日本歯周病学会会誌
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31 巻, 3 号
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  • 田方 義弘
    1989 年 31 巻 3 号 p. 755-772
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Bactemiaes gingivalis, Bacteroises intermeaiusは歯周ポケットから高い割合で検出されるグラム陰性菌である。歯肉炎の初期の頃よりコラーゲンが破壊されている原因解明のため, これらの菌の内毒素を抽出し, ヒト正常歯肉線維芽細胞 (Gin-1) のコラーゲン代謝に及ぼす影響を検討した。その結果内毒素の濃度が20μ9/mlまでにおいてはグルコース消費量, 細胞の生存率および光顕の観察においては変化は見られなかったが, プロリンのタンパクへの取り込みに抑制が見られ, コラーゲン合成に関しては抑制の傾向が認められた。またB. gingivalisの内毒素の添加によりコラゲナーゼ活性の上昇が認められた。
  • 特にfibronectinの応用について
    滝上 徹
    1989 年 31 巻 3 号 p. 773-793
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患罹患歯への結合組織性付着を獲得することを目的とした基礎的研究の一つとして, fibronectinの根管内応用に着目し, 根管モデル内のfibronectinが根表面に付着する歯根膜由来の細胞に及ぼす影響に関し付着細胞数ならびに走査型電子顕微鏡を用いた細胞形態による検索を行った。実験は2つに分けて行い, 実験Iでは, 象牙質片の表面粗さが細胞の付着増殖に与える影響を検討し, より滑沢な面において優位な細胞の付着増殖を認めた。実験IIでは, 実験Iでの滑沢な表面を有する根管モデル内にfibronectinまたは最小必要培地 (MEM) を封入し, 試料片上での細胞の付着増殖を比較した。その結果fibronectinの根管内応用が結合組織性付着の助長に有効であることが示唆された。
  • 梶本 忠保
    1989 年 31 巻 3 号 p. 794-807
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    臨床応用が容易に行える形状となるよう独自に設計・製作した2ピース型ハイドロキシアパタイトを矯正的小移動におけるアンカー (以下HAPアンカーと略す) として応用するための基礎的資料を得るために, 臨床的, 組織学的検討を行った。矯正力に対してアンカーロスがないことを確認するために不動確認実験を, そして, 実際にHAPアンカーを用いて歯牙移動が可能であることを確認するために圧下実験を行ない, 両者についてその機能を臨床的, 組織学的に評価した。
    その結果, 不動確認実験においてはHAPアンカーの距離は不変であり, 圧下実験では歯牙の圧下が平均3.7mmであったことが確認され, 組織学的には, 両群共にHAPアンカーの骨内に埋植されている部分のほぼ全周にわたって新生骨組織により密接にとり囲まれていることが確認された。
    以上の結果から, 試作HAPアンカーは歯周治療における歯牙移動のアンカーとして有用であることが示唆された。
  • 菅谷 彰
    1989 年 31 巻 3 号 p. 808-835
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    歯周疾患により喪失した歯周組織を回復する日的でHydroxyapatite (HAP) やTricalcium phosphate (TCP) 等の顆粒状の人工骨移植材が頻繁に使用されている。しかしながら, これらの材料は骨欠損内での 顆粒の維持安定性や, 積極的な骨形成能, 歯根膜再生能に欠けると考えられる。そこで近年Biomaterialとして注目されているatelocollagenをHAP, TCPにコーティングした複合体を作製し, 本材料の歯周組織再生に及ぼす影響を検索する日的で実験を行なった。
    方法は実験的歯周炎を惹起させたイヌの3壁性骨欠損部にHAP-atelocollagen複合体, TCP-atelocollagen複合体, HAP, およびTCPの移植を行ない, さらに何も移植を行なわないControlを加え, 術後2週, 4週, 12週の治癒週程について病理組織学的検索を行なった。
    その結果, HAPおよびTCPとatelocollagen複合体移植を行なうことにより, 顆粒の維持安定性が向上し, 上皮の根尖方向への深部増殖が抑制されると共に, 新生骨および新生セメント質形成量が増加することが解った。
    以上の結果より, 人工骨移植材 (HAP, TCP) にatelocollagenをコーティングした複合体移植法は, 従来の移植材の欠点を補う有用な歯周外科処置法となりうることが示唆された。
  • 岩崎 直弥, 鴨井 久一, 盧 東培, 筒井 健機
    1989 年 31 巻 3 号 p. 836-842
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ポビドンヨードの培養哺乳類細胞に対する毒性と, その細胞増殖阻害性, 細胞致死効果, 細胞内高分子 (DNA・RNA・蛋白質) 合成阻害性から調べた。その結果, 1. ポビドンヨードの100~500μg/ml (イソジン液®の0.1~0.5%) を24時間以上作用させると, 細胞増殖の阻害がおこった。2. 500μg/mlを2時間, 6時間, 12時間, 24時間作用させると, 作用時間に依存して細胞の致死効果が増大した。3. 500μg/mlを24時間作用させると, 約50%の細胞が死滅した。4. ポビドンヨードの100~500μg/mlを2時間作用させると, 細胞内DNA・RNA・蛋白質合成がともに濃度依存的に減少した。
    これらのことは, ポビドンヨードの毒性は, 濃度と作用時間に依存してあらわれること, また, 致死効果があらわれない条件下でも細胞内DNA・RNA・蛋白質合成の抑制がおこることを示している。
  • 特にインタロイキン-1 (IL-1α, β) と腫瘍壊死因子 (TNFα) について
    鎌形 有祐, 宮坂 信之, 井上 裕子, 橋本 純子, 飯田 正人
    1989 年 31 巻 3 号 p. 843-848
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    歯周炎における組織破壊のメカニズムを解明するためにヒト歯周炎歯肉組織から産生されるサイトカインについて検討した。初診時に歯周炎罹患部歯肉を採取して培養し, サイトカインの測定に供した。対照として正常歯肉を用いた。interleukin-1 (IL-1) 活性はA375細胞株増殖抑制法および酵素抗体法により, また, tumor necrosis factorα (TNFα) 活性はLM2D6細胞株増殖抑制法によって測定した。歯周炎歯肉培養上清中に健康歯肉培養上清中に比較して有意に強いIL-1活性を認め (P<0.001), 酵素抗体法によってもIL-1α およびIL-1β が存在することが示された。歯周炎歯肉のIL-1活性を採取部位の歯周ポケットの深さおよび歯槽骨吸収率により比較したが, 有意な差は認められなかった。TNFα 活性はいずれの歯肉にも認められなかった。この結果から, 歯周炎における歯周組織の破壊にIL-1が深く関与している可能性が示唆された。
  • 須田 玲子, 茂手木 義男, 小勝 弘明, 宮下 元, 長谷川 紘司, 立川 哲彦, 吉木 周作
    1989 年 31 巻 3 号 p. 849-859
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    分子量の異なる種々のトレーサーを用い, 露出セメント質への物質の浸透の可能性と浸透機序について, 螢光顕微鏡的, および電子顕微鏡的観察による検討を試みた。歯周疾患罹患抜去歯55本, および埋伏智歯20本, 計75本を使用した。0.005% Fluorescein isothiocyanate (FITC) (M.W. 400), 0.05%FITC標識peroxidase (M.W. 40,000), 0.01%FITC標識ヒトIgG (M.W. 160,000) の各溶液に抜去歯を10日間浸漬し, 螢光顕微鏡にて観察した。また, 0.05% microperoxidase (M.W. 1.900) 溶液に5日間抜去歯を浸漬し, 透過型電子顕微鏡にて観察, 写真撮影後画像処理を行った。
    その結果, 分子量が大きくなるに従い, セメント質への浸透性が低下した。また, 露出セメント質は, 非露出セメント質に比べて浸透性が低いことが判明した。さらに, トレーサーの浸透は, セメント質の最表層部では, コラーゲン線維に沿った部分で, また, 深部へは, セメント細管や小腔であった。
  • 梅村 昌孝, 河合 蓬志, 三枝樹 明道, 片岡 宏康, 栗田 新也, 鯉江 正人, 岸 正之, 大野 友三, 長谷川 二郎, 河合 幹, ...
    1989 年 31 巻 3 号 p. 860-869
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    骨形成因子 (BMP) は生体内に異所性に骨を誘導することで知られているが, 粗精製のBMPであっても, これを大量に入手することは非常に困難である。そこで, BMPを応用するには, 担体あるいはフレーム材料となりうるものを利用することがより効果的と思われる。ハイドロキシアパタイト (HAP) は歯周疾患において歯槽骨欠損部への骨充填材として広く応用されているが, これは骨誘導能, 骨形成能を有していない。したがって, 骨形成能を持つBMPがHAPとともに組織内に移植後, 骨形成能を発揮するならば, 歯槽骨欠損部の修復に非常に有効であると考えられる。我々は, BMP-HAP複合体を作製し, マウスの大腿部筋膜上に移植し, 3, 7, 14, 21日後に屠殺し骨形成能について検索した。BMP-HAP複合体移植群では, 軟X線写真所見, 組織学的所見においてHAP周囲に骨の新生が観察され, HAP単体移植群では観察されなかった。
  • 久保田 浩三, 越智 玲子, 柘植 優三, 内藤 徹, 林川 貴志, 日高 理智, 宗 洋一郎, 山本 博武, 岡田 隆雄
    1989 年 31 巻 3 号 p. 870-881
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    誘導組織再生法の開発により歯周組織再生の可能性が示唆された。しかし, 臨床で使用されているバリヤーは, 非吸収性であるため再度の外科処置が必要となる。そこで生体親和性があり生体内吸収性物質である高分子量ポリマーを使用し新付着形成への影響を調べた。
    バリヤーは, ポリ乳酸 (Polylactic acid; PLA) と乳酸-グリコール酸共重合体 (Poly (lactic acid-co-glycolic acid) ; PLGA) でPLGAはPLGA (81: 19mole%), PLGA (50: 50mole%) の計3種を使用した。イヌを用い実験的歯周炎を作成, 露出歯根面へ装着し8週間後屠殺し, 組織学的計測を行った。その結果, PLA膜で3例中2例, PLGA (81: 19mole%) 膜で全例で, PLGA (50: 50mole%) 膜で3例中1例で実験側が有意に高値を示した。歯槽骨形成は抑制的でセメント質形成とは相関はみられなかった。膜の吸収状態は, PLGA (50: 50mole%) 膜, PLGA 81: 19mole%) 膜, PLA膜の順で進んでいた。
  • 術後1年の観察結果
    白川 正治, 新堀 浩, 中西 恵治, 小川 哲次, 藤田 實, 和田 卓郎, 岡本 莫
    1989 年 31 巻 3 号 p. 882-888
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    人工骨材料としてハイドロキシアパタイト (HAP) を歯周疾患患者21名の歯槽骨欠損25部位に移植し, その効果について検討した。HAP移植後12ヵ月にわたる観察により, 歯肉の発赤・腫脹, 出血および術後不快感はいずれも早期に回復し, 動揺度の増加も一過性のものであった。また創面の移開, HAPの流出も一部の症例にみられたが, 術後1ヵ月以降は認められなかった。術後12ヵ月でのプロービングデプスの減少量は3.7mm, アタッチメントレベルの獲得量は2.5mmであった。また, 経時的に撮影したX線規格写真の分析により, 歯槽骨の再生が確認された。
    以上の結果より, HAPは歯周治療における人工骨材料として十分臨床応用価値があると考えられる,
  • 上田 雅俊, 寺西 義浩, 釜谷 晋平, 山岡 昭, 井上 純一, 小山 祐子, 福島 久典, 佐川 寛典, 松井 茂, 尾崎 均, 楠 憲 ...
    1989 年 31 巻 3 号 p. 889-894
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人性歯周炎患者の臨床所見と位相差顕微鏡による歯周ポケット内微生物ならびに培養による歯周ポケット内の細菌の関連性を検討したところ, 明らかなる相関性は認められなかった。
  • 1. 臨床パラメーターおよびポケット内細菌叢の経時的変化
    谷 真彦, 柴田 芳子, 原 宜興, 加藤 伊八
    1989 年 31 巻 3 号 p. 895-904
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    中等度から高度の歯周疾患罹患歯に対し, プラークコントロールとスケーリング・ルートプレーニングを行い, 臨床パラメーターとポケット内細菌叢の変化を術後5ヵ月まで観察した。この研究に用いた臨床パラメーターはProbing pocket depth, ProIbing attachment level, Gingival crevicular fluid flow, Gingival index, Gingival bleeding index, Suppurative index, Mobilityであった。また, 微生物検査はペーパーポイント法でsamplingを行い, 位相差顕微鏡で形態学的に分類し, その菌数および比率を求めた。その結果, 縁上のプラークコントロールのみでは臨床パラメーターおよびポケット内細菌叢には変化はみられなかったが, スケーリング・ルートプレーニングでは術後1ヵ月までに著しく変化した。特に微生物検査では総菌数, 運動性菌数, 運動性菌の比率の減少がみられた。その後, 縁上のプラークコントロールによって5ヵ月後までその状態は維持された。
  • 2. ポケット減少に相関する術前の因子
    柴田 芳子, 谷 真彦, 原 宜興, 加藤 伊八
    1989 年 31 巻 3 号 p. 905-913
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周治療を受けたことのない成人性歯周炎患者に, プラークコントロール下でポケット内洗浄およびスケーリング・ルートプレーニングを行い, 処置後のProbing Pocket Depth (PD) の変化に関連する術前の臨床パラメーターおよびポケット内細菌叢について検索し, 治療後のPDを予測しうる因子について検討した。この結果, 臨床パラメーターのうち減少量や減少率などPDの変化に対して関連があるのは術前のPDで, PDが深いほどPDは減少しやすい傾向がみられた。また, PDの変化とポケット内細菌叢の関連を調べたところ, 菌数よりも単位深さ当たりの菌数 (菌数/PD) の方が相関が強く, ポケット1mm当たりの菌数が多いポケットはPDが減少しにくく, 特に桿菌数や運動性菌数が関与していることが示唆された。さらに各菌の比率でみると, 球菌の比率が高いポケットは減少しやすく, 運動性菌の比率が高いポケットは減少しにくい傾向がみられた。
  • 深井 浩一, 加藤 まり, 濱 巧一, 坂東 弘邦, 高岡 慈郎, 長谷川 明
    1989 年 31 巻 3 号 p. 914-924
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    カニクイザルの臨床的 (実験的) 健康歯肉の確立法とこのときのサル口腔特性を検討する目的で飼育サルにプラークコントロールを行い, 経時的な臨床データを検討した。
    その結果, 1) カニクイザル3頭に対し3回/1週のプラークコントロール49日で臨床的健康歯肉を確立した。またこのとき塩酸ケタミン約12. 5mg/kg (麻酔有効時間: 21.8分) での頻回全身麻酔が可能であり, 耐性は認めなかった。2) 6ヵ月間のhard food予備飼育による歯肉炎に対するプラークコントロールでは, PII, GI, PDは減少したが, 辺縁歯肉のレベルに変化は認めなかった。3) 実験開始時, 実験期間中を通じてPlI, GI, PDは下顎で低い値を示したが, 左右差は認めなかった。実験終了時にはGIを除き上下顎差は認めなかった。4) 健康歯肉確立時の臨床指標値はPlI 1.7±0.61, GI 1.0±0.60, PD 1.3±0.53であり, 各サルに個体差は認めなかった。
  • 歯根表面の状態を考慮してのエプーリスを伴った歯肉形態診査への応用
    護邦 忠弘, 民上 良徳, 今井 久夫, 山岡 昭
    1989 年 31 巻 3 号 p. 925-929
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    上顎左側第二大臼歯頬側歯肉部にエプーリスのみられた57歳の女性患者について, その歯肉のエプーリスを含めた歯周組織と, エプーリス切除後の歯周組織をBモード法による超音波断層像でとらえてみたところ, 通常では観察できない方向で, 歯肉外形形態の変化を視覚的にとらえることができた。さらに, 歯肉のエプーリスによって覆われているため, 通常の診査では確認が困難な歯根面の形態変化 (う蝕) の存在およびそのひろがりをも視覚的に観察することができた。
  • 横田 誠, 久保 浩二, 末田 武
    1989 年 31 巻 3 号 p. 930-940
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    この研究は初期治療後に歯種や部位によって歯周ポケットの減少度に差があるかどうかを研究することである。被験者は中等度ないし重症の成人性歯周炎に罹患していた41名, 平均年齢40.8歳である。被験者はいずれも初期治療中を通じてオーレアリーのプラークレコードが10%以下を維持 (平均9.02±4.93%) していた患者である。5,938歯面のポケットが用いられ, ポケットの深さを測定し記録した。得られた結果は, (1) 初期治療後, 有意なポケットの減少が生じた (p<0.001) 。 (2) 初期治療によって浅い残存ポケットを示したのは4 2 1 1 2 4, 5 5, 5 3 3 5, 3 2 2 3である。また, 深い残存ポケットは1 1, 6 6, 7 7, 6 6, 7 7, 2 2, 3 3に観察された。 (3) 歯種による治療に対する反応性は5 4 4 5, 4 3 1 1 3 4で良好であり, 7 1 1 7, 7 7では不良であった。 (4) 部位による残存ポケットをみると舌口蓋側中央面が有意に浅く, 頬側中央が特に著明であった。深いポケットを示したのは隣接面である。 (5) 部位における治療に対する反応性をみると特にポケット減少性が悪いのは6 6近心口蓋面と口蓋側中央面, 7 7, 7 7の遠心舌口蓋面, それに1 1の近心口蓋面である。ポケット減少性が良いのは4 4の口蓋側中央面, 5 5, の頬側近遠心面, 4 4の近心舌側面である。
    以上の結果は歯周治療中に我々が注意しなければならない歯種や部位を明確にした。
  • 吉沼 直人, 野沢 健, 奥津 誠一郎, 新井 伸治, 佐藤 秀一, 藤川 謙次, 伊藤 公一, 村井 正大
    1989 年 31 巻 3 号 p. 941-947
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患の予防および治療に対する補助的方法として, チューインガムに薬剤を添加し患者に使用させることを試みた。歯肉炎罹患患者にStnptococcus mutans生育阻害剤として注目を浴びているDihydroguaiaretic acidを含有するメースエキス含有ガム, 卵白リゾチーム含有ガムおよび薬剤無添加のガム (コントロールガム) を3週間使用させ, 臨床所見の変化, 副作用の有無について調べた。その結果, コントロールガム使用者には使用期間中, 臨床所見の変化は認められなかったが, メースエキス含有ガム使用者および卵白リゾチーム含有ガム使用者の歯肉の炎症状態, 出血に改善が見られた。また, メースエキス含有ガム使用者においてはプラークの減少がみられた。
  • 萩原 めぐみ, 長田 保, 三宅 幹雄, 余吾 益弘, 菅沼 信夫, 高橋 昭記
    1989 年 31 巻 3 号 p. 948-959
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, ポリリン酸ナトリウム1%配合歯磨剤の歯石形成予防 (ターター・コントロール) 効果をピロリン酸ナトリウム5%配合の米国市販品A歯磨剤およびPlacebo歯磨剤を対照として, 二重盲検法にて臨床的に比較検討することである。某社従業員329名より歯石付着のみられる184名を選出し, 次に層別のため一旦スケーリングを実施したのち, 有効成分を含まない一般歯磨剤を4週間使用させ, 各人の歯石形成能を測定した。ここで得られた148名から均質な3群を形成し, 再びスケーリングを実施したのち, それぞれに, ポリリン酸ナトリウム配合歯磨剤 (50名), A歯磨剤 (48名) およびPlacebo歯磨剤 (50名) を与えた。診査は, 4週および12週目に下顎前歯舌側部に形成された歯石をVMIndexにて評価した。その結果, 最終の12週目で, ポリリン酸ナトリウム配合歯磨剤は, A歯磨剤およびPlacebo歯磨剤に比べ危険率1%で, また, A歯磨剤はPlacebo歯磨剤に比べ危険率1%で有意に歯石形成を抑制していることが判明した。Placebo歯磨剤に対する歯石形成の抑制率は, 歯石の形成しやすいグループにおいて, ピロリン酸ナトリウム配合のA歯磨剤は9.0%であったのに対して, ポリリン酸ナトリウム配合歯磨剤は30.1%であった。
  • 横須賀 直美, 田中 敏之, 胡谷 佳津志, 岩井 達明
    1989 年 31 巻 3 号 p. 960-969
    発行日: 1989/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    ラシ (通常歯ブラシ) を対照とした細菌学的汚染について検討した。
    対象10名を用い, 1, 8, 20日間, 両歯ブラシを交互に計6期間使用させ, 保管条件を一定 (20℃, 65%) とした。試験終了後, 再び保管環境下で乾燥を行い, 0~24時間で毛束を抜毛し, 上下に切断後'付着菌を計測した。
    その結果, 1) 抗菌コート歯ブラシと通常歯ブラシ毛東上部では, 乾燥時間の経過とともに付着菌が減少した。2) 通常歯ブラシの毛束下部では使用期間が長くなるにつれて, 乾燥時間ごとの付着菌数が明らかに増大した。3) 付着菌種は, 短期使用においてグラム陽性菌が多く、長期では陰性桿菌が検出された。4) 抗菌活性は, 毛束下部では20日間使用後も残存し, 抗菌コート歯ブラシの細菌汚染への有効性が認められた。
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