後4週から生じたが, 両群間の差は明確ではなかった。
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