日本歯周病学会会誌
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32 巻, 1 号
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  • 児玉 利朗
    1990 年 32 巻 1 号 p. 1-25
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周外科手術後の歯周組織再生の促進を目的として, atelocollagen膜を歯周組織再生誘導法 (GTR法) に応用するための基礎的検討を行った。方法は, ラット上顎第一臼歯口蓋側歯肉を切開剥離後, セメント質の除去を行ない, atelocollagen膜を移植した実験群と何も移植しない対照群について, 移植後1日, 3日, 5日, 7日, 14日, 21日, 1ヵ月, 2ヵ月, 3ヵ月, 4ヵ月の治癒過程を病理組織学的に検討した。その結果, (1) Atelocollagen膜移植による炎症反応の増強や延長は認められず, 膜の吸収には好中球とマクロファージの関与が示唆された。 (2) 実験群においては, 接合上皮の根尖方向への移動は顕著に抑制された。 (3) 実 験群においては, 術後2ヵ月以降新生セメント質形成量の有意な増加が認められた。以上の結果, atelocollagen膜を用いた歯周組織再生誘導法は, 歯周外科手術後の歯周組織再生を助長する有効な処置法となり得ることが示唆された。
  • 小勝 弘明
    1990 年 32 巻 1 号 p. 26-44
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本実験では, ラット臼歯部に小窩を形成し, 実験的歯周炎を誘発し, 歯槽骨吸収過程を経時的に観察するとともに , 吸収面に出現する細胞および吸収面基質の超微細構造上の特徴を透過・走査電子顕微鏡を用いて観察した。その結果, 小窩形成部位直下の槽間中隔部の歯槽骨吸収は急激に進行し, 次いで炎症性変化の進展とともに辺縁歯槽骨へ波及した。骨吸収面上には, 破骨細胞とマクロファージ系細胞が吸収に関与している所見が観察された。またコラーゲン吸収細胞は破骨細胞の近接部にしばしば観察された。また吸収窩内には, 基質合成系の発達した細胞は観察されなかった。一方, 吸収面基質は, 多数の吸収窩以外に微細構造上の差異が認められる基質が観察された。以上の結果から, 骨吸収時では破骨細胞以外の細胞の関与が示唆され骨吸収後の骨新生も遅延すると考えられる。また吸収程度に応じて基質構造に差異が生じることも明らかになった。
  • 柳原 一晃
    1990 年 32 巻 1 号 p. 45-70
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    受容床における骨膜の有無による遊離歯肉自家移植後の修復過程の相違を明確にする目的で, 健康な歯周組織を有する雑種成犬54頭を用い以下のような実験を行った。すなわち, 上顎右側犬歯付着歯肉の一定の位置に裸出骨床を作製し, 左側付着歯肉部より移植片を採取し, 裸出骨床へ移植を行い, 微細血管構築の変化を, 血管鋳型標本を用いて, 術後3, 5, 7, 14, 21, 28, 42, 56, 84日の各期間に詳細に観察した。その結果, 裸出骨床への遊離歯肉自家移植の治癒過程において, 移植片辺縁部では受容床創縁からの血行再開により, 移植片が生着し, 中央部では壊死組織が肉芽組織に置換され, 肉芽組織が療痕化した治癒様式を示していた。このことは受容床骨膜血管網からの血行再開により移植片全体が生着し, 機能的役割をはたす骨膜上への遊離歯肉自家移植の治癒様式とは異なることが明らかとなった。
  • 中島 啓介
    1990 年 32 巻 1 号 p. 71-92
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Actinobacillus actinomycetemcomitansに対するモノクローナル抗体を用いて, その菌体抗原の生化学的性状および免疫学的特異性について検討した。グループ1のハイブリドーマが産生する抗体はb型特異抗原と反応し, グループ2のハイブリドーマが産生する抗体はリポ多糖 (LPS) と反応した。これら2つのグループのハイブリドーマが産生する抗体により, Y4株全菌体のフェノール・水抽出物にはLPSとb型特異抗原が含まれていることが明らかとなった。グループ3のハイブリドーマが産生する抗体はそれぞれ異なるタンパク抗原と反応した。このうち64 kDaのタンパク抗原と反応するモノクローナル抗体は, Y4株菌体のヒト口腔粘膜上皮細胞への付着を抑制した。
  • 三崎 広樹, 鈴木 誠, 吉江 弘正, 原 耕二
    1990 年 32 巻 1 号 p. 93-110
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患でのO2-の関与とSuperoxide dismutase以下SODと略す) 効果について検索する目的で, ラットにおける, 歯周病原性細菌の腹腔への注入による腹腔の炎症, 同菌の足趾への注入による炎症, および歯肉に加えた切創に対し, SODを投与し, その炎症性滲出及び創傷治癒に及ぼす効果について検討を行った。その結果B. gingivalis腹腔内注入48時間後, SODの静注及び腹腔内注射投与により炎症性細胞の滲出及び滲出液中の酸性フニォスファターゼ活性のいずれに対しても抑制の傾向がみられた. またB. gingivalis足趾注入48時間後, SOD静注によりフィブリンの析出と線維芽細胞の増殖がより明らかとなり, 早期の治癒傾向がみられた。そして歯肉切創形成24時間後, SOD静注により炎症性細胞浸潤が減少し, フィブリンの析出, 線維芽細胞の増殖, 歯肉上皮の再生がより良好であった。以上の結果から, SODの投与により歯周病変における炎症の軽減と治癒の促進することが示唆された。
  • 田中 みどり
    1990 年 32 巻 1 号 p. 111-120
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯肉縁下グラム陰性菌の遊離する内毒素-Lipopolysaccharide (LPS) -は歯周疾患の重要な病原因子と考えられている。そこで歯周病原菌の一つと考えられているBacteroides gingivalis 381のLPSを抽出精製, 抗体を作製しELISA法による培養上清中LPSの特異的定量を試みた。又, ポケット内でLPSの産生, 分解に影響を与える可能性があると考えられるグラム陽性菌についても検討してみた。その結果, ELISA法により4μg/mlまでBgLPSの測定が可能であった。また, 歯周疾患患者の歯肉溝浸出液中のLPSの測定をおこなったが, 検出できなかった。そして, 今回の実験では, グラム陽性菌のLPSの産生, 分解への影響は認められなかった。
  • 五十嵐 文雄, 山崎 和久, 原 耕二, 野原 廣美
    1990 年 32 巻 1 号 p. 121-128
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では炎症の有る部位と無い部位の歯肉溝から採取した多形核白血球 (歯肉溝滲出多形核白血球) 及び末梢血の多形核白血球のprotaglandin E2 (PGE2) の産生能を未刺激の場合と刺激物を加えた場合で比較検討した。未刺激の場合ではGIが2.2以上の部位から採取した歯肉溝滲出多形核白血球ではGIが2.1以下の部位から採取したものに比べて有意にPGE2産生能が低下していたが, 歯肉の炎症の程度と歯肉溝滲出多形核白血球のPGE2産生能とは相関関係は認められなかった。Calcium ionophore A 23187 (A 23187) で刺激した場合では歯肉溝滲出多形核白血球でも末梢血多形核白血球でもPGE2産生量は増加したが, その割合は末梢血多形核白血球の方が大きかった。一方, N-formyl-L-methionil -L-leucyl-phenylalanin (fMLP) で刺激した際には歯肉溝滲出多形核白血球のPGE2産生量は逆に未刺激の場合よりも低下する傾向が認められた。
  • 鈴木 基之
    1990 年 32 巻 1 号 p. 129-139
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ルートプレーニング時に発生する擦過音がルートプレーニング終了の客観的指標となるかを検討するため, ルートプレーニング開始時の歯根面 (以下, 開始時) と, 擦過音にてルートプレーニング終了と判定した歯根面 (以下終了時) との形態学的, 生物学的性状の比較を行なった。
    その結果 (1) 開始時, 終了時における擦過音の変化はソナグラム上で確認された。 (2) 終了時歯根面は, 電子顕微鏡的観察においても, 表面粗さ計による観察においても, 開始時に比べ, 平滑であった。 (3) セメント質はほぼ全例において削除されていた。 (4) 細胞付着増殖は開始時より終了時に明らかに増加していた。以上の結果より, 擦過音をルートプレーニング終了の臨床的指標とすることは有効と思われる。
  • 松尾 朗, 矢嶋 俊彦
    1990 年 32 巻 1 号 p. 140-149
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    セメント質の線維性基質と層板構造の関係を明らかにするため, ヒト臼歯の凍結割断面と研磨面を酸のみ, またはアルカリと酸で処理し走査型電子顕微鏡で観察した。割断面と研磨面では, シャーピー (非固有) 線維層と基質 (固有) 線維層を区別できたが, 明瞭な層構造は認められなかった。層板構造は, 研磨面を5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で60分間処理し, さらに0.5~1.0M塩酸で30~60秒間処理すると初めて観察された。さらに, 両線維層に加え, シャーピー線維と基質線維を含む混合線維層が認められ, 基質線維の層状構造も明かとなった。また, 次亜塩素酸の処理時間を120分間にすると, 層構造がより明瞭となった。
    これらの結果より, この処理がセメントー象牙境と平行している成長線であり, 線維性基質の不連続である生理的な低石灰帯に作用していることが示唆された。
  • 臨床的ならびに組織学的評価
    小川 哲次, 廣畠 英雄, 河口 浩之, 寿賀野 泰司, 河内 美穂, 佐藤 裕紀, 白川 正治, 岡本 莫
    1990 年 32 巻 1 号 p. 150-163
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病罹患歯周囲組織の再生過程を臨床的ならびに組織学的に検討した。歯周病罹患歯は外科的に歯槽骨を削除して裸出させた根面をガッタパーチャプレートと歯肉上皮組織で被い, 4週間口腔環境に露出させて形成した。次いで罹患歯群ならびに非罹患歯群に歯肉剥離掻爬術を行った。各当核歯の1歯根にルートプレーニング (RP) を施し, 他はRP未処置とした。術後1週から32週まで経時的に臨床的評価を行い, 組織標本を作製し次の結果を得た。
    1. 臨床的評価では罹患歯RP群が非罹患歯群と同程度の歯肉炎症指数, プロービングデプス, アタッチメントレベルの改善を示したのに対して, 罹患歯RP未処置群の改善は少なかった。
    2. 組織所見ならびに計測結果では, 罹患歯RP群では再生付着上皮の長さ, 結合組織性付着の位置がほぼ健康歯におけると同程度に回復していたが, 罹患歯RP未処置群では著明な改善がみられなかった。
  • 3. in vitroにおける骨系細胞の初期石灰化に与える影響
    吉本 由紀子, 原 興宜, 安部 達也, 宮武 祥子, 赤峰 昭文, 前田 勝正, 青野 正男
    1990 年 32 巻 1 号 p. 164-174
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    結晶化ガラスが初期石灰化に与える影響を, in vitroで検討した。まず結晶化ガラス顆粒を静置し, α-MEMの基礎培地とアスコルビン酸添加培地中で, 骨系細胞 (NY, MC3T3-E1) を8目または14日間培養した。その後, フオン・コッサ染色とアルカリフオスファターゼ (ALP) 染色を行つた。その結果, 基礎培地8日目実験群のNYのALPは陰性で, 一部にフォン・コッサ反応が認められた。MC3T3-E1では, ALPの局在とフォン・コッサ反応が一部に見られ, 14日目には放射状のALP反応とフォン・コッサ反応が観察された。なお, 両細胞とも対照群のフオン・コッサ反応は認められなかった。次にアスコルビン酸添加培地では, NYの培養期間が14日に延長され, 実験群のみフォン・コッサ反応を認めた。MC3T3-E1では対照群より強いフォン・コッサ及びALP反応が観察された。以上より, 両培地中とも結晶化ガラスがMC3T3-E1の石灰化を亢進させる可能性があると考えられた。
  • 市村 光, 佐藤 巌雄, 曲 建香, 下島 孝裕, 藤橋 弘, 池田 克己
    1990 年 32 巻 1 号 p. 175-188
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患で起こる歯槽骨吸収に関与する骨由来因子を検討したいために, まずラットを高蔗糖含有飼料Diet2000) により飼育し歯周炎を発症させ, その病理組織学的変化に伴うラット腹腔マクロファージ (Mφ) 活性 の (動態について検討した。すなわち各実験期間飼育した後, ラットの歯槽骨を摘出し, これを培養, さらにその培養上清 (supernatant from alveo1ar bone cultures; Bone-sup) でMφ の貪食活性への影響を調べた。一方Diet2000飼育ラットの腹腔Mφ の貪食活性およびそのlysosome内酵素活性について, これを歯周炎の進行度との関連で検討した。
    その結果, Diet2000で6ヵ月間飼育したラットの歯間部歯周組織には炎症性変化とともに軽度な歯槽骨吸収が認められた。このときのBone-sup刺激によるMφ 貪食活性は, 歯周組織に変化が現れる前から低下傾向を示し, またDiet2000飼育ラットの腹腔Mφ の貪食活性は, 歯周組織の炎症性変化の進行に伴って低下し, lysosome内酵素活性, 特にAcid Phosphataseは歯周組織の炎症の進行とともに上昇し, またβ-N-Acetyl-D-Glucosaminidaseは歯周組織に変化が起こる前から低下の傾向が認められた。
    以上より, 高蔗糖飼料による歯周疾患の発症と進行にはMφ の感染防御機能の低下が関与し, さらに歯周疾患をもつ歯槽骨およびその構成細胞によってMφ 活性が影響を受けることが示唆された。
  • 村橋 慶宣, 澁谷 俊昭, 西野 恒理, 堀 敏子, 白木 雅文, 岩山 幸雄
    1990 年 32 巻 1 号 p. 189-198
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラット脱灰歯周組織中のコンドロイチン硫酸異性 体 (コンドロイチン4硫酸, 6硫酸, デルマタン硫酸) の局在性を明らかにするためモノクローナル抗 体 (2-B-6, 3-B-3) を用い免疫組織化学的に検索した。また今回の実験方法に適した脱灰法, 固定法についても検討をした。その結果, 固定法, 脱灰法については1%パラホルムァルデヒド2%グルタールァルデヒドで固定し, 5%EDTAで脱灰する組み合わせが至適であることが判明した。組織中の局在性は, 歯肉及び歯根膜にコンドロイチン4硫酸とデルマタン硫酸が組織中に広く認められ, コンドロイチン6硫酸は血管周囲に限局していた。特にデルマタン硫酸は組織中のコラーゲン線維に沿って強い染色性を示した。歯槽骨においてはコンドロイチン4硫酸とデルマタン硫酸がハーバース管, フオルクマン管, 骨小腔の内部に認められた。コンドロイチン6硫酸は骨中の血管の存在する周囲に認められた。セメント質ではコンドロイチン4硫酸及びデルマタン硫酸が, 有細胞セメント質のヤメント小窩やシャーピー線維の埋入している部位に認められた。
  • 井上 純一, 福島 久典, 尾上 孝利, 江龍 多美子, 上田 雅俊, 山岡 昭, 佐川 寛典
    1990 年 32 巻 1 号 p. 199-205
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    6名の重度歯周疾患患者の歯周ポケットから分離した527株の細菌を用いて, lecithinase, collagenase, plasmin, lipase, coagulase, β-lactamase, hyaluronidase, chondroitinsulfataseおよびDNase活性について検索した結果, 以下の成績を得た。
    1. Lecithinase産生株は2株検出され, 2株とも, Baoteroides intermediusであった。本菌が分離されたポケット内での分布比率は2%であった。
    2. Collagenase産生株は, 28株であり, いずれも, Bacteroides gingivalisと同定された。本菌は4名の患者から分離され, その分布比率は1.2~14.9%であった。また, plasmin産生株は26株であり, 4名の患者から分離された。そのうち, 20株はB. gingivalisで, 分布比率は1.2~13.9%であった。
    3. Lipase産生株は22株検出され, 19株がB. intermediusであった。
    4. 他の酵素を産生する菌株は検出されなかった。
    以上の結果から, 直接的な病原因子と考えられるlecithinase, collagenase, plasmin, lipaseなどの酵素産生株の主体はBacteroidesであると考えられる。
  • 井川 資英, 八巻 恵子, 鈴木 敬子, 大沼 美和子, 堀内 博
    1990 年 32 巻 1 号 p. 206-213
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    20代の男女2名の臨床的に健康な上顎前歯付着歯肉を対象として, 反射光光電脈波および透過光光電脈波を心電図と併せて導出した。照射および採光の2系統の光ファイバー束を即重レジン製のアダプターで歯に固定し, タングステンランプを光源として歯肉に照射し, 反射光および透過光をCdSe光素子に導光して光電脈波を検出した。得られた光電脈波はいずれも心拍と同期した重拍波であったが, 透過光光電脈波の方がdicroticnotchは鮮明であった。しかし採光用ファイバーを歯肉に近接させたり, 歯肉表面を光不透過性白色被膜で覆うと, 反射光光電脈波のdicrotic notchも鮮明となった。反射光光電脈波は主として歯肉表面の拍動に由来しており, アダプター固定歯の脈動成分の影響も混入していた。また反射光光電脈波は, 歯肉表面で反射する光と, ある程度歯肉内に侵入したのち反射する光の両成分より成ることがわかった。
  • 測定系の精度について
    高良 憲明, 藤原 副満, 横田 誠, 末田 武, 野井倉 武憲
    1990 年 32 巻 1 号 p. 214-223
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患の治療を行う隙には, 歯槽骨の変化を知ることは, きわめて大切である。その変化を知るには, X線フィルムによって診査する方法が, 一般的に行われている。しかし, この方法は, フィルム上での観察のために, 種々の制約がある。そこで, 我々は, フィルムを介さないで直接, 歯槽骨の変化を調べるために, 線源として133Baを用いて, 組織によるγ線の減弱をマルチチャンネルアナライザーを用いて測定する研究を行ってきている。
    本研究は, 骨の微少変化をとらえるためのγ線による測定の精度を調べる目的で, 幼若豚下顎骨の切片標本を作製し, 骨の厚さとγ線の減弱とを調べた。また同時に, それらをX線撮影し, その黒化度を求め, γ線の減弱度と比較検討した。さらに, 軟組織の及ぼす影響をも調べた。その結果, 微細は歯槽骨の変化を追究する際には, γ線による分析が, より適しており, さらに軟組織の相対的な影響もさほど受けないことがわかった。
  • SK-013の特性と酵素特異性の検討
    石原 和幸, 内藤 祐子, 加藤 哲男, 高添 一郎, 奥田 克爾, 江口 徹, 中島 光一, 松田 尚樹, 山崎 恭子, 長谷川 健二, ...
    1990 年 32 巻 1 号 p. 224-232
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 歯周病診断に役立つ歯周病原菌由来の酵素活性を測定する試薬開発を目的として計画した。歯周病原菌由来のペプチダーゼ活性を測定するため, 私たちは, SK-013と名付けた感度の高い試薬を開発した。本試薬SK-013) は, Bactmides gingivalis, Bacteroides forsythus, Treponema denticola, いくつかのCapnocytophaga菌 種 (に特異的に反応した。この試薬は, 歯齪縁下プラーク中のそれらの菌種の存在を日常的なスクリーニングとして短時間で検出するのに有効なものであろう。
  • 細菌叢におけるB. gingivalis , B. forsythus, T. 4enticolaとの関連性
    清田 築, 斉藤 淳, 山田 了, 角田 正健, 佐藤 徹一郎, 石原 和幸, 内藤 祐子, 高添 一郎, 奥田 克爾
    1990 年 32 巻 1 号 p. 233-240
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯齦縁下プラーク中のペプチダーゼ活性を迅速に測定できるSK-013が開発された。T. denticola, B. gingivalis, B. forsythusはtrypsin-like enzyme活性を有することが知られている。本研究では, SK-013活性が歯齦縁下プラーク中のT. denticola, B. ginginlisおよびB. forsythnsのマーカーとなるかを検討した。プラーク試料は健康な10部位と歯周炎に罹患した30部位より3本のペーパーポイントで採取した。プラーク試料中のSK-013活性を測定し, 3菌種の菌数は螢光抗体法を用いて検索した。SK-013活性と3菌種の菌叢にしめる割合および菌数は健康な部位より罹患部位で有意に高い値を示した。SK-013活性と3菌種の菌叢にしめる割合および菌数はGI, PlI, PDの診査項目と有意な相関性を示した。3菌種の存在とSK-013活性の問には有意な相関がみられ, 特にT. denticolaとの相関が強かった。これらから, SK-013活性は歯齦縁下プラークの3菌種の有効なマーカーであり, 歯周炎の診断に有用であることが示唆された。
  • 酵素活性と臨床所見, ポケット内細菌との関係
    大竹 徹, 桜井 千里, 栗原 千佳子, 南崎 信樹, 小林 誠, 宮下 元, 長谷川 紘司, 小林 哲夫, 佐藤 悦子, 杉田 典子, 奥 ...
    1990 年 32 巻 1 号 p. 241-248
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病原性が疑われているBacteroides属, Treponema denticola等のペプチダーゼ活性を特異的かつ迅速に (15分間) 測定可能な酵素活性測定キットSK-013を用いてこの酵素活性と臨床所見, ポケット内細菌との関係を検索した。PD, GIなどの臨床診査指数および総菌数, Spirochete (S) 数, Motilerod (M) 数, M&S比と酵素活性は統計学的に有意に相関したがその相関係数はポケット内細菌との方が高い値を示した。また臨床担当医の総合的診断, Spirocheteの有無を基準としたSK-013のカットオフ値は0.2TryU/mlであり, その際の診断率はSensitivity: 92%, Efficacy: 96%と, 高い値を示した。これらのことからSK-013は, ポケット内細菌の多寡, Spirocheteの有無歯周炎の有無の診断を簡便にかつ迅速に行なえ, チェアーサイドでの有用性が高いことが示された。
  • 歯周初期治療の効果判定への応用
    小林 哲夫, 佐藤 悦子, 杉田 典子, 奥田 一博, 柳村 光寛, 吉江 弘正, 原 耕二, 桜井 千里, 栗原 千佳子, 南崎 信樹, ...
    1990 年 32 巻 1 号 p. 249-260
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は歯周初期治療の効果判定をより正確にかつ迅速に判定する方法としてSK-013kitによる酵素活性検査法が有用であるかどうかを評価することである。歯周炎罹患歯36歯に初期治療としてプラークコントロール (初診時), およびスケーリング, ルートプレーニング (4週目) を行い, その効果を臨床診査, 位相差顕微鏡による細菌検査, 並びにSK-013kitによる酵素活性検査を用いて評価した (6, 8, 12週目) 。プラークコントロー-ルでもスケーリングとルートプレーニングでも, いずれも細菌検査値, SK-013kit値は有意に減少したものの臨床所見で共通して有意に減少したのはProbingDepthのみであった。また, SK-013kit値と常時有意な相関が認められたのも細菌検査値のみであった。以上より初期治療効果を判定する際にSK-013kitによる酵素活性測定法は臨床的に非常に有用性の高い診断法であることが示された。
  • 増永 浩, 松江 美代子, 松江 一郎, 平澤 正知, 竹内 武男, 池田 正
    1990 年 32 巻 1 号 p. 261-274
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 高度に進行した歯周疾患患者 (RPP) 10名の歯周ポケット内細菌叢iの構成比について検索した, また, 歯周ポケットが6mm以上を示した罹患部位に対して, 歯周ポケット〓爬術を行い, 同部位の細菌学的変動および臨床症状の変化を比較しながら部位特異性およびその局所におけるactivityについて検討した。その際, 細菌叢の変動が高度に進行した歯周疾患のactivitytestとして有効であるかについても検索を行い, 以下の知見を得た。
    術前, 総菌数の検出率が高く, その構成比においてH. actinomycetemomitans, E. corrodensがわずかながら認められ, かつB. intermedius, が高値に検出されたグループにおいては, 歯周ポケット〓爬術を行った後, 3週間目に歯周ポケットが改善されていないことが認められた。このグループでは, B. gingivalisの検出率が比較的低値を示していた。
    すなわち, 治瞭を行う前に歯周ポケット内の細菌叢の動態を検索し, 評価することは, activity testとして有効であることが示唆されるものの, RPP患者では部位ごとに大きく変動する傾向が認められていることから, 一時的な増減からだけでは病型の決定, あるいはactivityを確定することまでは困難であった。
  • 松江 美代子, 増永 浩, 小方 頼昌, 宮本 正郎, 遠藤 弘康, 田原 洋, 山口 進也, 松江 一郎
    1990 年 32 巻 1 号 p. 275-288
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    若年者における7名の病型を検索した結果, その病変のひろがり, 左右対称性などの臨床的診査から限局性と広汎性に分類した。
    細菌学的には, いわゆるLJP, GJPの病型特異的な細菌を検出して, 分類することはできず, また好中球の機能検査の結果からは, 遊走能がやや低いものも認められるが, 全体としては異常は認められず, APと比較して, 特に若年期に病変が発症し, かつ急速に進行するという病態像を解析することはむずかしいと考えられた。
    現時点では総合的な評価は難しいものの, 特に若年者で代謝異常という内因のあるような症例を例外とすれば, プラークコントロールの障害となる因子を含めて, 歯の周囲組織の形態学的特徴, 特に歯と歯槽骨との関係が病変を広汎性に拡大する場合に, 重要な要素の一つであることが示唆された。
  • 武田 康篤, 堀井 昇, 光崎 潤子, 田中 裕子, 安藤 芳明, 鈴木 基之, 宮下 元
    1990 年 32 巻 1 号 p. 289-298
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 口腔清掃指導後の口腔清掃状態の違いを観察することを目的として, 口腔清掃指導回数毎のO'Learyらのプラークコントロールレコード20%達成者率を調べ, その達成に要した口腔清掃指導回数で早期達成者群, 晩期達成者群, 非達成者群の3群に分けた。そして, 各群における口腔清掃指導回数毎のプラーク残存率の歯面別の推移をみた結果, 早期達成者群は他群より口腔清掃指導1回目から下顎舌側面のプラーク残存率が有意に低い値を示していた。また, 治療前の背景因子として, 各群における初診時のプロービングデプス, 年齢, 性別それぞれについて比較した結果, 初診時のプロービングデプスの平均が早期達成者と比較して非達成者で有意に深かった。また, 性別では男性に早期達成者群と非達成者群が多くみられた。
  • 第1報昭和57~61年におけるPCRと各ブラッシング法について
    北原 郷子, 金山 奎二, 伊藤 茂樹, 呉 中興, 中山 雅弘, 坂本 浩, 今枝 忠厚, 鈴木 和夫, 溝尻 貴章, 竹内 義徳, 小沢 ...
    1990 年 32 巻 1 号 p. 299-308
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は歯周病患者の初期治療中において, どのようなブラッシング法がプラークを除去するのに有効であったかを知るためにオレリーのプラークコントロールレコード (PCR) をもとに検討した。その結果, (1) 来院患者は40歳代が多く, 初診時平均PCRは63.0%であった。 (2臨) 床分類による疾患進行度は軽度歯周炎が多かった。3) 指導したブラッシング法はローリング法, スティルマン改良法が多く, PCR20%達成者は全体の73 . 5%であっ (た。 (4) P CR20%達成者のうちスティルマン改良法を用いていた患者の約半数は中等度歯周炎, ローリング法を用いていた患者の約半数は軽度歯周炎であった。以上の結果よりブラッシング法と疾患の程度とは密接な関係があり, プラーク除去を左右するものであることが示唆された
  • ポビドンヨード水溶液併用について (第1報)
    上田 雅俊, 寺西 義浩, 山本 真, 大野 修一郎, 小林 律子, 緒方 智寿子, 牛嶋 真嗣, 中垣 直毅, 川崎 博, 川島 恵美子, ...
    1990 年 32 巻 1 号 p. 309-319
    発行日: 1990/03/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    0.02%ポビドンヨード水溶液を併用した超音波スケーリングの有効性について, in vivoで歯周組織を臨床的に観察した結果, 各実験群ともに'instrumentation後3日目に顕著な改善を示し, その後は経週的に改善'横ばいあるいは後戻りの傾向を認め, また, PI値以外の臨床観察4項目ともに, ポビドンヨード併用超音波スケーリング群が超音波スケーリング単独群およびルートプレーニング群に比較して各観察時期ともに改善傾向が強かった。
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