日本歯周病学会会誌
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32 巻, 3 号
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  • 藤原 副満
    1990 年 32 巻 3 号 p. 729-742
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    Bacteroides gingivalis, Bacteroides intermediusは, 歯周ポケットから高い割合で検出されるグラム陰性菌で, その菌体構成成分である内毒素は, 複雑な生物学的活性を有している. これらの菌種の内毒素の生物学的活性の相違を見るためヒト末梢血単球及びヒト正常歯肉線維芽細胞 (Gin-1) へのインターロイキン1α (IL-1α) およびインターロイキン1β (IL-1β) 産生誘導能を一指標として検討した。その結果, ヒト末梢血単球産生IL-1は, α に比べてβ の方が産生量が多かった。また, α に対するβ の割合は刺激開始12時間後が最も高く, 時間経過とともに減少していく傾向が認められた. さらに, 内毒素の種類, 濃度および経時的変化においてα, β ともに異なったIL―1産生誘導傾向が認められた。一方, ヒト正常歯肉線維芽細胞は96時間後においてもα, β ともに各種内毒素でその活性を認めることができなかった
  • 山中 武志
    1990 年 32 巻 3 号 p. 743-755
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    中等度から重度の成人性歯周炎患者30例の末梢血リンパ球subsetをtwo-color flow cytometryを用いて分析した。また, 一部症例を選んでその解析を初診時と初期治療終了時の2回にわたって行うと同時に, 歯肉病巣リンパ球subsetの免疫組織学的検索も行った。初診時において, 患者末梢血におけるCD8+ subsetは健常人群に比較して低下を示し, two-color analysisの結果, CD8+ CDllb+ suppressor Tcell subsetの低下に起因することが明らかとなった。CD4+ subset全体では患者健常人間で大きな差異は認められなかったが, two-color analysisの結果, CD4+ Leu8+ suppressor inducer T cellの上昇と, CD4+ Leu8- helper T ce11の低下を患者群で認めた。suppressor T cell subsetの低下傾向は, 約3ヵ月後の初期治療終了時においても変ることはなかった。組織内浸潤単核細胞中に占めるBcell, macrophage, HLA-DR+細胞の比較は初期治療終了時には減少する傾向にあった。
  • 保母 清彦, 下島 孝裕
    1990 年 32 巻 3 号 p. 756-768
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    要旨: ヒト多形核白血球 (PMNs) のスーパーオキシド (O2-) 産生に対するBaoreroides gingivalisの作用を, この細菌の菌体抽出物を用いて検討した。その結果, B. gingivalisの可溶性超音波抽出物 (以下SEと略す) は, ヒトPMNsのO2-産生を誘起させ, その活性はSEの凍結乾燥重量50μg/ml濃度から有意に認められた。一方, B. gingivalisより抽出精製したリボ多糖体 (LPs) および対照としたE. coli0111: B4のLPSは, いずれも10μg/ml濃度でO2-産生を誘起する活性は認められなかった。他方SEは, N-ホルミル-メチオニル-ロイシル-フェニルアラニンあるいはホルボールミリステートアセテート刺激によって誘導されるPMNsのO2-産生をいずれも増強させた。このSEによるO2-産生の誘起活性は, 加熱処理あるいはプロテアーゼ処理によって有意な減少を示した。さらにこのSEのO2-産生誘起活性は, ゲル濾過による部分精製で2つの画分に強く認められ, 特に46kDa付近にピークをもつ活性画分は, 推定分子量67, 56および46kDaの主バンドと58kDaから38kDa付近の間の数本のバンドより構成されていた。
    以上のことから, B. gingivalisのSEは, ヒトPMNsのO2-産生を誘起する作用を有し, その主要な活性物質は, 分子量約67, 56および46kDaを主としたタンパク質成分である可能性が示唆された。
  • 堀口 優美
    1990 年 32 巻 3 号 p. 769-784
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    defnitive curettageの臨床的位置づけを明らかにするために, 歯周初期治療を行った後にポケットの存在する水平的骨吸収を示す前歯部147歯 (25部位) に, ポケット掻爬を行い, その効果を検討した。その結果, 初期治療では主に歯肉の収縮によると考えられるprobing depthの改善が認められた。初期治療後に行ったdefnitive curettageにより, さらに全ての臨床的診査項目は改善した。特にprobing depth, attachment levelの改善は初診時にポケットが深く, Gingival Indexの高いもので大きかったが, 歯肉の収縮は著明ではなく, probing depthの改善は主としてattachmentのゲインに基づくと考えられた。
    確定的ポケット掻爬術は, 単根歯の骨縁上ポケットにおいて有効な治療法であることが判明した。
  • 戸村 真一, 小嶋 太郎, 杉山 優, 高田 治, 鈴木 愼, 伊藤 公一
    1990 年 32 巻 3 号 p. 785-791
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    表面粗さの異なるスライドグラス面上での培養線維芽細胞の付着増殖に関して検討を行った。ルートプレーニング面 (RA), スケーリング面 (RB), 培養ディッシュ面 (S) に近似した粗さのスライドグラスおよび培養ディッシュ (C) 上に培養線維芽細胞 (L 181, L 929) を培養した。試料からトリプシン処理により細胞懸濁液を作り, 血球カウンターで付着細胞数を (24, 48, 72および96時間後) カウントした。また, SEMで付着像の形態学的特徴の観察を行った。この結果, 1. 両細胞は共に各スライドグラス上で同等に付着増殖し, 付着数に有意な差はなかった。2. SEM観察の結果, CとS上では広い面積で付着しており, RAとRB上では突起を基質の凸部に固定して付着し, 凹部に落ち込んだ細胞は認められなかった。3. SからRBの粗さの範囲では培養線維芽細胞の付着増殖は影響されなかった。よって線維芽細胞の付着基質表面はスケーリング程度の表面粗さに仕上げれば充分と推察された。
  • 根分岐部を中心に
    藤川 謙次, 菅野 直之, 戸村 真一, 西方 純一, 氏家 久, 高橋 健作
    1990 年 32 巻 3 号 p. 792-799
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯肉縁下歯根面および根分岐部に対する超音波スケーラーの効果を, Gracey のキュレット型スケーラーを用いた場合と比較し以下の項目について評価判定した。根分岐部が付与された歯周治療用模型の下顎第1大臼歯歯根面相当部にマニキュアを塗布し, Graceyのキュレット型スケーラーおよび各種チップ (SC-1, SC-5, SC-6, ダイヤモンド) をつけた超音波スケーラーを用いて可能な限り根面および根分岐部のスケーリングおよびルートプレーニングを行った。処置終了後, 人工歯の根分岐部側のDomeを損傷しないように近遠心根を2根に分割し規格撮影を行い, その写真を用いて各歯根面でのマニキュアの除去率, 深部到達距離, 水平到達距離を計測し統計学的に評価判定した。あわせて各種器具使用後の表面性状をSEM観察像にて比較検討し, 以下の結論を得た。
    1) SC-5は手用スケーラーと同様の結果を示すが, 先端部の球状形態のために側方圧をかけすぎると根面へ溝を形成する傾向がある。
    2) 分岐部内での器具到達性は, SC-6を用いた方が一番良い結果が得られた。
  • 渡辺 幸男, 辰巳 順一, 細谷 淳一, 中島 啓次, 市村 光, 林 英昭, 沼部 幸博, 鴨井 久一, 菅谷 彰, 三辺 正人, 堀 俊 ...
    1990 年 32 巻 3 号 p. 800-810
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    骨移植材移植後の周囲歯槽骨再生状態を観察する日的で, 雄ビーグル犬の下顎骨に3壁性骨欠損を作成, ハイドロキシアパタイト (HAP), 牛除タンパク焼成骨 (TBC) およびTBCにコラーゲンをコーティングしたC-TBCを移植し, 1ヵ月および3ヵ月後の歯槽骨の再生状態をComputer-aided Micro Analyzer (CMA) を用いて組織内のCaおよびP濃度の分布状態から検討した。その結果, 移植後1ヵ月のCMA所見では, TBCおよびC-TBCの移植材周囲はHAPの周囲に比べて, CaおよびPの高濃度分布域が広範囲に認められ, 移植後3ヵ月では, その分布域の拡大が認められた。特にTBCではそのポアー内部にCaおよびPの高濃度分布域が認められた。
  • アンケート調査による分析
    岡崎 眞奈美, 森田 学, 木村 年秀, 鶴見 真由美, 西川 真理子, 小泉 和浩, 石川 昭, 正力 雅子, 岸本 悦央, 渡邊 達夫
    1990 年 32 巻 3 号 p. 811-820
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病患者の定期的来院を妨げる因子を明らかにするため, 岡山大学歯学部附属病院予防歯科外来患者2, 472名を対象にアンケート調査を行った。分析可能な1, 243名を対象に以下の結果を得た。
    1. 歯口清掃を始めるためのモチベーションでは, 全体の95%の人に対し奏功したと思われた。そのきっかけとして位相差顕微鏡によるプラーク観察をあげた人が最も多かった。
    2. 継続来院している人は, 症状の改善が自覚できており, 歯口清掃への関心が高いことが示された。継続来院率が高かったのは, 年齢では50代60代であり, 職業では主婦であった。
    3. 来院しなくなった理由で最も多かったのは, “仕事, 家庭の都合”であった。
  • 山村 早百合, 金澤 篤, 西野 恒理, 澁谷 俊昭, 堀 敏子, 水野 清, 白木 雅文, 岩山 幸雄
    1990 年 32 巻 3 号 p. 821-828
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人型歯周炎患者18名の歯周ポケット内の3種類の細菌, 即ちA. actinomycetemcomitans (Aa), B. gingivalis (Bg), B. intermedius (Bi) の出現頻度をDMDx ® Testを用いて診査し, 臨床的パラメーター (PlI, GI, プロービング後の出血, 排膿, probing depth) との関係を検討した。
    各患者から5mm以上のポケットを有する部位を4部位ずつ選択し, 合計72部位を被験部位とした。その結果, Bgの出現頻度が最も多く, +3の部位は72部位中39部位54.2%であったのに対してAa, Biの+3の部位はそれぞれは1部位と4部位であった。しかしAaは全被験部位の70.9%に検出された。さらに3種類の菌のレベルが高い部位では低い部位に比してprobing depthの値が有意に高かった。
    DMDx ® , Testはサンプリングに要する時間が短くしかもその方法が簡便であることから, 臨床的に有用性が高いことが示唆された。
  • 山村 早百合, 金澤 篤, 澁谷 俊昭, 小出 修身, 白木 雅文, 岩山 幸雄
    1990 年 32 巻 3 号 p. 829-836
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人型歯周炎患者12名の歯周ポケット内の3種類の細菌, A. actinomycetemcomitans (Aa), B. gingivalis (Bg), B. intermedius (Bi) の歯周初期治療前後での出現頻度の変化をDMDx ® Testを用いて検査し, 臨床的パラメーター (P1I, GI, Bop, sup, pd) との関係を検討した。
    5mm以上のポケットを有する歯周炎罹患部位43部位を被験部位として歯周初期治療を行った。その結果, 臨床的パラメーターは一様に減少し, 特にpdで顕著であった。細菌検査においてはAa, Bg, Biともに出現頻度の減少がみられたが特にBgにおける改善が著明で, 改善3の部位が14部位存在し, 病原性の高低による分類からも大きく改善され, BgAa, 疏に比較して治療に良く反応したことを示した。
    歯周初期治療により臨床的パラメーターの改善のみならず, 細菌の出現頻度が減少し, しかもDMDx ® Testはサンプリング時間も短く, 簡単に細菌検査が行え, 臨床的に有用性が高いことが示唆された。
  • 第1報昭和53~61年における統計的観察
    金山 奎二, 中山 雅弘, 北原 郷子, 坂本 浩, 今枝 忠厚, 鈴木 和夫, 溝尻 貴章, 河谷 和彦, 岸本 晋, 原 精一, 塩谷 ...
    1990 年 32 巻 3 号 p. 837-845
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は歯周病患者の臨床症状として, 欠かすことの出来ないX線写真による骨吸収に重点をおいて診査し, 同部位のポケットの状態, 炎症の程度, 歯の動揺度との関係と特徴をとらえるために統計的に検討した。
    その結果, (1) 上下顎中切歯部において骨吸収が多く見られるが, ポケットの深さは平均2.6mm前後であった。 (2) 上下顎第一大臼歯部では骨吸収量は中切歯部に比べ少ないが, ポケットは平均約3.0mmであった。 (3) 骨吸収量の増加に伴い, 動揺度の値も大きくなる傾向が見られた。 (4) 骨吸収量の大きい中切歯部において歯肉炎症指数 (GI) も高い結果であった。 (5) 骨吸収パターンは約8割が水平型で遠心側に, 約2割が垂直型で近心側に多く見られた。
  • 第1報昭和60~62年における初診時の歯肉形態と各臨床所見
    北原 郷子, 金山 奎二, 伊藤 茂樹, 呉 中興, 中山 雅弘, 坂本 浩, 今枝 忠厚, 鈴木 和夫, 溝尻 貴章, 河谷 和彦, 岸本 ...
    1990 年 32 巻 3 号 p. 846-853
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯肉の形態に影響を及ぼす因子としての主要な臨床所見の症状に着目し, それぞれの所見との関連性を検索した。
    その結果, 様々な歯肉形態め出現率に, 臨床所見の症状である歯周ポケット, 歯槽骨の吸収, プラーク, 歯石, 不良修復物等が影響し, 歯周疾患と歯肉形態には密接な関係があることが示唆された。各検査項目間の相関性の検討においてもcleft form以外で有為な相関性が認められた。これらの関連性を把握することは, 治療計画, 治療方法, 予後の推測等において重要な役割を果たすものと考えられる。
  • 自己評価法としての歯間部スティミュレーティングの再現性.
    横矢 康子, 辛島 宏美, 浜島 秀徳, 宮下 元, 長谷川 紘司
    1990 年 32 巻 3 号 p. 854-860
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    我々は先に歯科医師の行なう歯間部スティミュレーティングが歯間部における炎症性病変を的確に評価しうることを報告した。そこでこの診査法は用具使用の手技が簡便であることから, 患者自身での歯周組織の自己評価法にも応用できるのではないかと考え, 患者自身の日常的な使用における評価の再現性とメインテナンス患者における評価の再現性を検討した。さらに歯科医師においては歯周組織の簡便診査法としての可能性を検討するため, 同一術者および術者間における診断の再現性を検討した。その結果, 歯間部スティミュレーティングは歯間部挿入感覚が会得されることにより, 患者自身が使用した場合では約76%, メインテナンス患者においては約87.4%の再現性を示した。歯科医師における同一術者における再現性は94%, 術者間の再現性は74%であり, 一般使用における歯周組織の自己評価法および歯科医師における歯周組織の簡便診査法として有効であると考えられた。
  • 第2報メカノケミカル法で合成したβ-TCPの臨床成績-
    大滝 晃一, 町田 裕哉, 長谷川 明, 三辺 正人, 菅谷 彰, 堀 俊雄, 横山 信行
    1990 年 32 巻 3 号 p. 861-875
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    3壁性または広くない2壁性骨欠損を持つ45名の辺縁性歯周炎患者の62部位にフラップ手術と同時にβ-TCPを墳塞し, 術後3ヵ月時に経過観察を行い, 以下の結果を得た。
    1. プロービングデプスは, 術前平均6.2mmから術後3ヵ月で平均2.7mm, となり平均3.5mmと有意な減少を認めた。
    2. アタッチメントレベルは, アタッチメントロスの量が術前平均8.8mmから術後3ヵ月で平均7.1mmとなり平均1.7mmと有意な改善を認めた。
    3. 歯肉炎指数 (GI), プロービング時の出血とも, 3ヵ月後には術前の状態より改善する傾向を示し, 悪化したものは動揺度で1例のみであった。またペリオトロン値も, 術前平均52.4から術後3ヵ月で平均27.3と著明な改善を認め統計的にも有意であった。
    4. X線写真上でのセメントエナメル境から骨縁までの距離は術前平均9.7mmから術後3ヵ月で平均7.0mmとなり平均2.7mmと有意な改善を認めた。
  • 接着能とそれに基づいた遊離歯肉移植手術の検討
    深井 浩一, 加藤 まり, 三上 格, 高岡 慈郎, 富井 信之, 松村 政昭, 長谷川 明
    1990 年 32 巻 3 号 p. 876-886
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    組織接着剤 (Tisseel ®) の接着能を遊離歯肉移植手術を想定した各種条件下で検討した。またこの結果を臨床に応用し, 以下の結論を得た。1. 生体温度下で遊離歯肉弁を粘膜骨膜移植床に接着し, 平均406.0±172.809/cm2の抗張力を得た。これは時間の経過とともに増加する傾向を示した。2. 20℃以下での接着は平均170.4±75.769/ cm2と1に比べ低い値を示した。3. 比較したtie-over法での固定は平均で110.0±34.329/cm2と, どの条件の接着法と比べても低い値を示した。4. 裸骨床への接着は平均で182.8±84.609/cm2と, 粘膜骨膜移植床の接着に比較し低い値であった。5. 接着にはTisseel ®) 0.4±0.09ml/cm2を要した。6. 以上の結果より, 組織接着剤による遊離歯肉移植術を主体とした歯周外科手術を試みた。遊離歯肉移植手術19症例中15症例ではTisseel® 単味での接着固定を行い. 他は補助固定材との併用で良好な結果を得た。
  • ポビドンヨード水溶液併用について- (第3報)
    上田 雅俊, 寺西 義浩, 中垣 直毅, 牛嶋 真嗣, 川崎 博, 川島 恵美子, 山岡 昭, 光安 正守, 河野 渡, 小西 浩二
    1990 年 32 巻 3 号 p. 887-893
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    0.02%ポビドンヨード水溶液を併用した超音波スケーラーの2週連続2回スケーリングの有効性について, in vitroで臨床的に観察した結果, 各実験群ともに, instrumentation後1週目に顕著な改善を示し, その後は経週的に改善, 横ばいあるいは後戻りの傾向を認め, また, PI値以外の臨床観察4項目ともに, ポビドンヨード併用超音波スケーリングが超音波スケーリング単独群およびルートプレーニング群に比較して各観察時期ともに改善傾向が強かった。
  • 申 基テツ, 杉本 博宣, 荒木 久生, 宮田 隆, 前田 聡, 池田 克巳
    1990 年 32 巻 3 号 p. 894-906
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    後方歯牙接触位 (RCP) における咬合接触関係の解析を目的に, RCPへの下顎位の誘導および固定が可能なRCP下顎位固定装置を新たに考案し, これを用いて臨床的に正常咬合を有する被験者10名のRCPにおける咬合接触関係を画像解析装置を用いて検討した。その結果,
    1. この固定装置によってRCPにおける咬合採得の再現性を検討し, Occlusal Contact Area (OCA) 領域およびLuminosity Grade 1 (LG1) 領域の測定精度が確認できた (P<0.05) 。
    2. 咬合力の集中度は, RCPおよび咬頭嵌合位 (ICP) の両者間では正の相関が認められた (P<0.01) 。
    3. RCPとICPとの咬合接触面積の比率は, OCAおよびLG1領域の両者間で正の相関が認められた (P<0.01) 。
    4. R CPでの筋活動は, 側頭筋前部ではすべての被験者において初発接触発現側に筋活動が認められた。
  • 小方 頼昌, 横田 祐司, 遠藤 弘康, 増永 浩, 松江 美代子, 松江 一郎
    1990 年 32 巻 3 号 p. 907-917
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    若年者における8名の歯周炎の病型を検索した結果, 病変の広がり, 口腔内診査の結果などを加味した臨床的視点から, 限局型と広汎型に分類類した。同一患者の口腔内から“罹患部位と非罹患部位を選択し, 両部位に対してポケット内細菌の同定, 歯肉溝浸出液中の抗体価の測定を行い, 同時に, X線, 研究模型による診査を加え, 形態学的な検索も行った。形態学的診査の結果, 概して上顎第一大臼歯は水平的, 下顎第一大臼歯は垂直的な骨吸収像を示す傾向があり, 限局型では歯槽幅/歯冠径比が大きい場合が多く, また, 咬合関係の不調和がその部位の病変を増悪させている可能性が考えられた。細菌学的には, B. gingivalis, H. actinomycetemcomitans, Capnocytophagaが罹患部位で多く検出された。
    歯肉溝滲出液中の抗体価は, 罹患部位で高いとは限らず, 非罹患部位で高い場合も認められたため, その部位の病変を抗体価で規定することは困難であると考えられた。
  • 田原 洋, 松江 美代子, 宮川 英祐, 山口 進也, 李 鍾賀, 増永 浩, 松江 一郎
    1990 年 32 巻 3 号 p. 918-928
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ヒノキチオール, クロルヘキシジン, グリチルレチン酸, 酢酸トコフェロールを主成分とした, ブラッシング時に用いる抗炎症製剤LA-Mを用い, 28日間の臨床試験を行った。対象者は歯周疾患による骨吸収を認めないグループ1, 歯肉炎 (15名), 骨吸収量が歯根の1/3を越えないグループII, 軽度の歯周炎を有するもの (19名) とし, ブラッシングのみの場合 (対照) とLA-Mを使用した場合の臨床所見を比較検討した。PCR値は両者間に差を認めなかった。GI, PBIは最大値においてLA-M使用時にグループI, IIともに軽微の減少傾向を示した。全診査部位中のPBI値が2以上を示す部位の占める比率, 歯間隣接面におけるポケット4mm以上の部位の占める比率は, LA-Mの使用後28日目に顕著に減少し, グループIにおいてはPBI, ポケットともに対照との間に有意差を認めた。グループIIにおいても同様に減少が認められた。ポケットの消退は特に臼歯部で著明だった。以上よりLA-Mは歯肉炎, 軽度の歯周炎に対し消炎効果を有し, 歯周治療への応用が有用であると考えられた。
  • 坂本 浩, 鈴木 和夫, 太田 紀雄, 芦沢 雄二, 出口 敏雄
    1990 年 32 巻 3 号 p. 929-933
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Fibrotomyについて歯周治療学的な立場から数症例を経験した。線維の切断の対象を歯根膜線維と歯肉線維に分けて切開の方向のちがいから4通りの術式を試みた。それらについて術直後, パック除去後 (1週間後), 1ヵ月後, 6ヵ月後, 1年後における臨床所見のちがいを比較してみた。その結果, 術後の疼痛, 挺出感もほとんどなく, 歯肉の退縮も認められなかった歯肉線維のみを切断する方法が最も有効ではないかと考える
  • 松岡 寿, 中西 恵治, 白川 正治, 根本 徳之, 廣畠 英雄, 新堀 浩, 今村 直也, 秋元 康宏, 小川 哲次, 東 富恵, 岡本 ...
    1990 年 32 巻 3 号 p. 934-944
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    14歳及び20歳の早期発症型歯周炎2症例について, 4~6年の長期観察を行った。症例1は中等度の骨吸収を有する14歳女性で, 非外科処置により健康な歯周組織に改善した。また, 垂直性骨欠損部は修復し水平的な骨添加が認められ, 4年後の現在ではほぼ正常な骨レベルにまで回復した。症例2は重篤な骨破壊を有する20歳女性で, 外科処置により, 手術後6ヵ月で垂直性骨欠損部の修復が得られ, 6年後の現在では顕著な骨レベルの増加が認められた。成人型歯周炎と同様な治療法を施した本2症例は, 歯周組織の炎症が改善されると共に, 骨レベルの上昇が観察され, その治癒傾向は成人型歯周炎と類似していた。さらにメインテナンスの継続により, 支持組織の着実な獲得が観察された。
  • 三上 格, 富井 信之, 深井 浩一, 浅見 浩之, 長谷川 明
    1990 年 32 巻 3 号 p. 945-955
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    重症な歯周疾患罹患歯, インプラントの失敗などに起因して, 前歯部顎堤に部分的欠損と変形を生じ, このため審美性や機能の悪化を認めることがある。われわれは, この前歯部顎堤の部分的欠損に対し, ハイドロキシアパタイト顆粒およびブロック体を応用した顎堤増大手術法を行っており, 手術適応と手術法を顎堤の欠損形態とその欠損程度, 歯の欠損数により以下の3種に区別している。
    1. 唇舌的に顎堤の幅が欠損し, 歯の欠損数が1, 2歯の場合は, ハイドロキシアパタイト顆粒を補填する。
    2. 上下的に顎堤の高さが欠損し, 歯の欠損数が2, 3歯の場合は, ハイドロキシァパタイトブロック体を補填する。
    3. 唇舌的, 上下的にも高度に顎堤が欠損している場合は, 一次手術でハイドロキシアパタイトブロック体を補填し, 二次手術でハイドロキシアパタイト顆粒を補填する。
    今回は第3に該当する高度な顎堤欠損症例に対し, 手術を行い良好な結果を得た。
  • 村上 純一, 堀田 善史, 金澤 篤, 本田 準虎, 小出 修身, 白木 雅文, 岩山 幸雄
    1990 年 32 巻 3 号 p. 956-963
    発行日: 1990/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近心傾斜歯に対して歯周治療の一環として行ったアップライト7症例について, probing depthの変化およびX線的な歯槽骨の変化を検索した。
    アップライトは初期治療によって改善できなかった歯周ポケットを歯周外科をすることなしに改善し, その後, 歯周組織を健全に維持することができた。
    またアップライト前後で歯槽骨の変化は認められなかったことから, 歯の挺出及び遠心移動に伴い歯根膜線維に索引された結果, 骨が添加されたものと推察された。
    アップライトは, 深いポケットを有する近心傾斜歯の近心側のポケット除去の一方法として, 有効な治療法と考えられる
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